日本は中国を侵略したか。

蒋介石軍腐敗の具体例を挙げるのは煩雑過ぎるので、アメリカ政府の蒋介石軍に対する評価を紹介しておきます。
以下はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/蒋介石からの引用です。
以下のとおり「アメリカは、 腐敗した国民党軍の崩壊を恐れ」ていたと記されています。
「日本敗戦とともにアメリカは、抗日戦末期に弱体化が著しかった国民党軍に大量の援助を行い、これによって新たに39個師団に武装・訓練をほどこし、アメリカ船をもって在中国日本人の本国送還を急ぎ、空路・海路から約40万の国民党軍兵士とアメリカ海兵隊5万人を華北に派遣・上陸させて北京、天津など重要 都市を占領、かつ国民党軍にかわってアメリカ軍みずから華北の炭坑、鉄道などを接収した。」
(日本の残した施設を共産軍に渡さずに国府軍に引き渡したと言う意味でしょう。・・イナガキ注)
「・・・先述のようなアメリカによる国民党軍の武装・訓練・華北への輸送作戦は12月までにかなりの進展を見せ、アメリカは蒋介石政権崩壊・共産主義拡大防止対策 を行い、トルーマン政権のアジア政策も対中政策を最も重要視し、国共内戦の調停を成立させることによって中国の「大国化」を達成しようとした。」
「・・アメリカは国民党軍に莫大な支援を集中して共産党側を圧倒しつつ、他方でアメリカのさらなる国家資本援助を報償として提示して国民党の譲歩をせまることによって国共両党を統一交渉テーブルにつかせようとしたのである[92]。共産軍の戦闘力の強さを誰よりもよく認識していたアメリカは、 腐敗した国民党軍の崩壊を恐れ、蒋介石に大量の軍事援助を与えつつ、 国民党軍が強化されるまで衝突を先にのばそうとしたのである。」
ところでウイキペデイアの記述で気が付いたのですが、何故か戦後国府軍と言われていた蒋介石軍がいつの間にか「国民党軍」と言う表記になっています・・。
ただし、中華民国政府軍・・国府軍の名称自体いつからかはっきりしません。
孫文自身何回か逃げたり挙兵してはその都度組織の名称を変えています・・いつも中華民国政府と名乗っていた訳ではないので、国府軍と言うのはどの時点の名称を言うのかもの心ついた頃からなんとなく聞き慣れていただけで、私にははっきりとわかっていません。
戦後アメリカが、台湾に追い詰められた蒋介石軍の正統性をアッピールするために過去に孫文が何回か使った名称を引っ張り出して「中華民国政府」と言い出したのかもしません・・最後の頃には、事実上蒋介石の私兵みたいな組織だった可能性があります。
ウイキペデイア自体根拠がはっきりしない記事が多いと言う意見が多いですが、(私のコラムも毎回お断りしているように学問的に研究したものではない・・・あちこちに出ているネット記事をぜんていに思いつきで書いているに過ぎないのでウイキペデアの正確性まで調べる時間も能力もありません)一応こう言う表記・・国府軍の表記から国民党軍の表記に変更されていることが現在では普通になっているらしいことに、初めて気が付いて驚いている次第です。
私の青年の頃・・共産政権承認までは、中華民国政府軍→国府軍と言っていた筈ですが、共産中国を国家承認した頃から、対抗勢力を「〇〇政府軍」と言えないのでこれを私的な「国民党の軍」に格下げして呼ぶことになったのでしょうか?
ウイキペデイアによると「日中国交正常化(にっちゅうこっこうせいじょうか)とは、1972年9月に日中共同声明を発表して、日本国と中華人民共和国が国交を結んだことである」
とあるので私が司法修習生として宇都宮にいたときですから、それまでに常識として身についていたのは国府軍という呼称でした。
日中正常化の前提条件として中華人民共和国を正統政府と認めた以上、台湾にある政府を中華民国と言わないで、台湾と言う1地域の呼称になったとすれば、そういうものかな?と言えないこともありません。
そう言えば広東政府とか南京政府とか従来根拠地名称で呼ぶのが普通だったように思います。
台湾政府をあたかも正統政府のように印象付けるためにアメリカが中華民国政府と日本で言わせていただけかも知れません。
共産党政権を認めた後はそれで、呼称変更するのは一貫するでしょうが、遡った時点の国民政府軍まで正統性を否定して単なる「国民党の軍」・・私的集団の私的兵力として表現するようになると、その頃までに行なわれた国際的約束事は、どのように解釈されることになるのでしょうか?
そうすると日本が侵略したと言うものの、当時現在の中国地域に侵略される政府があったことになるのでしょうか?
無政府状態であり且つ、いろんな民族が入り乱れている状態の地域に統一政府を作るため軍閥が乱立し、諸外国も疎開地の自国民の保護のために軍を駐屯していた外、それぞれに肩入れしている関係でした。
(当初孫文が広東で挙兵するときに頼った地元軍閥には、連合形態を構想していた人もいるなどいろいろです・軍閥にとっては孫文の思想に共鳴して応援の軍を出しても、自分固有の権益を保持したい人が大半でしょうから、連合形態が望ましかったでしょう)
例えば孫文が拠点とした広東軍閥?内で、自分の軍を擁して参加していた実力者陳炯明を見ておきましょう。
https://ja.wikipedia.org/wiki蒋介石からの引用です
「北伐は実施されることなく終わった。陸軍部長の陳炯明が兵站や補給を妨害したためである。陳炯明は聯省自治主義者であった。すなわち陳は孫文と異なり、省自治を前提とした、各省の横の連合による地域統合型の国家建設を目指していたのである[31]。陳は武力統一を目指す孫文と激しく対立した。」
4月12日に蒋介石が軍を率いて広東に入ると、陳炯明は孫文に辞表を提出し、配下の部隊を率いて逃亡してしまった。」
ソ連は言うまでもなく共産軍を肩入れしていますし、アメリカは蒋介石軍を、日本は女真族満州国の肩入れしていた外、汪兆銘軍とも同盟していました。
当時のシナ地域の実態を前提とした場合、何故日本だけ侵略軍とされるのか・・アメリカやソ連の支援する軍閥と提携していなかっただけではないかの疑問が起きてきます。
孫文の中国同盟会も広東を拠点に一時期支配地を持ちますが、すぐに周辺軍閥の支持を失って上海に逃げたり蒋介石自身日本へ逃げたりの繰り返しのうちに、漸く広東で再度地元周辺軍閥の支持を受けて地歩を固め直して最初の旗揚げの地武漢を占領して再出発して行くのです。
この武漢でさえ、蒋介石が転戦中に、留守を預かる汪兆銘軍閥に乗っ取られてしまいます。
当時は広東周辺だけでも多数の軍閥が入り乱れていたのであって、今の共産党軍はそうした中の弱小集団の1つに過ぎなかったのです。
最後に負けた方についていた国が侵略軍と言うならばアメリカも最後に負けた蒋介石を応援していただけですので、日本同様に侵略軍となるべきです。
日中正常化まで、アメリカは正統政府の要請で介入していたのに対して日本は傀儡政権の要請で介入していたから侵略だという論理だったように理解していました。
蒋介石軍も満州国同様に一部分の一時的支配勢力にすぎないとすれば日本が同盟していた汪兆銘や満州国とどう違うか問題となります。
傀儡と言っても、蔣介石の方も上記記事に明らかなように、ほとんど米軍に頼っていたことは明白な事実ですから、大した基準にはなりません。
この辺は朝鮮戦争における韓国と米軍、ベトナム戦争の南ベトナムと米軍の関係でも同じです。
イラクアフガン戦争で米軍の占領後の米軍の軍事行動が現地政府の要請によると正当化されていますが、自分の時だけ都合良い解釈がおおすぎませんか?
・・アメリカが蒋介石の奥さんのハニトラによって、国府軍を応援していただけのことと、どう違うのかと言う根本的議論が必要な感じです。
私は専門家ではないので専門家には多角的研究によれば別の意見があるでしょうが、ここでは素人としての疑問を書いています。
中共政権が成立すると、その前の各種勢力・・国府軍を含めて私的な野盗の群れ?「国民党」軍に格下げになると、これを支持していたアメリカ軍も日本同様に中国侵略をして迷惑をかけていた勢力になるのかな?と言う私にような疑問を抱く人が増えるでしょう。
日本では日中戦争と言わずに「支那事変」と読んでいたことの意味を考え直すべきです。
当時中国と言う国はそもそも存在していなかったし、相手にすべき国さえ存在しておらず、国相手の戦争ではなく、泥沼化する「事変」に足をとられていたの実態です。
義和団事件その他欧米列強がこの地域で騒乱の度に自国民保護のために兵を出していますが、これを侵略と言うのでしょうか?
要は当地政権が外国人を保護する国際法上の義務履行能力を欠いていたから、自衛のために列強が兵を駐屯させ、自衛のために検挙や鎮圧するしかなかったと言う関係です。
今で言えば国連平和維持軍と言う形で合理化されていますが、当時はそう言う国際組織がなかったので各自自衛するしかなかったのが現実です。
日本も通州事件その他の被害が重なったので次第に駐屯兵が増えて行った・・泥沼化して行ったに過ぎません。
日本人が何故標的にされたかと言えば、アメリカ的戦後秩序・左翼系は日本が強引な要求したからと言いますが、欧米こぞって日本標的の工作を仕掛けていて金次第で動く中国人軍閥が乗せられていたに過ぎないと言う見方が可能です。
日本は欧米のアジア支配をやめさせるために「欧米各列強の租界地(香港の小型版)が中国各地にあるのはおかしいから返却すべきだ」と主張していたサナカに日本人を標的にした惨殺事件が立て続けに起きているのです。
欧米の指導の元に中国現地勢力が次から次へと事件を起こし、ドンドン残虐さをエスカレートして行き、穏便に収めようとしている日本を盛んに挑発して行き、これでは日本は反撃するしかないように仕向けられて行きました。
今の尖閣諸島での挑発のエスカレートを見れば分るでしょう。
いつかは衝突事故が起きると日本が挑発したと言う宣伝になるのかな?
これが後になると、日本が事件をでっち上げて侵略して行ったと歴史改ざんになるのですから、国際世論・・勝った方が歴史を作る怖さです。

三民主義・目的と手段の違い2

昨日、漢詩の1節を引いて紀元前の前漢初期から賄賂社会であったことを紹介しましたが、「漢民族の特性」と言えばそれでおしまいですが、何故こう言う民族性になったかの原因が重要です。
繰り返し書いていますが、秦の始皇帝以来専制支配体制が確立したこと・・と関係があるように思えます。
民の工夫努力・自由な発想よりも、上司の気に入るか否かが最重要社会・・権力者の気に触るといつクビが飛び、一族皆殺し・族滅の危機に遭うかもしれない社会が2000年も続いてきましたので、漢民族はいつもびくびくして目上のご機嫌を窺うしかない状態・・勢い上司・強いものに取り入ることが最大の行動基準社会になります。
派生的に取り入るべき派閥が出来、(漢時代に党錮の禁が始まり、各王朝で党派の争いがいつもあります)今でも上海閥やダンパあるいは太子党などの派閥がありますが、その下位集団として習近平や李克強の過去の勤務地別の派閥もあり複雑です)相手派閥を蹴落とすべく権謀術数工作も盛んになります。
中韓政治家が、国際社会でのロビー活動などでは、権謀術数の経験に乏しい、日本などはモノの数ではないと豪語して来た所以ですし、実際に中韓のロビー活動により、国連での日本非難決議に向けた下工作が横行しています。
国際機関やスポーツ組織にいつの間にか韓国系が浸透しているのがこれです。
中国の派閥とは、透明性の全くない私的集団・マフィア的人的つながりを言うものであって、政策研修・勉強会などしている政策集団の日本の派閥・・東京弁護士会の派閥でさえ勉強集団です)とは本質が違っていますので、日本の派閥をイメージする翻訳は意図的すり替えの疑いがあります。
石油閥などが報道されるので、利権集団的側面もあるように思う方が多いでしょうが、人脈形成の主目的がイキナリ失脚するリスクを減らし出世するためにある・・その結果として利権集団化しているに過ぎない・・手段と目的の関係が違っています。
専制や独裁の場合、出世あるいは牢獄に繋がれるかの基準が社会のために良いことをしているか正しいコトをしているかよりも自分の親分が主流派になれるかで決まる社会です。
政敵失脚させるためには表向き何かの失敗を取り上げられるのですが、取り上げられるかどうかの大もとの選別基準は政敵かどうかによります。
現在の腐敗撲滅運動を見れば分るように習近平周辺には及ばず政敵粛清目的で賄賂を取り締まっていると言われているのは正にこれで、政敵粛清が目的であって、汚職摘発はその手段になっている・・主目的がどこにあるかで大きな違いが生じる例です。
権謀術数は相手を蹴落とす目的であって、陰で讒言するのが基本的攻撃手段で正義の基準は不要ですがこれが長年有効だったのは、専制社会では1回勝負の社会だったからです。
政治抗争に勝てば相手一族皆殺しですから1回勝てば「勝負あり」になる・・どんな卑怯な手段でも何をしてでも勝つことが最重要基準で・・勝ってしまえば、相手を皆殺しに出来るので、後に道義的非難などあり得ない社会を前提にしています。
日本は縄文の時代から争いがあってもトコトンやらない社会ですから、卑怯な勝ち方をすると時間の経過でいつかは真実が出て来る・・数百年単位での評価・・手段が卑怯かだけはなく結果もやり過ぎかどうかを含めて批判される・・後で社会全体の批判を受けるのが怖い・・名誉重んじる社会がこうして出来上がっています。
讒言などするとあとでバレル・・陥れたとなると結果的に「損」と言う社会ですから、パク大統領の讒言外交には唖然としてしまったのです。
専制社会で負けた方が皆殺しされる制度で、負けた方はどんなに正しい意見であっても一族関係者が皆殺しに合うので何も言えない言うべき人が残らない仕組みです。
勝った方が抗争の歴史を書き換えて行く社会では、どんな非道な手段を弄しても勝つことが先決の社会になります。
アメリカ日本を戦争に引きずり込み原爆まで投下したのは、そう言う基準・・勝った方が歴史を塗り替えれば良いと言う方針があったことはそのご戦犯裁判や中韓を使っての「歴史修正主義者のレッテル貼り」に精出して来たことから見ても明らかです。
現在の中韓両国の経済活動を見ても、1回勝負のやり方は変わっていません・・。
目先の受注量を競うために採算割れの無茶な受注あるいは自国技術で出来そうもない無謀な受注競争を仕掛け、怒濤の勢いで規模拡大をする・・購買力誇示のために続く訳もない爆買いで札ビラを誇示する・・みな同じです。
目先にこだわるのは、一時的に相手を失脚・倒産させれば、永久に自分が支配出来る社会が2000年も続いたことにより、先ず受注競争に勝って競争相手を潰してしまえば、後は独占企業としてスキなように契約変更も出来ると言う思想によります。
中韓の一時的な反日攻勢が効を奏さずジリ貧になって来たのは、閉鎖された専制社会とは異なり国際社会ではロビー活動で如何に噓八百を言って勝っても、毎回相手を奴隷化することが出来ない・・精々一時的に多数派形成し、ありもしない慰安婦決議慰安婦像を建てたり南京虐殺を世界遺産に登録する程度がやっとですから、長期的には真実・正義を主張している方が勢力を回復して行きます。
時間をかければ中韓の噓がバレて信用をなくして行く・・時間の経過でグランデール市のように「慰安婦像があるだけ韓国にとって惨め・恥の歴史」を世界に残して行くことになるでしょう。
勿論この像建設を推進した市議などもその内恥をかいて行くと思います。
一時的にアフリカやオーストラリアなどを資金力や資源その他の爆買いで捩じ伏せていても、こう言うやり方は先が続かない・・一過性でしかないので、その間にこのときとばかりに目一杯威張ってしまうことも愚かで浅ましい限りです。
一過性の爆買いや投資が減少すれば威張られた方は直ちに愛想を尽かしますので、中国が投資して来たアジア(ベトナムやミャンマー・カンボジアなど)アフリカ諸国では、元々親切な日本に足下を掘り崩されつつあるのがその例です。
権謀術数で言えば、日米戦争の始まりは、(その前から非白人国家日本を壊滅させるアメリカの基本政策があってのことですが・・)蒋介石夫人宋美齢がルーズベルトに対する工作が成功して蒋介石軍の応援を始めたことが日本を敗北に追いつめた切っ掛けです。
ですから、一度で大損害の生じる戦争に関しては、権謀術数の重要性は変わりません。

中国の権力闘争激化2

政府とはなれた企業でさえ国有の場合、変化に適応出来ない非効率が問題にされていて、この打開のために日本でも諸外国でも公営事業の民営化に努力していますし、中国の場合にも・・改革開放→朱鎔基首相時代に思い切った国有企業の民営化断行したのが今の発展の基礎になっていると言うのが定説です。
このシリーズの基礎原稿は5月のサミットの頃に書いておいたものですが、タマタマ今朝の日経新聞朝刊にも朱鎔基の功績が出ています。
共産党幹部が企業トップに就任していて党の末端委員会が企業内に常駐していて、(常駐しているだけも事実上にらみが利いていたのですが法的に経営陣が常駐している委員会の意見を一々聞かねばならないとすれば、国有企業の非効率どころの話ではなくなります。
現在の中国経済の危機打開には一段の民営化が望まれるところなのに、やっていることは逆向です。
国有企業の債務超過=経営不振に困っているときに、事業経営判断に自由な経営を知らない共産党ゴリゴリの幹部が口出ししてどうなるの?
日本で言えば国鉄の赤字解決のために、政府から監督員を派遣してもっと厳しく監督しろと言うに等しい政策です。
現実妥協政治・・学問と違って現実政治は生身の人間相手ですから、妥協で成り立っています・・。
IMFでSDR昇格運動をして認められれば、人民元取引自由化を拡大するしかないからリスクが大きいのが分っていながら、国威発揚のためにSDR昇格運動を要求するしかない。
習近平は裏で・・内々大量失業を出すなと厳命しながら「ゾンビ企業の淘汰を進める」など言わせて権威筋意見として「ゾンビ企業延命をしているのはけしからんと」政権批判する・・現在の行政府は習近平の何を信じて動いていいのか立ち往生の状態に追い込まれているようにも見えます。
あるいは二人三脚で、ガス抜きしているのか高度な政治背景は不明ですが、兎も角政権中枢がL字型見通しを言わざるをなくなっている状態にあることは間違いないでしょう。
現在の中国の苦境は反日に始まり周辺国の領海侵犯の繰り返しなど無茶な政策決定に原因があるのですから、(領海拡張や、南京虐殺宣伝を大々的展開しながら裏で日本の協力を求めるなど)基本的矛盾を放置して政策変更だけ求めるのでは現実政治を預かる方はどうして良いか判断に困ります。
(今の経済状況では誰が何をやってもドンドン沈んで行くばかり・・モノゴトは一定のところまで行き着かせないと上昇気流に転換出来ません)
難しい政策決定に(責任をとりたくないので)敢えて自分の意向を入れず、傍らから「権威筋意見」としてアリバイ的に批判しておく・・結果うまく行かないのを待って李克強ら現政府当局者の責任追及準備にはいったと読めます。
権力闘争手段として正論を主張しておけば、後から李克強首相の政策失敗を追及して失脚させることが簡単です。
習近平氏は政権を握ると同時に汚職追放を打ち出してその論理で政敵を次々と葬ってきましたが、汚職では追及出来ないダンパ系に対して遂に牙を剥いたと解すべきでしょうか?
実務官僚(ダンパ)まで敵に回すようになると政権が持つのか?あるいは何をやってもどうせ持たないことを前提に最後には李克強らの責任だと言い逃れする破れかぶれ政策と言うことでしょうか?
今年始めの株価下落対応の対応不手際では、証券取引のトップが責任をとらされてクビになりましたが,(マスコミは、本質を書けないのであたり障りのない不手際程度を書いていたに過ぎません)本質は基礎構造の矛盾にあって個人能力が問題ではないのにその場凌ぎをするしかないのが中国政府です。
中国の統計はいい加減で信用がないのが定説と言えるでしょうが、日頃から不正をやらせておくと担当者の首を切りたければ統計数字を誤摩化したなどの責任追及をすれば、簡単に処分出来ます。
いずれにせよ国民のための政治ではなく、権力闘争に勝つことが主目的の政治ではその先も知れています。
もしも最後にハードランデングしたときに、自分は一刻も早く金融引き締めでバブル退治しろと言ってたのに、李克強・政府側が企業と癒着していてゾンビ企業の延命をしていたと言う大義名分にしたいのか?
そのためにV字型やU字型回復は無理・・L字型しかないと言う本音を書いているのかも知れません。

中国の権力闘争激化1

中国が、過剰生産力整理の痛みに堪え兼ねて潤沢な資金供給継続=補助金の積み増しでゾンビ企業の赤字輸出を拡大(赤字分を補助金で補填すればいくらでも輸出可能ですが補助金で本来のコストの半値で輸出される方の国内産業が破壊されてしまいます)する構図については今年5月ののサミット首脳宣言でも槍玉に挙がっています。
中国は外貨準備急減の穴埋めのためにダンピング輸出に頼るしかないのでしょうが、さすがに西欧諸国も中国市場進出メリットよりもダンピング輸出される損害の方が大きくなって来たようです。
中国の人民元防衛のために外貨準備の取り崩しが続くとマサに通貨危機が到来する滝壷が近づきます。
猛烈なダンピング輸出で外貨を稼いでいる筈なのに、5月の発表では中国の外貨準備は279億ドルの減少と日経新聞6月11日朝刊6pに書いています・・中国の発表自体正確ではありませんので本当はもっと減っている可能性が高いでしょう。
翌5月のデータは以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/china-reserve-foreign-idJPKCN0YT0T7
「北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行(中央銀行)が発表した5月末時点の外貨準備高は3兆1900億ドルで、2011年12月以来の低水準だった。ドル高や散発的な市場介入が影響した。」

赤字企業の整理を進めるために、チョっと引き締めて、企業が苦しくなれば金融緩和等を補助して債務拡大→出血輸出奨励策は一種の外貨準備穴埋め策とも言えますが、こう言う自転車操業的穴埋めを今後どこまでやって行けるかです。
中国共産党内部でもこのリスクを無視し切れなくなって来た様子が見えます。
日経新聞朝刊5月23日4ページには、共産党機関紙に政府発表・・現在の金融緩和政策と真っ向から反対する「権威筋の意見」が繰り返し掲載されるようになったと対照表付きで出ています。
私に言わせれば「権威筋批判」は正論ですが、正論であっても政権中枢の党機関誌が別の意見を公式に出すのは異常です。
中国特有の権力闘争が基底にあって、敵対勢力打倒のためにこうした反対論が表面化して来たものと推測されます。
正論が表面化せざるを得ないほど・・現政策矛盾が限界に来ている・・・経済的に追いつめられているとも読めます。
ちなみに現在の勢力関係は、共産党大幹部間権力抗争の結果、習政権による胡錦涛系追い落としが一段落したので中立を保って来たいわゆるダンパ(共産党青年団生え抜き幹部・・李克強首相などテクノクラート系?)が目障りになって来た?状態でしょうか?
中国経済は日に日に悪くなっていることは明らかで、いろんな苦し紛れの矛盾した手を打たざるを得ないものの、いつかはどうにもならなくなることも(私に言わせれば)明らかです。
私は日本としてはその現実を見るべき・・「賞讃ばかりすしていると危険だ!」と言うだけであって、現実政治を預かる者・・中国政策当局者がある程度の妥協政治・・厳し過ぎて倒産続出も困るので、時には手綱を緩めて、ほっと息をつかせてやるのも1つの政策です。
習近平氏への権力集中が進んで、今や政府部門まで共産党が直截口出しするようになっていると言われます。
日本で言えば、自民党と政府が区別されていて、与党からの注文はありますが具体的政治は内閣の仕事です。
中国の場合共産党の分身があらゆる行政府に支部的に存在している点は橋下市長が大阪市で問題化していた労組事務局が市庁舎一部を無償使用している仕組みと似ています。
大阪市の場合場所を無使用使用していた(京都で朝鮮人学校が公園を事実上占拠していたのと似ています)だけですが、中国の場合彼らの給与も税金で賄い(労組専従の場合労組員が給与天引きで負担していますが・・負担するのは労組員だけです)しかも市長よりも権限が強い関係です。
後記のように実際に企業のトップは共産党幹部がつく仕組みです。
このように元々共産党がお目付役的に存在していたのですが、政府と党の役割が次第に分離させて来たのがこの20年の歩みでしたが、習近平氏への権力集中化によって、政府が実務の分らない党指導に直接従属する逆行性が顕著になって来ました。
この記事は5月のサミットの頃に書いていたものですが、政府関与に留まらず個別企業運営にまで党の意見を直截反映させるようになってきたようです。
国有企業内に委員会があるのは元からですが、「国有企業の重要事項決定には共産党委員会の意見による」とする定款改訂が進んでいるとの情報が出ています。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20160720.htmlからの引用です。
2016-07-20 03:27:03
中国、「共産党」国有企業の日常業務まで監督強化する理由は?
ブルームバーグ』(7月12日付)は、「中国共産党、国有企業の監督強化、日常業務にも介入強める 」と題して、次のように伝えた。
(1)「習近平国家主席は、『国有企業』の『国』の部分を一段と強めつつある。乗用車メーカーの一汽轎車(FAWカー)や化学繊維メーカーの中材科技、鉱業の西蔵鉱業発展は最近、経営上の決定に対する中国共産党の監督強化を認める方向に定款を変更した。例えば、これら企業の取締役会には今後、主要な決定前に社内の共産党委員会の意見を聞く義務が生じる。中国のほぼ全ての国有企業の社内には共産党委員会があり、多くの企業では会長が委員長を兼任している。国有企業の幹部の多くは中国共産党中央組織部によって選ばれている」

政府内に浸透するに留まらず企業経営にまで党の意見を聞かないと何も出来ないようにしていることが分ります。
金融・財政政策は政府の専権事項であって党が直截口出しするのはどうかと思われているのですが、個別民間事業の個別運営にまで党が直接口出しするとすれば文字どおり「世も末」です。

西欧の中国接近10(貧すれば鈍する)

西欧の日米離れ・親中国の進行を政治的に見れば、この数十年間ソ連の西欧への脅威がなくなったこともあって、西欧には、軍事的リスクがなくなったことと、EU結成による自信回復によるところが大きかったでしょう。
米国離れを進めるには、対抗軸として新興の中国利用・中国カード利用を考えていたと想定されます。
現在のウクライナ紛争もロシアによる脅威と言うより、西欧によるロシア領域への無遠慮な蚕食が進み過ぎたことへのプーチンの反撃程度の意味でしかありません・・ウクライナ・キエフは元々ロシア発祥の地です。
里山から奥山に人間が侵蝕し過ぎると熊やイノシシその他が人間界に現れて農地を荒らすのと似ています。
プーチンの反撃は「まだロシアは噛み付く能力程度の力を持っているぞ!」と言う程度のことです。
この点は中国の膨張主義による自発的実力行使とは本質を異にしています。
中国の積極的秩序破壊行為に対して何も言えないままだと西欧はG7構成国の資格があるの?と言う疑問が生じるので、仕方なしに名指しこそなくとも中国非難満載の首脳宣言に同意せざるを得なかったのでしょうか?
ウクライナ問題・対ロシア制裁は地政学的に遠い日本やアメリカに直截利害がなく、地続きの西欧の利害のために始まった筈ですが、肝腎の西欧が内心では対ロシア制裁解除を望んでいる変な構図になっています。
日経新聞5月28日朝刊には、西欧のロシア融和策の背景をロシアによる「シリア関与を期待しているため」と書いていますが、ロシアはアサド政権支持のための空爆ですから、西欧の現政権打倒の方針と相容れませんから本音は対ロシア貿易縮小・金融規制による経済損失関心ではないでしょうか?
政治は多様な要素が絡まっていることを書いてきました・・喩えば、今の西欧にとっては人権よりは難民増加防止が緊急課題ですから、嫌忌するアサド政権でも何でもいいから、早く治安回復して欲しい意思?も絡まっていますが、いずれにせよロシアの空爆を内心望んでいるようになった以上は、西欧が従来主張して来た「道義」にこだわらない意思表示です。
難民問題は、元々シリア政治を引っ掻き回した西欧に責任があります・・、ビルの建て替えや再開発すれば、そこに住んでいる人がその間どこかへ避難するしかないのは当然です。
都市再開発の場合その間立ち退きしたオフイスビルテナントの需要が周辺に拡散して周辺貸ビルが潤うように、当初ある程度引っ掻き回して適当な数の難民受け入れならば、独仏等のの労働力不足対策になる・・低賃金競争出来るメリットの一石二鳥(人道主義の名目で難民・・多くは窮迫しているので安く使えます)の読みがあった筈です。
ドイツのメルケルが最初の内は、受入れ賛成していたのは本音だったのです。
ところが必要量を大幅に超えて流入する今になって、迷惑の方が気になって来て「秩序ある流入」をトルコに求めて責任逃れで騒いでいることになります。
西欧は対中国でも同じですが、倫理よりは経済利害優先・・余裕が無くなってきれいごとを言っていられなくなったと見るべきでしょう。
【貧すれば鈍する」と言われますが、貧して鈍するのは匹夫の生き方であり、貧しても鈍しないかどうかで本来の品性が決まります。
謡曲【鉢の木」は、貧しても鈍しない品格を表したもので日本人のあるべき姿を表しているものですが、西欧の行動はすぐにも「鈍する品格」を絵に描いたような行動です。
[落ちぶりたりといえどもこの源左衛門、 鎌倉殿の御家人として、もし幕府に 一大事がおこれば、千切れたりとも 具足を着け、錆びたりとも薙刀を持ち、 痩せたりともあの馬に乗り、一番に鎌倉に 馳せ参じ、一命を投げ打つ所存でござる]

結果的に西欧は、中国主導の専制的経済秩序形成の試み・AIIBに参加するだけではなくアジアでの中国の覇権主義的行動を批判しないなど・・これが最近の世界混乱が始まった(オバマの資質だけではない)構造的遠因です。
この後で西欧主導のIMFが、自ら設定した原理原則を曲げてまで人民元をSDRに採用した矛盾を紹介しますが、西欧諸国が中国に軸足を移していることを前提にすれば、西欧支配のIMFのSDR採用は、人権無視を気にしないようになったと同じ・・自ら設定した原理原則こだわらない1つの意思表示だったと言えます。
西欧諸国のAIIB参加は、汚職にまみれた中国の不透明運営・・参加国理事を常駐させないで中国人総裁・理事長が専決する仕組み・・中国が独裁運営する旨明白に意思表示しているのに、そこに参加して資金を出資してこの組織を大きく育てると言うのですから驚きです。
今後AIIBを世界経済運営の主要機関に育て上げて行く予定だったとするならば、今後世界中から集めた資金の国際的資金運営について中国の専制運営を認めその支配下に参加し自分も資本を出すが、運営には中国のスキなようにしてよいと言う宣言です。
経済運営については中国の専制支配下にはいる意思表示だったことになります。
ところで、国内政治も同じですが、税その他で集めた資金をどのように運用分配するかの経済政策が政治の9割9分みたいな面があります・・実際この後で書いて行くように西欧その他の中国離れの動きは、中国マネーの魅力が薄れたことによる・資金分配ほど気になるものはありません。
どこの国でも、経済政策の巧拙と結果が政権の命運を左右しています。
世界から集める資金を中国による専制運営を制度的に認めるのは、国際経済運営・資金配分は中国が専制支配・・スキなところに使って良い意思表示です。
民主国家を基本にしている国の運営を預かるものが、上位?機関として中国による専制運営機関を作りそこに自国が参加しその支配下に入る決定をするのは国民に対する裏切り行為ではないでしょうか?

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