外人投資家の売り攻勢の場合、結果的に外人が保有していた国債を円紙幣に変えるだけのことでしかなく、この場合円をドルに換えるでしょうから(日本の国際収支赤字継続→資金不足の場合しかこう言う事態にならないので)結果的に円が下がる循環となります。
外人投資家による国債売り浴びせがあってもその効果は円下落に行き着く・・円の投機売りとほぼ同じ効果に帰します。
国債の投機売りが発生するときには円相場の大幅下落が予想されるときしかないことですから、投機筋にとっては国債で投機売買するよりは為替の投機売買を仕掛ける方が簡単でしょう。
このようにみて行くと以前から書いているところですが、国際収支の黒字を継続している限りいつも資金余剰ですから円安に振れる心配がない・・ひいては国債の暴落・投機売り圧力もあり得ないことが分ります。
ところで、国債の売り浴びせは満期前に限定されますから、期中の債券相場が下落すれば、下がり切るのを待って外資に投資していた日本人が(こういうときには円がジリジリとあるいは急激に下げているので、外資に投資していた人はドル高などでそれだけでも大もうけしています)外債を売って相場の下がった日本国債を買い受ければ満期に高利回りで回収出来るので大もうけ出来ます。
実際には、日本人でももっと下がると思って簡単に買いを入れてくれない弊害がありますが・・。
この原理を利用するために日本人が日本国債ばかり買わないで外資にも振り向けておくべきだ・・そうすれば危機対応資金・安全弁にもなるという意見を02/25/09「国債引き受け先の分散12」までのコラムで書きました。
そのときには円が暴落していますが、下がった相場×下がった円で受け取る外国人保有者が大損するだけで、売り浴びせに参加しない・下がり切ったところで上がったドルを円に換金して買う愛国心の強い日本人は何の損もないでしょう。
ちなみに、国際収支赤字の連続→円安になれば、日本人全体の保有資産(殆どが円建てです)がドル表示で目減りしますので大損となります。
マスコミは何故か円安期待論(ばかりの紹介)ですが、外貨建債券をかなり持っている人でさえも自宅・各種会員権を含めて9割方以上の資産は国内にあるのが普通・円建てですから、円安になって得する人は皆無に近い・・大損する結果となります。
日本人のための日本経済について心配すべきは円の下落・・暴落を防ぐこと・・・貿易黒字→経常収支黒字をどうやって長期的に維持するかの問題です。
国際収支が黒字である限り社会保障費等を寄付や国債で賄うか税で賄うかの問題は,国民が心配するべきほどの問題ではありません。
逆に国債収支が長期的に赤字連続であれば、100%税で賄っていても日本経済は立ち行かなくなります。
国民の生活水準をどの辺におくかは,国際収支トントンを基準に考えるべきであって,これを無視して税で取りさえすればいくら生活保障を引き上げても良いとはなりません。
財政赤字かどうかはコップの中の嵐同様で、国際収支赤字になるか黒字になるかには関係がありません。
一家で言えば息子や娘から生活費として月額各5万円強制的に徴収する分を徴収しないで貸してくれと言って受け取った合計10万円と親の収入30万円の合計40万円で生活している場合、その家計の健全性は、一家の総収入と総支出にかかっていて合計支出40万円以内ならば健全ですし、40万円を超えて50万円ならば赤字です。
子供に対する同額の強制徴収(税)に切り替えても、毎月50万円の支出のままだと赤字の累積になってその内に危機が来る点は同じです。
現在の財政赤字を心配する論議は,子供達から強制徴収するか、借りたことにして生活費を出させるかのコップ内の議論に過ぎず日本経済の健全性には何の関係もない議論です。