情報公開4( 国立競技場コンクール)

千葉県弁護士会で問題になっていた今年4月ころには、より規模の大きなオリンピック国立競技場の工事費を決めるのに、弁護士会みたいなずさんな運営がされていたとは夢にも思っていませんでしたが、実はその大分前から内部では収拾のつかない問題に直面していたことが今になると分ります。
田舎の顔見知り同士でまあまあで長年運営して来た立場の弁護士会とは違い、与野党の厳しい対立関係があって、マスコミも含めた監視があって、高度なシステムによって運営している組織でこんな事態になるとは想定外でした。
民主党政権は、原発事故対応で無茶苦茶だったことがバレてしまいましたが、民主党政権は実務経験がない結果、いろんな分野で無茶苦茶やっていたことの1つではないかと思われるようになりました・・何事も運営する政権次第です。
良いクルマでも、運転手次第と言うことです。
この煽りで文科省の中堅官僚が責任をとりましたが、大枠を決めた民主党政権は現在下野しているとは言え、誰も責任をとらなくて良いのか不思議です。
少なくともこの分野の責任者になっていた政治家の名前ぐらいは、次の選挙による公正な審判の都合があるので、マスコミが公にする必要があると思いますが・・?
自民党の大失策か?と言うときには、森元総理は政治家を隠退しているにも拘らず責任論らしきことが取りざたされて、記者会見に引っ張り出されていたように思います。
その論理で言うならば、民主党の当時の責任者は、今は大臣ではないとしても現役代議士をやっている限りそのときの責任に関する釈明記者会見をやるべきではないでしょうか?
マスコミは、国立競技場のコンクールは民主党政権時に決めていたことが分ってくるとイキナリだんまり・・報道しなくなるのはおかしな報道のあり方です。
マスコミ批判はこの程度にして、こうした問題発生の根源を見ますと、千葉県弁護士会での問題提起は結果的に出しっ放しで(親しい人間関係なので)本質的議論に進みませんでしたが、オリンピック主会場の予算問題と根は同じ・・事前情報公開の必要性だったことになります。
この点はこの後で書くオリンピック公式ロゴのデザイン問題の根っこでも同じです。
弁護士会の場合、情報を秘匿していたのではなく、会員の総力を挙げて?各分野ごと準備をして来て、それぞれが必要費を出してその都度執行部の承認を得て準備して来たことですから、各分野別担当者・・結局会員の大多数です・・としては自分の分野では知っていたことです。
分野別コストについては、関係しているみんながそれぞれ知っていることでしたが、予算案が(常議員会に)出るまで(予算案を作る関係者以外)誰もがトータル経費を知らないままやっていたことが分りました。
こう言う経過を見ると(執行部批判するためではなくみんなが納得で決めて行くために)執行部が「皆さんの要望どおりやって行くとこのくらいかかりますよ!」と言うアッピールを時々して行く必要があったことが分ります。
積極的な情報公開をして行けば良かった!とそこに誰も気が付かなかった・・必要性があったことが分ります。
国立競技場問題は事前に情報が漏れたからこそ問題になったのですが、漏れたことが問題ではなく、逐次情報の開示不足こそが問題だった点では同じ問題であったように思えます。
国立競技場のコンクール要綱その他を見ても審査日程や委員名応募資格等ばかりで、最も重要な総予算額が出ていません。
工事契約直前の予算化段階になって初めて国民が知る仕組みですと、巨額過ぎると思っても、やり直しているとオリンピックに間に合わないとして押し切られてしまうことになり、蚊帳の外におかれた国民に不満が残ります。
弁護士会の場合、殆どみんなが関係者ですからそれほどの不満が残りませんが・・・。
顔が見えない大きな組織・・ある事業に関係する人としない人の比率が上がれば上がるほど、透明性がより必要になります。

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