私たち子供の頃にはアメリカの情報操作による教育時代でしたので、日本は軍事力で中国進出を果たした・銃剣で脅して進出したかのように学びました。
でもよく考えてみると、その当時日本はまだ五大国の最末席であって日本よりも先に中国に進出していた米英仏等に軍事力では足下にも及ばない実力でしたし、彼らを非力な日本が軍事力で押しのけて中国市場を寡占出来るような実力はあり得なかったことが分ります。
第一次世界大戦で欧州が疲弊して新規投入資金が不足していたことと、日本の工業力がアップして、かなりの分野で同等の工業製品を作れるようになったので、中国市場での日本との輸出競争で欧米が負け始めたことによります。
第一には距離の近さのメリットですし、第二には、同じアジア人同士であることから体格寸法その他日本製の方が使い勝手が良かったことが大きいでしょう。
これだけ世界が狭くなった今でもインポートもの洋服を買えば分りますが、袖が長くて日本人には調整しないと着られない不便さがあります・・。
欧米では現地仕様に合わす心構えが今でもないのですから、白人優越意識の強かった戦前の横柄な欧米の態度を想起すれば、現地人体格に併せて作る気持ちなどは全くなかったでしょうから、機械その他の規格が大き過ぎてアジア人には操作し難かったのです。
きめ細かな対応をする日本製に低級品から順に中国市場で負けるようになったのは当然です。
当時はまだ日本製は軽工業品・消費材中心でしたので、銃剣で脅して日用品を売りつけるなど考えられないことを学校で習ったことになります。
欧米諸国は世界中が植民地として占領し尽くされた後に最後に残った中国と言う巨大市場争奪戦で日本に負け始めたことを以て、(日本が戦争に負けてしまったことを良いことに)日本が軍事力による脅迫で進出支配していたと実態を枉げて宣伝していたことになります。
当時上海であれ、どこでも列強が自国居留民保護のためと称してに自国軍隊を駐屯していたことは日本同様であって、日本軍はその真似をしていたに過ぎず日本軍だけが駐屯していたのではありません。
今回も昨年からの欧州経済危機によって、欧米資本が潮を引くように引き上げる中で、日本だけが逆張りで資金投資を続けていました。
ちょうど第一次世界大戦後の状況と資本状況が同じです。
今回の反日事件を契機にして日中の経済比率を見直して見ると既に日中相互で約3割に上っているのですが、これは諸外国から見れば(・・小国同士ならば別ですが世界第2位第3の経済大国の過剰な結びつきは危険に思われるでしょう)緊密過ぎる関係になっています。
これ以上更に日本だけが投資を続けるのでは、日本のプレゼンスが中国で大きくなり過ぎるマイナスがあります。
中国人にとってもあまりにも日本の存在が大きいと面白くなくなる日が、やがてやってきます。
個人の交際でもあまり親密になり過ぎると気がつかないうちに相手に重たく思われてしまうリスクが生じるのと同じで、程々の付き合いがスマートというものです。
まして上下関係になると下の方にとっては重たく感じることが多くなります。
国家企業関係であれば、優越性のある方が嫌われます。
日中両国の経済関係比率が上がるのは、距離が近いことによる利便性の故にある程度仕方のないことですが、欧米による嫉妬への警戒だけではなく、日本自身にとっても相手が内心重たく感じ始める前に自制する・・リスク分散の視点が必要です。
これまで日本はアメリカ依存度を減らすために東南アジア製品等による迂回輸出に精出して来たのですが、対中国関係でも同じ配慮が必要な時代が来ています。
現在、対韓国貿易でトヨタがアメリカ製の車輸出を始めましたが、スマホでも分るように微細な部品のシェアーを高める工夫などで商品名から日本色を消して行く努力があちこちの分野、国で必要となってきます。
今回の反日暴動に続く不買運動はあまりにも日本の存在が中国で大きくなり過ぎない内にリスク管理の必要性を予告してくれた天啓と見るべきかも知れません。
ちなみにトヨタは中国で20%の占有率が7〜8%に下がったというのですが、(トヨタ1社で20%というのですから日本車は大変な比率だったことが分ります)トヨタにとっては中国生産の比率が今のところ小さいので、トヨタは世界全体では今年は史上最高益になると発表しています。
分散投資の重要性を教えてくれる数字です。