中国の過大投資調整16と個人の弱さ1

昨年末からの上海株急上昇は、(ただし6月中旬以来急落し今は相次ぐ売買規制によって小康状態ですが・・・その内たまったエネルギーが却ってダム結果のエネルギーになるでしょう)これまで書いているように政府が積極的に参加を奨励し煽っている結果でもありますが、国民性向も大きな影響がある・・両々相俟っていることによるでしょう。
我が国でのバブル退治のためには、不動産業への融資規制が始まりでした・・不動産投機過熱規制の手段として、不動産業界に絞ったトリガー融資規制・・金融引き締めするのが普通ですし、これが一番効き目があることを2015-5-18「中国バブルの本質(マンションバブル1)」に書きました。
中国では不動産過大投資だけではなく製鉄や石化製品、セメント等基礎資材に始まって鉄道に至るまであらゆる分野で過大投資の咎め出ているのですから、全般的に効き目のある金融規制こそが有効な社会です。
過大投資が始まったときこそ金融引き締めが有効ですが、過大投資の効果が現れてバタバタと倒産する状況になってからの金融引き締めは遅過ぎて逆効果です。
水に飛び込む人を飛び込む前に足を引っ張って止めるのは有効ですが、飛び込むのを放っておいて飛び込んでしまって溺れかけている人の足を引っ張ると本当に溺れてしまいます。
中国では、国威発揚が主目的ですから、バブル化して来てもこれが怖くて規制するどころか、過大投資の再拡大による基礎資材の需要拡大の後押ししてずるずるとやって来たことをこれまで書いてきました。
この先送りの終着点に個人参加を煽っていた異常さをここから書いていきます。
中国では企業規制よりは2戸目以上のマンション購入規制等をきつめにしたり緩めたりしているのは、個人の投機規制をすると企業が参ってしまうので、企業側の悲鳴にあわせて需要拡大のためにこれを緩めたりしているのですが、他方で投機活動の主役は個人であることを前提にしたものです。
末期症状を呈している経済状況を無視して、株式バブル相場に庶民に至るまで熱中している「株未亡人」様子を5月12日に紹介しましたが、中国人が地道な努力よりは投機傾向が高くなっているのは、2000年にわたって政府と国民の信頼関係が育っていないことによります。
・・むしろ政府不信を基礎にしている国・社会構造の経験しかないので、目先の金・・儲けられるときに目一杯儲けておきたくなるのは仕方のないことです。
大分前に律令制導入のコラムで、我が国では墾田奨励のために3世1身法その他で私有地の世襲を認める方向になったなど我が国の国民性に併せて制度が大幅に変容して来たこと・・科挙制は始めっから採用しなかったことなどを書いてきましたが、中国・朝鮮族の場合、こう言う変化がなく律令制のまま辛亥革命と日韓併合までやって来た・・やって来られた(程度の国民性)ことも精神構造に大きな影響を及ぼしていると思います。
科挙制の徹底は、高官の地位世襲がない点では今風の合理性がありましたが、どんなに出世しても1代限りで没落して行くのがこの制度です。
運良く出世出来たとしても、讒言や皇帝のご機嫌次第でいつイキナリ失脚するか分らない制度下では、(専制君主生徒は合理的基準がなく・・君主のご機嫌次第で失脚する制度です・・だからこそ正義や道理よりは讒言競争で勝てば良いという意識構造になります)蓄財出来るときに最大限の蓄財に励むこと(今の裸官の先祖)が最大の自己保身になります。
農地も官位も何もかも世襲出来ない制度下・・日本の班田収授法のように政府が農地を配給してくれる制度では、50年〜100年かけて耕地の地味を良くする努力や、50〜100年後に育つ植林事業や、自然の回復力を期待して環境を大事にする意欲が育たなかったのは当然です。
世襲してこそ同じ土地に住み着き動かない・・人間な関係を含めた環境重視にならざるを得ないのですが、農地の配給制ではどこへ行くかも分らない・・数百年後に子々孫々に恥をかかせる訳にいかないと言うような道徳意識も育ちません。
先祖伝来の農地に住みつかない農民は、風が吹けば飛び散る砂粒のように弱い存在ですし(このため王朝末期に政情不安になると簡単に流民化します)、官位を世襲出来ない高級官僚も風が吹けば飛ぶような存在です。
杜甫の祖父(杜審言)が皇帝の身近にいた高官でしたが、孫の杜甫の代になると食うや食わずになるのです。

中国資金不足26とAIIB6

5月23日の安倍総理による13兆円と5500億円の拠出表明ですが、なかなかやる・・アジア危機のときにはアメリカは日本台頭阻止目的による露骨な反対によって、(日本は中国のように露骨に票集めしませんので)日本が救援資金制度を創設出来ませんでしたが、今回は日本主導をアメリカが反対できる余裕がありません。
7月4日日経夕刊1面トップには、メコンODA7500億円の拠出表明と安倍総理の中心にしたメコン流域5カ国首脳の写真(東京開催)が大きく出ています。
アメリカはアジア通貨危機のときには日本を潰すのに必死でしたが、今回は邪魔されない好機が到来したのです。
日本のいわゆる失われた20年は、バブル崩壊によるのではなくアメリカによる日本叩きによっていることを、5月16日に「日本のバブル処理と失われた20年の関係(アメリカによる日本叩き)」に書きました。
アジア危機に対して日本が提案した資金機構設立構想はまさに日本がアメリカによって、目の敵にされている真っ最中でしたから、アメリカに猛反対されて潰されてしまったものです。
今はアメリカの覇道政治が限界になって日本の協力が必要になっていることを5月3日「覇道支配の終焉4」までのシリーズとその翌日に「覇道と日本の補完性1」に書きました。
補完性の続きを書いていたのですが、現在話題が横に入っているところですので、その内戻ります。
2015-5-31「中国過大投資の調整7(資金枯渇1)」で紹介したドイツ財務相発言・・中国は07年以降27兆ドルも借入金を増やしていると言う事実と中国の焦った動きを見ると、経営不振企業が緊急資金集めのために銀行もどき・・投資勧誘詐欺を、始めたような印象を受けるのが今回のAIIB設立騒ぎと言う解説には説得力があります。
日本では詐欺商法に近い印象で受け止めている人が多いのですが、素人にはネットを含めた報道による情報しかないので真実は分りませんが、この先2〜3年くらい経過で本当は何だったのか分るでしょう。
(実際には、ブリックス銀行同様に動き出せずにかけ声ばかりで先延ばしになっているか、本当にどこかにマトモな融資出来ているかの結果が出ます。)
中国の習政権にすれば、AIIBが実際に機能しないで終わっても(アメリカによる参加阻止圧力があっても)中国の呼びかけに呼応して欧州やアジア諸国が大挙して参加したこと・・これだけでも大きな実績を積んだことになる・・アメリカの威信低下を世界に見せつけたことになるでしょう。
日本の場合、相手に出来るだけ恥をかかせないように持って行くのが基本ですが、中国や韓国の場合、実利よりは相手に恥をかかせたことが自慢・・大きな得点になる社会です。
古代周王室に対して「鼎の軽重を問うた」楚の荘王の故事が有名ですが、後世、習近平氏がこれに一例を加えることになるのでしょうか?
アメリカの覇道政治は確かに行き詰まりを見せていますが、未だに正規軍では世界一突出した強国であることを書いて来たとおりで、古代周王室のように諸候の言いなりで何の実力もない訳ではありません。
ここで、アメリカの覇道政治の限界に話題が繋がって行くべき予定でしたが、この機会に「中韓のバブル処理と個人の弱さに付いて」以前から書いていた原稿に捕足して少し書いて行きましょう。
ここからは、2014/08/29「個人金融資産の重要性5(ユダヤ系の表面化)」まで個人金融資産ストックの重要性を書いてきましたが、その続きにもなります。
この原稿はその頃に書いていたものがそのまま残っていたので、その間の変化に合わせて少し手直ししたものになります。
韓国の場合、上記コラムで紹介したように日本と比べて一人当たり金融資産が3分の1(財閥オーナーの金融資産を加えた平均です)しかない上に、財閥経済=超格差社会ですから人口比で言えば、最多階層・庶民の金融資産保有比率は更に少ないことが明らかです。
2014/08/13「個人金融資産の重要性3」前後で日本のバブル崩壊では、主に業者がババを引いたこと→これが住専等の金融危機に発展したのに対して、韓国では主に個人がババを引いて苦しんでいる状況を書いてきました。
中国政府による勧誘姿勢にも責任がありますが、中国バブルも韓国同様に個人参加が激しいのですが、両国民は日本のように堅実な物造りに精進するよりは目先の投機・・金儲けが体質的に好きだからではないでしょうか?

中国資金枯渇25とAIIB5

中国の資金不足に戻ります。
中国共産党機関紙自体が、正面から庶民を煽ってまで、株投機に参加させて、資金を絞り出させているのは、事態が切迫している・・何とかして産業界の資金繰りを持ちこたえている状態ではないかと解釈されるので、5月ころから根シリーズを書いていました。ます。
日本が戦時中お寺の鐘まで供出させていたような極限状況と言えるでしょう。
政府挙げて煽っている庶民のカブシキ市場流入資金が尽きたらどうなるか?と言う大団円が見物(みもの?)です。
大恐慌・大失業が始まると、ナケナシの貯蓄を株に投じてしまい紙切れに変わってしまった庶民は悲惨な結果になります。
中国では資金繰りに窮して世界から資金を集めるために?AIIB設立を打ち上げたものの、資金出し手の中心になるべき中国自身が資金繰り悪化の断末魔状態・・株購入を政府が煽るなんて常軌を逸していますので、逆に中国が資金繰りに窮していることが、世界中に知られてしまい・・却って外資の逃げ足が強まりました。
3年前に鳴り物入りで設立したブリックス(中、ロ、インドブラジルの4カ国)銀行は未だに、マトモに機能していません。
うまく行かないから別の金融機関・・AIIBを作って更に資金を募ろうとするのは見え透いていて無理があります。
お金を貸して欲しい・利権にあやかりたい国ばかりが、一口乗っておこうかと集まったに過ぎないとすれば、AIIBがうまく動き出せる訳がありません。
このために、日本に資金を出してもらいたくて3月31日の締め切り日を変更してでも、日本参加を裏で必死に拝み倒している状況でした。
中国は反日暴動以来歴史認識に関するはっきりした謝罪がないと首脳会談に応じないと言い張っていたのに、昨年秋に安倍総理がバンドン会議の演説で何も謝罪しなかったのに、今度は何の条件も付けずに習近平氏がバンドン会議で安倍総理と笑顔で面談するしかなくなるところまで追いつめられています。
5月4日の日経新聞朝刊には駐日中国大使によるAIIB参加勧誘意見(これまで駐日大使の意見がそのまま大きく出たのを見たことがありません)が出ています。
日本等の「金がなくて資金をかき集める目的だろう」と言う批判の蔓延を打ち消すかのように5月20日ころから中国がAIIBの規模を拡大して、中国自身出資額を大きくするような構想がマスコミに(根拠ないムード的記事ですから、AIIB応援報道のたぐいです)出て来るようになりました。
如何にも中国自身は資金はあるかのように、日本マスコミがそれとなく中国を応援したい報道が続いていましたが、このような応援報道を吹き飛ばす安倍総理の大ホームランが出ました。
5月23日朝刊によると、安倍氏は、「第21回アジアの未来」の国際会議で、「アジアのインフラ整備に13兆円拠出用意がある」と表明したと言うことです。
続いて23日夕刊には、福島で開催された「島サミット」(アジアでの島嶼国全部)で上記13兆円とは別に?550億円の災害関連資金の拠出を表明しています。
AIIBの予定していた出資総額が(倍増しても)1000億ドルですから、円換算で約12兆でしかありません。
日本1国で「13兆円を出します」と言われるとまさに中国の「顔色をなからしめる」声明です。
日本が直接支援しますと言えば、日本の信用は絶大ですから、(従来の中国の支援先では、露骨な中国支配態度がアフリカやベトナム等で嫌悪されていますので・・)同じ技術支援を受けるならば中国に頼るよりは日本の技術に頼るのが普通の動きになります。
マスコミは焦ったらしく、5月24日日経朝刊21p「今を読み解く」には「日本はインフラ投資は卒業して中国に任せるべき」だと言う大見出し論文が出たことを5月27日ころに紹介しました。
中国は日本からの資金集めに必死で、日本マスコミ対策をしている・・マスコミや文化人籠絡には成功している印象を受けます。
しかし今の日本は、マスコミを握りエコノミストや文化人に中国の将来性を言わせれば、国民がそのとおり動く国ではありません。

中国の資金枯渇24とAII4

輸出基地として投資していた外資にとっては、輸出出来なくなったら資金を寝かせておけませんので、資金流出が激しくなるので資本収支的には二重苦が始まっています。
中国はアジア危機を勉強した結果、いわゆるホットマネー流入を制限しているので資金流出の心配がないと言う立場で反日暴動を仕掛けたのですが、直接投資マネーであっても暴動を仕掛けられるようなところに継続的投資は出来ません。
釣った魚に餌をやる必要がないと言う静的経済を基準に考えていたのが中国ですが、現在は絶えざる投資継続・最新技術による設備更新がないと企業経営が成り立たない時代です。
反日暴動後は後に続くべき(計画中の投資は続けるしかなかったのですが・・)日本の対中投資新規計画はぱたっと止まってしまいました。
反日暴動で酷い目にあったパナソニックは、あれだけ巨額投資した中国から損をしてでも引き上げる決意をしてしまったことが大分前に報道されていました。
日本から中国への投資額が反日暴動以降激減していることをMay 22, 2014「対外紛争の得失2」に、紹介したとおりです。
今朝の日経新聞朝刊7pには、昨年まで激減していた昨年に比べても今年1〜8月の日本の対中投資は前年同月比28、8%減と出ています。
米国からの投資は19、6%減ですが、欧州からは14、4%増となっていて、なお中国への投資を増やして日米の穴埋めに働いている構図ですが、昨日書いたようにドイツ車の売れ行きが急激に落ちて来たので、この先も投資が続くかは危うくなってきました。
ただ、投資額増減の%比較では絶対額が不明ですが、絶対額の大きい日米の穴埋めには、力不足でしょう。
まして、今後中国は、中間層の増加・・消費者向け身近な製品・サービス社会に移行して行くしかないことは否定出来ません。
・・これが訪日客の爆買いの基礎ですが、日常サービスのきめ細かさでは、ドイツ製品はゴツいばかりで、日本の足元にも及ばない状態です。
日本は江戸時代・・その以前から消費者主導社会の蓄積がありますし、今でもドイツでは、消費社会としてみればひどく低調です。
自国のサービス水準の低い国が、消費・・サービスの提供国になれる訳がありません。
今年でも昨年よりも減ったとは言え一定の対中投資が続いている理由・・この点に着目した日本のサービス関連の中国進出が今も続いている理由ですし、消費系に強い伊藤忠の中国進出判断基準であることをどこかに書いたことがあります。
中国は資金不足の実態を知られたくないために、数十年にわたって赫赫たる成長ばかり強調してきましたが、(企業で言えば株価維持のために粉飾決算しているような状態)アメリカ国債保有額減少をアメリカに発表されて馬脚を表した状態です。
日本マスコミは優しいので「最近中国は外貨準備を分散している」と中国に代わって?言い訳していますが・・。
続けてドイツ財務相によって、(6月1〜2日に紹介したように)借入金が27兆ドルも増えていると報道されてしまうなど、目も当てられない状態になってきました。
中国の外貨準備発表は当てにならないので、結局はアメリカ国債の増減率がほぼ正確と思うと以前から書いています。
国威にこだわり且つアメリカ国債を多く持つことがアメリカに対する発言力と考えている中国が外貨準備を取り崩す場合、アメリカ国債を手放すと目立つので出来るだけ最後にする傾向があるからです。
即ちアメリカ国債が2割減っていれば、その他の外貨はもっと減っていると見るべきでしょう。
日本のマスコミは何千万と餓死者が出ていても毛沢東の大躍進政策を大成功していると報道し、文化大革命や毛沢東語録を賞讃し続けて真に受けた若者が毛沢東語録を持ち歩くことが流行になっていましたが、中国を賞讃しないといられない性質・・裏でどう言うつながりがあるのか不明・・があるようです。
今朝の日経新聞29pには、8月11日以降の中国による為替切り下げはIMFの要求に応じた合理的なものである・・株式暴落に狼狽したものではないとする従来チラチラ出ていた中国擁護論を紙面1p殆ど全部使った専門家の論文として掲載しています。
専門家の論文形式をとろうともそんな噓っぽい主張を誰も信じないでしょう・・日本の場合昔から一般国民レベルが高いことを、まだ中国政府関係者は(自国民がそうですから当然ですが・・)もちろんのこと、日本人でも、日本マスコミ・文化人は「庶民はバカだから誘導すれば良い」と言う外国の意見そのまま受入れているので、いつまでたっても、気が付かないのです。

中国バブル崩壊3(資金不足20)

輸出入額が激減し始めて既に約1年経過している状況下で、中国政府発表を前提に7%成長達成可能か、6%ならどうかと未だに議論しているエコノミストの神経が分りません。
学問の自由を強調する学者として恥ずかしくないのか不思議です。
企業の原材料仕入れが13%減って、製品出荷が5%〜8%下がっていても、前年比7%増の販売計画を変更しない企業とは?・・正気の沙汰か?思うのが正常ではないでしょうか?
市場経済で言えば、そんな会社の売上が伸びて企業の発表どおりに株が上がると言う証券アナリストがいたら笑い物でしょう。
中国政府発表にあわせる御用学者の言うとおりに、庶民が株を買っていた結果上海株が大暴落になっているのですが、学者は学問の自由を主張して・・飽くまで中国政府見通しが正しい・ちょっと下方修正があるかも?と言い張っているのでは漫画です。
先日のG20でやっと中国政府がバブル破裂を公式に認めたので、政府発表どおりに議論していたエコミストは(ある程度ホンとのことが言えるので)内心ほっとしているのでしょうか?
学問の自由はトキの権力から独立して意見を言うためにあるのであって権力の言うとおりに主張して、在野の批判を抑えるためにあるのではありません。
日本ではいろんな分野で中韓の言うとおりに主張するためには学問や言論の自由があってそれに異を唱える権利がないかのようにマスコミや文化人?が洗脳してきましたが、漸くマスコミの偏った姿勢が俎上にのぼるようになって来たように思えます。
何年も前から製鉄所には買い手の付かない粗鉱製品が大量に野積みされていると言うネット報道が目立っていましたが、5月28日紹介した政府統計から見ても6%成長どころか、マイナス成長が続いていると見るのが合理的でした。
余剰分の比率を比喩的に言えば、輸出市場を東南アジア諸国に奪われてしまい、マイナス50〜60%の生産になるべきところを、政府がその余剰分の半分を国内消費・・無駄な工事などしてして買い支えていたが、どうにもならない残りの半分(全体の4分の1)が、粗鉱製品や素材系製品等の山積みと海外出血輸出になって世界に迷惑をかけていることになります。
→以上が5月末ころに書いたマスコミに公表されていない実態でしたが・・この噓の上塗りの限界が来て、6月中旬以降上海株暴落が始まりました。
ここ連日・・8月25日には、世界中の株式相場が乱高下の挙げ句に終値では、7〜8%値下がりになっています・・・中国の内実は、張り子の虎でしかないことが判明して世界連鎖暴落に襲われていることになります。
日本マスコミは中国の威力に従って?中国政府の意向どおりに賞讃し続けてきましたが、出血輸出すれば競争力があるのは当たり前で、実質的には(国民生活を犠牲にした軍事力による海洋進出同様に)世界の迷惑になっているだけです。
5月31日の日経社説を紹介しましたが、中国国民も正当な対価を得られずに苦しみが増す一方=暴動が増える一方→報道規制が強まる一方になっている原因です。
中国は輸出出来なくなった過剰能力設備を思い切って削減しない限り、国内にこれを他産業に拡散して先送りばかりしているといつまでたっても解決出来ません・・そのうちに資金が底をつくでしょう。
資金不足のテーマで5月ころに書いていたことが、この間に現実化して世界中に知れわたったので、(中国贔屓の日本マスコミでさえも中国の過剰在庫・過剰生産力の内実を書かざるを得なくなっていることが証明しています)連日の株式相場の世界連鎖安が始まりました。
国内過剰生産力の受け皿として、鉄製品を大量に使う鉄道新設や車産業への投資を無理押しをして来たのですが、客がなければ事業を維持出来ませんので、この先送りや過剰能力投資の拡散政策は漸く(これは5月に書いていた原稿)限界に達して来たように見えます。
5月14日日経夕刊第1面には、「中国地下鉄猛烈開業」の大見出しが出ています。
これによると、何と今年だけで日本全土の地下鉄網と同じ規模の新線・延伸開業すると言う猛烈工事です。
こんなに一斉に開業して運転手や駅員、保守点検サービスなど人材供給はどうなるの?普通の国の場合心配します・・・素人ばかりでイキナリ電車をウンテンするのでは怖いでしょう。
似たようなことはイキナリ始めた原発大量新設で起きています・・素人ばかりで見よう見まねで高度技術が必要な原発の操作をあちこちで一斉にやると言うのですから、怖いことです。
8月に起きた天津大爆発も危険物管理能力のないニワカ企業が大量に杜撰に扱っていたことが原因であり、他方で危険物を中国でも扱うようになればこれに応じた消火訓練も必要なのに、化学品消火訓練が行き渡っていないことも爆発を拡大したと言われています。
こんな無茶をあちこちで一度にやれば、ひずみも巨大です。

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