エイズ補償・薬害肝炎補償何兆円という約束数字ばかり出て来ると、その資金はどうするの?と言う疑問が出て来るのは当然です。
政治家はいい子になろうとして(気楽に?)何でも約束するし、他方で増税に反対する・・結局赤字国債の増発しかありません。
自分の腹を痛める段になると誰も進んでやらない・・この傾向が税金でさえも払わないで赤字国債で賄うという図式になって野方図に赤字が膨らんできました。
今回大震災のような特別事態でさえもその資金用の増税が出来ないようでは、「どんなときに何時増税出来るの?」とがっかりする人の方が多いでしょう。
事業仕分けの後には、無駄遣いを先に削ってからにしてくれという言い方が減りましたが、その代わり、ここで増税したら経済が沈滞し、国際競争が成り立たないという言い方がもっともらしく言われるようになりました。
増税するとしても既に国際水準よりも高すぎる分野・・法人税を国際水準に減税するのを別にやれば良いことでしょう。
個人金融資産が多すぎることから見れば、個人所得に対する課税を強化すべきです。
また、寄付であれ増税であれ国債であれ、国民の懐から紙幣を持ち出す点は同じですから、経済全体では増税と寄付・国債とは消費に対する影響は等し(以上)くなります。
集められたお金は別のところ・・と言っても国内で使われる点は(ODA等で海外で使わない限り)同じですから、国民経済的には消費が減退することもありません。
むしろ寄付金は預貯金の内余裕資金で寄付することが多いので、仮に寄付を10万円したからと言っても、今月の生活費をその分切り詰める必要のある家庭の方が少ないでしょう。
増税だって同じで利益・所得に対する増税ですから、増税分そっくり消費が減退することはあり得ず、他方で増税分は100%政府が使うので国内消費全体では多くなります。
たとえば、税引後1000万円の手取りの人が100万円臨時増税されて手取り900万円に減っても、消費が増税分100万ちょうど減る人は少ない筈ですが、政府の方は増税した分そっくり使うので、国内消費全体は大きくなります。
500万円の人が50万円臨時に徴収されてもその分そっくり食費や家賃を削ることはあり得ません。
このように増税と寄付は国内消費が減退するどころか逆に増える要因になります。
あるいは赤字国債でも同じで、元々預貯金するべきお金を国債に振り向けるだけですから、この資金を仮に国内から(95%)集めるとすれば、国内で流通する資金がその分減ってしまうものの、それが政府支出に回るだけであって、国内流通資金量そのものは変わりません。
(海外勢の投資した5%が増えることになりますから国内消費を増やすには海外向けに多く売った方が合理的です。)
国債の発達は、元々国内成長余力が減少して来たものの金融機関が海外成長産業への投資能力がないことから、資金を持て余していることが大本の原因で始まったものです。
金融機関が有効利用出来ない分を政府が「代わって無駄遣いしてやろう」という時代の産物ですから、国債発行による紙幣の回収分は100%政府が消費してしまう点は増税と同じです。
税金であれ、国債であれ、寄付であれ、出回る紙幣流通量=消費は同じ以上で国内経済効果は同じ以上ですから、消費が沈滞すると言って増税にだけ反対するのは不合理です。
増税は公徳心の薄い人(寄付どころか舌を出すのもいやという人もいることは確かです)からも強制的に分担金をとるところに無理があるのでしょう。
消費誘発効果が同じ以上とすれば、経済の沈滞かどうかではなくその優劣は別の角度から考えるべきです。
増税によると出す方が渋るので、その使い道に厳しい目が注がれるので無駄遣い率が減るでしょう。
寄付だと今のところ使い道に関するルールが整備されていないので、何にどう使うかの道筋がまるで見えません。
国債の場合、一応国家予算上の制約がありますが、自腹を切る増税と違って規模自体がルーズになりがちです。
また借金して次世代にマイナス遺産を残すこと・・将来デフォルトになりリスクを抱える不安が重要です。
このように増税に反対するいろんな理由が実は意味がない上に「どっちみち同じ額の支出が必要だとすれば」増税しないことのマイナス効果が明らかなのに、増税反対が多いのは、自分のお金はびた一文出したくないというケチな根性の人が多くなったのでしょうか。
復興資金は税でやらずに寄付だけでやると言ったら、どれだけ寄付が集まるか知りたいものですが・・意外に多いのではないでしょうか?
臨時特別な出費に関しては目的を決めた寄付だけでやるのが一般的になれば、その使い道もある程度ルール化されて行くべきでしょう。
直接民主主義と寄付のテーマで10/26/03「教育改革22・・・・・寄付と所得税法2(税制の直接民主主義6)前後で連載したことがありますが、目標を決めて寄付を募るのが一番民意を反映していていい筈です。
ちまたで「増税だけはいや」というようなインタビユーを見ていると税金らしい税をあまり納めていないように見える人に限ってそんなことを言うのには驚きです。
たとえば年収500万円以上に限って、インタビュウした方が良いのではないでしょうか?
税の問題は、殆ど納めていない人あるいは補助金等をもらう方が多い人ほど(貧すれば鈍すと言いますが根性がケチになりがちです)の意見ばかり求めていると国民の大多数がケチな人間ばかりかと海外から誤解されてしまいます。
「増税がどうしても駄目だから寄付だけでやる」と大々的に募れば、かなりの金額が集まる・・日本国民は捨てたものではないと信じています。
税の問題は、納めている人中心・・納税ランクごと意見を求めた方が合理的です。
09/08/07「納税と選挙権3(憲法217)普通選挙権」前後で税の使い道は納税ランクごとに加重的発言権制度にすべきだと連載したことがありますが、今回の意見もその一環です。