都市住民内格差4

例えば非正規雇用・・・男性でも月額10数万から20万円前後の不安定職が増えて来ましたが、この場合、結婚出来ないまでも、都市住民2〜3世で親がマイホーム保有の場合には、親の家から働きに出ていけるので家賃や食費負担を全く負担しない人から、負担しても月額数万〜5〜6万円で済むのでその気になれば貯蓄も出来ます。
不安定職種のままで50〜60代になって親が死亡しても、前回コラム冒頭に書いたように、少子化の御陰でその家をほぼ単独相続出来るので住む家に困らないばかりか、普通はまとまった親の預貯金(老後資金を使い切る人は少ないでしょう)が入るので何の心配もありません。
地方出身の非正規雇用者・底辺労働者の場合は、大都会に出てくると直ぐに自分で住むところの確保・・家賃負担が必要な上に一人所帯なので、家計費としてかなりまとまった基礎支出をしなければなりませんから、無駄遣いしなくとも底辺労働・非正規雇用の収入では生活はきちきちです。
安定職でも地方から出て来た女子事務員、店員等年収数百万から500万以内では、独居生活は経済的にきついのでまとまった貯蓄をするのは難しいでしょう。
この状態でひとたび失業すると、たちまち住む家にも困る人が出るのは自然の成り行きです。
都市住民2〜3世と言っても、親世代が狭いアパート住まい(あるいは公営住宅)の場合、江戸時代の掘っ立て小屋の農民同様に成人した次世代と同居を続けられないので、直ぐに親の家を出て独立する必要がある点は地方出身者同様です。
都市住民2〜3世と言っても、若年底辺労働層では親の財力次第で二種類が出来ているのです。
地方出身者や大都市に親の家がない人は、非正規雇用から脱出しない限り・・永久的に一戸建てに類するマイホーム(物理的な家に限らず結婚して所帯を持つと言う意味でも)を持つ夢がなくなります。
非正規雇用者同士の結婚もあり・・結婚するとすればこれが普通ですが、その場合出産すると妻の収入がなくなるのが普通ですので、非正規雇用の夫単独収入では親の援助がないと家計を維持しきれなくなります。
現在行われている子供手当を少しくらい増額しても、夫が非正規雇用の場合、夫の収入だけでは到底足りないので貧困に苦しむ所帯が増えています。
この辺は、この後に紹介予定の一律生活費支給制度でも創設しない限り、非正規雇用者では子供を持つ夢の実現と貧困生活とのバーターになります。
(昨年2〜3月頃に一律生活費支給制度の原稿・・具体的イメージを書いている時には遅くとも、昨年5月頃には掲載予定として紹介しておきましたが、その後割り込み原稿が増えて先送る一方ですので、今年の5月に掲載出来るかどうかさえ今のところ見込みが立っていません。)
親が都市内にマイホームを持っていない場合、非正規雇用者等底辺層は所帯を持つどころか、職が途切れるとたちまち住む家さえ失いかねない脆弱さが問題です。
江戸時代には落語でよく出てくるように家賃滞納で年末には大家(管理人)との駆け引きがあったのですが、最近ではこれを嫌って家賃滞納者の留守中に強引に荷物を捨ててしまい、鍵を変えてしまう乱暴な大家が出て来て社会問題になっています。
これは一つには滞納者の増加(に業を煮やす大家が多くなったこと)の反作用・・家賃滞納者が増えている実態の反映と言えるでしょう。
この脆弱さこそ非正規雇用等の問題点であり、これに着目して昨年は年越派遣ムラに発展したのですが、マスコミの報道は彼らの脆弱な状態に注目させるには役に立ちましたが、派遣ムラが出来ただけで解決する問題ではありません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC