先進国技術移転を求める中韓(強制移転と米中対決)

企業にとっては儲けられそうなところに投資するという鉄則が働きます。
樹木で言えば元の木が根元から腐り始めて遠くに散らばった種子が新たな森を形成するのは良いことです。
サムスンで言えば韓国内で新鋭工場を作るよりも、日本や米国で作ればフッ化水素等や資材も自由に供給を受けられますし技術導入も容易ですし、他方需要地の中国に工場を持てば商品は売れるものの技術窃取被害どころか強取被害にあいます。
先進国であり需要地でもあるアメリカに工場を持てば、技術移転を受けられるばかりか現地需要もあり競争上有利です。
しかし、新興国企業が先進国への進出する場合には、本国生産→輸出の場合にあった低賃金による競争優位性がなくなります。
隠れ補助金や低賃金等による下駄を履かない裸の競争力が本当にあるかの実力が試されます。
日本進出の場合ほぼ同質産業構造の上に日本に比べての技術優位性もないために低賃金以外に需要面では食い込む余地がないのでサムスンなど多くは研究所設置(何を研究するのか?日本最先端技術品をいち早く取り込みあるいは業界に参加してその動向を探りいち早く自社研究にとり込む情報収集拠点?知財取り込みに励む→ほぼ産業スパイ拠点みたいな仕事かな?)が普通です。
中国は先進国の技術移転絞り込みに対抗して需要地を抱える強み・・一人当たり購買力が高い訳ではありませんが、大量人口だけが取り柄です・・で現地進出企業に対して知財等の技術移転を法制度上強制できるようにしたことが欧米を刺激し米中対決の原因になっています。
https://www.ngb.co.jp/ip_articles/detail/1642.html

2018年米中貿易摩擦の焦点、「強制的技術移転」政策とは — 「自主創新政策」摩擦への遡り
2018/12/20
・・・・米国側が一貫して具体的な論点としているのが中国政府による「強制的技術移転(Forced Technology Transfer: FTT)政策です。USTR(米通商代表部)が2018年3月に公表した通商法301条調査報告書も主要論点の一つとしてFTT政策を明記しています。(*USTRは2018年11月20日付でその後の中国対応状況などを調査した追加報告書を公表)
【Cases and Trends】 中国、政府調達規則の一部廃止 – 米国が警戒・批判する自主創新政策で中国が譲歩? (2011/08/23)
我が国では記録的に早い梅雨明けとなった6月末から7月初めにかけ、欧米のメディア(Reuter, Forbes他)を中心に、「中国が自主創新政策を一部撤回」、「中国が米国の圧力を受け、政府調達規則を緩和」といったニュースが相次いで流れました。別のメディアでは、「北京が、政府調達プロジェクトにおける、強制的知的財産移転(Mandatory IP Transfer)を廃止」(China Briefing 7/4/2011)と報じています。

廃止を訴えていた米国商工会議所、欧州商工会議所などは、中国政府の決定を歓迎しつつも、「今回の決定はあくまで中央政府レベルのもの。さらに地方政府や国有企業レベルでも、早期に同様の措置がとられることを願う」とコメントしています。

法強制を緩和→国法から地方政府条例、規則や要綱等の運用に格下げ?したという報道を見た記憶でしたが、上記によるとすでに既に7年も経過しているようですが、移転強制の実質は同じだから米国が怒り出したのでしょう。
ただし上記の通り名目上の妥協はできても実質的な技術移転強制をやめると中国は中進国の罠にはまるので、文字通り核心的利益として、中国は存亡をかけて絶対に譲れないという強硬的態度を今も崩していません。
米中協議は昨年から決裂したり部分妥協再開きしたりの繰り返しで現在に至っていて実際にはなんの進展もないことは対北朝鮮交渉と同じです。
部分妥協といっても経済制裁圧力の一部解除したり強化したりの繰り返し(中国が反撃材料として買い付けを絞っていた小麦などを買うと表明し、米国は制裁開始を先送りするなど)で肝心の知財移転強制に関する妥結が一切なく時間を空費しているだけで、結果的に中国の時間稼ぎになっています。
この1週間ほど前に再妥協・再交渉のテーブルに乗る宣言をしたばかりです。https://jp.reuters.com/article/us-china-trade-talks-2nd-day-idJPKBN1WQ2JF

2019年10月12日 / 04:38 / 5日前
米、対中関税見送り 通商協議で部分合意
今回の「第1段階」では中国による米農産品の大規模購入のほか、一部の知的財産権、為替、金融サービスの問題などについて合意。さらに米国は15日に予定していた対中制裁関税引き上げを見送る。

北朝鮮も核開発をやめるのは国や体制の存亡をかけた戦いと位置づけていて、核戦争をも辞さない態度を示しているために決裂しそうな瀬戸際まで行くといきなり「あいつはいい奴だ!などとトランプ氏が言って見たりして、突然再交渉が始まる期待を抱かせるなど後一歩の圧力が効かない交渉を続けている点は同じです。
こういう交渉態度では、北朝鮮は核とその運搬能力の保持開発こそ命綱とする国家方針に自信を持つ一方です。
ただし、対北交渉では経済制裁に対する有効な反撃をされる心配がないのでこれを一切緩めないままですから北の国民が塗炭の苦しみに遭っているのですが、李氏朝鮮以来国民などいない・人民が再貧困下にある点を一切気にしない政体ですので、国民がいくら困窮しようとも政権にとって全く痛痒を感じないようです。
韓国の場合は市場規模が小さいので、(中国のように進出したければ)技術移転しろと強制する訳に行きません。
ちなみに日本車の韓国輸出量は以下の通りです。
https://www.asahi.com/articles/ASM944V8YM94UHBI01J.html
韓国輸入自動車協会が4日発表した8月の日本車の新規登録台数は、前年同月比56・9%減の1398台だった。7月は前年同月比17・2%減だったが、下げ幅が拡大した。韓国経済の停滞から輸入車全体でも5・6%減ったが、日本車の落ち込みが目立つ。
日本はトヨタだけで年間1000万台前後製造しているというのに、韓国では日本車全部で56%減とはいえ、トヨタ、ホンダ、日産、ダイハツスズキ、日野自動車、スバル等々その他全部で月間わずか1398台では、半分になろうと1割になろうと驚かないし、韓国市場に誰も魅力を感じていないでしょう。

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