現在では、新興国(青二才)が軍事力に頼って政権維持のために排外意識を強調して実際に紛争を起こすと民族意識昂揚による政権支持率上昇のメリットを受けるよりも早く・・資金流出・・生産縮小の動きが始まり、来年以降の損失を待たずに経済活動の急激な停滞に悩まされる関係になっています。
中国の場合、改革開放後政府自体が無理をしないように変わり、地方政府や国有企業、シャドーバンキング等にリスクを負わせる社会に変えてきました。
主役を変えただけで、乗客のいない鉄道網の整備やゴーストタウン等をドンドン作らせて、実需を越えた投資を奨励して来て国力・・GDPの嵩上げ(統計自体に信用性が乏しいことも解放前と同じ体質が指摘されています)に励んできた点では、崩壊前のソ連や解放前の中国経済と本質が変わっていません。
シャドーバンキングのデフォルトに政府は関係がないと放置できればこの責任転嫁政策は成功ですが、・・放置すれば経済大混乱が起きるので実際には放置できない・・何らかの手当が要請されることになるでしょう。
政治責任とは法的に政府に責任があるかどうかではなく、政治混乱を避けられるかどうかを問われます。
中国はこれを回避するために財政投入で破綻の先送りしていますが、(ソ連の先送り同様に)いつか支え切れない日が来るのは明らかです。
ただし他の新興国や旧ソ連とは違い、外貨準備の厚みが大きいことが先送りを可能にしています。
この点アメリカが戦争を繰り返しても長期的弱体化するのみで、即時にドル下落にならなかったのと似た状態になっていますが、これが長引いて外貨準備の枯渇が迫ると基軸通貨国でない弱点が現れます。
これが始まったときの政治不安・大混乱を恐れた中国が、政権批判をそらすために、長年反日教育に励んで来て、レアアース禁輸や反日暴動や尖閣諸島問題を起こしたことをこの後で書いて行きます。
今のところ、プーチンのウクライナ介入効果・・国際制裁がどうなるかを自己の教訓として、必死に勉強しているし、制裁があっても出来るだけ骨抜きにしたい立場で裏でドイツ等に働きかけている様子です。
アメリカの場合、イラク・アフガン戦争など次々と戦争をしていれば長期的には国力低下すると誰もが知っていましたが、その見通しだけではアメリカからの金融資本の引き揚げが起きませんでした。
基軸通貨国の強みと言うべきでしょうか?
アメリカがベトナムやイラク戦争を起こしたからと言って、アメリカ企業の売上が1〜2年先に減る心配が起きません。
これに対して資源輸出国のロシアは、自由主義圏を敵に回して戦争行為に入れば直ちに輸出の激減→経済停滞→株価低下→資本逃避に繋がります。
基軸通貨国でも無理をすればこれが原因で長期的には基軸通貨としての信任が揺らぎます(この結果今のオバマの調整力不足になっています)が、戦争開始と同時または直後ではありません。
新興国であり、資本的には脆弱な国の範疇に入るロシアがアメリカの真似をしても無理があります。
軍事力の大きさと経済力とは別ですから、資源輸出に頼る新興国としての脆弱さを抱えている状態である点を重視すべきです。
紛争を起こすと資本引き上げ加速し易い・・国際的に金融資本の移動が激しい時代には、新興国が大義のない戦争に踏み込めば、ベトナム戦争やイラク・アフガン戦争のように、10年ほどして(現実に損をしてから)国力低下するのではありません。
金融資本は、先の損失を見越すとその時点から売りを急ぎます。
既にロシア併合を決議したクリミア半島では、国際制裁を恐れた銀行の閉鎖縮小が相次ぎ、住民の預金引き出しが滞る事態・・銀行で列を作る映像が日経新聞の20日付き朝刊で報道されています。
映像になり難い企業活動の縮小等ではもっと大きな影響が出ている筈です。
(西側の希望する映像ばかり流している傾向を割り引く必要がありますが・・映像を偽造しているとは思えませんので、実際に列をなしてるのでしょう)