元々技術革新の目標は、誰でも労働に参加出来る社会化を目標とするものですから弱者補助道具・・社会のバリアーフリー化拡大→(ジョブズ氏など特別成功するのを否定しないで)結果平等社会化の動きを認めるとした場合、・・格差反対論は大成功者の果実をある程度みんなに分配して20点の仕事している人も60〜80点の仕事をしている人と同じ賃金にせよと言うに等しいことになります。
大成功者の果実収取割合が大き過ぎると言う批判かも知れません。
(例えばジョブズ氏の大成功による莫大な収益を税で強制徴収するかどうかは別としてその成功の果実が対外収益入金によってアメリカに莫大な還流があった場合、税収入として予算化されてから流通しようが、税率が低い結果、大部分が民間に出回った場合、預貯金や株式購入資金あるいはホテル宿泊費・レジャーであれ、国内還流していれば経済の回転資金になる点は同じです。
この考え方を利用して貿易赤字を気にしないで中国や日本の儲けであれ何であれ、アメリカに還流する限り誰の資金でも同じと言うのが、アメリカの貿易赤字のファイナンス思想です。
2016-6-21「過大消費と消費者破綻(資金還流策)」にパナマ文書関連で書きましたが、仮に中国の利にさとい国民の逃避資金として人民元とドルへの両替が増加していてこれに応じるために人民銀行がアメリカに積んだ外貨準備を取り崩していると紹介しましたが、中国政府が公的資金をアメリカから引き上げてもそれと同額の裏金・・裸官等の逃避資金がアメリカに入って来ればアメリカ国内で回転する資金量は同じです。
上記のとおりぼろ儲けの九割を税でとろうが3割しかとらなかろうが、裏金で入って来ようがその国に儲けた金が入ってさえ来れば(ジョブズ氏がタンス預金していない限り国内で回る資金になる点に変わりないので、税率は本当は関係がないことです。
国家として重要なのは国内消費持続能力・・国際収支の内容実質の問題です。
日本の場合税で取れていないので国家財政上は赤字ですが、国家全体では世界ダントツの純債権国である所得収支黒字として巨額資金が入って来ていますので、国内で資金がダブついている結果金利を払ってまで借りる必要がない・・超低金利になっている・・だからこそ「有事の円」になっているのです・・。
支払原資が、税収か国際売却収入によるかは別として払い能力・・日本の支払持続性を世界が認めているので「有事の円買い」になるのです。
国際経済では税収によるかどうかよりは国際収支の中身が重要です。
日本の国際収支を見ると資本収支は海外投資が多くて赤字になっていますが、これが時間経過で海外からの(投資した金の配当が始まり)収益送金原資になるのですから前向きの支出・この赤字は価値のある赤字です。
(中国や新興国の場合日本等からの投資資金の流入超の結果増えた外貨準備が多いことを自慢していると書いてきましたが、これは毎年収益送金しなければならない一種の債務ですし、送金利益が出なくなればいつでも逃げられます・・新興国通貨が有事・・景況感悪化に弱いのはこのせいです)
所得収支は文字どおり現時点での海外での儲けの国内送金の数字ですが、日本の場合これが何十年も大幅黒字が続いています。
この所得収支黒字を使って、国内社会保障やインフラ投資が潤沢に行なえているので実質格差解消になっているのですから税で賄っているか国債で賄っているかは大した違いがありません。
日本では、潤沢な資金を利用して資源収入や知財・金融収入等も税収に反映し、その資金が高度なインフラ新設や維持資金になって殆ど税金を払わない階層もその利用を出来て恩恵を受けていますが、(これも消費面でのフラット化の1面です)格差是正論はそれに留まらない・直接底辺層に対する現金給付を増やせと言う要求になります。
国費補助によって無償あるいは市場価格以下で施設などを利用出来るだけでは落ち着かないから直截現金給付・・市場価格よりも賃金を上げろと言う意見は妥当でしょうか?
同一労働同一賃金・・同じ仕事をしていても日本人であると言う理由だけで20ポイントの仕事で60〜80ポイント貰う権利があると言うのは背理ですし、働き以上の賃金では国際競争から脱落し結果的に日本経済が破綻してしまいます。
世界的賃金水準平準化・同一労働同一賃金の原理に近づくのは人類平等の精神から見て正しいことですし、日本人だけ高給化を要求することに正義はありません。
市場原理に反した高賃金を強制すれば企業は海外に逃げてしまいます。
正義の形あるいは国際競争の観点から言えば、「20の仕事には20の賃金しか払えないが、資本収入(海外からの送金)があるからこの資金で別途国民に40〜60ポイント配給(一種の生活保護)せよ」と言うことになるのでしょうか?
これは賃金ではなく社会保障の分野ですから、現在既に結果的に似た状況・・社会保障費が国家予算の半分近くになっている現実がこれを表しています。
イギリスは戦後【揺り籠から墓場まで」と言われる高福祉政策をとりましたが、これは新興のアメリカに負けて行く産業界・・労働者の賃金低下に対する穴埋め政策であったと理解出来ます。
この穴埋め資金に苦しみいわゆる「イギリス病」に悩まされていましたが、北海油田収入によって息を吹き返したものの油田が枯渇して来て又苦しくなったことを大分前に書きました。
中国の開放政策以来、先進国はおしなべて新興国の生産活動参入によりどこも賃金下落に悩まされその補填に苦しんでいますが、補填するべき企業利益を上げるのに成功している国(多分日本だけでしょう・・アメリカはいわゆる資金環流策によってファイナンスして来ただけと言うのが私の意見です)では・・海外からの収益送金やアップルやユニクロや孫正義などの巨額収入者が生じるので格差問題となり、格差補填出来ない国→海外展開事業成功の少ない国→もしかして海外送金の方が多い国)では、補填もしてくれないので自暴自棄的いらつきの対象に弱い移民反対論・・スケープゴート探しが盛り上がる状況になっています。
アメリカは基軸通貨国の地位を利用して資金環流でファイナンスし、イギリスは金融市場・シテイの場所貸しで何とか凌ぐ構図でしたが、場所貸しでは大した資金が入りません。
ホテルやレストラン林立する街よりは、高級ホテル・レストラン利用者の住む街の方が一人当たり税収が多く入ります。
いつも書いていますが観光で成り立っている街はホテルなどの経営者以外ベッドメイキングや掃除など(スターバックスが大繁盛していても従業員の大多数は最低生活者になるでしょう)の末端底辺労働者の街になってしまいます。
いわゆるウインブルドン現象の本質です。
アップルの成功と言っても99%?は中国の工場や日本台湾などの部品業者が潤っているのであってアメリカの恩恵は株式配当益でしかない点が、国内部品産業等で健闘している日本との大きな違いです。
米英共に結果的に金融資本的利益に頼る点は同じですから、反ウオール街騒動やとランプ現象・・EU離脱論の昂揚になったようです。