仮に20年間で600万人減らしたとすれば、1年で一斉に解雇した場合に比べて毎年膨大な社内失業者・・国内潜在失業者を抱えて来たことになります。
これが日本企業の業績低迷の原因でした。
日本の場合、赤字輸出まではしていなかったとしても、利益率が極限まで下がった形でも雇用維持のために社内失業を抱え込んでいるしかなかったとなれば、その他分野を含めた企業全体の利益率を下げてしまうことになります。
日本全体では、毎年膨大な海外投資・・海外進出をしているので、この海外投資分だけこれに遅れて同一製品の輸出用(最近では海外子会社からの逆輸入さえありますので内需分まで食われつつあります)国内生産能力が過剰化し、遅れて雇用需要が縮小し続けています。
海外生産移管の動きがいつ止まるか・・移管してすぐに解雇しないで少しずつ減らして行くので生産移管が止まってから5〜6年間は労働力過剰が続くことになります。
海外生産移管のマイナス影響が止まったところで、労働需給が均衡状態になるのでしょう。
毎年どの程度海外進出しているか・・・その分に比例して輸出が減り国内生産が減っていくので気になるところです。
以下は、http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20140627.html「勝又壽良氏の経済時評」からの引用です。
「中国捨て米国へ向かう
日本の対外直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー、100万ドル)
2010年 2011年 2012年 2013年
米国 9016 14730 31974 43703
中国 7252 12649 13479 9104
韓国 1085 2439 3996 3296
アセアン8930 19643 10675 23610
資料出所:ジェトロ
上記データによると海外進出が止まるどころか拡大傾向→国内生産縮小→雇用減少が続く状態にあることが分ります。
欧州とアフリカや中南米を除いた分だけでも、日本は2013年には、約800億ドル弱の海外投資をしています。
13年の投資は円安になる前からの計画実行でしょうから、円安効果でどうなるかはまだ分りません。
2010年から見ると毎年ドンドン増えていて、まだまだ終息するどころではありません。
昔はこれがみんな国内再投資に向かっていたので、高度成長が続いたし、国内設備もピカピカで国際競争力があったのですが、こんなに巨額の再投資資金が毎年海外に出て行ってしまうようになると大変です。
個人で言えば稼いだお金をみんな妾宅につぎ込んでいるようなものですから、本宅の母屋が雨漏りがするなど古びてしまうばかりです。
生産工場で言えば、新規工場資金にばかりに売上金をつぎ込んでいたので、本社工場設備が古くなって来たと言うところでしょうか?
後記紹介するホンダメキシコ新工場で言えば、最先端最新鋭工場を造ったとの会社説明が載っています。
日本企業は従来世界最先端設備で世界競争に勝って世界に輸出していたのに、人件費その他が高コストのために最先端機器による歩留まり差くらいでは海外競争に勝てなくなってしまい、最先端機器の工場自体を海外に造るようになって久しいのです。
このような動きが10年ほど前から続いていますので、車に限らず日本国内生産の方が設備が古くなって海外工場製品より効率が悪くなりつつありますから、(人件費が仮に同じでも)輸出競争に負ける・・車の輸入国に転落してしまうのは時間の問題です。
実際に大分前から日産その他いろんな企業がタイ等で作った車やその他製品を日本に逆輸出するようになっています。
海外工場建ち上げによって輸出減→それまで輸出していた国内生産能力過剰の繰り返し→逆輸入の始まりになっていたのですから、国内投資が冷え込むのは当然です。
短期資金=海外株式市場等での株式や債券売買と違って長期投資の海外投資は、工場進出等が中心ですから、3〜5年以上前からの用地買収その他海外進出計画とこれにあわせた国内生産縮小計画が必要です。
2010年ころに投資を始めた資金で(土地買収から始めると)今年当たり竣工完成→稼働と言うところが一杯あるでしょう。
昨年来の円安程度では、イキナリ計画変更できませんので、数年前から動いている現地進出計画がなお進みますので、円安にかかわらず海外進出の動きが止まらない→輸出減少傾向が続くのは仕方のない結果です。
今年になってからでも、ホンダが、アメリカ輸出分を全量海外立地が完成→北米向け国内生産全廃(部品の現地調達率も90何%)が進んでいると報道されています。
ホンダ自体の発表では主要基幹車種と言う表現で分り難いですが、新聞では「北米向けがほぼ全量移管」と報道されていた記憶です。
http://www.honda.co.jp/news/2014/c140224a.html
2014年02月24日
メキシコ新四輪車工場が稼働開始
新工場での新型フィット生産開始により、Hondaはサブコンパクトカーからライトトラックまで、北米で販売する主要クラスの基幹車種を北米地域内で生産することになります。これによって、北米における事業基盤のさらなる強化を図っていきます