8月16日に紹介した原発賠償法では、1200億円以内の積み立てまたは保険契約ですが、現在ギリシャ国債・アメリカ国債の支払など先進国を覆う金融不安と同様の問題ですが、1200億円以内・・いくらか知りませんが積み立てていたのは現金ではなく、日本国債が中心だったとすれば、仮に1000億円でもこれを市中で短期に一度に売却・換金すると国債の大暴落になります。
トヨタや銀行の株で納めていても同じことになります。
と言うことは、債券や株式で納付するのでは、イザとなれば抜けない宝刀のようなもので、担保価値がゼロに等しかったと言えるでしょうか?
中国が頭に来たからとアメリカ国債を大量に売る訳に行かないのと同じです。
ついでに最近のドル安円高の流れを書いておきますと、日本国内の金融資産が1450兆円(2009年時点)と言っても、国内の貸し借りは花見酒の経済みたいですから、ローンなどの負債を引き、さらに国債発行分を差し引いたものが、実質真水の金融資産と言えるでしょう。
裏返せば、発行済み国債が年間国民総所得の何倍あろうとも、国内金融資産の範囲内である限り対外的には本来(イレギュラーな動きは別として)問題が起きません。
一家の総預金が1400万円あって、その内1000万円を息子がお父さんに貸している場合、実質預金が400万円がまだ残っているのと同じで、お父さんの子供に対する借金が一家の総所得の何倍かは問題になりません。
年収300万しかない一家が30年かけて1400万円貯めている場合、対外借金総額(車のローンやリフォームローン)が一家の年収300万円を越えても問題がありません。
日本の場合で言えば、対外純債権額・これの一部を反映している外貨準備高は経済大国化して何十年も貯めた結果(この間に海外で買い求めた土地や工場設備・資源採掘権などの投資残高もあります)ですから、(今も経常収支は黒字です)1年分の所得を基準にその何倍かの議論しても始まらないでしょう。
まして政府資産には、鉱物採掘権や土地所有権その他いろんな資産(国有企業)があって、イザとなればこれらの売却も可能です。
(過去にも国鉄や電電公社の民営化などで巨額の資金が国に入っています)
ちなみに我が国の2010年3月現在の外貨準備は、ウイキペデイア9月27日の記事によれば、1兆0427億1500万ドルです。
この辺の仕組みに関しては、リーマンショックの始まる数ヶ月前から、07/18/08「アメリカの累積赤字額1(外貨準備率)」以下で、軍事力等の経済外要因でドルを維持しているものの何時かは経済実力に合わせるしかない・・1割〜2割どころか何分の1に下がっても理論的にはおかしくないと書きました。
長期的には理論どおりでしょうが、短期的にいろんな思惑や政治力で、上がったり(持ち直したり)下がったりしながらも結果的には長期トレンドとしては純債務国になっているアメリカドルは下落一方ですから、あるときには勢いで1ドル40円程度まで落ちることもあるのではないかとその年の秋頃に書きました。
年収・・CDPを基準にする議論はギリシャなど貯蓄のない国・・個人で言えばサラ金債務などに当てはめるべき議論に過ぎません。
国内金融資産は企業で言えば、手元流動資産みたいなものに過ぎず手元流動資産が借金よりも少なくても、それ以上に外貨準備が豊富にあれば、それの取り崩しでイザとなればどうにでもなります。