中韓大卒就職難(大卒過剰)2

先進国(OECD)からの移民の多くは、政治難民というよりは、より良い職を求めての移動が中心ですから国内就職難が基礎事情というべきでしょう。
能力に応じた職場不足による場合、職を求める外国移住願望が強まるし中高年以上の人の仕事がなくな(劣化す)れば(外国移住能力にも無理があるので)自殺(この世からの脱出願望)も増えるでしょう。
一般的には同じ能力の医師、運転手、学校教員、トラック運転手等々がABCDの国の賃金が自国時給より5〜10〜15〜20〜25割の順で高いとした場合、言語、習慣の違い等々のマイナス要因を考えても、倍率の高い国から順に知らない国でも働きに出ようかという人増えるでしょう。
先進国同士で言語共通、生活習慣に大差ない(英語圏同士など)場合には、倍率が低くてもそれほどのハードルにはなりません。
国内で大坂や福岡の人が東京に転勤になっても、ハードルが高くないのと同じです。
逆に東京生まれの人が地方転勤や就職のあてもないのに地方移住するにはハードルが高いので、企業誘致同様で、若者を地方に呼び込むには営農支援相談体制など受け皿準備が必要です。
韓国から日本就職の場合、同胞が多く生活に必要な情報が多く(言語相違の不都合緩和)安心でしょうし、最短距離・航空機で九州の場合1時間足らず?で移動可能ですから、その点の気楽さもあるので単価2〜3割違いでもより先進国のイメージの強い日本への磁力が強いでしょう。
まして年末がきても未就職率3割=ゼロ収入で親元で鬱々としている状態から日本大手企業就職との格差でいえば、何百倍の格差の磁力でしょうか?
考えようによれば、ソウールの学生が日本企業に就職活動するのは大阪の学生が東京の企業に就職活動する程度のハードルでしょうか?
ところで、韓国経済好調のデータが正しいとすれば、なぜ若者の就職先が足りないのかの疑問ですが、GDPのアップも一人当たり所得増加も正しいが、産業構造と大卒や院卒の就職先が合わないというミスマッチ説に説得力がありそうです。
https://www.recordchina.co.jp/b668339-s0-c20-d0127.html
引用の続きです。

早稲田大学の朴相俊(パク・サンジュン)教授と韓国銀行(BOK)のキム・ナムジュ副研究委員は5日に発表したBOK経済研究の報告書「韓国と日本の青年失業比較分析および示唆点」で「韓国の若者の失業率が日本より大幅に高いのは、良質の雇用が不足している上に大企業と中小企業間の賃金格差が大きいことに起因しているとみられる」と指摘。大・中小企業の賃金格差拡大といった労働市場の二重構造化が若者の失業率増加につながるものとの分析だ。
統計庁の調査から、韓国の50人未満の中小企業の平均賃金は大企業の55%にすぎないことが分かっている。一方、日本は過去20年間、中小企業の賃金が大手企業の賃金の80%水準を維持しており、大卒初任給の場合は90%を上回っているという。
研究チームはこの他にも、経済成長率の下落、進む高齢化、パートタイム労働者の比率の上昇、低賃金労働者の比率などが複合的に作用し合って韓国の若者の失業率が増加し続けていると指摘。「韓国も労働市場二重構造の緩和、良質な雇用の創出など長期的かつ構造的な問題の解消のために持続的に取り組むべき」とし、「日本の政策事例を参考に、短期的な若者雇用ミスマッチ問題を解決するための対策も推進しなければならない」と主張したという。

https://japanese.joins.com/article/580/248580.html

韓国の大卒3人に1人は未就業者…2011年以降最悪
2018年12月28日09時27分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

景気不景気に関係なく受け皿・需要無視で大卒等を増やしすぎたが、受け皿がないので日本に溢れ出している?
統計の妙(からくり)?で失業にカウントされなくとも、年末が来てもまだ実際には3割の未就業者がいる・これが現状のようです。
需給関係を見ないで大学急増政策って国家運営者としては、無茶過ぎますが・・。
この辺の事情は中国も同じです。
悲願の日本に追いつけ追い越せ・・日本の近代化成功が国民皆教育によるところが大きかったことを学んだでしょうから、国民皆教育制度確立が先決だ多tでしょう。
いわゆる中進国の罠に陥いる例が知られるようになると、工場労働者レベル養成にとどまらず大卒の数が重要という意識が高まり大学の一挙急増になりました。一方で科挙以来の格差社会に苦しめられて来た国民大衆が、生まれにかかわらず学費さえ出せれば大学教育を受けられるようになった・・近代化開始で国民の家計に余裕が出た階層では(子供の能力次第ですが・・)その資金を優先的に学費に優先的に注ぎ込む人が増えます。
日本のようには卒職場が増えるにつれて、進学率が徐々に上がったのとは違い、政府は今後必要という思惑により国民は子供を学士様にさえすれば、ヤンパンになれる、士大夫になれるという願望と需給が(大学急増政策段階までは)一致したのでしょう。
しかし数%でなく同世代の半分も大学に行けるようになれば希少性が下がるのは理の当然で、大学にさえ行けば、みんながエリート・管理職になれるわけがないのも理の当然です。
また新興国の場合、国内に製造工場が大量立地したとしても自分たちの工夫して工業化したのではなく、先進国から完成した工場設備一式の導入ですから、自国にはこれといたt研究所もな区仮にあってもわずかであって、先進国が長年かけて徐々に増やしてきた学卒や大学院卒をいきなり大量供給してもそれに見合った需要があるわけがありません。
学卒さえ増やせば需要が後から追いつくと見たのでしょうが、その間の学卒の職業をどうするかの展望がなかったようです。
小泉改革で、公認会計士や弁護士などの数倍増政策が実行されましたが、弁護士や会計士さえ増やせば需要が増えるわけがないので今になってその咎めが出ています。
韓国文在寅大統領が、国民所得底上げ政策として最低賃金を連続引き上げた結果、零細自営業やサービス業等では採算割れのための廃業が激増して雇用不安が起きていますが、経済の動きを無視して政治が権力で介入するとおかしなことになる実例です。

中韓大卒就職難(大卒過剰)1

中韓大卒就職難(大卒過剰)1

日本に追いつけ追い越せ、そのためには大卒の数が重要という国家運営者の短絡発想と科挙以来の格差社会に苦しめられて来た国民大衆が、生まれにかかわらず学費さえ出せれば大学教育を受けられるようになった・・子供を学士様にさえすれば、ヤンパンになれる、士大夫になれるという願望に火をつけたからではないでしょうか?

https://jp.reuters.com/article/southkorea-jobs-kmove-idJPKCN1SL05O

2019年5月15日 / 11:26 / 1ヶ月前
焦点:韓国が輸出する「大卒無職」の若者たち、日本も受け皿
過去にない深刻な就職難に見舞われている韓国の若者たちは、外国企業への就職をあっせんする制度に登録するようになった。アジア第4の経済規模を誇る韓国で、就職できない大卒者の急増に対応するため、政府が主導するプログラムだ。
「K─move」など国が運営するこうしたプログラムが、韓国の若者を70カ国の「質の高い仕事」に結びつけようと展開されており、昨年は5783人の大卒者が海外で就職した。これは初年度だった2013年から3倍に増えた。
このうち約3分の1が、日本に就職。失業率が26年ぶりの低水準に落ち込む日本では、歴史的な水準の人手不足が進行している。また、ほぼ半世紀ぶりとなる低失業率を4月に記録した米国での就職も、全体の4分の1に達した。

韓国ではGDPが本当に上がっているのか、景気が良いのか、サムスンがどんなに立派かという点の真偽は別として大学生の国内就職先が足りず大変な状況にあることは、日本企業への就職を13年から=6年も前から韓国政府自身が補助金を出して奨励している事実から明らかです。
これは自国が嫌になった人に対する、国外脱出目的の就職の推奨ではないでしょうから、就職先不足によることは事実でしょう。
https://www.recordchina.co.jp/b668339-s0-c20-d0127.html

2018年12月5日、韓国・聯合ニュースは「韓国20代の失業率が日本の2倍以上になった」と報じた。
記事によると、韓国の昨年25~29歳の失業率は9.5%で、日本(4.1%)の2倍以上を記録した。20~24歳の失業率も韓国が10.9%、日本が4.7%だったという。

日本失業率が4%もあるかな?と思って日本政府統計を見ると以下の通りです。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
労働力調査(基本集計) 平成31年(2019年)4月分 (2019年5月31日公表)

日本全体で2%程度は退職→求職期間中の緩みで仕方ない・ほぼ100%完全雇用ということでしょう。

ただし、上記は日本全体の失業率のようで、若者失業率ではないので20代のデータが欲しいところですが、上記データ内ではうまく見つかりません。

総務省のデータでは以下の通りです。https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf

平成31年2月1日総務省 統 計 局

上記によると男子15〜24歳が3、6%で25〜34歳が3、4%のようですから、比較年齢層が違うものの、日本政府統計の20〜24歳失業率4、7%、25〜29歳の失業率4、1%という韓国聯合ニュースがどこのデータをどのように計算し直すと聯合ニュースの数値になるのか不明です。一方でこのあとで書きますが、韓国大卒の昨年末時点の未就業率が3割も残っているという統計が出ています(日本の場合、新卒は失業保険対象でないので職安統計に出ない?・・韓国ではサムスンなど超一流企業就職のためには就職浪人が当たり前と言われていますが彼らは就職する気がないので失業率統計に入りません)ので、大卒に限れば33%の失業率となり、同世代の進学率約5割とすれば、韓国の25〜29歳の失業率は、同世代約半分の高卒以下の失業率しか表していないことになりそうです。

より良い転職先を求める自発的退職の多い若年世代の場合、好景気による求人難の労働者不足状態の場合には転職希望が増えることや求職活動していなかった人の新規参入の増大で失業率(職安登録が増える)が逆に高まり岩盤化する状態が知られています。

日本の現状はこの状態と見るべきでしょう。

こういう場合失業率推移ではなく就労人口推移の方が意味を持って来ることになるでしょう。

内需拡大と国民負担(中韓)1

インフラ整備は発展に必要なインフラが足りない場合必須ですし(後進国が後進国のままに留まったのは、起爆剤となるべき資金がなかったので発展できなかったのですが、)中韓では日本との国交回復条件として巨額資金援助・賠償金?を獲得してこの隘路を乗り越えられた結果日本との国交回復後いずれも高度成長の波に乗れたのです。
一定の成長が始まると産業規模拡大に応じたさらなるインフラ整備と国民の所得アップに応じた衣食住・・国民の生活水準底上げが次なる消費文化発展のために必要な政策です。
成長に応じた住宅供給や街路整備は文字通り市場経済の要求によるものですが、市場の需要によるのではなく、景気対策としてのインフラ整備や住宅の実需以上の需要喚起政策は、一時的に景気悪化をごまかせても「ごまかし」である以上は、その分社会に歪みをもたらします。
オリンピックで言えば、日本の高度成長の受け皿としてのインフラ必要期に当たったことが、首都高や新幹線その他スポーツ競技場等の整備がオリンピック後も国民生活レベルアップに役立った・次のステージへの起爆材になりましたが、まだその段階にない・・・例えばギリシャオリンピックでは負の資産が残った結果ギリシャ危機につながったのです。
実需に基づいてのインフラ整備や、住宅供給であれば健全な経済活動ですが、景気対策としてのインフラ投資や、住宅供給拡大策は、無理がある分歪みを生じさせます。
中韓が、実需に基づかない急速な高学歴化やインフラ・住宅供給増加は、一時的な経済カンフル的に有効ですが、完成して利用が始まると需要以上の無理なインフラ等の整備→維持費が負担になってきます。
例えば、中韓の実需に基づかない大卒大量供給が就職難(中国の蟻族の処遇・韓国の国外就職誘導)を生み出し、そのミスマッチ・不満をどうするかに苦心しているのも同根です。
中韓では実需以上の大量の大学を開設して国民に学歴必要性(英検の仮需要も同様)を吹き込んで仮需を発生させて、大学や塾等の教育産業を盛況にしそこまでの大量勧誘には成功しましたが肝心の卒業後の就職口がありません。
このシリーズで紹介してきたように韓国では大卒の1割しか大卒向きの就職口がないのにいわば10倍のミスマッチ・学歴に対する過大期待を煽って客を呼び込んでいたのです。
中国でも、大卒の大部分が就職口がなく年間700万人に上る「蟻族」が発生していると言われています。
14年の記事で古いですが、以下の通りです。
https://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801

中国で大卒700万人の現実!中国の若者(蟻族・鼠族)の厳しい現状まとめ
中国では、2013年に日本の10倍以上の700万人が大学を卒業しました。その中で3分の1は就職が決まらず、都市部の郊外などでアルバイトをして過ごしています。
安いタコ部屋の環境は劣悪で、蟻族、鼠族などと呼ばれており、社会問題となっています。この話は、日本人にも無縁ではありません。
更新日: 2014年05月04日
北京の大卒で内定は30%という厳しい現実”
出典中国でも大卒就職浪人が急増中:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
北京市の卒業生就職斡旋工作会の発表によると、2013年に北京地区の大学を卒業した者で、就職に内定した者の割合は28.24%ということが明らかになった。大卒者の就職内定率が3割を切るという極めて低い数字が中国経済の停滞感を物語っている。
“大学院卒業生の就職率は更に悪い”
出典レコードチャイナ:中国の大学生が抱えるワーキングプア「アリ族」への不安—米誌
今年4月の時点で卒業予定の大学生のうち、就職が決まった大学生はわずか35%で、大学院生はさらに悪い26%であった。
大卒の初任給が1000元(1万5000円)を提示される現実”
<出典朝日新聞グローブ (GLOBE)|バーリンホウ(80后) 中国を変える新人類 — ワーキングプア 大学ではコンピューターを専門に学んだが、最初に決まった会社から提示された月給は1000元(約1万2000円)。農村からの出稼ぎ労働者と同じ水準だった。 「買い手市場」の現実に挫折感を味わった。1万2000元(約15万円)を払って4カ月間専門学校に通い、より高度なコンピューターの技術を学んでいる。

中国では約7割の卒業生が就職できない状態をこのコラムでも、May 3, 2014に引用紹介したことがあります。
(地方の貧困層・低賃金農民工からの脱出を夢見て親が食うや食わずで大切な一人っ子を都会の大学へ進学させたのですが結果、7割の大卒に就職口がないのです)
中韓共に国を挙げての学歴万能論の呼び込みは、政府の行う詐欺的商法だったことになります。
中韓政府が住宅産業とマッチを組んだ住宅購入勧誘政策は、その先のローン支払い見込みもないのにローンでの住宅購入を煽り夢の生活を煽る点で学歴・英検万能の呼び込みと方向性が似ています。
我が国で言えば、バブル崩壊後に行われた地方自治体の箱物整備がその後維持費負担に耐え兼ねて最近閉鎖ラッシュに見舞われるのと同じですが、この負担は中央政府の財政赤字・地方公共団体が負うのに対し中韓では国民が吸い取られる自己責任仕組み担っているのが大違いです。
中国でいえば、ガラガラの高速鉄道をどんどん作って(世界最長キロ数と自慢しますが・・)どうするの?誰も住まない巨大ニュータウンをどうするの?となります。
より良い住宅を求める住宅需要は一定のところまであるでしょうが、経済力アップに応じた自宅取得は合理的ですが、背伸びした住宅取得を政策誘導すると、その咎めがのちになって出てきます。
中国の新都市建設がゴーストタウンにならずに、本当に売れたら売れたで、国民が住宅ローン支払いに追われるようになり・・家計債務がGDP比一定率に達すると国内消費がその分減少する限界がきます。
地方自治体が豪華な〇〇会館維持コストに追われて必要な施策に予算をまわせなくなるのと同じです。
昭和40年代に川崎市(いまトレンデイーな武蔵小杉周辺)に住んでいましたが、その頃田園都市園の開発が始まりニュータウンとして一種の憧れの地でしたが、(玉川高島屋オープン直後に妻からおしゃれなセーターを買ってもらったのが青春時代の思いです)千葉に移り住んでから年を経て、昭和女子大病院に行った時に街の貧しさに愕然としたものでした。
活気のある千葉からいくとお昼を食べようとしてもこれと言った飲食店もなく、地元の話では住民の多くはローン支払いに追われる生活で消費が極度に細っているということでした。

債務膨張と債務負担部門1・中韓

債務問題はどの部門で債務が大きいかはミクロの問題であって、マクロ的にはその民族全体で対外債務がどうなっているかが重要で、債務をつけまわす場所の違いでしかないというのが長年の私の持論です。
(日本の財政赤字問題は部門別問題に過ぎず、個人金融資産は巨額で、国家全体問題ではない・・江戸時代に幕府財政は火の車でも、農民や町人は豊かに各種文芸を楽しみ、爆亜mtに来日した西洋人が驚くほど社会が高度に発達していた歴史を見れば明らかです。)
国家全体の対外債務によっては、ベネズエラやアルゼンチンのようなハイパーインフレが襲います。
中国の場合、リーマンショック後の財政出動を地方政府にやらせた結果、地方政府が(土地バブルを煽って?)融資平台(シャドーバンキング)利用の債務膨張→不動産バブルが終わって苦しむようになると、この数年採算度外視の鉄道建設に象徴されるようにインフラ投資で国内景気維持に必死になっていた結果この赤字のつけまわし・・、国有企業にこの役割を押し付けて・いわゆる一帯一路政策もこの延長です・・不良債権の積み上げが行われています。
一帯一路計画の一環・スリランカの港湾設備工事の費用をスリランカ政府が払えない→代金支払いの代わりに中国政府が港湾経営権を99年間の運営権獲得したのは「新植民地支配」高利貸し商法」と評判が悪いですが、中国国内経済で言えば、インフラ投資経費を国有企業に押し付けてこの債務を株式化してごまかすやり方と同じ発想を外国政府相手にやっているのではないでしょうか。
中国は古代の原初から民族国家ではない・商業基地・城壁で囲まれた都市国家を未開の地に転々と飛び石状に展開してきたなりたちであることを、このコラムで連載してきました。
この性質上、政府と支配下民族の一体感が元々ない(夜襲されないように日暮れとともに城門を閉め鶏鳴によって朝城門を開く仕組み)ので、(城外の)被支配民族も好きなように国外逃避・・・いわゆる華僑として未知の世界に移住していくことに何のためらいもない民族性です。
こういう国では、国内でどの部門が資金を蓄え、どの部門が債務を負担するかは極めて重要です。
中国では中央政府と地方政府は一体感がない・中央は地方に債務負担を押しつけて中央政府の財政が健全であることが、中央政府の強みになっています。
チベットやウイグル族に対する残虐な弾圧を平然と実行できる所以です。
政府と国民の利害対立論理(中央地方の一体感の差)を日本に当てはめて「中央政府の赤字」を騒ぐのはナンセンスと言うのが私の持論です。
中国式支配構造の歴史に親しんできた韓国の債務負担構造がどうなっているかを見ておきましょう。
https://japanese.joins.com/article/j_article.php?aid=242355

昨年の韓国家計負債増加速度、世界3位
2018年06月18日09時58分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
収入よりも負債が急速に増加したことにより、昨年の韓国の家計負債は主要43カ国中3番目に大幅に増えた。家計負債増加速度は処分可能所得の増加速度の1.6倍であることも分かった。
17日、国際決済銀行(BIS)と韓国銀行経済統計システムによると、昨年末の韓国の家計信用(家計の借金)は家計処分可能所得(所得から税金・年金費用などを除いた金額)の159.8%を記録した。これは1年前に比べて5.2%ポイント高い水準だ。
政府の規制にもかかわらず家計負債が大きく増加した。昨年の家計信用は108兆3000余億ウォン(8.1%)、家計処分可能所得は39兆3000億ウォン(4.5%)増えた。処分可能所得に対する家計信用比率は過去3年間で23.4%ポイントも上昇した。
日本の個人金融資産を比較しておきます。
https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp010501004020111045/1
なぜかグラフのコピーができませんが、
https://www.nam.co.jp/market/column/trend/2018/180703_2.html記載の以下の数字は上記政府発表数字と同じで正確です。

2017年度末の家計の金融資産残高は、1,829兆円となり年度末の残高としては過去最高となる。

日本場合、政府財政赤字が進んでもそれ以上に個人金融資産が増えています。
https://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2017/saimu2017-3-ho.pdfによると平成28年度末普通国債発行残高は8,305,733億円です。
この海外保有率をhttps://www.mof.go.jp/jgbs/publication/debt_management_report/2016/saimu2016-1-3.pdfで見ると約10%です。
メデイアしきりに「債務を次世代に残すのか!」といいますが、9割は国内保有ですから国民がその債権を相続するので世代的には差し引きほぼ同じです。
企業保有分は・たとえばトヨタの株主に外資も混じっていますが、結果的に個人金融資産合計が国債発行残高より多ければ、イザという時にはハイパーインフレでしょうから、政府に貸し込んでいた人が損をする・・だけです。
極端な話、99%を外資に買ってもらっていて国民がその何倍も外債を保有しているときにハイパーインフレで国債相場が額面100分の1に下がった?時に外債を売って日本国債を買えば国民が儲かります。
この辺の流れを以前書いたことがあります。
要は税金で国費を賄わないで「国民に借りたことにして」賄っているのですから、貸したつもりの債権がイザという時の帳消しになる・・税に変わるだけのことです。
国民個人金融資産は1829兆円ですから(外国人保有分を値下がりしない状態で次世代が買い戻しても)1000兆年円あまります。
日本は国民の立場が強い・・国民を大事にする国であることが、数字で現れています。
国民を借金まみれにして苦しめておいて、政府だけ黒字では意味がないでしょう。

米金融政策の影響1と中韓

米金融政策の影響1と中韓

米国金融政策の影響力に戻ります。
2日ほど前には、米連邦準備理事会議長の記者会見で、12月の記者会見で発表した19年中2回の利上げ既定路線が否定されバランスシート縮小の年内停止示唆したことを世界の市場は好感し、ひいては日本円高予想になっています。
https://www.smamjp.com/documents/www/market/ichikawa/irepo190131.pdf

2019年1月31日三井住友アセットマネジメントシニアストラテジスト
市川雅浩

米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月29日、30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年2.25%~2.50%で据え置くことを決定しました。利上げの見送りは織り込み済みでしたが、今回のFOMCは全体として市場の予想以上にハト派的な内容となりました。まず、FOMC声明について、重要な変更点が3つありました。

 
 
この結果から政策金利は年内据え置きの予想に変更、バランスシート縮小も年内停止の可能性1月30日の米国株は上昇、米国債の利回りは低下(価格は上昇)で、それぞれ反応しました(図表1)。
米ドルは、米国債の利回り低下や、FF金利先物市場の利上げ回数の織り込み低下(図表2)により、対主要通貨で下落し、ドル円は1月30日に一時108円81銭近くまでドル安・円高が進行しました。
今回はFOMC声明とは別に、バランスシートの正常化に関する声明も公表されました。この声明で、FF金利が金融政策の主要手段としながらも、バランスシートの正常化の完了に向けて詳細を調整する用意があることや、状況によってバランスシートの規模と構成内容を変更する用意があることが確認されました。
ただし、声明に具体的な手段は示されておらず、現時点では基本方針の表明のみなっています」

トランプ氏恫喝に動じたか市場反応によって動じたか不明ですが、議事録公開による説明トーンの変化について書いてきたように、すでに今年2回の利上げは遠のいていると年初から見られていたことの正式確認で扱いです。
これまで、米国金利上げに戦々恐々状態であった世界経済はこれで一先ず息をついて、年初から新興国や先進国低格つけ社債発行などが増えているようです。
中国ではGDP比の負債拡大が大問題になっていても企業救済をやめられないように、世界(日本の財政赤字も同根)は紙幣増刷→債務拡大問題をどうするかのテーマに取り組むべき時期が来ているようです。
産物・供給量同一で紙幣発行量が2倍になれば物価も二倍になる単純論理で結果的に債権債務が均衡(債務帳消し・借金していた人や企業が得する)する仕組みでしたが、閉鎖社会から解放経済になると物価が二倍になれば半値以下の近隣国からの輸入が増えるので、一国で紙幣増発しても物価が上がらないので(日本の場合、平成に入った頃から20〜10分の1以下の中国製品が流入しました)上記のような単純論理での解決できなくなりました。
結果的に債務の帳消し(物価を2〜3倍にすれば債務負担2〜3分の1になりますが)ができないので、債務が積み上がる一方になってきたのです。
財政赤字解消の即効薬として日本では物価上昇を目ざすリフレ政策を採ってきましたが、上記の通り物価をあげれば国内企業の国際競争力が落ちて、輸入が増えてしまうので無理がありました。
この辺の論理構造をだいぶ前からこのコラムで書いてきました。
日本の場合には、国民債務膨張でなく政府債務だけ膨張していく関係・国民は国債を買って債権者になっている関係、中韓では政府債務よりは、国民や地方政府や国有企業債務が膨張していく仕組みでした。
国家が強く国民が弱い国かの違いであって、トータル破綻すれば国民が困るのは同じですが、愛国心の強い民族の場合、いざとなれば(戦時中は鉄不足のために鍋釜お寺の鐘まで供出したし)私財どころか前線の兵士は生命を擲っても国(構成する民族)を守る・敗戦で祖国が食うや食わずになっても皆外国から引きあげて復興に尽くす国民ですので、政府がお金を持っていなくとも国民に資産を持たせておいても心配がないし、愛国心のない民族の場合、個人資金を海外に隠しておいてイザとなれば国外脱出するので、政府は国民を信用していないし、国民も政府を信用していない相互関係です。
中国の場合裸官で知られていますし、韓国の場合国外脱出熱の高さが知られています。
国内的には愛国心を訴え国民を煽る政治家が多く、大袈裟に叫ぶ国ほど(相互信頼がないから)こういう傾向があります。
日本の場合政府・学者が「国際人材が育たない」と心配するほど、多くの若者が海外に行きたがりません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC