どうせ緊急避難するならば、予め用地取得していた別荘準備形式による集団避難の方が、(例えばコンビニや介護関連など生活利便施設まで用意すれば)現状の体育館や校舎に緊急避難しているよりは生活が楽ですが、一定期間以上・・例えば半年も1年も仕事がないまま生活が出来ません。
事前に避難場所を自治体が用意していても、長期化すると仕事がない問題・収入不安を解決出来ません。
避難しなければならないような放射能汚染が始まれば、3ヶ月や半年では戻れないのが普通でしょう。
コンビニや介護事業所や病院・美容院など住民の避難に一緒にくっついて行った店は当面商売になりますが、基幹産業がついて行けないと客になるべき人たちの収入が続きません。
職場がついて来なくとも良いのは年金や生活保護者や子供のみであって、その他の元気な人ほど困ってしまいます。
避難用地事前取得が役に立つのは、年金生活者等とその関係者だけになります。
(元気な人にとっては再就職先を探すまでの間の緊急避難先として体育館よりはマシと言うだけです)
年金等生活者等だけのための事業所としては、介護や医療関連施設はそのまま移転が必要ですが、その他の理容・美容・食料・生活雑貨関係の需要・雇用は、こうした顧客向けだけに縮小することになります。
元々過疎地ではこの傾向にあったのでそのまま過疎化が進んでいれば均衡していたのですが、原発立地によってなまじ雇用が増えたことによって、元気な人の転出が減少し、14日に紹介したように大熊町の例で言えば人口が逆に1、5倍に増えていたので、長期避難になると減らないで増えた差額分の雇用が問題になってきます。
これに対して予めの本格移転は転居先での就職が前提ですから、原発事故が起きても失業の危険・心配がないどころか、放射能の届かない遠距離で就職してしまった人は福島原発の危険に対する一切の不安がなくなり、完全な不安解消策になります。
不安解消の究極の形は生活基盤全部(別荘形式ではなく)を放射能汚染のらち外に移転してしまうことでしょう。
牧畜や工場・その他の産業では、自治体の用意した用地内に避難したのでは事業継続・維持出来ない事業者の方が多いでしょう。
避難に馴染まない業種(及びそこで働いている人)は自営のために予め移転しておく方が合理的です。
仮に放射能漏れ事故発生までに町民の2〜3割が完全転出してしまい、半分が別荘を建てていてセカンドライフを楽しんでいる時点で、今度のような避難騒ぎが起きたとしたらどうでしょう。
出て行ってしまった人にとっては被害ゼロですから、この割合が大きければ大きいほど(域内人口が少なければ少ないほど)原発被害が少なくて済みます。
元々原発立地は最も人口の少ないところを選んで計画していたことから言えば、原発立地による地域振興策を提案したり、その結果人口が増えたと喜んでいる政府・自治体やマスコミは論理矛盾を犯しているのです。
こうして徐々に完全離村であれ村の用意した用地内の別荘であれ事実上の移転が危機の具体化の前に進んでいれば、イザと言うときの緊急避難者が減少して被害が少なく自治体の対応が楽になります。
大熊町のように原発立地後1、5倍に人口が増やしてからの放射能被害では、損害が1、5倍に拡大することになりますから、政府や自治体による地元振興策・・人口増加政策は誤りで、(人口が増えたのを自慢している場合ではありません)むしろ出て行くのを奨励して人口縮小を図るのが不安対策としては合理的です。
比喩として洪水対策のために広大な遊水池を設定した場合を例にして考えてみましょう。
遊水池予定地内の住民に対して、遊水池造成工事時期に巨額の不安・危険手当を払う外に完成後は堤防内にいる住民に対して「もしもの場合水浸しになる・危険だ」からと言って危険手当・原発交付金を毎年払っていたのと似ています。
自治体は「ここは補助金が一杯貰えて良いところだ」と宣伝して遊水池予定地・・堤防内の住民をどんどん増やす・その土地が発展したと自慢するのは馬鹿げていると言えませんか?
危険なら避難・移転を奨励して少しでも人口を減らす方向へ努力すべきで、そのための費用や補償金を払うべきであって、居座る人を増やすための補償金では意味がありません。