大晦日(千葉県の災害2)

農業施設に限らず住宅が被災した場合の建て替え・・再建築〜大改造するかの点で迷うのも同様です。
過疎地に限らず中高年齢者がマイホームを取得したり大改装する場合、これで最後までその家に住めるかな?というライフサイクル前提で行うことが多いものです。
この結果80代になって家が少し古くなっても次世代同居でない限り時代即応の大規模改修する気がしないのが普通です。
ということで高齢者はマンション買い替えも改造もしないし、家が古くなる一方になりますが、7〜80代で被災した場合、都会人でももう一度建て替えたい人はいないでしょう。
個人事業でない大企業の場合個人のライフプランと関係ないでしょうが、個人事業主体の第一次産業系と農漁村等で営むサービス業の場合、生身の人間のライフステージに応じたライフスタイルと密接に関連します。
まして・・親の代から家に住む人が被災した場合、都会に出た子供らが戻ってくる可能性もないのに、新築や改修をためらうのは当然です。
東北大震災では日弁連の災害支援活動過程で二重ローンが問題になって立法化された記憶ですが、ローン途中の被災だけでなく既存債務のない人でも、高齢者中心事業の場合新規投資気分になれないようです。
停電も、水害もなかった千葉市内に住んでいて報道だけ見ていると「停電が続いて生活が大変」と言うばかりだったので、停電が収まってよかったねと言う程度の感想中心でしたが、県内で生業を営む人たちにとっては大変な事態がそのまま続いている年末を実感しました。
(ただし、職業柄農村部の人とも交流があるので電気が通じてもビニールハウス等の復旧に汗を流している抽象的な声が少しずつ耳に入っていましたが・皆さん遠慮がちにいうので深刻な事態という印象が薄かったのです)
サラリーマンや勤め人は勤務先が潰れても再就職先があれば、新規職場で慣れるまでの不利益程度ですが、勤人比率が低い農山漁村・たとえば自営の60代半ば夫婦の場合・・自宅修理や泥の掃き出しだけでなく、東北大震災のように生活手段の農地が海水に浸かったり、水産加工場や漁民相手の飲食店が流されたりすると緊急融資を受けても、元気に働けるうちに返せるかの不安に直面します。
近代産業・全国展開のいくつかの工場の一つが被災しても、その工場さえ復旧すればまた全国へ製品を送り出せます。
第一次産業系地域では大規模自然災害を受けると地域全体が壊滅的になるので、自分だけ美容院や飲食店等の商店を再建しても客がいません。
政府の緊急融資や制度保障による融資基準額引き上げや激甚災害の政府補助金は基本的に地方団体のインフラ復旧コストの補助金であって個人に資金提供する制度ではありません。
もともと国家の各種産業補助でも、(太陽光発電補助の場合など)特定事業をした場合その支出の一部補助・太陽光発電の業者に対する支払いの一部を代わって支払うものであって、注文者に直接現金を交付する制度でないのが原則です。
健康保険で言えば、診療費の7割給付ですが7割くれるのでなく7割を医療機関に代わって払う形の保険給付制度です。
個人に直接資金が入る仕組みは生活保護費や失業保険等限定的です。
激甚災害には、例外的に心身障害に対する見舞金があるようですが、ほんの僅かでしょう。
激甚災害被害者救済では法令変更で一時金をいくら引きあげても再建資金を全額賄うの無理があるので共助と自助努力の組み合わせ・・災害保険制度の発達を期待する方が合理的でしょうか?
実際東北大震災以降、地震保険加入者が増えたようですが、今回のような水害や停電等による被害・農地冠水、崖崩れ等・ドロの埋まった農地被害はカバーしないのでしょうか?
千葉県の農家の実情は、死亡事故等世間を騒がす被害がほとんどないものの、長期的にはボデイーに効くような被害に合うと、運が悪いで済ますには気の毒な実情です。
60代の彼らはまだ元気で働き続けたい・・残された人生がある・・農家の人がいきなり都会に出て働く仕事もないし、今後どうして良いかわからない絶望感をどうすべきかでしょう。
災害にはどう対処すれば良いか、新たな災害・温暖化によって?台風が従来よりも北上しやすくなってきた以上は、これまであまり台風のこなかった関東以北地域でも今後に備えて新たな準備が必要になった印象です。
備えあれば憂いなしと言いますが、千葉県の場合、これまでまとも台風被害を受けた経験がなかったので備えが無かったことは確かです。
備えの必要性といえば今年1年の私個人の近況報告もしておきましょう。
この一年元気に働いてきましたが、この1年を振り返ると、春先に突然歯が痛み往生しましたが、歯医者さんに行くと数年前にちょっとした虫歯に詰めていたものが外れて痛み始めたと分かりすぐに治って安堵しました。
夏にはある会議が終わって立ち上がると足腰が急に痛くなって廊下に出てから少し歩くのすら大変になり驚きました。
これは会議室の冷房が効きすぎたので足を冷やしすぎたのか?とわかったので、その後真夏というのに冷房のあるところに出かけるにはレグウオーマーして出かけているうちに秋になって冷房がなくなったので元に戻りました。
その後今のところ元気にしていますが、備えているつもりでも高齢化すると思いがけないことが、しかもいきなり起きます。
私自身や、私を取り巻く千葉県全体でもいろんなことがありましたが、個人限定すれば今の所大過なく1年を過ごせたという安堵感が先に立ちます。
ただし、今年の千葉県の台風被害に対する備え不足同様に・ミスはあとで問題になるものですから、今のところ過去の大過が表面化していないだけかもしれません。
今年最後のコラムになりましたが、個々人でもめでたい年だった人や苦難の1年だった人もいるでしょうが、全て過去の備えの結果ですので被害を受けなかった人も気を引き締めて来年も頑張りましょう。
来年は少しでも多くの人にとってめでたい1年になりますよう祈念して今年のコラムを終わりにします。
みなさま良い年をお迎えできますように!

来し方を振り返って(千葉県の被災1)

今年はクリスマス・イヴをサボって年末準備こそが本命と考えていたのにいつの間にか年の瀬になりました。
毎日どうでもいいことを頭の体操のつもりで書いて来ましたが、今日からは年末特番シリーズです。
今年は、平成から令和に変わりめでたい行事が続きなんとなくおめでたい雰囲気で1年が終わりそうです。
雰囲気だけでなく国民生活に影響の大きい景気動向・雇用状況も人手不足を嘆くほどの活況で1年が終わり多くの人に笑顔が見られる良い一年でした。
戦後長く続いた日韓関係も新たなステージに入った年になりそうで、その評価は後世に待つとしても日本全体では何となく良い1年だったように思います。
以上は総括的印象であって個々人や地域によっては大変な1年だったことも多いでしょう。
例えば、私の住む千葉県では想定外の台風被害で、あちこちで復興に苦しんでいる方が多くいらっしゃるようです。
千葉県は台風がくるといってもほぼ百%予報止まりで、その日になるとちょっと強い風が吹く程度で台風がそれてしまうことの繰り返しで暑すぎもせず寒すぎず、住みよいところだと言うのが自慢の県でした。
気候風土が温暖な結果、お人好しというか、あっけらかんとした朗らかな県民性です。
洪水になるような大きな川もなければ山、谷も深くないので、人間だけでなく樹木や岩石の方も安心していたようで、今回の想定外の強風〜大雨であちこちで十分根を張っていなかった樹木が倒れ崖崩れが起きました。
崖崩れが起きるほどの大雨がない前提で高圧線や鉄道線路や道路も走っているので、電線も道路も樹木も崖上の岩石土砂も抵抗力が弱かったようです。
しょっちゅう大雨があれば崩れるべき崖は崩れ、倒れるべき高圧線や樹木は倒れ、おっこちるべき岩は落ちていたでしょうが・・。
人間界でも農家などが農業施設がどうなる?と言う危機感がなく台風通過する数時間だけ自分が家に引っ込んでればいい程度の感覚だったようでしたし、県組織自体の台風対策もあんちょこだったようです。
災害当時の対応が緩かったと県知事が追及されていましたが、県知事の意識の低さは県民意識の反映だったようです。
12月26日毎年行っている千葉県在住弁護士同期会で房州枇杷の話題が出ましたが、ビワはみかん畑のように日当たり水はけのために山の斜面に植えているようですが、今回の大雨でその斜面が崩れてビワ畑全体が崩落してしまった例が紹介されました。
事務所は千葉市にあるが自宅が館山市にある同期の弁護士・・話題提供者の説明によると崩落した斜面を復興してビワの苗を植えても、収穫できるまでには何年もかかるので、その間の生活費や今働き盛り?(今では5〜60台が大半でしょう)年齢の人が元気なうちに投資(借金返済)回収可能かの心配があるということでした。
長年丹精込めて作り上げた肥沃な土が崩落してなくなっているので、土つくりからの作業になるでしょうし、・・果実がつき始めても、品質の良い特産品への改良工夫〜業として安定出荷できるようになるには年数がかかる面もあるでしょう・・。
また山(千葉県には地図に乗るような高い山はありませんが丘陵地帯の丘のことです)の中腹から麓へ荷下ろしできるように斜面にロープウエー?(私の独自翻訳)を設置しているとのことでしたが、これらも根こそぎ倒れてしまったので、この復旧費用も巨大らしく災害用特別融資を受けても5〜10年程度で返せる自信がないので困っているとのことでした。
その他の農家も多くはビニールハウスやガラス張りの温室栽培(今は内部に温度管理用の設備)が多いので、これらがほとんど壊れているようで、これらを復旧するかしないかに悩んでいる農家が多いようです。
精密管理のためにか?ガラス張りの温室が最近増えているようですが、粉々に割れて畑に散らばっているので同じ場所で耕作できない問題があるようです。
一般農家がビワ等果樹栽培への転向やビニールハウス等への投資は、少しずつ栽培面積、ビニールハウスや高級なガラス張り温室等を増やしてきたものでしょうが、台風による一斉倒壊の場合、一斉巨額再投資が必要になるとともに軌道に乗るまで収入ゼロになる点が大違いです。
近代産業の場合、遠隔地展開の30店舗のうち1店舗が浸水して1店舗の営業を半年休んでも残り29店舗の売り上げでカバーできますが、農家の場合一箇所に集中しているのでビニールハウス30棟その他が同時被災する点が大きな違いです。
基本的に農業後継者が滅多にいない現実・・多くの農家で子供らが都会に出てしまっている現実があり、後継者がいない大規模投資はリスクが大きすぎるということらしいです。
東北の津波被害でもこのような問題・・遠くてこの種の苦しみが首都圏の人には、直に伝わらないだけで似たような苦悩が起きていることでしょう。
このような問題は緊急時のボランテア活動ではどうにもなりません。
弁護士会のメーリングリストを覗くと災害対策関連者間でこの種の悩みが出てくるようになっています。
東北の災害復興関連報道でも、鉄道駅の再建やスーパーの再開など目に見える復興の映像だけ伝わりますが、その何倍も消えていった姿は目に触れません。
過疎化が進む地域・・次世代後継者のいなくなった地域で60代の人が、自分の世代だけは先祖代々の漁業(関連加工業)や農業(畜産や果樹園など)や村唯一の商店を守っていこうと思っていた場合に、被災して根こそぎ事業資産を失うと事業再開気力をなくしている点では多分同じでしょう。
人気シリーズの「ポツンと一軒家」の場合で言えば、麓での現役リタイヤー後にいろんな事情を背景に「ポツンと一軒家」に戻って先祖の家を守っている姿が多いので人気なのでしょうが、こういう家が仮に災害で倒壊してしまうと、再建はほぼ不可能で黙って消えていくしかないのでしょう。
過疎地で5〜10年に1軒づつ住人が消えていくのと同じです。
東北大震災や千葉県の台風災害は、たまたま大量被害が一斉に発生しただけといえば言えますが、「ポツンと一軒家」の場合、一円被害でなく麓の家や農地が無事であれば「ポツンと一軒家」を維持できなくなるだけで日常生活に支障がない点が大違いです。

情報公開3(千葉県での人権擁護大会)

要綱を見るとオリンピック組織委員会ではなく「独立行政法人 日本スポーツ振興センター」となっていて、平成24年8月と言えば民主党政権時代であったことが分ります。
安倍政権はその年の暮れの総選挙からです。
国立競技場の工事費の不手際やデザイン問題へとこれだけ国際的な恥かきに発展する大問題になっているにも拘らず、野党の追及(普通は野党得意の「税金の無駄遣い」と言う大合唱があってしかるべきですが・・)が一切ないのが不思議だなと思っていましたが、コンペの条件設計と審査決定は民主党政権によるものだったことによるのかも知れません。
ザルみたいにお金を使う民主党政権時代のやり方を改めるために、自民党政権になってから元財務省次官の武藤氏が送り込まれたとすれば辻褄が合います。
どんな能吏を任用しても、元々がザルの決め方(契約条件に縛られるので)であればどうにもなりませんから、政権内で検討の結果世論に訴えるしかないとなって、意図的に内情をリークしたのかも知れません。
民主党政権で無責任に決めた契約をひっくり返すために革命的・超法規的世論喚起が必要であったと言うことでしょうか?
自民党政権はこれは民主党政権が決めたやり方だったと言う言い訳を一切していませんが、ガーガーと相手を批判しないでじんわり効果を狙うのが我が国宣伝方法です。
これだけの大問題・・不手際・国際的にも大恥をかく自体にに対して野党やマスコミが当初安倍意見の失策を見つけたと勢い込んでマスコミが報道しかけたのに、その後が何故か続かなくなって直ぐ時引っ込めてしまったのは、こう言う背景があったようです。
森元総理や武藤氏は最近就任したばかりで、今回の騒動の基礎は民主党政権時代にあって、当時のお膳立てのデタラメさが今になって実害を表して来たようです。
オリンピック国立競技場新設問題の超小型版ですが、千葉の弁護士会では今年の10月1〜2日に開催する日弁連人権大会を数年前に千葉県で引き受けて、そのころから準備を進めています。
日弁連主宰の各種大会や出張委員会は日弁連主宰なので、一定額資金が日弁連から出るものの、それ以上の費用は地元の創意工夫によることから、地元負担と言う慣例です。
この地元負担部分について担当会としての予算(政府同様に単年度会計主義のため、オリンピック同様数年前の受諾段階で正式予算に上がることはありませんが、正式には予定額)を決めないで動いていたらしく、今年度の予算に正式計上する段階になって国立競技場を小型にしたような問題が会員からの問題提起で明らかになりました。
ちなみに国家予算同様に弁護士会予算も正式予算は単年度主義の結果、人権大会は今年秋ですので、印刷その他各種実際の出費は今年の夏ころから始まるので、今年度予算として5月総会で決まる仕組みです。
5月総会に出すべき予算案が事実上確定する段階で、予算枠を数年前に事実上決めないで「これが必要だから・・」と言う項目別に積み上げて行ってホテルなどドンドン予約していた結果、今年始めころになって日弁連から来る予算が少な過ぎる(・・・毎年やっていることですから、日弁連が負担する一定の相場は予め決まっていることです)・・ホテル等の支払額に大幅に足りない→地元千葉県負担分を今年の5月総会に予算計上したことから問題が明るみに出たようです。
今更準備が進んでしまっているし・・と言うことで、問題提起があったものの、今年度予算に必要経費を計上していたのが総会で承認されて決着になっています。
国立競技場の失態が民主党政権の失態によるのと同様で、千葉県も今年度執行部の責任と言うよりは前年度、前々年度執行部が必要費の大枠を決めていなかったことが原因ですから現執行部が責任をとりようもない問題です。
千葉県弁護士会は、まだ顔の見える団体ですので問題提起だけでこれと言った議論もなくウヤムヤに終わっていますが、多分今回の教訓によって、今後大事業を行なうにはどの程度の資金が必要かのおおよその必要額を公開してから、その事業を引き受けるか、引き受けるとしてどの程度の額まで地元負担で(より豪華に?)やるかなどを予め決めて行くことになるでしょう。
今までは自分達の決めた代表なのだから、ある程度まではお任せ気分で総てまにあって来たのですが、今後会員数が増えて行くのでそうは行かなくなる時代が始まっているのでしょう。
オリンピックであれ、人権大会であれ、地元で事業を引き受けるにあたっては、本部から交付金に加える地元負担の予算枠を先に決め、各分野ごとに予算を割り振ってその枠内の計画書を出して下さいと言うように行動して行くのが合理的だと言う教訓になったと思います・・。
そのときには、4〜5ヶ月後により規模の大きなオリンピック工事費問題田舎の顔見知り同士でまあまあで運営している弁護士会みたいなことが起きているとは夢にも思っていませんでしたが、実はその大分前から内部では収拾のつかない問題に直面していたことが今になると分ります。

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