上海協力機構と一帯一路(非キリスト社会の団結の動き)2

米国籍牧師釈放についてはリラ急落→国家破産を防ぐためには、エルドアンの一時的妥協がしかたなかったとしても、力ずくの制裁に屈服した不満が却って残るでしょう。
共通項を見るとエルドアンの経済政策は、習近平同様に建設需要の内需掘り起こしであり、メデイアを締め付けるなど独裁の強化でも同じです。
ただ、豊富な外貨準備のある中国とは違いトルコが対外純資産でマイナス経済なのに、国内インフラ投資で国民支持を狙って高成長をはかるのは結果的に対外債務が膨張しますので無理がある点をアメリカ金融緩和が終わり始めると資金逃避が始まったものです。
資金潤沢と豪語していた中国も実は国内で不要な公共投資や、不動産・マンション投資を繰り返した結果、資金的に限界がきて日本にすがりつき始めていることは周知の通りです。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20181013.html

2018-10-13
(3)「BIS(国際決済銀行)統計によると、中国は、債務残高のGDP比が2008年末の141.3%から2017年末に255.7%へ急上昇した。この水準や上昇ペースの速さは、かつて金融危機に陥ったり、バランスシート調整による景気急減速を余儀なくされた国々に匹敵している」

長期独裁政権ではトルコと中国、ロシアは共通項であり、国内インフラ投資で、政権維持している点では、中国とトルコは共通です。
ロシアは借金で国内投資→国内景気維持をするには、ソ連崩壊時のトラウマがあり無理がある(外資の信用がない)のでウクライナ侵攻やこの後で紹介する武力行使(軍事力では旧ソ連時代の遺産があります)で国威発揚で政権支持アップを狙うしかない状態です。
軍事力行使→は国際社会から経済制裁を受けるので経済的にさらに苦しくなる上に、国威発揚による国民熱狂は一時的なもので熱狂が冷めると国民の支持がさがって行くので、支持を持続させるためにはさらなる国威発揚・・あちこちの紛争に無闇に介入するしかないですが、それがプーチンの弱みです。
長期経済低迷化で国民不人気の年金支給作送り政策を発表するしかなくなった結果、プーチン支持が陰ってきた所ですが、ロシアの場合、イラン禁輸等国際情勢不透明感で資源価格が持ち直せば息を吹き返せますが、トルコは資源が上がればもっと輸入赤字が増える関係です。
ですから米国牧師釈放によって米国の制裁が緩んでも、経済のファンダメンタルは変わらない(利上げプラス金融引き締め・/無闇な国内投資を引き締めるしかないがエルドアン政権の延命のための拒否)ので、トルコ危機が続くことになります。
文化的に見るとロシアとトルコはいずれも西洋キリスト教文化圏の外延に位置し、ロシアはそれでも「ギリシャ正教」という名の亜流的キリスト思想を受け入れましたが、(帝政ロシアの初期から・・フランス宮廷文化の受け入れ〜ドイツ系・エカテリーナ女帝はドイツ貴族の娘だったように記憶します)を受け入れてきましたが、教会の外形はネギ坊主型でイスラム的です)トルコはイスラム圏に属することからそこまでの西洋価値観の受容はできていません。
せいぜい政権の世俗化程度しか変化できない限界でしたが、この数年では世俗化政策の廃止でイスラム復帰姿勢が鮮明です。
欧米からの非民主的強権政治に批判が出ると、電撃的に宿敵ロシアのプーチンと握手するなど暴力系・反現行秩序系同士の連携が広がってきました。
上記の通り細かい事情が違いますが、中露との枢軸?化に踏み出したように見えます。
中ロの連携も大分前から進んでいます。
ウイキペデイアによると概ね以下の通りです。

上海協力機構もしくは国家連合。
2001年6月15日、上海にて設立。
上海合作組織/上海合作组织は、中華人民共和国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8か国による多国間協力組織
・・・加盟国間の共同軍事演習も複数回行われ、2005年8月には初の中露共同軍事演習「平和への使命2005(英語版)」を大規模に行い、平行してオブザーバーであったインドとの露印軍事演習も開催され、成功した二つの軍事演習に自信を深めたロシアはSCOの軍事協力に積極的な行動を見せた。中露はこれを皮切りに東シナ海[5]、日本海[6]、地中海[7]、オホーツク海[8]、南シナ海[9]、バルト海[10]など海洋でも合同軍事演習を行うようになった。2018年9月に中国とオブザーバーのモンゴルが初参加したロシア史上最大の軍事演習「ボストーク2018(英語版)」はソビエト連邦最大の軍事演習である「ザパド81(英語版)」を超える規模[11]であ」

ると紹介されています。
前後しますが、

・・・SCOの正規加盟国の領域は発足当初は中国以外はロシアや中央アジアといったユーラシア経済共同体の国々のみだったが、インド・パキスタンの正規加盟に伴ってユーラシア大陸の8割に達し[15]、加盟国の総人口は30億人を超える規模で世界人口の半分近くを占める北アジア、西アジア、中央アジア、南アジア、東アジアに勢力を広げて一大連合体に発展する可能性を持つSCOは、いずれNATOに対抗しうる対欧米同盟として成長することを、アフリカやラテンアメリカの発展途上国(G77)から期待されている。

もっと大きくはG20で日米も出席しますが、(ロシアはウクライナ侵攻以降 サミットから排除された結果の対抗意識もあり?)欧米主導の7カ国サミットの地位低下を狙ったものです。
経済システムとしては、中国主導のAIIBが設立されたこともその一つです。
実はAIIBは、上記上海協力機構の背骨のような位置付けらしいです。
上記引用の続きです。

2016年6月17日にロシアのプーチン大統領は中国・インド・パキスタン・イランなどのSCO構成国とユーラシア経済連合を軸に築く大ユーラシア・パートナーシップと第一段階として中国との交渉協議を目指す計画を発表し[27][28][29]、25日のプーチン大統領の訪中から同構想が中露共同声明に盛り込まれて共同研究の準備と経済連携協定の交渉協議が開始され[30][31][32]、2017年5月14日に北京での一帯一路国際協力サミットフォーラム(英語版)の開幕式でプーチン大統領は一帯一路、SCO、EAEUなどは同構想の基礎となると演説[33]し、同年7月には同構想の共同研究が開始され[34][35]、同年10月に経済連携協定の交渉は完了し[36][37]、同年11月にAPECに向けてプーチン大統領が発表した論文でも大ユーラシア・パートナーシップは中国の一帯一路を基礎にすることが述べられた[38]。翌2018年5月17日に、EEUは中国との経済連携協定とイランとの暫定自由貿易協定を同時に結んだ[39

上海協力機構と一帯一路(非キリスト社会の団結の動き)

ここ数年では、欧米から非民主化への先祖帰りに対する批判を受けるとロシアとシリア方面で手を組むなど複雑な動きをしている他、アメリカの制止を振り切ってロシアから兵器を買うようになるなどの結果、今年の夏ころには16年のトルコクーデター事件の応援をしていたという容疑によるアメリカ国籍牧師の拘束釈放交渉に対して、刑務所?拘禁は解かれたものの、自宅軟禁のままとなったことでトランプ氏が怒り、今年8月頃に経済制裁だったかな?受けるなど、ロシアの仲間入り路線が明白になってきました。
ただし、もともと昨年からに米国金利アップ政策(いわゆる金融超緩和の出口戦略)への変更の結果、新興国からの資金引き上げ加速対象として特にトルコ経済の脆弱性(対外準債務国)がマトになってトルコリラ下落加速状態下で、この制裁発動はトルコ経済への危機的状態をもたらし始めました。
http://zai.diamond.jp/articles/-/296496
2018年08月15日(水)東京時間 16:15
今回からトルコ人の為替ストラテジスト、エミン・ユルマズさんのコラム「トルコリラ相場の明日は天国か? 地獄か?」がスタートします。
今回のトルコリラの下落が始まったのは8月1日(水)で、米政府がトルコ政府の閣僚2名を対象に制裁措置を発動させたことがきっかけでした。制裁の対象となったのはソイル内務大臣とギュル法務大臣でした。
https://jp.reuters.com/article/turkey-risk-instantview-idJPKBN1KY078
2018年8月13日 / 12:44 / 2ヶ月前
トルコリラが通貨危機に直面している。年初来の対ドル下落率は40%超と、今年4 月に通貨危機に見舞われて国際通貨基金(IMF)に救援を仰がざるを得なくなったアルゼンチンペソより状況は深刻である。
トルコが通貨危機から脱するには、中銀が厳しい金融引き締めを実施する必要がある。ただ、金融政策が信認を多少取り戻したところで、劣悪な対外バランスから生じる通貨安圧力は消えない。この圧力に対抗すべき海外からの資金流入もままならないとすれば、リラの地合いが劇的に好転すると期待するのは行き過ぎだ。

https://chu-sotu.net/archives/4150
コラム
アンドルー・ブランソン牧師が解放へ~正体はやっぱりCIA?トルコリラはどうなる?
2018年8月12日
トルコに長らく拘束されてきたアンドルー・ブランソン牧師がようやく解放されました。
そもそもにおいて、トルコという国の司法判断に、外国のアメリカがいちいちイチャモンつけて介入するということ自体が本来異例です。
アンドリュー・ブランソン牧師の解放交渉は、トルコという国に対する内政干渉と等しい行為でした。
「裁判所が有罪判決を下してもアンドルー・ブランソン牧師を解放しろ」とアメリカは言ってきましたが、これは「司法に行政が介入しろ」と言っているようなものなんです。
これが三権分立を重んじるべき先進国のすることでしょうか。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/7-28.php
トルコ裁判所、米国人牧師の釈放認めず リラ一時7%下落
2018年8月18日(土)12時47分

流石にトルコリラの急落を受けて開き直りに徹する→経済混乱が激しくなった結果、エルドアン氏も強気ばかりを言ってられず国連総会出席の機会に内々釈放合意したというニュースがこの数日駆け巡リ、トルコリラの相場が持ち直しています。
エルドアン氏もトランプの不合理な要求にそのまま従ったのでは国内的に(面子丸つぶれで)厳しいでしょうが、どうにもならないので、つい先日の国連総会出席時にトランプ氏との短時間会談の時に釈放約束したとかのニュースの結果、リラ相場が急速に持ち直しているニュースが駆け巡っていました。
もちろん、エルドアン氏は(密約否定?)司法判断に関知しないと発言していましたが・・。
10月12日ついに完全釈放(自宅軟禁解除で米国へ帰還)されました。
https://www.sankei.com/world/news/181012/wor1810120024-n1.html
ロイター通信などによると、検察側はこの日、ブランソン氏に懲役刑を求める一方で、自宅軟禁と出国禁止の制限を解くよう請求。裁判所は懲役3年の刑を宣告したが、すでに一定期間、拘束下で過ごしており、刑に服する必要はないと判断した。

内容を見ると、検察官が「求刑と同時に釈放を求める請求した」ということなので、裁判所としては面子を保てたことになります。
結果的に密約があったことを裏付けたことになります。
リラ相場の動きは以下の通りです。
上記密約説を前提にリラ相場は持ち直していましたが、密約情報通りの結果だったので逆に少し下がった状態のようです。
この10年前後のエルドアン氏の権力掌握と対米関係悪化→中露への接近等々の動きとリラ急落の関係については、以下の記事が簡明に解説しています。
http://news.livedoor.com/article/detail/15159758/

問題を複雑化させているのは、トルコの対外資本依存度の高さや中央銀行の独立性をめぐる疑義といった経済問題のみならず、アメリカとの外交関係悪化も絡み合っていることだ。さらには、2002年の総選挙勝利以来、強い指導者として君臨するエルドアン大統領の経済政策や資質そのものに疑念が生じていることも問題を根深くしている。
・・・
トルコの隣国シリアの内戦に絡んだ過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦では、トルコが敵視するクルド人民兵組織をアメリカは友軍としたため、両国は一触即発の状況に陥ったほか、トルコは関係を深めるロシアの最新鋭地対空ミサイルS400の購入も計画してアメリカをいら立たせている。

以下詳細略

上海株暴落〜通貨切り下げ6

この辺で今年6月から始まった上海株暴落後の流れのおさらいをしておきましょう。
2ヶ月も経つと何月何日に何があったか忘れてしまいましたので、
以下引用です。
①勝又壽良の経済時評http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12046021863.html
2015-07-06 03:56:10
「中国、「株価暴落」バブル経済体質に「断」再起不能
6月26日、上海総合株価指数は7.39%もの急落になった。中国人民銀行は27日急遽、株価テコ入れで貸出基準金利を0.25%引き下げた。その効果もなく29日、前週末より3.34%値下がりだ。そして、7月2日終値は前日比3.48%の下落。4000ポイントを割って3912へ落ちこんだ。最近の高値である6月12日の5166からの下げ幅は24%である。
「この高値に達するまでの1年間で、上海総合指数は約2.5倍にも跳ね上がっていた。急騰した株価は皮肉にも、急落によって幕を閉じようとしている。今回の急落によって、上海株式市場は最後のとどめを刺された格好である。世界から注目された上海株式市場は、個人投資家が6~8割を占めている。いわゆる機関投資家が存在せず、株価は一方的に振れるという不安定構造だ。信用取引が頼りで、ここまで上昇してきた。それも終末を迎えたことは疑いない。」
官製メディアは、意識して「株価下落ニュース」を流させないという統制を加えている。英国『BBC中国語サイト』(6月23日付け)によると、中国国内メディアを管轄する政府機関・国家新聞出版広電総局が、各メディアに対して株式市場に関する報道を控えるよう通達を出した。「臭いものに蓋」である。一番、馬鹿な目に遭うのは名もない庶民達である。」
中国経済は株式バブルの崩壊で、だめ押しを食らった形である。野球で言えば、7回コールド負けを喫したようなものだ。不動産バブル崩壊の影響は、日に日に強くなっている。中国GDPで、最大の需要項目である固定資産投資は、不動産バブル崩壊で低迷している。ここに株式バブル崩壊の悪影響が加わる。株価上昇による「資産効果」とは真逆の事態のマイナス効果が現れるのだ。個人消費がさらに落ちこむであろう。」

② http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507060085
015年07月06日09時54分
【経済】中国:当局が空売り規制か、「貸株業務を一時停止」とのうわさ
株価の急落に歯止めをかけるため、中国当局が空売り規制に乗り出すもようだ。近く証券会社に対し、貸株業務の一時停止を求めるという。一部ブローカーはすでに、本日から業務を暫定的に停止しているようだ。現地メディアが3日、消息筋情報として伝えた。
本土マーケットで株価が急落するなか、当局は矢継ぎ早の対応策を実施。今月1日の夜には、現行の担保比率(※)について、証券ブローカー自らが決定できるように修正。A株取引所税や名義書換料を引き下げる方針も明らかにした。これに先だつ6月27日には、中国人民銀行(中央銀行)が景気のテコ入れと株式相場の安定化を狙い、政策金利と預金準備率の同時引き下げを発表している(28日付で実施)。ただ、その後も株価は下げ止まらず、上海総合指数は本日(3日)も一時7%超の下げを見せる場面があった(日本時間午後2時5分現在は1.31%安)。

③ http://solife-a.com/12593.html2015/07/10 からの引用です。

「6月中旬から始まった、中国株価の下落はとどまることを知らず、中国政府は、一気に390兆円の損失を被ることになったのです。
事態を重く見た中国政府は、2015年7月7日に、株式市場としては異例の、『売却禁止』や『売買停止』の措置を取り始めました。
この、株式市場の機能を完全に停止させるという対策によって、中国経済には、一体どのような事が起こりうるのでしょうか?」

④ http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/598.htmlからの引用です。
(ブルームバーグ):中国証券監督管理委員会(証監会)は企業の大株主や経営幹部、役員を対象に、持ち株の売却を6カ月禁止した。
証監会の声明によれば、経営権を握る株主や発行済み株式の5%以上を保有する投資家は6カ月間、持ち株を減らすことができなくなる。
原題:China Bans Stock Sales by Major Shareholders for Six Months(抜粋)

⑤ Business | 2015年 08月 4日 15:09 JST[香港 4日 ロイター] – 4日の中国株式市場は反発して前場を終えた。中国の上海、深セン両証券取引所が空売り規制の強化を発表したことが背景。空売りは先月の市場急落の一因とされている。

※ 追記 空売りは反逆罪?で処罰する仕組み?が出来たらしく、暴落が一時的に収まっている状態でしたが、上海総合が18日6、15%安で今日(19日)の夕刊によると3、12%安と出ています。
8月20日の日経朝刊3pによると新興国全般に資金流出が深刻な状態になっていることが書かれていて、中国に関しては、人民銀行が18日に短期市場(公開市場操作・オペ)で半年ぶりの1200億元の資金供給をしたばかりなのに19日には、14の国有銀行中心に1100億元(2兆1000億円)もの大量資金供給をしたと報じられています。
これまで紹介して来たように今年に入ってからの毎月のように行なわれて来た金融緩和ではどうにもならなくなって、直接資金投入しかなくなった状態が見て取れます。
人民元はいくらでも印刷出来ますが、これではその場の(幹部にコネのある国有企業等の)支払が出来ますが、外資が余計逃げ出すようになります。
結局は、外資不足に(生産に必要な輸入が出来なく)なるので・・これを補うには国を挙げての出血輸出による外貨補充しかないと考えたのが切り下げの理由でしょう。

以上のように連日の大規模な規制連続の挙げ句の8月11日以降3連日の為替切り下げでした。
そして、4日目には人民銀行によるドル買い介入による切り下げ政策終了でした。
昨年秋からの中国経済政策の動きを見ると、素人目にもドタバタ劇の連続で、プロ政治の態をなしていないというべきでしょう。
江戸時代吉宗の米相場対策程度の動きですが、日本とは約300年の経験差があるようです・・当時と違って国際経済は複雑・即時性がありますから、効果がすぐに劇的に出ます。
中国の将来がないと言う(偏った?)立場から見れば、6月以降の中国の政策を見ていると泥縄式を通り越して断末魔の様相を呈し始めたと言うべきでしょうか?
繰り返し書いていますが、中国は大言壮語している割には、真水の外貨準備が少ないし、比例して技術蓄積も殆どありません。
それまでの蓄積を使い尽くすまで?あるいは外国から借りられる限度まで借りて?際限のない穴埋め投資・過剰供給・借金の拡大再生産を続けて行くしかない・・破綻国家ギリシャの大型版?・・を狙っているのが習近平政権の基本姿勢でしたが、その行き詰まりが思ったよりも早く来た感じです。

上海株暴落〜通貨切り下げ5

内需拡大には買い物するだけの資金蓄積(輸出よりも輸入を増やす・・貿易赤字の覚悟が必要ですが・・真水の外貨準備が少ない?)これがないので資金不足対策として昨年秋から毎月のように金利引き下げその他金融緩和してきましたが、どうにもならなくなって来たようにみえます。
このギャップに苦しむ現政権は、長期的視点による政治をする余裕がなくなって、国威発揚(中華帝国の栄光復活)を宣言したり・・反日暴動や海外向けに軍事強迫したり、資金対策として次々とAIIBやブリックス銀行・中央アジア何とかなど国際機関を設立しては外資導入をはかっていましたがうまく行かず、最後は人民元引き下げによる開き直り策の併用しかなかったのでしょう。
苦しくなると一致団結する社会・・信頼で成り立っている日本とは違い・・国民同士と国民と国家間で信頼のない中国・・強権社会の弱みです。
通貨の切り下げによって輸出を増やしても、経済減速の緩和程度がやっとで成長までは期待出来ない・・比喩的に言えば1000万人失業発生を900万人に押さえる程度?・・で、他方で結果的に国民全般が輸入物価高に困る状態に陥る可能性があります。
輸入物価上昇・・購入を手控えて生活水準低下に終わる・・クルマもスマホも買えない階層が増える(・・・4月以降実際大幅販売減少になっています)結果になるだけかも知れませんが、それが実力ならば、悪あがきしないで大人しく受入れるしかないでしょう。
不満のはけ口として中華帝国の栄光を宣伝するのは逆効果・・国民に「自分たちの実力はこんなものだ」と実態を素直に理解してもらう努力の方が必要です。
ただし、プロの間では中国の将来性がないとしてジリジリと資本流出が続いていた・・人民元実勢相場は下がっていたのですから、どうせ実勢を反映してジリジリと資本流出が続いているなら、「この際思い切って、公式レートを実勢に合わせた方が輸出が増えて徳だから!」と言う読みで公式レーを連日下げ決定の理由なのかも知れませんが・・。
あまりにも今回の切り下げは世界的ショックが大きく=巨額資本流出に繋がったので(すぐには分りませんが大分後になって、この1週間でどれだけの資本流出があったか明らかになるトキが来るでしょう)驚いて3日で中止するしかなかったと推測されます。
今回株価暴落と通貨切り下げ騒動の教訓は、「市場のことは、市場に任せた方が合理的だ」と自己証明した結果になります。
以前からネット上で危険と言っている人はミニコミでしかなく、マスコミは中国礼賛一色でしたが、今度こそはマスコミも「窮余の策」とかの表現で中国の苦しみを正面から報道するしかなくなったようです。
マスコミ報道を信じている人の方が多いのですから、株式暴落と人民元切り下げショックは中国に対する世界的評価の切り替えエポックになった筈です。
アメリカの信認が下がった金ドル交換停止のニクソンショック〜変動相場制移行のスミソニアン合意みたいな効果があったでしょう。
今回の切り下げ騒動で8月14日には、早速原油相場が大幅下落に転じています。
即ち中国の経済活動と原油相場は、見事に連動して来たのですが、(この辺の意見は11日に書きました)為替を露骨に切り下げるしかないほど国内が追いつめられている・・経済実態が悪いと世界的に認識された結果、原油需要も相当下がる見通しになって来たことによります。
欧米的・・自由主義経済政策に対する中国独特の政策ドクトリン(社会主義市場経済と言う1党独裁下の市場)があると強弁していましたが、今回の株価暴落と通貨切り下げ騒動はその敗北を証明することになります。
私には、権力者が勝手にやりたい・・専制王朝を共産党の1党独裁・集団指導体制に変えただけのように見えていましたが、中国礼賛論者は・・ブリックス銀行設立や中央アジアなんとか機構〜AIIB設立など全て、欧米的価値観への挑戦として賞讃していました。)
勿論合理的視点・中国政府の名分で言えば、為替相場実行レートに合わせた・・国際経済ルールに合わせただけで何が悪いの?・・遂に中国の限界が来たと騒ぐのは中国キライの悪乗りが過ぎると言うことでしょう。
しかし実効レートに合わせたと言うならば政府が好きなトキに決めるのではなく、それこそ自由な市場取引に任せるべきです。
日本等先進国が行なっているような変動相場制を基本にし、急激な相場騰落に臨時にブレーキをかける程度にすべきです。
独裁政権も専制君主も絶対王制や戦国大名も長期的には民意無視することが出来ないことは歴史が証明していますが、だからこれも民主主義制度だとは言いません。

上海株暴落〜通貨切り下げ4

対日関係で言えば日本は対中巨額赤字ですから、中国は「日本から買ってやらないぞ!」と言うわけにはいかずに、仕方なしに反日暴動したりレアアースの禁輸で締め上げるつもりが、逆効果になってしまったのは記憶に新しいところです。
昨秋から中国の日本へのすり寄り開始以降、日本への旅行を推進して爆買いの恩恵を誇示していますが、日本全体では、大した効果がないのでマスコミ宣伝にもかかわらず国民の多くは冷めていて・・「来たくなければ来ない方が良い」と言う人が今でも大多数でしょう。
折角心を癒すべき落ち着いた観光地が、けたたましい中国人ばかりでは、旅行意欲が失せてしまうマイナスの方が大きいかも知れません。
中国人が多く行くような店には日本人が敬遠して買い物に行かないようになります。
言わば自宅の風通しの良い部屋や居間を泊まりに来た客がいつも占拠していて、住んでいる人が家の隅で小さくなっているような印象です。
上記のとおり顧客であってこそある程度のわがままが効くのですが、露骨なダンピング競争を始めて輸入を減らせば国外への発言力が低下するのが目に見えていますが・・そんな先の心配などしていられない程政権が追いつめられている・・・・中国政府は目先の金が欲しいのかも知れません。
海外発言力低下分補充のために軍事予算を増やすのでは悪循環ですが、国内でも公安予算を増やして不満を押さえつけるしかない状態のようです。
生産力維持のために無駄な鬼城建設や鉄道工事をしたり需要不足分は出血輸出して何とかしていましたが、一方では、地方政府救済→シャドーバンキング救済→結局は資金不足になりますから、金融緩和を繰り返したのですが、金利が下がれば逆に資本が流出します。
今度は資金集めのために株式ブームを煽って庶民から資金吸い上げをはかったのですが、これも限界が来て(戦時中お寺の鐘まで供出していたことを思い出します・・いつか底をつきます)大暴落になってしまい、人民元買い支えのドル資金に困って実勢にあわせるべく公式に切り下げるしかないほど追い詰められていたと見るべきでしょう。
(数十年前のポンド防衛失敗と同じです)
通貨切り下げを数日やってみたら、巨額資金流出が始まったので、大慌てで3日でやめたと言うところでしょうか。
内需拡大で間に合わない不満に対しては、何をやってもうまく行かないので、今後も公安予算を増やして対応する・・海外にも軍拡による威嚇で適応して行くつもりでしょうか?
中国がどんなに威張っても自前の技術力で発展したのではなく、輸出前提の組み立て工場の誘致(経済特区)・・新興国経済型経済成長パターンで成長して来た事実は争えません。
中国は工場誘致を利用した成長限界に直面して踊り場にさしかかっている(中進国の罠)基礎的状況から逃れられません。
成長の踊り場にさしかかったことによる停滞・急ブレーキによる急激なマイナス成長・・国民不満に直面しているならば、今後中国の進むべき道は、国内に公平な制度の構築をするとともに輸出主導経済から内需拡大・・人民の生活水準向上策しかありません。
急成長時には、特定幹部が巨利を貪ってもまだ何とかなっていましたが、低成長になると幹部が巨利を貪る弊害・不満がも目立ってきます・・出来たおできを潰すような汚職取締よりは、社会の基礎たる公平な制度構築が必要です。
いろんな意味での転換・・中進国並みになるためには国民の技術レベルアップ・公平な制度と資金力が必要で、大量生産工場のように、企業誘致(資本導入による国内資金流通の1石2鳥効果)さえすれば直ぐに転換出来るものではありません。
大量生産工場誘致で急膨張・急成長した成果の裏腹の関係ですが、巨大な工場労働者をレベルアップに成功した少数の新規産業がそのまま全員吸収出来る訳がありませんし、巨額外資を必要としないので出て行きます。
日本企業の対中投資で言えば、大規模工場閉鎖→新規立地する東南アジアへ資金流出の動きが始まっていて、これに対する穴埋めが出来なくなって、資金不足に悩む・・これまでの逆回転が始まっています。

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