都民ファースト・希望の党の実態2(内容空疎)

独裁・恐怖政治の場合、議員は国会で多数を握るための将棋の駒でしかない・・議員レベル無視で数さえ揃えばいいことになりますが、そこまで力を蓄えるにはまずは政治力・・幹部〜中堅〜末端支持者の養成が必要です。
民進党の場合には、蓮舫代表が原発方針を発表したものの党内の反発で機関決定に持ち込めなかったように党の機関がそれなりの役割を果たしていましたが、希望の党の場合、文字どおり個人商店の域を出ないまま国政担当になろうとするのですから無茶すぎました。
民主党の場合機関決定・相応の衆議をあつめていても政策そのものが現実離れしていた点が命とりになりましたが、小池氏の場合、党内議論をするほどの人材が揃わない点もあるでしょうが・個人の思いつき(学者・ブレーンの意見を参考にしていても現場に基礎のある政治家の意見集約とは現実性が違います)政見ですから民主党政権成立時の公約よりもさらに幼稚すぎる印象でした。
小池氏は投開票日にパリの国際会議に出ましたが、そこでも発言は抽象論ばかりだったと言う・・最初に登壇したパリ女性市長の発言との対比が11月8日のmsnに出ています。
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/

パリで見た「首相になりたい女」小池百合子氏の「限界」
文春オンライン 広岡 裕児7 時間前
・・・聞き手のケネディ前駐日大使は、前夜の選挙で野党第2党になったなど小池氏の「ナショナル・ポリティシャン」の役割も紹介しつつ「今日は時間もないのでメイヤー(市長)としての共通の問題にフォーカスしたい」と小池氏を紹介する。そして小池氏の登場である。
「東京は世界の中の大都市の1つです。2020年にはオリンピック・パラリンピックを開催し、2024年にはパリへバトンタッチします。(中略)東京がリーダーシップをとり、これからも世界中の方々に色々な知恵、テクノロジー、マインドセットの3つを提供したいと思っています」。出だしは快調だ。
だが、「あなたはC40ミーティングに来ていますが、東京は新しいテロリズムやパンデミックという問題にどう取り組むのでしょうか」という質問に対し「日本は島国なので……」といった建前論ばかり。
小池氏は、日本人記者向けに日本語で話すので、だんだん小池氏の遊説を聞いているような気分になってくる。ケネディ氏が「女性がもっとリーダーシップをとれるポジションに就かなければならない」と述べたときには、待ってましたとばかり、「日本の女性の活躍ランキングは、世界経済フォーラムで、144か国中何位だと思いますか?」とケネディ氏に逆質問。ケネディ氏がモゴモゴと答えた後、すかざず「111位です!」と言い放ったときには、まさに選挙カーから聴衆に向かって話す姿そのものだった。
この流れの中で、「都知事に当選してガラスの天井を1つ破った。都議選でもパーフェクトな戦いをしてガラスの天井を破ったかなと思ったけど、今回の総選挙で鉄の天井があるということを改めて知った」という「鉄の天井」発言が飛び出したのだった。
対照的に具体的な発言をしていたのは、その直前に登場したパリのアンヌ・イダルゴ市長(現・C40議長)。市長たるもの「『複雑な問題だ』『明日はよくなる』で終わってはならない。すぐ市民から要求が出ます。それに答えなければならない」と語り、小池氏がまさに悪い見本のようだった。イダルゴ市長はこの場でも、また記者会見でも2024年の五輪にこだわらず、インフラ整備まで含めた総合的で持続的な具体策・ビジョンを語っていた。」

物分かりの悪い私には見出し通りの結論.評価になるのか上記記事だけではただちにはピンときませんので、こんな記事評価が出るようになっていると言う程度の紹介ですが、ムードだけを日本メデイアが煽ってきた問題点がここに出ていますし、私が思っていたよりフランス国民の政治家選択眼が高いことがわかりました。
この裏返しで、日本に対する評価・・こんなムードレベルの意見しか国際会議で言えない人が都知事になれる程度の国か?と言う大恥をかくために行ったような印象でしたが、一方で会議直前に選挙結果が出ていたので、この国際会議参加者も日本民度を単純評価するにはためらったでしょう。
日本国民が「メデイアの作り出す風」に惑わされなかった10月22日の選挙結果によって、徳俵で踏みとどまった・国際的マイナス評価を若干修正させた面があります。
このほかに、以下は10月18日の記事ですから投票日前ですが、風だけ頼りに組織・人材充実をおろそかにしている小池氏と地道に自分の組織を作り上げてきた仏マクロン大統領との比較記事が出ていますのでこれを紹介します。
http://bunshun.jp/articles/-/4554?utm_source=msn.com&utm_medium=referral&utm_campaign=relatedLink

小池百合子が仏マリーヌ・ル・ペンとそっくりな理由とは?
genre : ニュース, 政治, 国際広岡 裕児2017/10/18
小池都知事とマクロン大統領は正反対
・・・・小池氏は、単に「風」が吹いて勝ってきただけだ。そして、東京都議会選挙では公明党に乗っかり、今回の総選挙では民進党を乗っ取った。思わせぶりと権謀術数で政界を揺さぶっている。マクロン氏は、たしかに既成政党には頼らなかったが、自分の支持母体「前進!」をしっかり作っていた。美辞麗句に踊らされるのではなく熟慮して彼の思想・政策に共鳴した支持者の地道な草の根運動が花開き、さまざまな幸運が積み重なったため道が開けた。けっして「風」が吹いたわけではない。ちなみに、マクロン氏はわずか半年で、20万人の組織を作りあげたが、マスコミを利用したわけではない。ITと現実をうまく組み合わせ、人々の自主性を尊重した成果だ。マクロン氏は我が道をゆく。左の社会党に所属する政治家も右の共和党の政治家も彼らの方から進んでマクロン氏の運動に参加してきた。マクロン氏は労働法改革などの長年温めていた政策を行なうために大統領選に出馬した。そして、支持率の低下など気にせずに、それこそ、大統領就任の当日から実行に移している。
むしろ、小池氏に「そっくり」な政治家は別にいる。
ル・ペン氏は「国政に右派も左派もない、フランス国民を結集する」というスローガンを打ち立てて大統領選に臨んでいたが、彼女の軸足ははっきりと右、「国家主義」である。小池氏も、社会民主主義を「排除」したがっている「右」の女性政治家だ。
まず、この点で小池百合子はマリーヌ・ル・ペンに「そっくり」である。
2人が「そっくり」な理由はそれ以外の部分にある。
第一には、民衆の不満をうまくくみ取り、聴衆を魅了する話術で、人々に熟考させることなく、「理解と納得」を得て「風」をつくる術に長けているという点だ。
・・私は「文藝春秋」(2017年5月号)で、ル・ペン氏へのインタビューを行った。奇しくも同号に、小池百合子都知事が「石原慎太郎の嘘、豊洲移転の判断」という手記を寄せている。これを読んで、「2人は似ている」と思っていた。小池氏の手記は、「文藝春秋」(2017年4月号)に掲載された石原元都知事の手記への反論である。じつに、歯切れがよく、気持ちいい。言っていることはいかにもまっとうである。
小池氏とル・ペン氏はともに、女性が立ち向かっていくというモチーフを活用していた。小池氏が衆議院解散前に立ち上げた「希望の党」は、小池氏を彷彿とさせるミント・グリーンのツーピースを着た後ろ姿の女性が、ベテラン議員らしき男性たちからの罵声をはねのけ、「さらば、しがらみ政治」と声高にマウンドへ上がっていくようなイメージの動画を公開中だ。ル・ペン氏は、「私は女だ」「母親だ」と強調したうえで、行動し、ヨットを操縦して海の上に出て行く姿を、プロモーションビデオのように仕上げていた。
「フランスを立て直す」と「日本をリセット」が重なって見える
こうして2人とも、あっという間に「風」を巻き起こしていった。
ところが、政策を「実行する」ことについては、2人ともに、疑問符を付けざるを得ない。
第二のポイントはここだ。
小池氏は、豊洲移転でもオリンピック会場でも一旦ストップはするものの、その後がなかった。べつに「安心」についても「安全」についてもさしたる変化があったわけではないのに豊洲移転を認め、さらに財政的な裏付けも曖昧なままそのあと築地に戻るという奇妙な案を出した。オリンピック会場も結局、元の木阿弥になった。 また、小池氏は、「希望の党」の結党会見の冒頭あいさつで「日本をリセットするためにこの『希望の党』を立ち上げる。しがらみがないからリセットできる。今、この時期に日本をリセットしなければ、国際間競争、日本の安全保障を十分に守りきれない」などと語っていたが、衆院選がはじまっても、小池氏は漠然とした「希望」を謳い、政権批判を繰り返すだけで具体的な政策は一向に見えてこない。「ワイズスペンディング」で1兆円はすぐ出てくる、などとも言っているが、民主党が政権を取った時の「埋蔵金」とどう違うのか、よくわからない。」

今朝の日経新聞39pには、豊洲移転を昨年6月に延期決定した損失補償額として知事が議会に42億円を予算要求したことが出ていてこの結果延期による合計損失が約90億円になると書いています。
これは都の支出増だけのことですから、関連道路整備・・各種関連工事の遅れによる社会活動の停滞を総合すると莫大な(都民だけでなく)国民の損害です。
本来ならば、知事のチェック機関たると議会がこの損失に見合う延期メリットが何であったのか?など厳しい質問をすべきでしょうが、知事与党多数を頼りに議論なしに乗り切るつもりでしょうか?
「都民ファースト」で当選したので「国全体の迷惑など一切御構い無し」という意味かもしれませんが、僻地離島の港湾や道路整備など地元でもめた結果遅れても地元島民(不利益は自分にくる)への影響だけでしょうが、首都の場合、5輪会場問題一つ取っても多くの県を巻き込んだ騒ぎになったように国家全体への影響の大きい(彼女が都知事としてパリで恥をかくのは日本人の恥です)政策が多いので「よそへの影響は気にしません」というのでは首都の知事として失格ではないでしょうか?

資金環流2とルール変更リスク1

今後日本の対米直接投資が進み他方でアメリカの対外直接投資が日本より少なくなって来ると、多分資本自由化に関するルール変更を仕掛けて来るでしょう。
そこまで行かなくとも・全世界ではアメリカの投資残の方がまだ大きくても、日米だけの所得収支・・日本の対米投資の方が大きくなって日本への収益送金の方が大きくなった場合に直ぐに問題化するでしょう。
トヨタなどが儲けてもその儲けを日本へ送金しないで更に新工場建設など再投資している限り問題化しませんが・・日本も苦しくなって本国送金が増えた場合の話です。
大分前に日本は今後物造り→貿易黒字で稼ぐのではなく、貿易赤字を所得収支で穴埋めする国になって行くとその頃にはルール変更リスクがあることを少し書いたことがあります。
今のところ、日本は貿易収支も黒字ですから、所得収支黒字分は再投資=資本収支が赤字になる仕組みですから、資本還流の方が多ければアメリカは不満がないでしょう。
この何年か国際的テーマになっているタクスヘブン騒動や、法人税減税競争はこのリスクの始まりを表しています。
進出されている国が現地企業利益の本社吸い上げを権力的に妨害をしていませんが、(中国が外貨準備減少に直面して日本企業への送金妨害していると言われていますが・・)アメリカが送金する側に回るとどうなるか分りません。
現在進出されている多くの国は新興国でもと被植民地国が多い・・ナセル中佐によるスエズ運河接収のような力を持っていないのですが、税制その他のソフト面の理由で結果的に現地進出先での儲けが現地滞留している・・本国送金障壁になっている点は同じです。
今後地産地消と言うかけ声・・「地元での儲けは地元で使おう・・還元しましょう」と言う声が高まりこそすれ、縮小することはないでしょう。
アメリカが折角海外で儲けた資金が進出先に滞留したままになっている点を、アメリカで問題にしていることが時おりニュースに出ています。
昨日アメリカの対外投資残が突出して大きいことを紹介しましたが、投資しっぱなしで儲けが送金されないままでは、絵に描いた餅です。
本国送金時に法人税がかかる・・結果、アメリカの世界企業が、儲けの本国送金を先送りする・・儲けを出先現地国で再投資を繰り返す運用になっているらしい報道です。
日本の租税条約や税制を見ても(私の能力では)そう言う条文を探し切れないので引用出来ませんが、(日本ではやっていないアメリカだけの税制かも知れません)もしも条約ではなくアメリカ国内法の問題であれば、不都合ならば勝手に法律改正すれば良いので国際問題化する必要がありません。
これをしないでアメリカが困っている理由が分りません。
ブッシュ政権のときだったかに、期間限定で(例えば200X年までに)国内送金すれば、この期間だけ免税または減税すると言う法律で還流を図って一時的にかなりの資金環流があったと言われています。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/09/eu-39.php
米アップルは、アイルランドから受けている税制優遇措置が欧州連合(EU)から違法とされ、追徴税の支払いを求められた。この問題の副次的影響の1つとして、米企業が海外に滞留させている利益を本国に戻す動きが促進されるならば、ドルにとっては一方的なプラス材料になるだろう。
米企業の海外留保利益は、推定で2兆1000億ドルに上る。そして大統領選を争う共和党候補ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏はいずれも、こうした利益の還流を促す措置を打ち出すと公約している。
2005年には当時のジョージ・ブッシュ政権が制定した本国投資法で資金還流への適用税率が大きく引き下げられたため、約3000億ドルの海外留保利益が米国に戻った。この間、資金還流がどの程度為替レートに影響したかについて議論はあるものの、ドルはユーロで10%程度、対円で15%それぞれ上昇した。」
アメリカの税制については、以下の解説が見つかりました。
アメリカの条文に直截当たる能力が私にはありませんので、一応名の知られたプロの解説ですから、正しいものとしてお読み下さい。
https://tax.tkfd.or.jp/?post_type=article&p=190
日付:2017/01/24
森信茂樹 東京財団上席研究員/税・社会保障調査会座長
「米国は、全世界所得課税方式をとっており、海外での税引き後利益を配当として米国に還流させると、米国税率との差額を追加的に米国で課税される。このため企業は、米国に還流せず海外の低税率国・タックスヘイブンに利益を留保するという行動に出る。
具体例を見てみよう。昨年末に大きな問題となったのは、アイルランドがアップルに対してほとんど税金を払わなくてよいスキームを用意していたことである。アップルの実質的な法人税税負担率は、2003年に1%、2014年には0.005%に低下しているという。
これに対しわが国を含む多くの先進国は、「国外所得免除方式」をとっており、子会社が海外で稼ぎその国で税を支払えば、配当としてわが国に還流させても非課税としている。 – See more at: https://tax.tkfd.or.jp/?post_type=article&p=190#sthash.Y1qfGmMd.dpuf」
以上によれば、アメリカだけが現地よりアメリカの法人税率が高い場合に、アメリカではその差額を払わせる仕組みになっていることが分ります。
抗すれば、法人税の安い国に逃がしても何にもならないだろう・・と言う小手先の智恵ですが、そうすると資本家は本国へ儲けを持ち帰れらなくなってしまったジレンマです。
この法制度のために資金環流が進まない・・1つには、法人税を下げればそう言う懸念がなくなるので、法人税減税論が解決すべき政治テーマになります。
ブッシュ政権のときの例によれば、法人税の差額を取るのをやめれば解決する・あるいは法人税を新興国同様に低くする競争に参加すれば済むことですが、それをしたくないから相手国への滞留を問題視していることが分ります。
資本や技術のない国は土地を安く提供したり固定資産税を一定期間免除するなど税制面で優遇することによって資本や技術を導入するのが普通ですが、進出企業が儲けた金を権力で没収出来ない代わりに同じく法人税下げで対抗する・・そうすれば先進国資本家は儲けを本国へ持ち帰らずその国での再投資資金に使ってくれます。
腕力で技術者を拉致したり武力で接収する必要のないソフトなやり方です。
法人税下げ競争は、アップル本社誘致のためにアイルランドが無茶安くしていた上記の例を見れば、貿易に関する為替引き下げ競争を資本争奪競争に応用したような・・変形版になります。
タクスヘイブンが何故成り立つかと言えば、どうせ何も来ない寒村よりは設立登記手続その他複雑な帳簿作成事務作業が増える(アップル本社の文書作成コストは半端ではない筈)だけでも、その土地では大きな収入になると言われています。
別にダンピングではない・・ただ見たいな田舎の土地でただみたいなコストであれば・・不当な競争とも言えません。
資金や技術はコストの少ない方に集まる原理をアメリカや先進国が腕力で変えようとするのは無理があります。
国際的法人税減税競争をここで書くつもりがありませんのでこの程度にします。

対外資産の内容(日米比較)1

May 7, 2015,「主要国の金利差と国力差」に書きましたが、ある国の金利水準こそがその国の国際的地位を如実に表す指標です。
この低金利時代に中国が基準金利・4〜5%の高金利を維持せざるを得ないどころか更に金融引き締めるしかなくなったのは、(偉そうなことを言っていても)資金の海外流出が怖いからです。
高金利国はそれに比例した国力の弱さを表しています。
企業で言えば信用力に比例して有利な(低金利)資金調達が出来ますし、信用・・体力がないと他所よりも高金利でも借りるしかありません。
今のところアメリカの金利政策は日本を除く世界中に直接影響しますが、金あまりの日本には全く利きません。
アメリカ・トランプ氏はこれが口惜しい・・自分の方が金利を先に上げると経済論理的には日本は対米貿易黒字国なのに円がもっと安くなってしまっても平然としている→アメリカの貿易赤字が逆に膨らんでしまうのが口惜しいところです。
日本はアメリカ現地工場進出・投資を今後更に促進し黒字分を帳消しにすると言うのが戦略らしいですが、それではアメリカの雇用を守れても日本資本に支配されるばかりで本音では面白い筈がありません。
5月7日の日経新聞朝刊では、日系クルマメーカーのアメリカ国内生産台数が400万台に迫る勢いと出ています。
ところで、いろんなきれいごとを言っても外資に支配されていたい国はありません。
アメリカの本音は・・自分が勝ちたいと言う結果重視が基本です。
スポーツでも顕著でしたが・・日本が勝ち進むと次々とルールを変えることの繰り返しでしたが、挑戦者が日本だけではなくアジア全体のレベルが上がって来たのでこのやり方に無理が来て最近卒業しました。
国力差についてはまだ挑戦者が日本に限られていたので、自分が一強のときには自由競争を主張していましたが、競争に負け始めると何かと理由を付けてはスーパー301条のような法律を作っては日本に対して輸出自主規制を強制しました。
最近では挑戦者が日本だけではなくなって来たので、人種規制・・アラブ系入国禁止を主張したり何かと自分勝手な規制・保護主義に走ります。
今回のイタリアサミットでは、自由貿易の旗印を共同宣言出来ないほど・・アメリカの保護主義が露骨に主張されていました。
アメリカは、自分が資本進出するばかりのときには資本自由化を強調していましたが、今後日本企業に進出されるようになると面白かろう筈がありません。
ただし、今のところアメリカの方が対外債権・投資残が日本と比べて桁違いに大きいし収益構造も日本よりも桁違いに高率らしいです。
以下は、http://www.asyura2.com/11/hasan74/msg/602.htmの一部引用です。
「・・対外債権について。
米国: 2011兆円
イギリス: 945兆円
フランス: 884兆円
ドイツ: 625兆円
香港: 310兆円
中国: 265兆円
日本: 519兆円」
日本の対外資産は香港の1.6倍くらいであり、大雑把にえばイギリスの約半分、米国の4分の1である。日本は決して世界に冠たる対外資産国ではないのだ。」
ここで関心のある資本支配のテーマでは、対外資産内で直接投資残高が重要です。
日本の場合、民間部門の対外資産は、
・直接投資が、 → 『39兆円』
・株式投資が、 → 『38兆円』
・債券投資が、 → 『171兆円』
であり、・・アメリカの場合は、
・直接投資が、 → 『32900億ドル』
・株式投資が、 → 『25000億ドル』
・債券投資が、 → 『9000億ドル』
となっており債券投資が半分以上を占めている、日本とは異なり、アメリカの債券投資は、『1割未満』の水準になっている。
直接投資の比率が、日本では→『8.9%』に過ぎないのに対し、アメリカでは→『ほぼ3分の1』に達している。もちろん、株式投資の比率も投資先進国アメリカでは、『4割程度』を占めております。」
上記は出典を書いていないので、いつの統計か数字の正確性も不明ですが、参考までに上げると上記のとおりです。
債権投資・・米国財務省証券のように実際には売らせない・・イザとなればイラン禁輸のように対日・対中規制で凍結出来ますので、米国にとっては貰ったも同然の資金です。
イザとなれば、これは踏み倒せば終わりで簡単ですが、直接投資の方は、企業支配・・事実上自国民が支配企業の指導に従うしかない・・事実上の支配力を行使出来ます。
トランプ政権の副大統領ペンス氏はトヨタなど日系アメリカ工場所在地の元知事で親日家であることを期待する声が大きいですが、あまり直線的にうまく行くのはリスクがあります・・。
日本式経営・文化に現地人が同化して行く方向・・これが広がり過ぎると長期的には日系企業の集積していない地域では、反日気運が盛り上がらない保障はありません・・心すべきことです。
明治維新以降、外国資本支配を防ぐために必死になって民族企業を育成して来たのですが、中国の場合宗族優先で民族意識が元々ないので、アヘンでも何でも儲かりさえすればその手先になって売りさばく傾向がありました・・中国企業家を「買弁資本家」と歴史で習って来たところです。
これは5月24日まで書いたとおり、民族意識より宗族利益重視の性質がそうさせるのです
「買弁資本家」を検索すると意外に私の過去のコラムJanuary 13, 2012「海外投資家比率(国民の利益)1」その他が出て来ましたが、私の若い頃に仕入れた過去の知識がどのように変わっているかを他人の意見で見ておきましょう。
echon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20131129/319482/
中国社会の9階層(2)経済発展で消えた「買弁」
今月取り上げているのは『中国社会各階層分析』。中国社会を9階層に分け、それぞれについて解説した書籍である。
・・・本書で扱っている中産階級はこの記述よりもやや狭く、「資本家にはなれていないがまずまず豊かな層」程度の定義づけである。本書では、資本家は、1978年の改革開放政策の開始直後の、法や社会的ルールが未整備な状態で富を得た層の2代目という取り方をしている。それに比べ中産階級は比較的新しい階層で、自分の代で豊かになったものを指すのだという。
 それゆえ入れ替わりも激しく、中産階級層からは多くの破産者が出る一方で新しく中産階級層に入ってくるもの多い。また、他国の中産階級の人々は自分たちがこの後「資産家」になれる可能性は低いと考えているが、中国の中産階級はまだ今後自分たちも資産家になれると考えているそうである。」
しかし、この記述は1997年現在のものであるため、現在でもこのような分析が適当かどうかは再度考察すべきであろう。このように本書が最初に書かれた時点ではまだ中国社会も高度成長の初期であり(WTO加盟が2001年)、10数年後にGDP(国内総生産)で世界2位になるということを実感として予測していた人も少なかったのではないか。
・・・毛沢東の言う「買弁」は「外国人の手先となって国の利益を脅かすもの」という見方であったが、本書ではその見方は採らない。外国人の代理となって働く彼らがいたからこそ、外国資本などを受け入れ発展することができたと考えているからだ。」
・・・中国が計画経済から現在のような経済体制へと移行していく間にさまざまな業種などが消えていったが、買弁というのもそのような端境期の一種のあだ花であったのだろう」

 所有権の内容(民法390)

憲法29条では財産権・所有権の内容を法で定めると言うのですが、これを定めたのが民法です。

民法
(所有権の内容)
第二百六条  所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
(土地所有権の範囲)
第二百七条  土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。

せいぜい所有権の及ぶ範囲として、隣地との境界があるだけです。
以下の相隣関係の条文が隣地との関係での出入りを書いた条項です。

第二款 相隣関係
(隣地の使用請求)
第二百九条  土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条  他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2  池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
以下省略

法律では所有権の及ぶ外側の範囲を制限したに過ぎず、所有権の範囲内で行使出来る権利の内容までは何も書いていません・・何の制限も出来ないと言う意味です。
所有権の及ぶ範囲内では、文字通り「煮て食おうと焼いて食おう」と所有者の勝手です。
これが所有権絶対性の具体的内容です。

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