人民と棄民の親和性(香港騒動と米国人権法)

中韓思想大事の影響を受けた日本人権活動家は、30年ほど前、改革開放後残留孤児大量帰還が始まった時に頻りに「棄民政策」という用語を使っていました。
聞きなれない熟語に当時ピンと来ませんでしたが、今になるとこれは中国〜韓国の人民思想を日本に当てはめた借り物概念だったように見えます。
文化大革命当時メデイアを通じて「造反有理」などのスローガンを氾濫させた再現のつもりだったかもしれません。
中国や朝鮮では古代から歴史では、支配被支配の2項対立社会ですから、被支配者は支配・政治の対象でしかない・牧畜業の家畜や企業で言えば商品みたいな対象です。
不要な商品を廃棄するような社会では人口が多過ぎれば口減らしのために国外に吐き出す・・棄民がぴったりの表現でしょうが、日本は満州へ同胞をゴミのように捨てたわけではないでしょう。
満州へ開拓団として赴いた青年らは、お国のために出かけたものですし、送り出した方も、満蒙開拓団員として出ていった子供を心配しない親兄弟はいなかったでしょう。
棄民政策とはあまりにも先祖を卑しめる表現です。
ゴミのように国民・同胞を海外に捨てる思想は我が国の現実に合わない・・中国社会の説明を鵜呑みにする主張が多すぎるので左翼系は信用をなくすのではないでしょうか。
日本政府は棄民したのではなく不可侵条約破棄によるソ連軍の突然の侵攻によって在留日本人家族が逃げ遅れたし、兵隊さんは無条件降伏→武装解除するとシベリアに連行されて文字通り奴隷労働を強いられたソ連の蛮行を覆い隠す便利なスローガンだったのでしょう。
敗戦後日系米人等の移民が日本本国人より豊かにしていてもやっかむような話を聞きませんでしたが、中国や韓国では政府の人民圧迫が強く苦しい毎日を送っているから、幸福そうな人を見ると妬み等に苛まれる・政府も人民の政府に対する不満をそらすために自害同胞に対する妬み心をそそるので余計そうなる面があるのでしょう。
韓国では世界一自殺率が高いほか、国外脱出願望の高さや国外売春婦輸出の多さなどなど、不幸指数というものがあれば世界ダントツというべき国ではないでしょうか。
19年11月23日まで中韓国民の不幸度を書いてきましたが、以下はその続きになります。
今回のノージャパン運動で困っているのは韓国人観光客特化によって潤ってきた韓国系資本のホテルや在日の経営する土産物店、韓国経営航空会社中心(対馬の現状を紹介してきました)が実態です。
(韓国客が減ってもトータル観光客が増えているので日本人経営のホテルや日本の航空会社も観光関連業界・対馬のように韓国客に偏った地域が部分的に困っているものの日本全体では増加傾向です)
にも拘らず韓国側では、ボイコットジャパンで成功していると思っているような強がりを言っているのは、日本人に対するより在日や対日投資で儲かっている本国企業に対するやっかみの方が強い・・歪んだ心理が本音にあるからかもしれません。
香港の誇る自由がなくなりそうな危機に際して、「香港でさえ言論の自由がなくなれば明日は我が身にもっと厳しく及ぶかも?」と本土人は香港人と懸念を共有する気がない・・応援する気になれない報道(メデイアによる情報操作でないとすれば)は、韓国人の在日に対するのと似たようなゆがんだ心情があるからでしょう。
中国政府は、中国本土での人民監視や締め付けを厳しくすればなるほど、中国領土として自由に往来できる香港でも自由を締め付けないと本土人との格差が大きくなりすぎて本土人民に示しがつかないから、香港に対しても締め付けが厳しくせざるを得なくなってきたようにも見えます。
本土では表現行動の自由の締め付けが日々強化される中で本土の人民にとっても香港の自由がなくなるのは重要な利害がある筈ですが、連帯の心さえ持てないほど、本土人民と香港人には相互反感の歴史があるのかもしれません。
中国は国際社会で香港書店主の拉致事件報道があっても無視・・問題にしないフリでしたが、やはり香港でも合法的身柄拘束できた方が良いので、本土への拉致合法制度化・犯罪人引渡し条例の立法を公然要求するに及び、さすがに香港市民の危機感が募ったのでしょう。
中国政府の気に入らない発言・思想表明すれば好きなように拉致されていたのが、今後合法化されてしまうのでは、言論の自由の形骸化どころではすみません。
身近に思想統制の網が広がってきた危機感で一般市民も怖くなって黙ってられなくなったようです。
ウイグル族が百万人近くも収容され、思想改造教育を受けていると知っても遠くの事件だったでしょうが、今度は自分たちの番になって、思想改造収容所にいれられたのでは、叶いません。
香港市民が最後の踏ん張りを見せたのは、今回に限りちょうど米中対決下で米国の応援が期待できる国際環境にあったことも影響しています。
米国としては、対中対決の材料として遠慮なく中国批判し、関税攻撃だけでなく人道批判攻撃(だけでなく、自由市場としての香港の経済価値を死滅させる脅迫)手段も手に入れたことになります。
11月28日のニュースでは米国で香港関連のいわゆる人権法が大統領署名により成立したと報道されています。
香港人は本土の同胞?の連帯表明よりは、米国や国際社会の連帯の方が重要と見ているいるようです。
本土と香港人は同族の連帯感などあてにできない、異民族関係同様の心情になっていると見るべきでしょうか?
中国では人民の抵抗など幾百万あろうとも戦車で簡単に蹂躙できるので気にしない政治体制・・抑止力は国際政治圧力しかないと冷厳な事実を知っているようです。
香港の場合本土と隣接しているので誤解しますが、元々の住民がほとんどいないところに華僑流入でなり立っている点ではシンガポールと成り立ちが同じです。
香港が英国から中国に返還されたと言っても、香港人は清朝時代から香港に住んでいた人たちの子孫ではありません。

異文化尊重と人権6(国内法の国外適用2)

金融規制や環境、衛生労働時間規制等は国によって違うのは当たり前でしょうが、生命・身体の自由に関しては「人類」としての低基準があるはずです。
権力支配に不都合→法輪功信者や政敵や異民族というだけである日突然連行され無制限収容される→生死も家族らにわからないことから臓器摘出してしまうなどの残虐なことが国家公認で許されるのでしょうか?
https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20181218-00108064/

中国当局、100万人を強制収容所に-新疆ウイグル自治区での「民族抹殺」、生還者らが告発

上記には、彼がたまたまカザフスタン国籍も持っていたので同政府の外交努力で収容されてから8ヶ月で、解放されたのでその8ヶ月間の赤裸々な体験が述べられています
中国の拉致→臓器摘出については以下の通りです。http://news.livedoor.com/article/detail/15719786/

どうすれば止められるのか 中国の臓器収奪 英国で民衆法廷スタート
2018年12月10日 17時45分 大紀元

中国が国家ぐるみで無実の囚人の臓器を移植ビジネスのために利用しているという人権団体・中国での臓器移植濫用停止ネットワーク(ETAC)の申し出を受けて、民衆法廷は「開廷」する。国際法や人権問題に詳しい有識者が陪審員役に就き、医療関係者や被害者が証言者として出廷する。
以下省略

「無実の囚人」とはいわば或る日突然つれさられる法輪功信者や政治犯?(チベットやウイグル人等の少数民族)公式の刑法犯ではないという意味?らしいです。
正規の司法手続きによらずあるとき突然問答無用で連れさられるので、その後彼らの生死不明・・闇で生きたまま臓器摘出されていてこれが闇市場に出回っているというもっぱらの噂ですが・・中国では公式臓器提供数に合わない大量の臓器移植手術が可能になっていることから真実性が高まっているようです。
中国としては
「主権国の自由・・国によっては100万人単位のウイグル人収容や臓器摘出程度の人権蹂躙をしても良い」
と反論をするのは流石にむりがあると思ったらしく、こういう特に開き直り弁明をしていませんが、収容施設が大規模(衛星でも把握されているらしいです)すぎて収容の事実を否定しきれないと判断したのか?大量収容を認めながらも、これを違法だからと止めるのではなく、逆に強制収用に法的根拠を与えたようです。
(無言の)開き直りでしょうか?

今後は主権国家の制定した法に従った執行だと言うのでしょう。
https://news.yahoo.co.jp/byline/mutsujishoji/20181013-00100313/

中国はなぜいま少数民族の弾圧を加速させるか―ウイグル強制収容所を法的に認めた意味
六辻彰二 | 国際政治学者
2018/10/13(土) 11:56
中国政府は10月10日、これまで存在を否定していた、少数民族ウイグル人を収容する事実上の強制収容所である「再教育キャンプ」を、社会復帰を促すための「職業訓練センター」として法律に明記したことを明らかにした。

ウイグル人だけ無料で教育を受けられるならば優遇ですが、強制「収容」されるとなると何の教育か?となります。
イスラム教を否定することのようですが・・。
中露あるいはトルコ等の強権支配国家は、一方で内政干渉を許さないことを基調としてオブラートに包んで「グローバリズム(画一的価値基準強制)反対運動」を起こすようなネット意見流布に努めるようになったように見えます。
この洗脳のおかげか?私もいつの間にかこのシリーズ・・他国政治への干渉の行き過ぎはやめようという意見を持つようになっています。
政治の世界はどの程度を超えたら「怖い国」という(NGOによる煽り?炎上によるのではなく)冷静な評価を受けるかの判断でしょう。
日本国内でもこのころ日米戦争はアメリカの謀略だったとか、占領支配批判の意見が急速に増えてきましたが、その発信元スポンサーがどこの民族か不明・・日本語としてもどこかおかしな表現で一方的録音垂れ流しの見るからに怪しい宣伝・意見が増えてきました。
このコラムでは以前から米国の対日戦争犯罪など糾弾してきましたので、同様意見が一般化するのは心強いとは思うものの、ロシアや中国筋による日米分断目的の宣伝活動によるとすると安易に喜んでばかりでいられません。
12月22日ころに戦後安保論争で書いたように、アメリカの戦争犯罪や占領政治批判不満があるということと、日米離間して残虐な中国支配下に入って良いかは別問題です。
ネットで氾濫している米国批判の思想傾向は、ロシアの策謀という印象の主張中心でいわば見え見えの拙い表現です。
これがアメリカだとなぜ成功し、唆しに応じてピザ店だったかを襲撃する人が出るか?ですが、(単細胞が多いだけではなく)直感的に言えば言語環境の違いも大きそうです。
https://www.gizmodo.jp/2016/12/gunman-arrested-at-dc-pizzeria.html

嘘ニュース信者が卓球ピザ屋をライフルで襲撃
2016.12.07 18:28
「ヒラリー・クリントンが選対本部長と卓球ピザ屋で児童人身売買のシンジケートをやっている!」という、大統領選中の虚報を信じ込んだ男が日曜、店に自動小銃を持って押し入り威嚇発砲しました。
調べに対し男(28)は、「真相を究明してやろうと思った」などと供述しているとのこと。最後は手をあげて投降したため、けが人は出なかったんですが、恐ろしいですねぇ…。

米大統領選挙時のフェイクニュース関連では、上記襲撃事件とは関係ないかもしれませんが、マケドニアだったかの青年が小遣い稼ぎでやっていたような動画が流れていましたが、日本に長年居住している中韓人や欧米人の流暢な日本語と言っても、「テニオハ」がおかしい人が普通です。
その程度のおかしな日本語でも、日本人はある程度理解できるので普通に対応しますので、本人や同国人は完全に日本語ができるようになっていると誤解しているのでしょうが、同国人同士では本当の日本人との違いが分からないからでしょう。
米国の場合移民出身者が多い結果、ある程度単語の間違いがあっても気にしないし、出身国別の米語のトーンや発言がおかしい程度では気にならない環境があると思われます。
表現方法も日本人ならこいう露骨な言い方はない・・「婉曲な表現にする」など細やかなニュアンスの違いがありますが、ちょっと日本へきたことがある程度の外国人には高度な表現方法が簡単に身につきません。
ロシアによるフェイクニュースの援助で、当選できたと思われている(だけで真相は闇ですが・・)トランプ氏が逆に大手メデイアをフェイクニュースと罵って罵倒しているのは真逆の印象ですが、嘘も100回言えば本当になるという実験でしょうか?

異文化尊重と人権5(国内法の国外適用1)

国外犯処罰の刑法原理を殺人等の重大犯に限定せず「主権国家の自由勝手」という主権絶対論によって、自制心なく金融取引法違反その他の法令違反にまで徹底すれば世界が成り立ちません。
タイでのワイロ要求に応じた企業社員が不正競争防止法違反で検挙された事例を年末(12月26日)に紹介しましたが、枢要な国策に限定すべき範囲が広がりすぎたのが最近の風潮ではないでしょうか?
人権を守るためには相手の人権も尊重する必要があって、人権とさえ言えば絶対的効力があるものではありません。
道路は自由に往来すべきものですが信号で譲り合いスピード制限も必要ですし、車は危険なので一定の性能保持や運転技術が必須です。
表現の自由といっても相手にも表現自由があるので、ののしる(誹謗中傷名誉毀損の)自由は制限されます。
「人権運動家は自分の主張が唯一絶対なもの・・」と言いたがる傾向・・・自制心が足りないのではないでしょうか?。
世界中がアメリカの真似をして同じような法適用をしたら、「万人の万人に対する闘争」と同じようになり兼ねません。
自分がどこかの国と貿易しないと決めるのは勝手ですが、それを世界中の国に強制する・上記のように他国間取引にまでアメリカ法の適用をする・・のは行きすぎでしょう。
トランプ氏は、TPPに始まってこれまで積み重ねてきたいろんな国際協調をかなぐり捨てて「アメリカンファースト」というのですが、自国権益を守るために敵対国との貿易をやめるだけではなく周辺諸国に協力を求めるならば、協調に対する仁義を守らないとどこの国も協調したくはなりません。
しかたなしに強制力行使に頼るとすれば、むき出しの暴力に頼る暴力団と変わりません。
「国際ルールを守らない国に対しては自分も守らない」と宣言するのは合理的です。
話せばわかるといっても銃乱射するような相手には、こちらも銃で反撃するしかないこういう人や集団が来た時のために警察力・自衛力・いざという時の防災準備は必須)のと同じですが、(頭にきたから)「俺も周辺の誰彼無しに無差別銃撃する」と宣言すれば自分も銃撃犯と同レベルになります。
中国の国際ルール違反をとがめ立てるペンス副大統領の意見は至極もっともですが、これを実践するべきトランプ政権の行動を見ると、国際慣習法や道義を守ってきた国相手にも、これまでの国際協調枠組みを守らない?で対中国同様の高関税脅しをかけるようになるのでは、銃撃犯同様で正義の基準がありません。
これでは米国ヘゲモニーの挑戦者として浮上してきた中国たたきをしているに過ぎないとしか、世界から見えないでしょう。
ペンス副大統領の演説はトランプ氏の拙劣さ(エゴ丸出し)を正義の装いで取り繕うためのものでしょう。
トランプ氏の言動を見ていると新たなルール構築する意味ではなく、自分も海賊や山賊の仲間にはいるという宣言でしかなく、これでは世界は無法状態に陥ります。
アメリカも中国も自分の国の法律を守るようによその国に強制するが「よその国の法律は受け付けない」という身勝手な主張です。
いわば「属国になれ」というに等しいでしょう。
そもそもグローバル化反対論が勢いを増したのは、ソ連崩壊後アメリカ一強になったのに気を良くして、アメリカのゴリ押しが進みすぎたのを見て、ロシアや中国が正規軍では勝てないので(サイバーテロ等により)裏口から、国連人権委員会等への浸透工作をかけてアメリカの「綺麗ごと」PCの逆利用を図ってきたことによります。
先進国の綺麗事・人権運動を逆利用してユネスコや人権委員会等を根城にして逆に先進国批判を進めるようになった結果、先進国自体が綺麗事の自縄自縛に陥り始めた不満が出てキア長に思われます。
18年12月26日頃に紹介したように国外犯処罰の法原理は枢要な国策違反だけでしたが、どこの資金によるか不明ですがNGO等により枢要な法令違反か否かではなく、労働法規、環境基準、衛生基準にまで先進国基準を機械的に当てはめ先進国基準違反摘発運動が広がった結果・・(中国企業は問題にならず、先進国企業だけ批判されてしまうなど・・)むやみなお節介をしすぎたとがめ・逆利用されるようになった不満です。
いわばこれまでアメリカが、CIAなど諜報機関を利用して違法に相手国の世論工作をしてきたことをロシアや中国がサイバーテロ方式で大規模にやり返したことに対する不満です。
ロシアによる米国世論操作の実態が次々と暴かれているように、「近年のグローバル化批判は強権国家による先進国の世論分断の試みが成功しているもの」と評価することが可能です。
中国によるサイバー攻撃も半端ではありません。
いずれも民主主義国家に批判される強権支配国家ですが、彼らにとっては自国内政批判ほど怖いものはありません。
国内強権=人権蹂躙批判を繰り広げる米国民主党政権を倒すために、選挙に向けていろいろなフェイクニュースを繰り広げてきたことが分かってきました。
ただし、私の知識源は大手メデイアによる一方的宣伝を前提にしたものですから、真相は歴史判断によるしかないでしょう。
そのつもりでお読みください。
12月24日日経新聞朝刊6pオピニオンでは元米国安全保障局長などを歴任した人物によると、

「中国よるサイバーテロの1方法として、「環境先端技術を持つ米企業のシステムに侵入して受注事業の施工に必要な資材発注を15%s苦なく操作し、極端に数字を低く改ざん生産計画を狂わせた。
この会社の株価が大きく下落した時に買収を仕掛け、安くその技術を手に入れた」

例が紹介されていました。
政権維持のためには民族丸ごとシベリヤ強制移住させたソ連や現在中国のように犯罪者でもないのに、法輪功信者という理由やウイグル族を異民族というだけで収容所に送り込み、収容者から販売用臓器摘出などが横行している社会と言われます。
日本の人権団体は、日本大手企業の中国下請け工場の先進国基準の労基法違反や、衛生基準以下の摘発などよりも、こうした重大人権侵害こそ(国ごとに違って良い基準をはるかに超えています)告発すべきですが中国の人権侵害には無関心のようです。

異文化尊重と人権4(知財強奪戦略)

マック騒動など連続した品質騒動が中国政府の意図的行動米企業に対する締め付け戦略によるとすれば、これらの法制度的仕上げが外資に知財提供を強制する法令の制定でしょう。
https://www.ngb.co.jp/ip_articles/detail/1642.html

2018年米中貿易摩擦の焦点、「強制的技術移転」政策とは — 「自主創新政策」摩擦への遡り
2018/12/20
・・・・・
自主創新を実現するための政策とは、「政府調達規則」、技術標準化政策(特許取扱い規則)、独占禁止法、ハイテク企業認定規則、特許法(改正)など、さまざまな分野にわたって展開されており、2009年辺りからそれぞれの具体的規則案が明らかになるにつれ、その強気の姿勢ゆえに(「中国市場にアクセスしたいならば、あなたの技術・知財を開示・提供してください」といった「強制的知的財産移転」タイプの要件が含まれている)、2006年の発表当時はさほど注目されなかった自主創新政策が、俄然注目(警戒)されるようになりました。
・・・・中国政府向け調達品は1兆ドルの巨大市場になっているといわれています(政府機関だけでなく、国有企業による調達も含む)。米国をはじめ多くの外資系企業がこの巨大市場の開放を求めているわけですが、すでに2003年に施行された政府調達法が自国製品、工事及びサービスを優先的に調達することが明確に規定されているなど、もともと外資系企業にとってはハードルの高い状態が存在していました。
・・・・・
そのような環境の上に、さらに自主創新政策に基づき、中国の特許・商標が使われた製品を優遇する旨の規則案が出されてきました。
例えば2009年に開始された自主創新製品認定制度では、政府調達品として優遇を受ける条件として、(1)認定申請人の製品は「中国の知的財産とブランド」を所有していること、(2)申請人は、かかる中国知財を合法的に有する中国企業・団体であること、(3) 申請人によるかかる知的財産の使用、取扱、二次的開発は、外国企業とは完全に切り離されていること、(4)申請人が対象製品の商標を所有しており、その商標の最初の登録場所が中国であり、外国ブランドとは切り離されていること、が掲げられていました。

上記の通り2009年頃には、日本企業で言えば知財があれば中国合弁企業の権利にしないと操業許可しない・・高度部品も現地生産現地企業特許にしないと参入できない露骨な制度になっていたのですが、こういう理不尽なことが報道されるようになったのは(私が知らなかっただけかも知れませんが)まだ数年〜4〜5前頃からではないでしょうか?
尖閣諸島問題では、中国漁船が海上保安庁の巡視船に自分から体当たりして来たにも関わらず、民主党政権がこの事実を公開できず、義憤に駆られた保安庁職員が私的に映像公開してようやく国益を守れた事件が知られていますが、日本(メデイア)は不満があっても正面切って文句を言えない弱い立場であったことが今になると分かります。
年末から日韓関係の新たな火種になっている韓国軍艦艇による日本の哨戒機に対する攻撃用レーダー照射事件については、日本政府は「上記教訓を踏まえて」直ちに公表し、韓国がこれを否定すると追加して動画も公開しましたが、相手が弱小国だから遠慮なくしているに過ぎないとも言えます。
中国の自分勝手な行動をトランプ政権になってようやくアメリカが問題にし始めると日本メデイアも追随して公表始めたようです。
ここ数年グローバル化に疲れてきた人の反発が強くなっていますが、これを受けたトランプ政権誕生以来自国主義の主張が世界的に顕著になってきましたが、・・これまで人道主義などの理念先行で、各民族の発展段階や国情・歴史の違いを無視しすぎる傾向が強すぎたことが反発を生むようになった基礎的原因ではないでしょうか?
お互い主権尊重で、その国での行為はその国の法律や運用基準で運用するべきではないでしょうか?(行為地法の原則)
ファーウエイの副会長逮捕事件で知られるように、アメリカンファーストといいながら米国は、自国法で禁止したことを諸外国の企業等が自国内で違反していないニコ関わららず・・諸外国内で米国法違反を行っただけでも(イラン制裁に違反した企業は米国内での金融取引禁止)米国の法律違反を理由に金融制裁など行うことができる仕組みです。
いわば国内法を世界中に適用するが、自然人の場合身一つなのでよその国で米国法に反しても合法的に逮捕できない(CIAが非合法に暗殺などしていた?)ので、米国内に来た時に逮捕するしかないのですから、それほどの害がありませんでした。
日本の刑法を年末に紹介しましたが、例えば日本国民に対する殺人犯は国外犯でもニッポン国内にきたときに処罰できますが、殺人犯は世界中どこでも処罰される自然犯なので世界的軋轢をおこさないのです。
環境や労働法規、金融、建築その他各種規制は国によって違いますし、まして国際紛争解決手段としての規制法・・A国がB国を処罰する法令の場合、C以下の諸国が同調するかどうかは保障の限りではありません。
世界企業の場合、自然人と違い分身が世界中にあるので、エジプトにある企業子会社がイランと取引しても米国に所在する事業所を処罰できる形になると、事実上力のある国の政策とその企業本国政策と矛盾する場合、弱い国に所在する企業は、世界中で市場支配力のある国の法令に優先的に従うしか無くなります。
例えばある企業のアフリカや中国での生産でアメリカの環境規制や労働規制に違反している場合「アメリカ国内での販売禁止あるいは、後進国の企業トップが訪米した時に検挙される」となれば、後進国でも米国基準に合致した工場や最低賃金を払うしかなくなります。
ココまでで行くと主権って?何だ?となりますので重要な国策以外には発動しないで自制するのが現実的運用ですが、原理論的に徹底すれば国外でも麻薬売買など許すべきではないとか売買春を許すなとか、言い出せばすべてその国の法律違反=その国の道徳基準ばかりです。
例えば、アラブの人がくれば、一夫一婦制に反している他女性の車運転禁止、スカーフ着用強制などの女性差別・・カトリック教徒が離婚を禁止しているのは憲法違反だとか言い出したら収拾がつかなくなるに決まっています。
日本人がアラブに行けば、日本国内でアラブの法律違反している(例えば豚肉食禁止の法律がある場合)ことを理由にいきなり検挙され、アラブの男性や王族がくればアラブ国内での女性差別で日本で処罰されるとなれば、どうなるでしょうか?
アラブでは王族は処罰対象でないとすれば、それも日本憲法の法の下の平等違反で問題外の主張になります。
貧困国で児童を学校に行かせずに働かせていれば、日本基準・人権尊重運動家からいえば児童虐待・・児童保護法違反で、軽い罪ではないでしょう。
貧困国の成人がきた時に児童虐待で処罰しろ言うのでしょうか?
このように「自国の法律を国外のひとが、国外でも侵してはならない」とすれば蜂の巣を突つくような混乱状態になります。

異文化尊重と人権4(国際標準3)

排ガス規制や建築あるいは保健衛生規制その他いろんな規制がありますが、それらは原則国内での違反規制であって国外で日本法違反建築をしても日本の建築法規違反や、排ガス規制処罰対象ではありません。
よその国で日本の建築規制に合わない(例えば耐震基準)建築工事しようとその国の耐震基準で適法であれば良いことです。
労働法規も国民を守るための法制度ですから国ごとに違って良いことですし、上記の通り各種規制法は皆同じですが、(殺人行為はどこの国でも処罰されますが、本来国ごとに別で良いのですが、殺人や泥棒などはどこの国でも処罰の必要性が同じになっているというだけの結果であって、だから処罰程度(死刑のある国や鞭打ち刑のある国など)や刑罰程度も国によって違います。
国外で日本の労働法基準以下(日本の最低賃金以下など)で雇用すると不正競争になるのかな?
不正競争という概念は広いので何でもなりそうですが刑事罰対象にするには、「不正行為」というだけではなく具体的な要件事実を法に書いてあるものだけが処罰対象になるはずです。
よその国で日本の残業規制や最低賃金以下の過酷?労働批判は国外処罰規定までは同法にないと思われますが、これを強力に批判するのは実質的競争阻害運動になります。
不正競争防止法を念のために見ると外国公務員に対する賄賂罪が規定されていますが、労働法規違反や低賃金や非衛生などの処罰規定はありません。

不正競争防止法 (平成五年法律第四十七号)

(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)
第十八条 何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その外国公務員等に、その職務に関する行為をさせ若しくはさせないこと、又はその地位を利用して他の外国公務員等にその職務に関する行為をさせ若しくはさせないようにあっせんをさせることを目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
以下外国公務員の定義等省略

現地の環境・労働法規その他の各種法規を守っていても日本国内法規あるいは国内価値水準に適合しなければならないのでは、(環境汚染や汚職その他やり放題・・規制のゆるい中国等新興国では、)日本企業の発注先企業にのみ先進国基準を要求するのでは、競争上ものすごく不利になります。
ただし、今や親企業だけではなく子会社の道徳違反や環境無視も親企業の価値観の表れとして批判される時代になっている事実は受け入れるしかないでしょう。
そうでないと汚れ役を現地企業や子会社を作ってそこに押し付けて大手企業は綺麗事を言ってれば良い事になります。
国内法で言えば産業廃棄物違法投棄頻発が社会問題になって以降、産廃法では、末端の怪しげな業者に丸投げによる責任逃れを防ぐために途中どの業者が関与したかに関わらず、(マニフェスト・インボイスが連続していても)違法投棄が発見されれば、排出元・・建築業者等がその虚偽記載に関与していなくとも最終責任を負う仕組みになっています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)(昭和45年12月25日法律第137号)

第十九条の六 前条第一項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者(当該産業廃棄物が中間処理産業廃棄物である場合にあつては当該産業廃棄物に係る産業廃棄物の発生から当該処分に至るまでの一連の処理の行程における事業者及び中間処理業者とし、当該収集、運搬又は処分が第十五条の四の三第一項の認定を受けた者の委託に係る収集、運搬又は処分である場合にあつては当該産業廃棄物に係る事業者及び当該認定を受けた者とし、処分者等を除く。以下「排出事業者等」という。)に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。

要するにマニフェスト等の書類完備があっても、実はそのマニフェスト記載が虚偽(正規の処理場へ搬入していなかった場合=文書偽造?)、ゼネコン等排出者にはそれを見抜けなかったことに過失がなくとも(有名な豊島事件では原告側は、排出者は処理業者委託に際しての慎重な調査義務があったなどの管理責任を問う法律構成で訴訟に持ち込み和解に至ったようです。)上記事件のように過失を認定しなくともこの条文で「支障の除去等の措置」命令を出せることになっています。
「支障の除去措置命令」とは違法に投棄された産廃の除去命令です。
何年かのちに途中の山林に投棄されていることが判明すると何も知らなかったとしても排出元に最終責任が来るのですから、建築業者等は日頃から信用できる業者に発注するように心がけるしか無くなります。
また経済的にも大手の場合、連結どころか関連企業の不祥事が命取りになる例が出てきています。
日本のバブル崩壊後の金融危機の回顧記事が最近日経新聞でシリーズ的に出ていましたが、1週間ほど前だったか?長信銀の 元副会長だったか?の回顧記事で本体は危機ではなかったが、子会社に問題があったことの発見が遅れたような意見が出ていました。
昨年あたり大騒ぎになった東芝の(倒産騒ぎ?)問題も、結果から見れば米国のウエスチングハウス社を買収して子会社に取り込んだところ、その会社の大幅赤字が屋台骨を揺さぶる結果になったものです。
フェイスブックの信用ガタ落ちの始まりは、研究資料として個人情報利用を許したロンドンの研究者がロシア関連に情報を横流しして選挙介入に利用された疑惑がその始まりでした。
それが今や、アップルやアマゾン、マイクロソフトなど大手企業にも個人情報を利用させていたことが判明しているらしいです。
(日経新聞12月27日朝刊6p Financial Taimesのコラム等の転載記事によります)
フェスブックの不祥事はミスではなく意図的?経営者の金儲けになれば、個人情報保護など気にしないという意識も問題というステージに発展しているようです。

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