構造変化と格差13(部品高度化1)

私事ですが、最近7年ぶりに眼鏡を造り替えて昨日貰って来たところ 顔の輪郭がはっきり見えるのに驚くとともに、人並みに顔のしわが増えて皮膚のツヤが衰えているのにも気づきました。
昨日のコラム最後に書いたように、まだ若いと思っているのは自分一人であったことが客観的に明らかになったこの一日でした。
不思議なことですが、「最近風邪を引かないし健康になったな・・」と実感した途端に風邪を引くなど、健康に関する意識は何故か真逆になることが多い傾向があります。
おごった気持ちが油断を招くのか、ちょうど病の兆候が忍び寄っていてこれを本能的に感じた結果、普段気にしない健康に関心が向いて、「最近体調がいいな・・」と意識に上って来るのかも知れません。
風邪に限らず何らかの異変が出て気づく前に、風邪その他の病因が進行していることが多いものです。
とは言え、皮膚のツヤが年齢相応になっているのが分った程度で、今のところこれと言った病気もなく元気に新年を迎えました。
ここで、正月特別コラムを終わりにして昨年12月30日までの通常コラムの続きに戻ります。
2011-12-30日のコラムで炭素繊維で有名な東レを例に書きましたが、同じ業界であった倉敷の大原美術館関連で私のような素人にも有名なクラレ(倉紡)がどうなっているかをデータでみてみましょう。
同社ホームページで売上高利益率の推移をグラフでみると高度成長期は売上ばかり伸びて利益率は低下の一方で、シェアーばかり競う時代であったこと・・今の韓国や中国みたいな状況だったことが分ります。
1980年代以降現在まで売上高はほぼ横ばいでそれほど伸びていないのに、利益率はドンドン伸びて2003年度当期利益額(単位不明ですが数値だけ比較すると)が8,051に対して、2007年度(リーマンショック前)では22,412に約3倍弱増加しています。
1980年〜85年頃の売上高は2007年頃とほぼ同じですが、売上高利益額は、2007年ではほぼ倍増になっています。
過去に売上高が2倍あって利益が同じ場合、薄利多売・・多くの生産をしていたこと・・多くの雇用を吸収していたことが分り、20年以上経過して売上高がほぼ同じなのに利益率が2倍になっている場合、雇用比率が下がっていること・・製品の高度化転換・高収益化が進んでいると推定されます。
上記の例はホンの一例であってそれ以外に多くの分野で我が国は産業高度化に成功した結果、国内総生産の落ち込みもなく(バブル崩壊後も漸増していたことを既に紹介しました・・気になる方はご自分で国内総生産の推移をネットで調べてみて下さい)、国全体の貿易黒字がなお続いていたことから、(蓄積した分だけ円が上がる道理です)リーマンショック以降急激に円高が進み、これについて行けない多くの業種で淘汰が進んでいます。
ちなみに、リーマンショック、ニクソンショック・あるいはギリシャ危機などと天災のごとく言いますが、本来の経済現象の変化に合わせて生じるべき変化を政治的その他の事情で人工的に無理にせき止めていた咎めが出た(ダムの決壊に類する)ときに、このように表現しているに過ぎません。
地殻変動のひずみが一定量を超えると大地震が起きるのに似ています。
リーマンショック以降の経済の大きなうねりは、長期にわたるアメリカの赤字累積・紙幣の乱発に対するひずみの是正作用が連続して起きているに過ぎませんし、・・我が国の円高も長期にわたる黒字にも拘らず超低金利の結果円キャリー取引を通じた円の流出によって円安を演出していた咎めが出た・・アメリカも欧州も低金利になると同じ金利ならば、黒字国の円が過去に上がるべきだったのに正当に上がっていなかった分まで上がる(下がるべき国は下がる)のは当然です。
ショックとは調整過程の始まりに(気づかなかった人が)ショックを受けていることであり、実際に起きているマイナスを塞き止めて来たダム(ごまかしが効かなくなった)決壊が目前に迫った下流の地域の危機を言うマスコミ用語です。
円高ショックと最近言わないのは、国民が経済実態・円の実力を前からよく知っていたからショックでも何でもないからです。

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