社会変化反対運動と功罪4

いろいろな反対運動・・高速道路敷設や空港建設反対運動、電子レンジやパソコンは危険だと言う主張が社会の発展に何程か寄与した事があるでしょうか。
現在で言えば、マイナンバー法反対や防犯カメラやDNAやGPSなどの利用反対が、日本で何を新たに生み出すための運動でしょうか?
このごろは何か反対するには、何でも?プライバシー侵害の主張が多くなりました。
本来反対運動は国民に身近な危険を訴える方が効果が高い筈ですが、プライバシー侵害リスクと言えばかなりの新政策に反対出来て便利ですが、それだけに被害イメージが抽象的過ぎて分り難い・・危機感がピンと来ない人の方が多いのではないでしょうか?
ベネッセ情報漏洩その他時々大型漏洩事故が起きるとマスコミでは大騒ぎですが、具体的プライバシー被害事件が起きたとは聞いたことがありません。
ベネッセ情報漏洩事件みたいなことが起きたらどうするのだ?と言う質問を良く受けますが、困るのはベネッセなど情報を盗まれた業者の方であって、漏洩された個人・顧客が困ったと言う話は聞きません。
顧客名簿が流れたとかテストの成績情報を失ったとかしょっ中報道されて関係者が陳謝していますが、それで実際に困った生徒などの具体的事例を聞きません。
困っているのはマスコミに陳謝させられている人たちでしかないような印象です。
子供を持つ母親は心配しているのに「お前は知らないからバカだ」と言われればそれまでですが、何となく、マスコミが大騒ぎ・・煽り過ぎているのではないでしょうか?
国民のプライバシー意識を育成する教育精神でやっているのかも知れませんし、マイナンバー法反対の布石として長年かけて国民意識を高めて来たたのかも知れまません。
マイナンバー法反対も不思議儀な議論で、善良な国民が何故政府に自己の口座番号が統一的に把握されるのがいけないのか不思議です。
これに先立つグリーンカード論議の頃には、脱税者や違法資金隠しの擁護のような議論が堂々とまかり通っていましたが、この10〜15年くらいでは、さすがに脱税者・違法資金隠匿保護を正面から擁護するような議論は影を潜めました。
10年くらいでは、「プライバシーが政府に把握されるのはどうの・・」と言う訳の分らない議論になっていましたが、これでは迫力がないとなったらしく、この数年では、「情報が漏れたらどうするのだ!と言う反対論が中心になっています。
しかし以前書きましたが、元々年金番号や保険番号などそれぞれ別々にあった番号を統一しようと言うだけですから、何がいけないのか不明です。
数十年かけての議論で、あちこちにに散在している預金や取引口座の名寄せをして、生活保護不正受給その他の不正を防ぐのが何故悪いのかの議論が全くありません。
この統一処理・・名寄せによってもっとも困るのは、巨額違法資金を動かしている違法集団(暴力団など)やいろんな通称名義で預金している在日系だと噂されています。
いろんな分野で反対する名目がなくなって来ると、プライバシー侵害を主張するような傾向にみえますが、思い過ごしでしょうか?
ビッグデータの活用は社会の発展に意味があることは確かですが、それもプライバシー侵害のリスクをどうするかの議論が始まっています。
戦後「昔陸軍今総評」と言うフレーズがはやりましたが、現在的に直すと「昔公害・今プライバシー・格差」と言うところでしょうか?
プライバシーと言うブランドっぽい聞き慣れない権利を宣伝されると、国民は何か有り難い権利のような気分になって、これが侵害されたら大変かもしれないと不安に思うような印象操作を狙っているのでしょうか。
きちんとしたブレーキがあってこそ、車もスピードアップ出来る側面があります。
プライバシー権の確立が大事なこととしても、それは、言わば社会発展のブレーキ役でしかなく発展的方向での貢献とは言えません。
ブレーキ役ならば車そのものの存在に反対するのは間違いですし、何回も書いているように法律専門家は、マイナンバー法や防犯カメラの運用を(暴走しないようにブレーキ役として)チェックしてより良くして行けば良いことです。
旧来の革新系政党や弁護士会の主張は、どう言う意図であったかは不明としても、客観的結果から見ると、全て新技術が生まれる都度、口実を見つけ出しては利用に制約・・ブレーキ役を果たして来たことになります。
この結果、唯一公害防止技術発展では貢献しましたが、その他分野では発展阻害団体としか見えない・・見るべき成果がなかったようにおもわれます。
早過ぎる発展・社会変化は、人心安定にマイナスであるから、発展阻止勢力の存在があってちょうど良かったと言う見方も出来ますが・・・。
再軍備反対論があったからこの程度の抑制された軍備になっていて、世界から信頼されていると言えますし、ものは考えようです。

社会変化反対運動と功罪3

当時でも高速道路利用実態は、自家用車よりはトラック中心・・物流合理化・市民生活利便性のために利用されている状態でしたから、話が合わずに結局高速道路千葉延伸反対の弁護団には加わりませんでした。
飛行機はブルジョワジーだけが使うと言う主張に関して言えば、子供の小さい頃に、家族であちこち旅行しているときに、夏休みの終わりころに千歳に向かったときには、飛行機内は出稼ぎ労働者のムレで私たちのような旅行者は私の家族を除いて誰もいませんでした。
考えてみれば、労務者にとっては夜汽車で乗り継いで帰るよりは、飛行機で早く往復した方が数日余計働けるし、その間の食費そのたを考えると安上がりだからでした。
実際私たちの旅行経験でも、時間のかかる船旅や各駅を乗り継いであちこちで宿泊しながら移動して行く旅行や寝台列車に乗って行く旅の方がお金がかかりました。
このように左翼運動家の考えている利用構造は、実態に合っていなかったのです。
今で言えばアベノミクスは、「株価上昇で潤うのは金持ちばかり」と言う決まり文句でマスコミや文化人が批判していますが、株主=資本家・搾取階層と言う19世紀型分類を後生大事にしていることによります。
今では数万円から株取引にネットで参加している・非正規労働者も参加している時代になっている現実を見ないことにしているようです。
株価上昇率は、大株主も小株主も平等・同率に効果のある公平な制度です。
株価上昇=格差拡大と言う図式で、マスコミや文化人は折に触れて批判をしていますが、多分国民は実感でこの批判は意味がないことが分っていますので、内心馬鹿にしているでしょう・・。
共謀罪反対論者の言う「近代刑法原理に反する」と言うテーマに対する疑問から出発しているこのシリーズのテーマに戻りますと、彼らは現在の実態を見ないで、あるいは現在社会の進展に反対して2世紀前の「近代社会」の原理を守ることが大好きです。
このコラムは今回の総選挙前に書いていたものですが、多分(明日朝起きてみると)選挙でその結果が出ている筈です。
なりた空港反対運動の激化によって空港開港が遅れに遅れ、開港後もああだこうだの反対ばかりでしたから、うるさ過ぎて利用が伸びず、空港へ向かう予定だった新幹線計画もなくなり(今はその予定地が北総開発鉄道と言う一般路線になって3〜4年前に漸く開通しましたが、予定より3〜40年遅れのことで、沿線に計画した千葉ニュータウン計画も遅れ過ぎて駄目になっています。
いつも書くことですが、各種新技術に欠点があればそれはそれで別に克服して行くべきで、たとえば防犯カメラのマイナス点があれば、それを克服してく、・・車には事故がつきものですが、それは信号機や歩車道区別その他安全装置で克服すべきであるし、工場や空港騒音があってもそれに対する対策を講じればいいことであって、設置そのものに反対する必要がありません。
騒音臭気対策は、対策として別にやれば良いことで、工業立地自体に反対したり禁止する必要がありません。
近代工業化の成果である大規模工業地帯の立地が、近代工業化当初には想定されていなかった公害を生み出したので、その修正運動としての公害反対運動はそれなりの成果・・公害防止技術の発展を生みました。
その点で(怪我の功名?)弁護士会は社会発展に貢献したことになり、社会的認知を受けた遺産があります。
しかし、工業化自体をやめるのではなく修正努力の結果公害技術が発達して世界先端技術国になったに過ぎません。
公害以外のあらゆる面での社会変化反対運動で、日本社会発展に資した成果が何か外にあったでしょうか?
テレビは目に悪い・子供の運動不足になる、車の普及期には運転は大変疲れるので、運転手は一定時間ごとに、休憩させるべきだと言う議論が普通でした。
私が司法試験受験時代(昭和40年代)にアルバイトしていた会社では、労組が強かったこともあって、キッチリ休憩を取っていて、運転手が運転席でスポーツ紙など見たりして休憩していましたが、本当は荷物積み降ろしを手伝った方が違った筋肉を使って疲労回復にいいのじゃないかと疑問に思って見ていました。
・・タイピストは一定時間ごとに休憩させるべき・・この遺産の結果、今でも証人尋問途中4〜50分?経過で速記官の交代があって尋問が中断します・・いま時、自分で車運転している人やパソコン操作している人が4〜50分から1時間ごとに休憩だからと言って芝生に寝転んだり漫画を読んでいる人がいるでしょうか?

社会変化反対運動と功罪2

以前紹介したことがありますが、成田空港反対・公害反対や高速道路が千葉に来るのに反対と言ういろんな運動が盛んなときに私は修習生〜弁護士になりましたが、この頃革新系政党に公然と所属している弁護士から参加を誘われたことがあります。
アメリカの原水爆実験に反対しているのに、中国やソ連の原水爆実験には反対しない・・日本より酷い中ソのモクモクたる黒煙の煙突群・・公害の状態には何も言わないで中ソの発展が素晴らしいと賞讃していたりするのに、何故日本の空港や高速道路普及だけに反対するのか、国際競争に遅れるじゃないかと言う心配をしたので疑問をぶっつけたことがあります。
今でもマスコミの報道を見ると、日本の津波による原発事故・放射能汚染が発生すると鬼のクビでもとったように大騒ぎで世界発信しますが、中国で繰り返されている核実験によるもっと酷い恒常的放射能汚染には全く触れません。
日本に比べて技術力の全く違う韓国や中国の原子力発電自体の大小の事故がしょっ中あってかなり悲惨な状態らしいですが、(新幹線事故は公衆に触れることから隠せませんが、それでもすぐに埋めようとしていたことがバレて世界の笑い物にされましたが、中国とはこういう国です。・・原発事故は極秘情報隔離された敷地内の不具合ですので、一般に出て来ません)秘匿されたままで全く報道されていません。
ただし、日本の原発津波被害後、マスコミが騒いだ結果全国の放射能データがネットで公表されるようになっていますが、この結果、マスコミが中韓の不都合を報道しなくとも、福島原発に関係のない中韓に近い日本海側の九州や山陰地方の方が放射能濃度が濃いことが一般に知られるようになっています。
以下、12月13日現在の東京都のデータと山陰地方のデータ比較を紹介しておきましょう。
(ご覧になりたい方は毎日10分ごとにネット公開していますので見て下さい)

新・全国の放射能情報一覧
各都道府県の4179地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:50 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)

東京都の計5地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:50 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.05 0.043μSv/h 東京都足立区 舎人公園 です。

鳥取県の計7地点の放射線量グラフを公開しています。
2014/12/13 12:40 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.1 0.077μSv/h 鳥取県琴浦町 赤碕ふれあい交流会館 です。
2014/12/13 12:40 時点の最新放射線量データです。(10分毎更新)
現時点の圏内最大地点は <0.1 0.06μSv/h 福岡県北九州市八幡西区 八幡総合庁舎 です。

こによると東京の0、5台に比べて山陰地方は軒並み1、0台ですから、山陰地方の方が、約2倍の濃度です。
この因果関係をマスコミは全く報じないで、柏市など東京に比べて濃度の濃いスポットがあることばかり大々的に報道しています。
北京での米国大使館敷地内での大気測定が有名ですが、国民の健康を守るためならば、日本の方が米国の核実験場よりも近くてしかも偏西風の影響を直に受けるのですから、日本も大使館内でこの程度のことをやるべきですが、こういうことを一切やっていません。
アメリカやフランスの原水爆実験には、昔から猛烈に反対して教科書にまで福竜丸の写真を乗せる熱心ぶりですが、中国の核実験の場合、日本に近くてしかも日本が風下にあって影響が大きいのに報道すらありません。
昔から、ビキニ環礁の核実験を大騒ぎしているし、教科書に写真などで強調されるので誰もが知っていると思いますが、場所的に見ると日本の数千km彼方の東南方海上・・太平洋のど真ん中)の実験ですから、・・日本に放射能が被害があると言う点で強調するならば、日本にもっと近くしかも西風(地球の自転によるジェット気流は西風です)に乗ってすぐに飛来する中国やソ連・シベリアの核実験の方が日本にとって被害が直接的ですから、こちらの方こそその都度外出注意などの警戒を呼びかけて騒ぐべきです。
(核実験そのものに意味があるのではなく、日本漁船が被害を受けたと言う意味で騒ぐならば意味が分かりますが・・・。)
中国では大変な健康被害が生じていて、ガン村と言われる地域が発生しているとのネット報道もありますが、これらは全てマイナー系や独立系のジャーナリストが自分で取材して来たものばかりであって、大手マスコミとマスコミに出たい文化人は一切触れません。
以下はネット情報の一例です。

中国ガン村の惨状 あるボランティア女性の報告 – (大紀元)
www.epochtimes.jp/jp/2011/08/html/d63430.html
【大紀元日本8月6日】マレーシア在住の中国系女性・唐米豌さんは2002年からの7 年間、中国のガン村で患者を支援するボランティア活動を続けてきた。2009年、彼女がガン村の惨状をまとめた文章を発表して以来、中国政府のブラックリストに載せられて、 …

ただし、ガン村は水質汚濁によるものと言う発表です・・核実験関連は当然のことながら軍事機密ですから、フリーのジャーナリストも放射能測定したり報道出来ません。
もしも強行すればすぐに拘束されてヤミに葬られる仕組みでしょう。
チベット民族やウイグル族の苦しみは、弱小民族居住地域に核実験場が集中にいる被害の面が大きいのですが、こうした具体的被害の点には一切触れないのがマスコミです。
40年以上前の話題に戻しますと、当時なぜ空港や高速道路に反対するかについても「飛行機や高速道路を使うのは金持ちだけで、貧乏人は騒音被害を受けるだけだ」と言う説明を聞いたことがあります。
勿論大工場反対も(中ソの場合には、資本家の搾取がないが)日本では資本家が儲けるだけ・・と言う説明でした。

社会変化反対運動と功罪1

私の場合、このコラムは全て素人的・・思いつき的意見ですので、専門的に研究している人にとっては、共謀罪が成立するとどのように証拠法を改正しても危険が残る・・これがテロ不安・社会不安防止と引き換えに出来ないほど大きなマイナス点だと言う指摘もあり得るでしょう。
専門家として反対運動している組織が、そこを具体的に主張してくれれば私のような物わかりの悪い弁護士も納得し易いですが、反対を既定方針としたスローガンばかり聞かされていると、特定政治利益実現のために運動しているのかな?と変な疑問を世間から抱かれてしまわないか心配です。
私のような「意識の低い?』低レベル会員のために、共謀罪や秘密保護法に反対運動しているグループは、反対内容に自信があるならば、具体的に噛み砕いた説明をする手間を惜しむべきではありません。
弁護士に対する説明さえ億劫がっていて、全く法律を知らない一般国民にどのように説明するつもりなのでしょうか?
素人には分らないから近代法の精神に違反すると訴えれば、「近代法」と言うブランドで目がくらんでしまうだろうと考えているのでしょうか?
防犯カメラの設置に対して、監視社会になると批判する人が多いのですが、防犯カメラの御陰でかなりの事件ですぐにも犯罪者の足取りがつかめて重宝していることも確かです。
逆に防犯カメラの分析の結果えん罪も解消されていますし、数日前に書いたように個人のビデオらしいですが、ニューヨーク市警の黒人殺害事件でも威力を発揮しています。
オレオレ(振り込め)詐欺等では、預金払い戻しの時間場所が払い戻し機のデータで特定されるようになっていて、しかも、その時間帯の監視カメラの映像があって犯人割り出しに威力を発揮しています。
モノゴトは社会の安全装置としての役割とプライバシー侵害との兼ね合いでしょうし、公道や大規模商店内での写真撮影から守られねばならないプライバシー性は、そんなに高いとは思えません。
立ち小便しているのを写されるのが恥ずかしいと言うような人・・あるいは何か後ろめたいことをしている人の秘密・プライバシー権?を保護するために防犯・社会の安全・あるいは自白偏重軽減のメリットと引き換えにするべき議論でしょうか?
防犯カメラ反対論者は、「自白に頼るな、客観証拠によれ」と主張するグループでもありますが、客観証拠になりそうな技術革新が進むと、それに反対するような政治運動に精出すのが不思議です。
大分前に在日韓国人擁護のためにか指紋押捺が犯罪者扱いだと言う反対運動がありましたが、今では銀行へ行っても指紋認証の出来る機械が普通ですし、自ら進んで指紋認証を求める時代です。
私の持っているアイパドは、指紋登録で起動しています。
政治運動には相応の利害集団が必ず背後にいるとすれば、客観証拠になりそうな新技術と言うよりもいろんな分野で技術革新があると片っ端から反対する運動家は、誰のどう言うグループの利益を求めて反対運動しているのでしょうか?
防犯カメラで言えば、人に知られたくないことばかりしている集団の利益擁護が、そんなに必要かの疑問です。
「近代刑法の精神」はまさに19世紀=「近代の精神」であって、21世紀に生きる現在の精神ではありません。
現在には近代とは違う現在の精神が生まれていることを、繰り返し書いてきましたが、この現世に生きている限り知らない筈がありません。
何か新技術が出るとすぐに反対するには、近代刑法の原理に反すると言うお題目でなく、何故反対するのか説明が必要でしょう。
近代工業の発達に労働現場が失われると言って、反対したラッダイト運動が知られていますが、何で反対集団は特定犯罪集団の応援をしているのではなく、自分たちが近代刑法しか知らないから、現在技術を取り入れて新しい法理論が出来るのは困るのでしょうか?
(私などはもう歳ですから、その仲間かも知れませんが・・・私は自分がついて行けないからと反対するつもりはありません。)
現在のことなら国民皆が、平等に経験して知っていますが、水戸黄門の印籠をかざすように「近代法の原理・精神に反する・・これがブランドだ」と強調すれば、(お前ら知らないだろう!と)優位に立てるからでしょうか?

失政隠し(政敵粛清)の功罪2

中国の人件費上昇によって元々バングラデッシュやベトナムその他に輸出基地が移転し始めている打撃が大きいのですが、食品輸出工場の非衛生報道は、この動きに拍車をかけるものになっています。
食品工場だけでも膨大な人口が働いていたでしょうから、政府が何か外資たたきをやるたびに底辺層の大量失業拡大が続き、日々の生活に苦しむ大量の人々が輩出されて行きます。
(後述のように短期的には)大きな失政と言うべきでしょう。
政府が外資たたきをやればやるほど失業が増えるので、(レアアースの禁輸でも中国のレアアース生産が激減して業界は不況に苦しみました)失政の都度不満のガス抜きをどうするかに悩んでいるのが共産党政府で、愛国心に火をつけて誤摩化そうとして反日や領土拡張政策をやってみてもうまく行きませんでした。
今度は反日教育強化を続ける外にさしあたり巨額汚職摘発による政敵粛清で、不満のガス抜き政策に転じて1石2鳥のつもりのようです。
しかし、政敵粛清を兼ねた巨額賄賂摘発は、非主流幹部だけを狙い撃ち摘発しているのですから、国民から見れば却って共産党幹部や高官が私腹を肥やしていると言う世間の噂や風聞を政府自身が承認した・・自白した結果になります。
過去の権力者が私腹を肥やしていたと政府自身が認めた場合「現権力者・習近平とその周辺の方がもっと(遠慮なく)私腹を肥やしているだろう」と言う権力層・大幹部への不満がもっと確信的になります。
アメリカ企業の子会社だけ抜き取って非衛生ぶりを大々的に報道すれば、その他の食品工場も似たようなもの・・外資の厳重検査のない民族系工場はもっと酷いだろうと日本の消費者が中国からの輸入品全部を敬遠するようになるのと同じ・・政敵粛正のために汚職を上げれば、粛清されない政府幹部はもっと大きな汚職しているだろうと国民が思うようになるのが予め理解出来ていないのです。
中国の政策はレアアース禁輸や、反日暴動や対外軍事膨張政策でも目先相手が驚くので、全て成功したつもりでいるようです。
すべて 自分に正義がないのに相手を非難すれば、間接的に自分にそのマイナス効果が戻って来ますが、間接的効果は国民レベルが低いと理解し難いようです。
ヤクザが相手を脅かして「自分の怖さを思い知ったか!」とタンカを切って意気揚々と帰ったつもりでも、その後町の嫌われ者になるからトータルで損していることが分らないのと同じです。
中国の政策は戦略的で?外資狙い撃ちや政敵を狙い撃ちなど戦略が見え透いているので分りよい・・その場の効果は、劇的です・・今回の米系の食品工場は、マスコミ大報道があれば即廃業でしょう。
レアアース禁輸や反日暴動・外資狙い撃ちや汚職摘発は、その効果が長い目で見れば自分に戻って来るのが国民も政府も気が付かない・・分る能力がないようです。
最近の食品工場事件では、僅か数日で中国製品オールシャットアウト→民族系工場の輸出に波及効果が出ますが、この程度のことも予め理解できない政府と言う評価が一般的と思われます。
ただ社会の進歩と言うのは複雑なもので、短期と長期では効果が違ってきます。
レアアース禁輸は日本を苦しめる目的に失敗し、短期的には中国のレアアース生産売上が減ってしまいましたが、日本の省資源技術開発によって資源が短期間で浪費し尽くされずに長期的に輸出資源として利用できる・・息長く儲けられるようになった利益の方が大きかったかも知れません。
食品工場の衛生問題の摘発は短期的には自国企業にもマイナス影響が及びますが、その教訓で国内の衛生観念の向上に何がしかの効力が生じて長い目で見れば中国の民度底上げに繋がるでしょう。
政敵粛正目的とは言え、政敵が超巨額の私腹を肥やしていたと公開すれば、将来的に権力者自身の私腹肥やしは抑制されて行くことになるでしょう。
このように社会事象は長期的に見れば別の効能もあって一概に言えませんから、私が一方的に書いている面(別の見方もあるなと思いながら一々そこに触れないで書いています・・)を読者は自分の視点で別に考えていただく必要があります。
自己保身と私益拡大中心の中国政府権力者が、自分の任期を越える数十年先の社会利益を考えて「ここ数年は大損しても良い」と言う政治をしているとは思えないので、このコラムでは政府の短期的利益目的の視点に合わせてその所期した効果が出ているのか?逆ではないかと言う視点でその功罪を書いています。

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