両替制限→人民元取引急減

たまたま5月8日の中国政府発表4月の貿易収支の発表が8日日経夕刊その他でニュースになっています。
コピペし易いネットで見ると以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/china-trade-april-idJPKBN1840CD
Business | 2017年 05月 8日 17:18 JST
中国の4月貿易統計、輸出入ともに予想以上に伸び鈍化 黒字拡大
[北京 8日 ロイター] – 中国税関総署が8日発表した4月の貿易統計によると、輸出と輸入ともに予想以上に伸びが鈍化した。国内外の需要低迷とコモディティー価格の下落が背景にある。
4月の輸出はドル建てで前年比8.0%増と、伸び率はロイターがまとめた市場予想(10.4%)を下回った。
輸入は同11.9%増。こちらも、伸び率は市場予想(18.0%)に届かなかった。
3月の輸出は16.4%増、輸入は20.3%増、貿易黒字は239億3000万ドルだった。 」
上記のとおり黒字にはなっていますが、5月8日の日経新聞夕刊3pによると内需拡大・輸入拡大により前年同月よりも黒字幅が16、5%減となっています。
黒字維持とは言え黒字幅が減り続けているので、このまま政府主導のバブル拡大→輸入拡大をいつまで続けられるのでしょうか?
夕張市の財政制破綻や国鉄の赤字累積など見れば分るように、無理な投資はいつか資金が続かなくなります・・規模の大小は時間差でしかないでしょう。
5月6日の記事では既に中国の金融機関を除く民間債務はGDP比200%超(日本のバブルブル末期並み)になっていることも書かれています。
ただし、勝又氏の記事では民間債務は対GDP比280%ですし、アチコチのネット記事ではそうですが、日経は全て抑制気味です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170510.html
「社会主義市場経済」は機能していたならば、債務総額の対GDP比が280%にまで膨張するはずがない。事前に、調整されずここまで膨張させたのは、中国の経済システムに自律的な調整機能が欠落している証拠であろう。」
実はこの外中国はシャドーバンキング・・理財商品の莫大な(簿外?)リスクを抱えていますが、大手新聞なのでそこまでは書けていません。
外貨交換を規制して当面外貨準備縮小や人民元急落を凌ぐとしても、人民元安の下地になっている巨額民間債務をどうするかの処方箋が見えて来ません。
政府としては先送りの限界が来たので?国際標準の法的整理を避けて不明朗な共産党主導の債権委員会方式で何となく巨額債務を棚上げする方向に進み始めたようです。
どのようにしても結果的に金融機関の不良債権は貸し倒れ処理しかないのですから、この時点で金融機関の財務に大きく傷がつくのを防げません。
日本では金融機関の資金不足が健全な融資を損ない長年の日本経済の大きな重しになりました・・・どこかでいつかは痛みを外に出すしかないことは確かです。
以下の通り中国の外貨準備減少は小康状態・・3ヶ月連続増加とは言え3兆ドルギリギリ維持している・・もしかして数字合わせに必死なのかな?)苦しみが出ています。
今のところ規制は成功していますが、人民による抜け穴探しがまだ出来ていないことによるのでしょう。
euters.com/article/china-economy-forex-reserves-idJPKBN18313I
[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行は、4月末時点の外貨準備高が210億ドル増加し3兆0300億ドルとなったと発表した。3カ月連続での増加で、市場予想を上回る増加だった。資本規制やドル高一服により、資金流出が抑えられていることが示された。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は110億ドル増の3兆0200億ドルだった。
3月末時点では3兆0090億ドルと、前の月から39億6000万ドル増加していた。
国家外為管理局(SAFE)は声明で、外貨準備の増加は基本的に外貨需要供給の均衡や、対ドルでの人民元上昇に伴うものだと説明した。」
15年夏の株式相場急落以来政府が取引制限した結果、本当の株式相場が不明になっていましたが、今年に入ってからの為替取引制限の結果、人民元の本当の実力・評価が分らなくなっていますが、国際取引での人民元取引量の変動を見れば、人民元の実際評価を表しています。
1昨年秋に折角IMFのSDRに人民元が採用されて国威発揚したつもりだったのですが、人民元の信用が下がり交換がスムースでないことから?国際取引では人民元利用シェアーが急減しています。 
国威発揚どおり経済界が動きません・・経済実力は、結果から見ればカナダ以下と言う評価です。
一時日本を追い越したのは、将来性を世界中がはやし立てていただけ・・国際社会にデビューしてみると適応力がないことが分った・エコノミストの見通しが悪かったことになります。
昔「眠れる獅子」と恐れられていたのにいざ日本と戦ってみるとあっさり負けてしまって恥をかいた・同じことの繰り返しです。
当時最新の戦艦を入手していてこれ見よがしに日本を威嚇していたのに、それを動かす人民の能力が違っていたのです。
国土ばかり広く、人民の数だけ多くても、最後の決め手は民度・内容実質です。
http://www.sankei.com/smp/world/news/170204/wor1702040030-s1.html
人民元、カナダドルに追い抜かれ「決済通貨」6位に転落 成長鈍化で国際化戦略に急ブレーキ
2017.2.4 10:50更新
【上海=河崎真澄】中国の人民元が貿易や対外投資の決済に使われる通貨として昨年12月、カナダドルに追い抜かれて6位に転落したことが、銀行間の送金ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)の調べで分かった。通貨別の決済シェアで、元は2015年8月に日本円を上回り、ドル、ユーロ、ポンドに次いで初の4位につけた。だが、経済成長鈍化や元安でシェアが低下。再び円を下回って15年12月段階で5位になっていた。
また、16年通年の元建て決済総額は前年比で29・5%も減少した。元は昨年10月に、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に組み込まれたが、評価は上がらず、習近平指導部が目指した元の国際化戦略に急ブレーキがかかった格好だ。
 元をめぐっては、SDR入り後も為替相場の形成を市場に委ねる通貨改革は進まず、国際通貨としての信頼性や利便性は向上していない。さらに中国を「為替操作国」に指定すると主張したトランプ氏による米政権の動きも不透明で、環境は一段と悪化している。
SWIFTによると、通貨別の代金決済シェアは昨年12月の段階で、米ドルが42・09%。ユーロが31・30%、ポンド7・20%、円3・40%、カナダドル1・93%だったのに対し、元は1・68%にとどまっている。」
習近平が主席になり、中華の夢を唱えた頃が最高・・ドっ天井で、その後は人民元の国際評価・・利用率が下がる一方・・ムキになって国威発揚で威張れば威張るほど実力がバレて行きます。
これだけ人民元利用の取引量が激減しているのにIMFが人民元を国際通貨に認定した「裏で何があったの?」と言う例の中国流の画策が疑われるのは仕方のないことでしょう。

 資金不足16と人民元流出の攻防5

今朝の日経新聞朝刊1面にはトップ記事で中国政府が、人民元売りの為替予約規制を始めたと出ています。
銀行は為替予約残高の20%の準備金(無利子)積み立てが要求される仕組みですから、これを銀行が予約企業に転嫁すると、結果的に輸入企業にとってはコストアップですから、輸入関税をかけるような輸入規制・・外貨不足を補完する効果もあります。
中国政府はいつも書くように1石2鳥効果が大好きです。
8月11日の為替の切り下げも表向きIMFの要望に添って相場に合わせたと言う言い訳でした。
規制効果に戻しますと、例えば1億元の輸入代金決済が半年先にある場合、為替予約しようとすると半年前に輸入代金の2割を無利子で銀行が準備金として中央銀行に預けろ」というのが今回の規制骨子ですが、銀行は顧客企業に当然転嫁しますので、企業にとっては(2000万元の借入を増やすしかない・・)資金繰り上大変な負担です。
毎月同額輸入が平均してあるとすれば、6×0、2=12割資金を寝かせておくことになります。
20×市中金利負担がコストですから企業にとっては、それ以上に下がる見込みがないと為替予約出来なくなります。
イギリスのポンド防衛失敗の経験によれば、売りの為替予約を制限すれば、値下がりを(少しでも値下がりの勢いを緩和出来る?)止められると言うもくろみでしょう。
しかしこれは予約する輸入業者向けと投機家向け規制であって、庶民が元を今日の相場で良いからドルに替えたいと言う欲望には直接関係しません。
ただ中国では自由な為替取引自体が禁止されているので、輸入に名を借りた人民元の両替・外貨取得が多いので、予約さえ規制すれば人民元売りの加速を防げると言うことでしょうが、庶民の方は予約が駄目ならば、(本当の輸入ではないのですから契約書だけなら好きに書けるでしょう、)契約上の決済時期を半年先ではなく数週間先あるいは前金払い契約に早めれば良いことです。
そうすると契約内容まで政府が規制する・・現物到着前の代金の一部支払を認めないとなって来るのかな・・どちらにしてもイタチごっこです。
代金支払い方法まで規制するようになって行くと規制が広がる一方で、ドンドン市場経済から遠くなって行きます。
※ 追記です。9月日日経朝刊7pには、中国政府は1日に続き2日に為替スワップやオプションなど全てのデリバティヴ・金融派生商品にも上記措置を適用すると通知したそうです。
一旦規制を始めると際限がなくなる運命が待っています・・経済が窒息するまでやるのでしょうか?
東南アジア諸国等である程度人民元取引が広がっていましたが、こんな状態が続くとどこの国の企業でも元での代金決済をいやがるどころかドル取引であっても一々政府の許可がないと契約が発効しないのでは(一種の輸入規制ですから)いつ許可になるか分らない・・迅速性に反するので中国企業との取引自体を敬遠するようになって行きます。
同じ輸出条件ならばよその国に売った方が合理的です→中国側業者は競争相手国より不利な条件(保証金を積んでくれないと契約自体に応じないとか割高で買うとか)をのむしかなくなって行きます。
世界中で中国の存在が小さくなって行くばかりです・・私は中国の評価が実力相応になれば良いと前から思ってマスコミの過大評価を批判してきましたが、(中国を実力以下に見たいとは思っていません・・それはそれで危険です・・)マスコミが過大評価し過ぎていたメッキがはがれて来たに過ぎません。
実力と合致しない過大評価があると、中国政府が実力差に比例して却ってカラ威張り・・力み返りたくなるので、これが危険な軍事膨張や冒険主義を促しているのです。
今回の規制発表は、6月の暴落時に大株主・機関投資家?半年間の株売却禁止令を出し・大手企業の大半について株売買取引停止を命じたのと似ていますし、遡れば、歴代王朝末期の流民化阻止のために農民の移動禁止していたのと同じ発想です。
大手企業の株式売買禁止令は、自分で一部企業のデフォルト宣言している・・国際機関から不適格企業との烙印を押されて取引停止処分を受けたような結果にならないか?と書いたことがあります。
今回は為替取引について、事実上蛇口を狭めることになるので、国際取引縮小を目指す結果になってしまいますので、国際機関から制裁を受けたような効果を自分で率先して行なっているようなものです。
中国政府としては8月11日の為替切り下げ時には表向き実勢相場に合わせたと言い訳があり、早速IMF専務が歓迎表明し、日本の学者・マスコミはそう言う意見を紹介して立派なものだと言わんばかりの論説が目立ちました(曰く・統計的に見ると貿易黒字が増えているので輸出拡大を目指したものではない・・市場の反応が間違っていると言う意見が主流でした)が、今回は言い訳すらありません。
今更格好付けていられないほど切羽詰まっていることの公式表明ですし、(同紙面に中国の外貨準備・公表値?では、14年6月に比して7月までには約1割も減少していると書いています)・・今回の規制発表は、この1カ月では投機売りが拡大していて資金流出に我慢し切れなくなったと見るべきですから、この間にもっと大幅にドル資金が減っているのだな!と世界中が見られてしまうリスクを考える余裕がなくなったと見られます。
この点は兎も角として、驚いた外国人投資家が反応するので(外国人投資家はヤミルートがないので、政府発表に反応する傾向があります)一時持ち直すでしょうが、裏をかくのが得意な人民ですからこんな小手先のことでは株式相場のテコ入れ策同様に1週間もすればまた人民元相場が下がり始めるのではないでしょうか?
株式相場は26日ころのテコ入れで一時持ち直していましたが、先週末ころからまた下がり始めました。

資金不足15と人民元流出の攻防4

人民元買い支えを続けるとドル資金(外貨準備)が日々流出して行きます。
日本の円高阻止のためのドル買いは小泉政権のように円紙幣を無限に印刷すれば出来ることですが、自国通貨下落阻止のための介入は市場と本格的に戦うようになると買い支えにつぎ込むドル資金がみるみる減って行き、限度があるので論理的に無理があります。
しかも外国人が保有している売り浴びせるべき人民元紙幣には限度がありますが、(ソロスのように先物予約でその間に売り浴びせて下がったところで決済すれば大儲け出来ますが、政府がその決済期までに買い支え切ると為替予約した分の損が出ますから、大相場の場合読みが狂うと破産の危機があり、リスクが大きいのですが、)国民が人民元を売ってドルに替えようとすると売り方に回る人民元紙幣は無尽蔵です。
今の中国は、国内資金逼迫解消のために政府は金融緩和し潤沢にマネーサプライを増やすしかない状態ですから、人民の方には売り逃げるべき資金は無尽蔵に出て来ます。
ですから、介入していることが分らないように実勢相場を誘導している限り・市場を誤摩化せる限度での買い支えは有効ですが、露骨に相場維持していると見られて、実勢相場は違う・・「近いうちに支え切れずに下がって行くだろう」と言う憶測が広がれば売り逃げ・外貨預金しようとする人が無限大に増えるので最後には屈服するしかなくなります。
10年ほど前にこのコラムで紹介したポンド防衛は仕手筋との戦いでした・・勝敗はやってみなければ分らない・・勝負を仕掛ける方はリスクが高いので、仕掛けて勝ったソロス氏は有名になりましたが、今回は名もなき億単位の人民との戦いですから政府に勝ち目がありません。
中国では、秦帝国以来王朝が毎回庶民の暴動によって崩壊して来たのが、中国2000年間の歴史ですが、今回は政府軍武力が巨大でいくら民衆が立ち上がっても残酷な殲滅作戦には、庶民は歯が立たないのですが、その代わり、人民元売却と言う雪崩のような動きで政府を押しつぶそうとしていることになります。
国家の衰退が始まると、ロシアやギリシャの例を引いて外貨流出の主役は外資よりは自国民が中心であると28日に書きました。
世論誘導も同様で目に見えないやり方の場合相応の効果がありますが、言論弾圧が目に見えるようになると政府施策の信用がた落ちです。
習近平政権は株の暴落・天津大爆発に端を発して狼狽したのか?なりふり構わない言論統制強化、経済統制強化(大手企業の株式売却禁止など)ですから、最後のあがきに入っていると見る人が増えてきました。
規制強化すればするほど世界市場からは、ついに最後が来たのか?と言う目で見られて売り浴びせが起きます。
政府による裏での人民元買い支えが終わった・・力尽きた(外貨準備が本当はないのではないか?)と市場で見られると株式どころか、人民元自体の大暴落に繋がりかけています。
先週あたりに書いたように、中国人民と政府とは対立関係ですから、人民にとっては国益よりも自己保身第一ですから、将来の人民元値下がりを恐れて早めに売り逃・・外貨に換えておきたいのは当然の動きです。
中国では、政府も国民もお互い裏取引の動向を見て行動する変な社会・・要はルールなき社会になっています。
民主社会とは透明性の重視が本質ですが、透明性を担保する基礎インフラは誰の目にも明らかなルール化です。
中国では、知財剽窃を象徴として、サイバー攻撃による機密情報窃取その他全ての分野でルール無視を政府が先頭に立って行なっている状態です。
中国は法治主義ではなく人治主義と一般的に言われますが、法規制も国会等による決定ではなく幹部の腹づもりで決めて行く社会ですから、ヤミ社会のルール・山口組の掟と変わりません。
選挙制度の有無にかかわらず、為政者は都合の悪いことを国民に知られたくない・・透明性があれば、自然に身ぎれいにするしかなくなりますが、統計や資料を不透明にし、都合の悪いことを報道させなければ、やりたい放題になります。
独裁制と統計等の欺瞞性・これを暴く報道の自由がないことは(ソ連も同じでした)表裏の関係にあることが分ります。
中国では強権社会化=厳しいルール化については、韓非子の時代からの歴史がありますが、それが民意重視から出たものではなく支配意思貫徹のためのルールでしかなかったのが不幸な歴史になりました。
法の目的がそうですから、国民はこれを自発的に守る意識どころか、逆に如何に潜脱するかの智恵・・ヤミルートが発達してしまいました。
裏取引中心の社会では、透明性とは真逆の社会です。
中国政府も実態を反映しない虚偽統計発表し(企業で言えば税を免れるために虚偽帳簿を作るようなことを政府がやっているのです)、政府が率先してサイバーテロ・・先進技術情報窃取していて羞じるところがありませんし、何もかも法治国家以前の社会のママです。

資金不足14と人民元流出の攻防3

先進国の場合、国民との信頼関係が構築されていて信頼を基礎にした自由取引が前提ですし、ルールが出来れば守るのが原則ですから、急場における緊急規制や金融政策等が迅速に効果を現します。
信頼関係構築には民主制を実質化(・・国民のための政治に)することが重要です。
中国では為替取引・金融取引その他を自由化していない規制社会ですから、規制どおり何でもやれて便利なように思う方が多いでしょうが実態は逆です。
強権専制社会では、逆にこの不自由さ・・多くは幹部に有利な不正運用の実態があります・・に比例してルール遵守意識が弱く規制をかいくぐるヤミルート・ヤミの智恵が発達しています。
この結果、普段から締め付け過ぎる結果、却って急場(政府の危機)であればあるほど、(帰属意識が低いので)新たな施策をかいくぐる知恵を最大限働かす方向に動きますので、急激な金融規制や政策誘導が全く利かない・・尻抜けになるマイナス社会になっています。
地下水脈中心社会で渇水対策として地上の水門の開閉で調節しようとしても無理があります。
元々法を守らないルーズな社会では自然災害時に少しくらいいろんなルールが乱れてもどうってことがないかのように見えますが、逆に規制の緩んだすきを狙って略奪その他の犯罪が多発するのが普通です。
日本のように普段から(1分も電車が遅れないような)細かなルールがある社会では、一旦乱れる大変かと言うとそうではなくて、自主的にルールを守る社会ですから、東日本大震災時には自発的な食糧分配や助け合いのルールがすぐに生まれたし、それを信じている国民は騒がずにじっと待っていました。
中国の場合、2015/08/21「中国過大投資の調整13(国民を犠牲にする社会1)」以来連載したように、歴史上国民を搾取・抑圧対象にしか見て来ていませんから国民も生き残りの知恵を働かすようになり、相応の裏社会の仕組みを作り上げています。
今回の株式バブルを政府が煽って庶民の資金を絞りとったのも搾取政策のその一環でした。
こう言う騙しあいの社会では、政府が必死になればなるほど国民は政府の弱ったことを知ってその裏をかこうとします。
28日のコラム冒頭に書いたように、人民元の実勢相場下落を防ぐために政府によるドル買い支えも活発です。
自国通貨が下がった方が貿易上有利に決まっていますが、そうは行かないのが中国の実際の懐事情を表しています。
新興国・・インドネシア等弱小国では、通貨下落で貿易上有利になる以前に通貨下落の副作用の方が怖いのが実情です。
通貨が下落すると資金流出して買い物するお金がなくなる上に輸入物価が上がるので、買いたいものが買えない・輸入品不足になって、国民生活が窮迫して行きます。
外貨建て債務の返済額が通貨下落に比例して増えてしまいますが、資金不足で返せないフォルト危機が迫って来るのが普通です。
企業で言えば信用不安が起きると資金繰りに困るのでより多くのお金を借りたいのに、信用不安企業には貸してくれない・貸してくれても優良企業の何倍もの金利を要求されるので、(銀行が高利を要求するのではなく別の高利貸しに行くしかないと言う意味です)余計経営が苦しくなる悪循環です。
中国は外貨準備が巨額と宣伝していましたが、図体の大きさに比例して金額が大きかっただけで、内容実質の脆弱国であることを図らずも世界中に曝したことになります。
中国の場合歴史的に人民の政府に対する信頼感が低いこと・・闇ルートの発達が、緊急時における対応力として他の国よりもかえって脆弱性が高いと言えるでしょう。
政府による人民元買い支えが、ヤミで売る人民に人民元を高値で売るチャンスを与えている・・政府が買い支えている間にヤミで一刻も早く人民元の売り逃げ・・ドルに替えてしまおうとする人民元売りの買い方に政府が結果的に回っている・自分でヤミ流出を煽っているかのようになっています。
上海総合も同様で、政府が(国有企業等に命じて)総出動で株式を買い支えている間に・・売り逃げに徹している・・政府の買い支え政策発動で数日〜1週間値を戻してはジリジリと値下がりを繰り返して最近まで結果的に約4割も下がってしまいました。
かと言って、8月11日のように思いきって通貨切り下げ発表すると表面だった資金流出が始まって痛い目にあったばかりです。
為替は市場価格に関係なく政府が決めるとしていながら実勢相場に影響を与えるために人民元の買い支えに(どこの国でもある程度やっていることですが・・)精出していることになります。
こう言う見え透いた矛盾行為の無理が出て来たのです。
昨日のネットニュースでは、中国政府は今回の株暴落は中国が淵源ではなくアメリカの金融政策(金利上げ予想による資金引き上げ)に責任があると一斉報道を始めたとのことです。
こんなことは、昨年からの経済界の常識テーマですから、この常識を前提に「株式が上がる儲かるぞ!と連日のように人民日報が何故煽っていたかの肝腎の釈明がありません。
南京虐殺や抗日戦勝利など噓でも何でも言い張れば済むと言うこの20年程度のことでも、日本人は中国の虚偽体質に怒り出したのですが、中国国民は2000年以上もこんな噓ばかり言われて煮え湯を飲まされるようなことが続いているので、政府を信用しないし、心底から怒っているので、政府が弱みを見せれば政府の足を引っ張る方に動きます。
中国が世界市場に参加したときには、(私も含めてアメリカの横暴を阻止する仲間になってくれると)多くの国は歓迎していましたが、中国の傲慢な態度にいやな気分になっていて、今では中国がモット小さくなることを期待している国が世界の大方になっているでしょう。

資金不足13と人民元流出の攻防2

中国の場合、図体が大きいので特定分野のバブル退治を早くやれば、その分野が縮小してもその他の分野で吸収出来た可能性があります。
大手企業が一部の不採算事業部門を早めにリストラクチャリングするようなものです。
しかし、 May 17, 2015「中国バブルの本質(新興国型経済1)」以下に書いたように新興国の場合、北国の春同様一斉開花のメリットがあって目覚ましいのですが、その裏腹の関係で過大投資の不都合も一斉に来るデメリットがあります。
中国は日本の経験を熱心に勉強していたのですが、この辺が不動産業単発のバブルであった日本との違いです。
不動産バブル崩壊をごまかすため・・政府の弱みを隠蔽する目的もあって、他の分野の救済を兼ねて他の分野に採算度外視のテコ入れをし、その分野が駄目になると更に他の分野に転嫁することの繰り返しをして来た挙げ句に最後は株に誘導して金融機関が大儲けしましたが、最後の最後の株式バブル崩壊になると国全体の崩壊リスクになってきました。
金融機関は株式バブルを煽って大儲け(取引先の資金繰りを助けて倒産先送り)したのですから株式バブルが弾けると当然のことですが、その上乗せ分がはげ落ちます・・29日日経朝刊7pには金融機関の大幅失速が出ています。
国有銀行大手3行では、1〜6月で前期比不良債権3割増となっていて、株式バブル崩壊後の実績は出ていませんが、株式バブルを煽る前に大変な事態に陥っていたことが分ります。
不良債権激増緩和のために株式バブルを煽って資金導入・・株バブルを利用した取引先企業の新株発行や社債発行を容易にして得た資金(政府主導による練金術)で企業が延命資金を得ていたことが知られています。
金融機関の利益率低下は度重なる金利引き下げによるとのことですが、(公表されていないシャドーバンキングの支払い遅延・支払い猶予などが含まれている筈です)金融緩和+潤沢な資金供給がないと倒産騒ぎが広がってもっと不良債権が増えていたことになりますから、本質は実態経済の悪化と言うべきでしょう。
からだ全体が悪くなって血液が濁って来たので輸血〜透析の必要な状態です。
株式バブルを煽って庶民からの資金吸い上げによって一息ついていたのですが、株式バブル崩壊後は不良債権率はもっと酷いことになっている筈です。
6月中旬以降の上海総合の急落後予定していた新株発行や起債が相次いで中止になったと報道されています・・中止した企業の資金繰りがどうなったかです。
29日日経朝刊2pによれば、先週1週間だけで短期金融市場に投じた資金供給が何と5千元(9兆5000億円)以上と言うのですから、金融機関の資金不足がめちゃくちゃになっていると言うことでしょう。
不況対策として公共工事などに財政資金投入しますが、今回は、食べて栄養をつけるよりは直接輸血しているようなものです。
短期資金と長期に資金を寝かす公共工事資金とは質が違うとは言え、1週間で10兆円近い資金の直接供給と言えば、リーマンショックで4〜50兆円の公共投資投入発表に世界中が驚いた規模と比較してもその巨額さに驚きませんか?
公共投資は計画から実際に動き出して完成まで年単位の時間がかかるので、1週間で何兆円も金が動く訳ではありません。
他方でヤミ資金流出が盛んで政府は必死に取り締まっていますが、同記事によれば、先週1週間で摘発したやみ取り引きだけでも4300億元と言うのですから、(ヤミ摘発の何倍何十倍も実際には流出していると見るのが普通・・泥棒でもスピード違反でもみんなが捕まる訳ではありません)人民銀行が1週間で10兆円近い巨額資金供給してもその何倍も海外流出しているのではどうにもなりません。
中国では、28日紹介したように連続金利引き下げだけではなく、中央銀行が市場に買いオペを通じて潤沢な資金供給を続けていますが、待ってましたとばかりに預金を下ろしてヤミで外貨を買って海外流出してしまうザル状態ですから、当局もヤミ摘発に必死です。
病人にいくら食べさせても下痢してしまうような状態です。
こう言うときには無理に食べさせるよりは点滴や下痢止め薬等が必要ですが、この段階の治療法がまだないのでしょう。
政府や企業は国民・従業員を食いものにしている以上、国民・従業員としては、圧迫し搾取される敵対関係ですから、敵対している政府や企業が弱ったとなればこのときこそチャンスと見る国民意識です。
(だからこそ政府は弱みを見せられず虚偽発表していてバブル退治が遅れてしまいます)
このような国民には組織のために最後まで頑張るような意識は全くありません・・弱ったとなれば人よりも先に逃げ出したい・・・泥舟から早く脱出したいのは当然の自衛行為ですから、この攻防がどうなるかが、見ものです。

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