総選挙と戦後政策の総決算4

秋風どころか木枯らしが身に凍みる寒さ・・中韓の脅威(中国は武力でじかに脅してくるし、韓国は世界に向けて日本批判・・情報と武力の双方向での攻撃)を実感している国民としては非武装平和論・薄着のままが良いと言われても納得の行かない人が多かったでしょう。
夏が過ぎて秋冬が来れば、洋服を入れ替えるのが当然のように、時代が変われば生き方を改めるのを憚る必要がありません。
誰が悪いか悪かったかではなく・・戦争に負けた以上は敗戦直後アメリカの言うとおりに従うしかなかった・・何を言われてもされても「御無理御尤も」の時代があったことを批判しても始まりません。
今や時代が変わった・・夏服では無理になったから、敗戦当時の行動様式は押し入れに片付けておくべきと言うことですから、節操を守るか否かの問題ではありません。
季節・・時代が変わったのに、なお夏服が良いと誤摩化し強弁し続けて寒いのに薄着をさせられていると風邪をひく被害が出ますので罪なことです。
中韓の激しい攻勢で国防・自衛の(宣伝戦を含めて)必要があるか否かが争点になっている最中に選挙になった以上は、(これに頰っ被りして「争点がない」とするのがマスコミの宣伝です)普段からの非武装平和・抽象論を具体的現実に当てはめて、非武装論によればどう対応すべきであったかの具体的な適用を正面から戦わせるべきが、民主主義国家のあり方です。
戦後パラダイムの揺らぎの始まりと言えば、非武装平和論者は今になって「憲法9条をノーベル平和賞候補に!」と言う運動を始めました。
憲法9条は日本の再軍備を禁止して日本の再起を阻止し、永久的に隷属化させるアメリカの目的で創設したものです。
自分の軍隊を持ってはいけないと規定され・条件付けられている独立民族が、世界のどこにあるでしょうか?
この条件をのまないと独立を認めないと言うのでは「永久的にアメリカに従属すべし」と言われているのと同じであって、言わば独立とは名ばかりとなります。
仮に民族自立を否定するために自衛力を持てないようにされた民族の憲法がノーベル平和賞になるならば、中国軍に支配されて自分の軍を持てないために過酷な弾圧をされている・・中国軍によるチベット民族抑圧行為・ウイグル族抑圧行為もノーベル平和賞となります。
中国政府は大喜びで、このノーベル賞受賞運動を応援しているのでしょうか。
その内集団自衛権禁止を決めていた閣議決定も(イグ?)ノーベル賞候補にしようとなるのでしょうか?
アメリカ占領軍に強制されていたものを後生大事にしていた挙げ句に・・非武装論の分が悪くなって来ると、もっと大きな権威を借りて来るためにノーベル賞候補に担ぎ上げようとなったように見えます。
「近代刑法の法理違反」と言うブランド強調同様に、文化人が舶来思想を有り難がって宣伝する延長・・焼き直しではないでしょうか?
そんな誤摩化しをしているよりも、自説が正しいと思うならば、国民に分るように日本語で非武装論ならばどのようなメリットがあるのかについて具体的に説明すべきではないでしょうか?
非武装論者の基本的立場は、安倍政権の施策・・秘密保護法や集団自衛権解釈変更が「国民の理解を得られていない」と言うものでしたが、折角民意を問うべき総選挙で何故争点にして訴えなかったのか不思議です。
自民党内でも、増税を求める勢力が多かったのですが、解散が決まるとイキナリそれまでの増税要求を引っ込めたまま何の釈明もせずに知らんぷりで(マスコミ同様に争点がないかのように振る舞って)選挙をしていました。
身を捨てても国家百年大計のために増税べきだと言うならば、選挙でそのとおり訴えれば「国士」です。
ところが選挙になると黙ってしまうのでは、選挙がないことを前提に安全地帯で言いたいことを言って来ただけ・・悪く言えば政権転覆策動をして来ただけじゃないの?となります。
増税論は長期的効能には諸論がある(私は以前から次世代に債務を残して言いのかと言う主張には反対しています)としても、当面の経済現象で見ればマイナス効果があること明らか・・経済失速するのが明白ですから、結果的・外形的に安倍政権潰しを前提としていたことになります。
選挙さえなければ現政権がつぶれても、自民党内で政権たらい回しすれば良いから増税論者は自分の代議士の地位に関係がないと言う政界の動きだったように見えます。
ところが、安倍氏によって解散が断行されて選挙になると増税論者は自己保身に戻り、増税断行論を引っ込めてしまいました。
・・日頃の自己主張の信を問うのが選挙であり民主主義の根本ですから、非武装論者が小笠原諸島海域での略奪漁業問題に対する意見を言うべきだったのと同様に、増税推進論者は増税すれば日本経済にどう言う好影響を与えるかについて、具体的に主張すべきでした。
選挙になるとイキナリ増税主張を引っ込める(国民は馬鹿だから騙せば良いと言う)政治家は信用出来ないので、与野党を問わずにその内淘汰されて行くべきでしょう。
今回の「争点なき選挙」のマスコミ大宣伝は、反安倍政権で共通する与野党勢力の争点隠しの期待を背景にしていたことになります。

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