池田氏が児童売買春の特別報告に関与した弁護士を批判したければ、イメージ効果を(ずるい!)と批判・・意見表明すべきであって、事実としては、「同弁護士がミーテングに参加したと表明していることから直ちに同弁護士が日本少女13%の報告をしたか否か不明であるが、この情報発信によれば同弁護士がこの報告を支持しているように見えるが、その点はカクカクの理由で問題だ」とか、「同弁護士が国連報告者に対してどのような情報提供したかの開示を求める」という程度から始めるべきだったでしょう。
刑法
(名誉毀損)
第二三〇条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
上記の通り「事実摘示した」場合が名誉毀損罪の要件であり、民法の名誉毀損は事実適示だけが要件ではありませんが、事実適示のない論評が争点になると言論の自由との関係で難しくなります。
裁判所は意見表明については「主張内容がどんなにひどい意見」であろうとも「(自己実現は)憲法上の権利として判断理由にできない」ので、人格攻撃などの品位に関わる評価で勝負するのが多いようの思われます。
児童売買春に感s流名誉毀損訴訟では、事実適示が問題になったかどうか知りませんが、もしかして「13%の報告をしたのが同弁護士」とした点が、名誉毀損であるとした訴訟の場合、「そのような報告事実があるかどうか」の真実性の証明次第になっている点を気に留めないで、池田氏が気楽に決めつけ批判したことがテーマにされていた可能性があります。ていなかったことになります。
「左翼系の意見評論がフリーパスで、右翼系が名誉毀損でしょっちゅう負けるのっておかしい」という批判感情論→裁判所が偏っているかのようなイメージ主張がネットで多く見られますが、要は事実と意見・評論をうまく切り分ける論理能力が右翼系評論では身についていないからのように見えます。
感情論で満足していると発展性がありませんし、行き着くところこの後で書いていくヘイトスピーチの応酬・・嫌韓デモとこれに対抗する「しばき隊」のデモのように、社会分断の危険性につながります。
右翼系も訴訟で負けレバ裁判所を非難するのではなく、その原因分析によって合理的戦術を学ぶ必要があるでしょう。
池田氏に限らず植村記者名誉毀損問題も同じですが、事実適示を含む批判主張をする場合には「真実性」の立証可能かをチェックしてから行わないで無闇に「捏造」したなどと主張した場合に、相手が訴訟してきたら捏造の立証ができるのかを事前にチェックしてか主張すべきですが、そのような事前チェックなしに突撃してしまったところが無防備すぎる印象です。
以前から事務所相談で私の方は「事実を聞きたいのに相談者が意見を言いたがるので困る」事例をしょっちゅうこのコラムで書いていますが、世代交代がない(次世代以降ではレベルが上がっている印象も書いてきました)限り、まともな政治論争は無理かもしれません。
訴訟で繰り返し痛い目にあっても「裁判所が偏っている」という感情論で終わっていると進歩がありませんが、(依頼した弁護士レベルにもよりますが)負けた原因の究明・・弁護士指導で徐々に「事実と意見の違い」が身についていくのを期待したいところです。
池田氏は政治評論家かな?職業として意見発信しているにも関わらず、いかにも伊藤弁護士が特別報告に関与して報告内容に影響を与えたかのようなイメージ発信にまんまと引っかかって「同弁護士がそのような報告をした」かのように受け止めて?(伊藤弁護士支持者がイメージ宣伝通り受け止めるのは勝手ですし、発信者もそれを期待しているのでしょうが・・)それを前提の批判意見を公表したので、事実無根の批判として名誉毀損で訴えられてしまったように見えます。
(判決書自体見ていないので何が訴訟テーマか不明・・推測です)
訴訟では国連報告者が「情報源秘匿権」で誰から聞いたかを開示しないでしょうから、同弁護士が「私が13%の主張をして採用された」とホームページ等で書いていない限り、名誉毀損で訴えられると真実性を立証できる方法がなくあっさりと敗訴になるべき運命です。
反捕鯨運動家は日本国内支持を広げようという意欲がないから、カモフラージュする必要がなく、堂々と反捕鯨運動を名乗って、「主義主張を理由に入館制限するのは憲法違反」でないかと、正面突破を挑んで訴訟したものでしたが、裁判所の方が、逆にそこで勝負せずに数日前に写真撮影したことを理由に次に来た時に入館拒否するのは行き過ぎ等の次元・入館規則のあてハメミスとして違法を認定して肩すかしを食らわせたことになります。
流石に裁判所も「何を言おうとしようと自己実現は個人の勝手だ」と宣言する勇気がないというか、無駄な論争をしないのが裁判所の姿勢であり合理的です。
「〇〇総理や天皇を殺せ」というプラカードを掲げても、殺人行為の具体性がない意見の場合には殺人予備にもあたらない・・犯罪構成要件に当たらない限り今の憲法論によれば、「何を言おうと自由」となるのでしょうが?それを裁判所が「自由」だと認定できるかの疑問です。
日本人(例えば朝日新聞)の場合には、国内支持を完全無視できないから?書いてしまった事実を批判をされたときに、事実無根という入り口で訴訟できず、「どんな意見でも憲法で保障されている」と開き直るしかなくなるので、事実を書かないで巧妙な思わせぶり表現が多くなるのでしょう。
メデイアは、(反日意見を報道するのも憲法上の権利だと開き直らずに)市場評価を気にしてカモフラージュして(国際孤立するとか中国の発展が如何に素晴らしいか、反中国ではバスに乗り遅れて「しまうかのように」)宣伝する・・本音が伝わるように仕向けているのですが、それはイザとなれば、・・下手に感情論で攻撃してくれば名誉毀損で逆襲できるように仕組んで待ち構えているように見えます。
メデイアは何十年もの経験でこの手法に慣れているので、具体的事実を書かないで逃げ道を用意してイメージに訴える方法で発信するのが普通です。
素朴単純な?右翼系がメデイアや左翼系の主張したい本音にまともに反応して実際には表現していない「本音」が表現されているかのように誤解して池田氏のように批判記事を書くと「どこにそんなことを書いているか?」と名誉毀損で訴えられて敗退を繰り返すようになります。
左翼系が何かというと政府施策妨害?のために・・古くは成田空港反対訴訟に始まり、八ッ場ダム、諫早水門訴訟、沖縄基地訴訟、飛行機発着禁止や各種工場操業停止訴訟してきたのを右翼が真似て、この5〜6年前から訴訟戦術を始めたようですが、(それ自体論理的訓練の機会になって良いことですが)NHKの台湾報道事件を始め訴訟戦術としては、経験不足があって仕方ない(繰り返す過程で戦術論も磨かれていくでしょう)としても今のところ稚拙すぎる印象です。
ところで、憲法学者の基本的人権論によれば、仮に反日あるいは親中韓の本音がバレても・・堂々と日本国解体論・・・その先どうなるか→隣国の支配下に入る方が幸せと言うのも自己実現・自由な人権行為となるのでしょうか?
ここから憲法論における常識・「自己実現は、憲法以前の権利」と言う憲法学者間で論争済みの意見に対して私の勉強不足の非常識な?挑戦です。
憲法学者も大勢いるのでいろんな意見があるでしょうが、部外者に聞こえてくる意見では、表現の自由=自己実現論プラス自己統治論によれば、日本社会を不安に陥れたり互いに信頼関係をなくすように運動する(名誉毀損や何らかの法令違反があれば別です)のも基本的権利である以上、他の日本人がこの運動を支持するか否かはとも角、権利行使=違法ではないというようです。
「ようです」という意味は、「本当にそうなのか?」の私流の疑問があるからです。