その後の報道では石原氏が国会採決では党議に従うと言っていることからみると、マスコミの内紛期待に反して決め方に対する大人としての批判だったのではないかと解釈できます。
維新の会は、維新の市議会議員が何かの議案に造反したので彼らを除名したことで、市議会多数派でなくなり今回の決裂・・市長辞職再選挙に至ったことが報じられていました。
幅広い支持を受けた一定規模以上の政党の場合、テーマごとに何人かの反対意見があるのが普通ですから、粘り強い説得ではなく賛否が割れる都度多数決で決めてばかりいると、その都度反対者の全員とは言わないまでも一定割合の数が造反したり離党したりして離れて行きます。
多数決で決めるということは、粘り強い説得を放棄したこと・・一種のけんか別れを意味しています。
石原氏の意見・・多数決こそ民主的という意見から見れば多数決で決めることに不満を述べるのは時代遅れと批判することも可能ですが、どこまで透明化するべきかと言う意味では考えさせられるニュースでした。
透明化=多数決という図式の賞讃は単純・幼稚過ぎるでしょう。
維新としては原発推進反対の党是にかかわることですから、理念論で決められるから多数決で決めたのかも知れません。
消費税軽減をどの範囲まで認めるかの問題になると理念による線引きよりはサジ加減になって来るので、理念の違いや優劣による基準造りが難しくなります。
政権党では理念的には共通で同レベルで競合する利害対立が生じることが多いのですが、この解決を公開の場で多数で決めることは不可能・・しこりが残るだけです。
維新は党の歴史が浅いのでこうした智恵がないのか、それとも新たな挑戦となるのか分りません。
国内政治でもいろんな決定は公開協議があっても、ある程度まで行けば最後は幹部による密室的協議で譲り合って決めて行くしかないのが普通です。
いろんな会議ではある程度対立的な意見交換した後で、「ココまで言ったのであとは正副議長・あるいは正副委員長/常任委員会の協議で決めて下さって結構です」となることが結構あります。
山中貞則氏が牛耳っていたころの自民党税調のインナーが有名でしたが、3月16日の日経朝刊では従来自民党総務会ではこうした決め方だったのが、総務懇談会を立ち上げたので官邸に対する党・総務会の発言力強化になりつつあると紹介されています。
外交交渉では、今は少数派だから公開するとパッシングされるが、将来これが良かったと言われるのを期待している信念の政治家がいてもおかしくありません。
沖縄返還交渉で言えば、一定の密約がなければ沖縄が返らなかったとすれば、核持ち込に厳しく対応しないという程度の密約がもしもあったとしても、その密約に応じた結果沖縄が日本領に戻ったのだとすれば、結果的に国益に合致していたと理解する人が多くなっているのではないでしょうか?
今では米軍の核兵器持ち込みどころか、米軍の核のカサは当てにならないので,日本独自に核武装すべきだと言う意見すら増えている時代です。
横須賀港に入港する原子力潜水艦に核搭載しているか否かなど予め検査して公表するのは軍事機密上不可能なことですし、入港前に核兵器を取り外すなども非現実的ですから、日米安保の必要性を認める以上は密約というより事実上黙認するしかないのが現実です。
そもそも核のカサの提供を期待している以上、米軍が核兵器を持って来ていること自体許さないという主張が矛盾しています。
この程度のことでも絶対反対・・無条件返還以外の沖縄返還を拒否していたグループには、現実的政治感覚がなかったことが今になると分ります。
本土並みの全面返還を受けずに大量の基地を残して返還を受けたのは、沖縄に犠牲を強いるものだという批判論調がマスコミには今でも多く見受けます。(マスコミの意見形式ではなく沖縄人の意見として頻りに紹介されます)
「全面的に本土並みでないならば、米軍支配下のママの方が良い・・日本復帰を求めない」と言えば、沖縄が返って来なかったし、今以上にアメリカは今のグアム島のように自国領土である以上は何の遠慮もなく基地を自由に使用していたでしょう。