中国の特区制度は、古代の都市国家経営の経験によるだけではなく戦前日本を含めた列強が中国の上海や南京で租界地を確保していたことが、ヒントになったかも知れません。
租界の場合、治外法権で列強の軍隊が駐屯していましたから、文字どおり未開地に進出した古代都市国家そのものですが、改革解放後の特区は、中国の支配権力内のママですから、法的意味が大分違っています。
中国の統治下・・外資進出企業向けの制度に自主的に合わせた点が違うものの、結果から見れば外資・先進国ルールにした特別な地域を作ったのですから、自主的か否かの違いだけで、商業団が未開地・進出先に作った砦・・自分のルール適用地である古代都市国家と機能的に同じです。
明治日本が開国時に条約改正実現のために、日本全体の法制度完備を待たずに特区を作って、ココだけでは欧米並みの法律制度を完備した(1国2制度)ようなものですが、日本の場合国民の一体感が強いので一部だけ別の法制度にする二重基準には抵抗が強いので、日本全体の法制度整備まで待つしかありませんでしたし、現在の安倍政権の特区構想も難航しているのは同じ民族意識の結果です。
中国では、元々支配者と非支配民族分離が常でしたから、特区制度が簡単にできるのでしょうが、中国を除けば特区制度を作っていない後進国が普通です。
特区がなくとも外資の進出地域では(日本で言えば麻布周辺)自然発生的に外資の要望に合う商店やホテルが集積した町造りになるので、結果的に特定地域だけが飛び抜けて外人向け街区になって行く点は同じです。
(日本では外人は「柄が悪い」イメージが強いので、在日の多い場所や外人の多い麻布六本木周辺は犯罪集積地イメージ?)
江戸時代の長崎出島制度もこのように、外人は道徳的・宗教上に問題があると言う視点で善良の風俗を守るために伝染病の隔離施設同様の発想で隔離したものでした。
アメリカなどでも、特区制度がなくとも中国人の多いチャイナタウンや韓国人居留地・コリアタウンには、中国人や韓国人向けの店や風俗が定着します。
一般論として言えば、後進国から来た人の集積する場所は逆に町が汚くなるし、先進国から来た人の多い町はあか抜けた感じになると言えます。
外資が国内企業の大半を牛耳るようになると、外資の関心のある分野だけ投資されて行き関心のない路地裏の整備・教育投資・社会保障などには資金が回って行かなくなります。
特区や租界でなくとも、外資中心に勃興している新興国では外資の集積した地域・メーンストリートだけが先進国並み水準(外資に伴って駐在する高級サラリーマン向け飲食店ホテルなど林立し)になり、その他は旧来型スラム街と言う格差社会が外観上も生じてきます。
外資(主に先進国)にとっては、生産効率化のためのインフラ投資等には理解がありますが、関係の遠い地元教育投資・・路地裏整備・衛生等に協力するよりは、人件費が安く、法人税が安い→1株あたり配当が多いに越したことがありません。
政府がこう言う勢力の代弁をするようになってくると、国民のための政府か外資の傀儡政権になっているのかの区別がつかなくなります。
韓国の場合、アジア通貨危機以降外資の牛耳る社会・・経済植民地化進展の結果、非正規雇用の拡大・配当優先政策で国民が貧しくなる結果、内需寄与分が減少し続けているようです。
貿易依存率が100%近いいびつな経済構造になってしまっていると言われますが、依存率が高いとどう言う弊害があるのか勉強不足で今のところ私には消化不良です。
印象的に言えば内需が乏しい状態ですから、見せかけの規模の大きさに比べて国民が良い思いをしていないという批判でしょうか?
以下は、http://blog.jul22.net/article/61675354.htmlからの引用です。
日本の国内総生産に占める貿易依存率は10%あまりに過ぎず内需国家と言われています。
2011年末の日中両国の輸出依存度(純輸出のGDPに占める割合)を見てみよう。
日本:14%
中国:26%
ちなみにアメリカは10%、韓国は50%である。日本は貿易立国と言われるが、実際には内需大国だ。韓国は貿易が滞ればたちまち国が干上がるが、日本はそうではない。
中国のほうがよほど貿易に依存している。