昨今の人口論(と言えるかなあ?)を見ると、人口増又は現状維持を当然の前提にして、(どのくらいの人口が良いかについて何も議論しないで)現状維持に必要な2、07を切ったことばかり騒いでいる議論しかマスコミに出ていないことが分ります。
まじめな研究や議論もあるかも知れませんが、マスコミやネットでは見当たりません。
人口を論じる以上は、我が国の人口はどのくらいが適正かの議論を先にして、その上で、現在の平均寿命(と将来予測)下でどの程度の出生率を維持すれば人口がどの辺に収まるかの研究の優劣・議論が先にあるべきです。
その上で、そのターゲットに向けた人口調節をどうすべきかの政策議論に入って行くべきでしょう。
これが全くないまま、最大に延びきった人口(2005年・1億2776万人)を当然の前提に、人口減少を悪・・大変なこととする明治以来の「人口こそ国力の源泉」とする思想を暗黙の前提とするムード的宣伝ばかりでは、国の将来を誤ることになります。
私の親世代や私の世代はみんな5〜6人の兄弟が多く、いわゆる生めよ増やせよのねずみ算式人口増加時代を繰り返して・・1955年には誰でも知っているベビーブーマー時代を経ているのですが、上記の通り1955年頃にも我が国では、8867万人しかいなかったのです。
明治維新当時の人口約3000万を適正とすれば、まだまだ増え過ぎた人口を減らして行く必要がありますし、1955年の8867万に戻すだけでも前回紹介した研究でも今後50年もかかるのでは、その間にどんどんたまって行く余剰労働力の行き場に困ってしまう筈です。
人口数では減り始めているのですが、労働需給に関しては、定年延長・高齢者雇用促進策、女性の労働力化の進行(子を産まない女性の増加も含めて・・)があって、人口全体の変化とどう関連しているかが重要です。
以下はhomepage2.nifty.com/tanimurasakaei/roudou.htm -のデータのコピーですが、2000年以降は推計とのことです。
これによると、2005年以降は年間30〜25〜20万人減の推計ですが、そのとおりになっているかどうか、仮にそのとおりであったとしても30万人減程度で国内生産縮小のピッチに間に合っているかの問題です。
注:( )内は構成割合。資料:1990(平成2)年、1997(平成9)年は総務庁「労働力調査」
2000(平成12)年以 降は労働省職業安定局推計(1997(平成9)年6月)
「『65歳現役社会』の政策ビジョン-構築のためのシナリオと課題-」(労働省発表)