アメリカが警察官役を下りると言えば、直ちにこの機会とばかりに相手が無防備ならばこのスキに・・・とばかりにイキナリ攻めて来る傾向のある周辺国が多いときには、このリスクに備えるべきでしょう。
再軍備派の主張では、無防備平和主義という理想論では実際にはどうにもならないという主張が中心でしたが、保革共に理想論という概念自体が間違っています。
周辺に腕力で不当な意見を強制したいとか泥棒や強盗をしたい・・日本国民を連行して奴隷にしたいと公言して国民教育している国がひしめいているときに、無防備平和論は理想ではありません。
日本国民が丸腰で国内で生活できているのは治安が良いからであって、しょっ中追いはぎや喧嘩が絶えない社会であれば、自衛のために集団で歩いたり武器を持って歩いたり自宅に厳重に鍵をかけるようになるのが理想です。
理想とは実態に適合した合理的な意見を言うべきであって、実態を無視した意見は非合理論であって理想論ではありません。
世に言う理想論は各種の与件が100%そろえばこれが良いという架空の議論であって、現実政治に関する議論は現実に存在する条件あるいは実現可能な条件を前提にすべきです。
ある日突然外国軍が押し寄せて再びシベリアに連行されるのでは叶いませんから、突然の侵攻を防ぐにはイザというときに備えて一定の軍事力保有が必要です。
今回のウクライナ・クリミア紛争によって、各種経済制裁・・先行き成長低下を恐れた金融資本家によるロシアから資金引き揚げが加速し始め、今年のロシア経済は大きな打撃を受けそうです。
3月30日ころの日経新聞ではロシアでは昨年から景気下降(資源輸出の停滞化)や新興国からの資金逃避傾向(アメリカによる金融緩和縮小予想)による資金流出が続いていたのですが、今年に入って3月までの流出資金量が昨年1年間の合計を越える6〜700億ドル(正確な数字を忘れました)の資金流出があったと書かれていました。
紛争が長引けば、ロシア経済が資金流出のダメージを受けて大変になるだけではなく、ロシアに巨額投資・進出している西欧企業も当然儲け損なう外に(あわてて引き上げれば・・叩き売りすれば当然株価や債券等は大幅に相場が下がりますので)評価損を受けます。
西欧はロシアに対するエネルギー依存だけではなく、資本・企業進出等経済的に大きく深く関与しているので、ロシアとの対立激化は双方にとって大きな痛手になります。
ロシアは西欧も損をするので厳しい経済性差が出来ないだろうと多寡をくくっている面もあって却って戦火が拡大する危険をはらんでいます。
最貧国と言うか破綻国家に近いウクライナに対してEU(準)加盟条件として、EUはこれまで厳しく緊縮を求めていたものの、ロシアとの綱引きの行きがかり上うるさい条件を引っ込めて(緩めて)巨額援助をするしかなくなったので、なお経済負担が大変になります。
以上を見ると第一次〜第二次世界大戦で相互に傷を負い西欧全体が地盤沈下したのに続き、今回の紛争が激化・長期化すれば、直接戦火を交えずとも西欧とロシアは更に大きな経済的困難・・地盤沈下に陥るように見えます。
プーチン氏自身の自己保身効果で見れば、経済不振による支持率低下で早晩失脚するよりは、民族意識を高揚させて一時的でも支持率を上げる方が先決と読んで、長期的効果による国民の損失まで考えていられないという計算だったでしょう。
ケネデイの始めたベトナム戦争もブッシュの始めたイラク戦争もその都度支持率は上昇しましたが、その後アメリカの国力低下の原因になっています。
結局彼らはいずれも自己保身のために国民全体の利益を犠牲にした政治家と言えます。
独裁国家では失脚後生命の危険があるので、国民の利益を犠牲にしてでも民族意識を高める方向・・対外軍事力行使へ動き易い・・こうした傾向が強く出るので、自宅近くに暴力団事務所があるようなもので近隣国にとっては、危険な国です。
もめ事を起こさないように近所の人がよけて歩くので、暴力団員が偉くなったような錯覚を起こしているのが中国指導部と言えましょう。
韓国は中国のように軍事力で日本を威迫できないので、虎の威を借る狐のたとえどおりに日本の誹謗を繰り返して国民の鬱憤ばらしに精出して支持率低下を食い止める基本方針で戦後60年以上もやってきました。