グローバル化→名誉・信用最大化(気配り社会化進展)

グローバル化あるいは都市化現象は、活動領域が線で広がっただけ・・村社会が大きくなっただけのことで、日本列島全体が一つの村社会・定住社会・市場になったとして見直せば、全国を足場にする有名人や、全国展開の業界では列島内のどこか一部でも、信用を落とす行動をすれば列島全体の営業成績に響きます。
このように見れば名誉を重んじる日本人の気風は、グローバル化していくと世界規模の標準道徳になると思われます。
グローバル展開している企業にとってはグローバルな市場相手なので、旅の恥はかき捨て並みにある地域で強引なことをしても、よその世界に行けば良いとは言えなくなってきた時代です。
ある県一円で展開する地元老舗は地元のどこでも手抜き・悪い評判が立つのは困りますし、関東1円を商圏にする場合は関東1円での評判、グローバル展開企業にとっては、グローバルな評価が重要です。
地域限定の零細企業や個々人にとっては、自分の活動エリアが狭いから気楽というよりは勤務先や取引先や友人と線(電話「線」やネット「回線」あるいは通勤電車の沿「線」)でつながるだけで
面的感覚がなくなっているので「名誉・信用などどうってことがない」と思うかも知れませんが、そのエリア(線でつながる特定企業やサークル内等々)においては、やはり「仕事」やサークルへの貢献度に対する評価や名誉・信用が大切な点は同じです。
住居地町内での関係は希薄化していてもその代わり、勤務先や取引先や友人と線(ネット回線や電話線や通勤電車の総武線や常磐線)が違うイメージで勤務先に着くと狭い室内・・かつての村社会よりもっと密集した狭い部屋でデスクを並べる濃密な関係です。
帰りで赤提灯で付き合いが必要な濃密な関係で江戸時代までの農村での人間関係より濃密でしょう。
勤務先や通学先友人等が優先交際先になった分、地域住民と関係を持つ時間が減っただけ・・これを人間関係希薄化と言っているに過ぎません。
人は一定のエリア(組織)内で生きている→頻繁に居住・職業エリアを変えられないから住んでいる世界・・線でしか繋がっていないとしてもその仲間内の評価は重要です。
長期間定住・一定の組織やグループ、エリアの住人になっていると何かと情報の厚みがあって便利ですし、(若い時は別として)しょっちゅうエリアを変えて、その都度新規蒔き直し・・新参者の繰り返しでは豊かな人生が送れません。
転勤族といっても執務場所が変わるだけで属する企業・組織社会が一定のまま移動している(団体旅行のような感覚)だけで、住んでいる共同社会は同じで年功を積んでいける社会です。
今後在宅勤務が、主流になると勤務先や学校友人関係も毎日顔を合わせない・・線=ネット関係中心になるのかな?
地域的関係・・面的感覚がなくなっているので面としての地域束縛・・駅から何分というだけの基準でマンション選択するように、駅までの通勤経路から一歩外れた道路に何があるのかの関心が低くなります。
セカンド拠点というべき勤務先周辺に対する関心も同様でよくいくお店以外には、隣近所のビル内の従業員がどういう人か全く知らないのも同じです。
こういう表面の変化を見て、「都市生活は気楽だ、名誉信用・わずらわしい人間関係がない」と一般に言われているようですが、それは一生のほとんどをその村から出ないで生活する自給自足型農村社会を基本型として、隣近所に気を使わなくて良くなったという一面だけをいうものです。
その人の属するエリア(線でつながる特定企業内やサークル内等々ネットを含めた線で頻繁につながる関係)においては、その狭い世界では、名誉信用・他人の自分に対する評価が大切な点は同じです。
高層マンション居住幼児の母親で言えば、隣近所に気を使わない代わり、保育所のママ友に除け者にされる苦痛は大変なものでしょう。
勤務先その他では農村社会以上に濃密な関係が生じているから、(農村社会では共同作業が滅多にないのに対し、組織内従業員の場合毎日毎分毎秒が共同作業のすり合わせですので、前近代の農村社会以上に気配りが求められます)都市住民の方がストレスが大きくなります。
そこでのストレスを子供のいる家庭に持ち込めないので、同僚と共通のストレスは同僚と赤提灯で(上司の陰口程度)晴らせるが、同僚と共有しない個人的鬱屈については、聞き役になってくれる勤務先近くのバーのママさんが必要になるのでしょう。
その狭い世界では、名誉信用・他人の自分に対する評価が大切な点は同じです。
最近女性プロレスラーだったかが、ネットでの批判記事殺到?を苦にして自殺したか?と報じられているのは、昔で言えば村社会で非難轟々になったのと本質が似ています。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/05/24/kiji/20200524s00041000022000c.html

テラハ出演レスラー・木村花さん、自殺か…ネットで誹謗中傷受け、SNSに「愛されたかった人生でした」
[ 2020年5月24日 05:30 ]

高齢者から見れば「ネットなど気にしなくて良いのに!」と思うのは、若者から見れば、地域社会の評判を気にする親世代の気持ちがわからないと言うことになるのでしょう。
共通項はそれぞれ自分の生活基盤として重きを置く社会から離れて生きられないと言うことではないでしょうか?
人は一定のエリア(組織)内で生きている→頻繁に居住.職業エリアを変えられないから住んでいる世界(ネット空間も含め)での評価は重要です。
長期間定住・一定の組織やグループ、エリアの住人になっていると何かと情報の厚みがあって便利ですし、(若い時は別として)しょっちゅうエリアを変えて、その都度新規蒔き直し・・新参者の繰り返しでは豊かな人生が送れません。
転勤族は地元に居着かないと言っても属する企業・組織社会が一定のまま執務先を移動している(団体旅行のような感覚)だけで、住んでいる共同社会は同じで年功を積んでいける社会です。

格差社会6(グローバル化)

いわゆるグローバル化を結果から見れば,国民のなだらかな階層構成から中程度の熟練工・中間層を減らして高度技術者・IT・知財関係と下層階層に2極化して行く政策・・資本家層の利益最大化と低賃金労働者増加を目指した政治でした。
西欧型支配構造・・支配対被支配の2項対立理念をそのまま極限まで体現する政策を押し進めていたことになります。
同じ技術者でも芸術家レベルしか生き残れない・・中級以下の職人は大量生産品のライン従事者にしかなれない社会を目指してきたのです。
よく書く例ですが、明治以降伝統的職人芸・・陶磁器系で言えば庶民日常使いのお茶碗・湯のみ類は大量生産(工場系)に淘汰されて行き、工芸展に出品できるような一定レベル以上の作家のみ生き残って来た・・細工物その他の分野がいっぱいありますが、この場合、職人とまで行かないレベルの人でも、一人前の労働者として遇されるメリットがありました。
数字的に表現すれば職人の技が95点以上は企業の「型」作りに重宝される・・企業は「型」さえ作れれば世界的に量産可能ですから94点以下の職人は不要です。
94点以下は5〜60点平均で足りる現場職人として雇用することになります。
これが流れ作業になり、さらに工程が単純化された結果3〜40点レベルで足りるようになり、ロボット化、オートメ化の進展により(過酷作業に耐える体力不要になり)10点前後のレベルでも足りるボタンや計器の監視役となりました。
この結果、体力的に参加しにくかった女性や障害者もかんたんに作業参加できる社会が到来したことになります。
この変化は大規模な工場の製造工程のみならず、食品や飲食業まで及んできていることは、大規模工場製のオニギリや弁当類が小売業界を席巻している外、ファッストフードや居酒屋チェーンの発達を見れば明らかでしょう。
ラーメン屋に行っても半端に倣った程度で開業したのでは、チェーン店の味にかなわない時代が来ています。
あらゆる分野で特殊技能の1強以外はフラット化する社会・・弱者参加が理想的になればなる程、フラット化が進みます・・これこそが理想社会の実現ですが、一方で格差社会批判が高まったのは皮肉というか矛盾です。
ビルゲイツのような巨額所得者を許せないやっかみも手伝っているでしょう。
みんなが貧しいか豊かではなく、能力に応じた格差を求める本音があるからではないでしょう?
この競争心・向上心こそが人が生きていく楽しみですから、一概にこれを否定する綺麗ごとばかりではどうかな?と思います。
産業革命に対して職を守れと言うラッダイト運動が起きたように、中間どころか中の下の能力も不要「みんな5〜6点できればいいよ!」と言われると文字どおり支配層と被支配層の両極社会に分化して行きます。
産業革命時に資本家・貴族層が競って囲い込み運動に参加したように資本家はグローバル化競争にうまく参加してこそ,倒産を防ぎ・地位を維持出来るので,(参加し損ねると倒産,戦国時代で言えば落城して城主が一介の武士に落ちる)・・一向に困りません。
彼らに言わせれば企業倒産を防いで資本所得を得て,その分を税としてあるいは◯◯財団に寄付して国家に還元してフードスタンプ資金等にしているから自己利益ばかり追及ているわけではない・・企業がつぶれてしまうより良いではないかと言う論理になります。
生産拠点を海外移転しないで倒産していたらもっと悲惨だよ・・と言う論理です。
あるいはIT業界のように高度技術者導入によって世界企業になっている御陰で国内一般雇用を(技術移民が500人働いて地元民が掃除や配達などで50人しか働いていなくともこの企業が、掃除夫など少しでも雇用を増やしている、納税も増えているはずです。
トランプ氏の就任演説では、「エスタブリッシュは自己利益保護しただけで労働者を守らなかった」と言うものですが,資本家・経営層に言わせれば当たり前です。
企業を守ってこそ雇用も守れるし配当収益の還元が出来る論理です。
他方で、ピープルにしてみればお金持ちのおこぼれを貰うのではなく、自分たちにも活躍の場をくれと言うことでしょう。
同じ月額20万円の生活でも生活保護20万円より自分で働いた20万円の方が良いのが普通の心です。
産業革命時に貴族が囲い込み(エンクロージャームーブメント)で小作人を追い出し
て工場労働者にして行ったのと同じことを(中間管理職を掃除夫や運転手にして行く)欧米資本家が繰り返して来たことになります。
トランプ氏の就任演説は国民不満を代弁していますが,「だから反対」と言うだけでは展望・先が見えません。
単なるストレス発散・・打ち壊しだけでは韓国民の大規模集会主義・・不満のはけ口に反日を叫んでいるのと同じで建設的ではない・・先の展望がないでしょう。
韓国の場合には、小国なので国内でいくら揉めていようが世界が相手にしませんが,米国の場合展望がなくとも,大国の不満を無視出来ないので,(図体の大きな牛が暴れるのは面倒なのでまあまあと宥めるのと同じで)フォードに始まるメキシコ投資撤回発表などに見られるように,当面「マアマア・・」と言う形になるのが普通です。
トランプ政策は幼稚で単純とは言え、欧米型労働者無視政策=いわゆるグローバル化戦略は修正に向かうようになり、何らかの軌道修正が行なわれる契機になるでしょう。
資本家叩きは庶民の喝采を受け易く人気取り政策としては簡単・・トランプ氏はキャリーのメキシコ進出阻止に成功し,次いでフォードも中止させ,次に外国企業であるトヨタにまで強迫をしました。
就任式後は日本に対する貿易赤字をなくせ・・合理的正義基準でなく,腕力による結果重視の理不尽要求・本音があまりにも早く始まりました。
いくら理不尽でも企業は強権に従うしないでしょうし、日本その他のクニも理屈を言って喧嘩するわけにも行かないのが現状です。
こういうことが続くと不採算工場縮小が先送りされる分、日本に限らずアメリカ自身の資本家利益(裏取引があるとしても社会総体の資本家利益)が急減します。
国有企業中心の中国で赤字企業を温存していると時間の経過でクニの活力が奪われてしまうことが一般に指摘されています。
アメリカも目先の利益のために・・言わば企業の損失先送りと同じ動きを始めたことになります。
アップルや金融資本による利益の極大化で新興国との賃金競争で負けている分の穴埋め・・労働者本来の生産性以上の給与支払やインフラ整備や社会保障資金になっていたのですが,資本家イジメをやるとこの穴埋め分・・海外利益の本国送金が減り,国内の補助金的資金源が枯渇してしまいます。
巨額収入者がいるとジニ係数が上がりますが,他方で彼らの納める税や寄付金で社会保障資金やインフラ資金も出ていて、その恩恵を受けている面もあります。
巨額収入者を潰すとジニ係数が下がって溜飲が下がるでしょうが,その分格差が少なくなるので生活保護基準が下がります。
閉鎖社会では、国内の富みが一定の場合,巨額所得者をなくして平準化すれば庶民の収入が上がります。
しかし,海外から巨額収入を得ている人まで(やっかみで)潰してしまっても(一時的に溜飲がさがっても)国内では誰も得しません。
金の卵を産む鶏を殺してしまうようなものです。

グローバル化以降のゼロ金利政策2

中国その他の国がいくら高金利にして引き締めようとしても、安い金利の日本で借りて中国その他資金需要国(高金利国で運用すれば儲かります)で投資すれば良いので、中国その他の国での引き締めは尻抜けになります。
その対の側面ですが、資金が欲しい国は高金利にするしかありません。
アメリカが日本並みの低金利政策を採用すると日本等からの資金環流が阻害されるので、その代わり連銀による国債引き受け・住宅ローン債権の買い取り等の政策(QE1〜QE2)に入っているのはその関連で理解出来ます。
(外国がアメリカ国債や住宅ローン債権を買ってくれないなら自国紙幣を刷りまくって引き受ければ良いという開き直り政策です・・行き着くところドルの暴落しか考えられませんが幸いシェールガスなどの資源によって息をつくことになりそうです)
中国や韓国では外資導入に頼っているので、欧米や日本よりも高金利を維持するしかないのが悩みの種です。
韓国の例で言えば、既にデフレ基調に入っているのに3%台で維持しているのはこれ以上下げると外資が急激に逃げる・・アジア危機時の二の舞になるのを恐れているからです。
中国の場合、今なおも7〜8%成長を公表していますが、物流から見ると既にマイナス成長に陥っていると見るのが正しい様子です。
それでも低金利に出来ないのは外資流入が減速どころか、引き揚げ加速に直面すると経済が成り立たないからです。 
この種の意見はNovember 28, 2011「大量紙幣大発行(成熟国)」等の景気対策のコラムで書きましたが、構造転換中の我が国では低金利にすればするほど金利差を利用してその資金が高金利の海外に逃げて行くだけであって、海外に逃げてしまった白物家電等大量生産型産業の国内生産が復活することはあり得ません。
これが戻って来るには後進国並みの低賃金に平準化したときですから、金利政策は実際には効果がないことになります。
(内需拡大政策は中国等からの輸入が増えることになるのと同じです)
アメリカは人件費が安くなって中国に負けないと言い出しましたが・・そんなことで(国民の労賃を中国並みに引き下げて)競争するのは悲しいことです。
政府は時代の転換・国際平準化の動きについて行けない多くの人たち・・単純労働者を救うためであるかのようにゼロ金利政策や紙幣の大量供給をしてきましたが、実際には企業の海外進出を促す材料になっただけ・・その分逆に国内雇用が減る政策でした。
これではいくら低金利を続けても国内の閉塞感・・単純労働者の失業率は下がりません。
(私は企業が海外進出しなくて良いと言うのではなく、結果を書いているだけです)
他方で、国内産業構造転換すなわち従来国内で造っていたものが新興国から流入(逆輸入)することで、物価が大幅に下落して行きます。
国内で造るより安く出来るから新興国へ生産移管が進んでいるのですから、海外製品の方が安くなるのは当たり前です。
私の身近な物価でみるとこの20年ほどでは、いろんなものやサービスがおおむね半値くらいになっている感じです。
パソコンその他の電子機器は半値どころではないでしょうし、衣類ではユニクロ現象で明らかなように激安化が明らかですし、居住コストでも安くなり木造アパートに住んでいた多くの階層が70平方メートル前後の新しいマンションに移り住んでいます。
価格そのものは同じのままの分野でも、サービス内容が2倍程よくなっている印象です。
20年前のJRで言えばまだ冷房の効いている電車は稀で、私は冷房のある電車を選んで乗っていた状態です。
駅に着くと先ずは行く先までの料金表を見てから切符買うなどしていたのに比べて今はスイカなどのカードになって、乗り換え先の切符まで買う必要がなく簡単ですし、車両は新型化して綺麗になりましたし、駅の設備・トイレも見違えるほど綺麗になりましたし、エスカレーターやエレベーターなどもそろっています。
それでも20年ほど前から料金が変わっていません。
身障者がいると駅員が飛んで来てエスカレータ利用の介助をしたり、ホームと車両に大きな隙間があると乗り降りの手伝いをしたりしています。
物価が下がれば国民は豊かな生活が出来るので、(大手企業のホワイトカラーの給与はこの何十年間一回も値下げしていないでしょう)物価が下がって何が悪いの?というのが、私の持論です。
長年日本の成長力に押されっぱなしであった欧米からみれば、「日本は駄目になって欲しい」という期待感をいつも持っているのは当然でしょう。
長期の円安・国内デフレ・物価下落傾向・供給過剰だけを旧来の伝統的理論で見ると、欧米からは、いくら低金利にしても高度成長に戻れないから「もう日本は駄目だ」と言いたくて仕方ないので、「失われた10年だ」と言い、その内「失われた20年」という言い方が定着していました。

逆グローバル化時代(資本引き揚げに直面する韓国・中国)

通貨下落が一時的なものならナンピンを掛けるつもりでドル下落に乗じて更に追加投資出来ますが、今後も持続的に通貨がドンドン下落するとなれば新規投資を出来ませんし、逆に既存投資を引き上げる動きとなります。
株式相場で言えば下落が一時的か持続的かの見通しによって、投資家が売り急ぐか底値買いを入れるかの態度を決めるのと同じです。
これがアジア危機であり韓国通貨危機でもあって、今回の欧州危機で昨年秋に韓国の通貨危機が再燃しかけた原因です。
早く売り抜けて下がり切ったところで買い戻せば大もうけします。
アジア通貨危機のときに売り浴びせて大暴落した後で欧米金融資本が底値で買いあさって、大部分の韓国資本の買い占めをして主な企業を支配下に置いてしまいました。
その後韓国は欧米の非公式植民地化してしまい、通貨安で国民に犠牲を強いていくら儲けてもその儲けは海外に持って行かれる構図・・国民が悲惨な状態に陥ってしまいました。
韓国がもう一度通貨危機になるとそれこそ根こそぎ欧米資本に収奪されてしまうので、(今は外資占有率が約7割と言われますが、残り3割は財閥系個人が占有しているので一般国民に企業利益の恩恵が及びません)今度危機が来たら99%近くが欧米資本に買収されてしまいかねません。
韓国に泣きつかれて、昨年秋に日本がいつでも巨額融資しますというスワップ協定を締結し、さらに「韓国国債も買いますよ」と約束したことによって、韓国ウオンの底割れ懸念が薄らいで漸く韓国の通貨不安・・売り攻勢が収まったばかりです。
ロシアに併呑されそうになっても宗主国の中国が何も出来ないので、日本が助けてやったのに、今になって文句言われているのと似た構図です。
欧州危機小康化の原因について誰も書きませんが、マスコミは欧州中央銀行の誰それが何を言ったという意味のないニュースばかり流しますが、そんな口先の議論で(長期的には意味があっても)目の前の危機が小康化することはありません。
日本がIMFに巨額増資引き受けを決めたことによって、それ以降ぴたりと収まって小康状態になったものです。
巨額外貨準備を豪語している中国は、自分自身が外資引き上げに直面していて人の面倒を見るどころではないことから、結局IMF増資に1銭も出せませんでした。
ちなみに中国では資金流出が深刻になっていて尖閣諸島問題の大騒動のサナカにも中国への投資促進のミッションが日本国内を回っている状態です。
新規技術導入が停まっているだけはなく、内需拡大策を打ち出しているもののその資金がなくて困っている状態になっているのです。
前向きに応じれば尖閣諸島への圧力を弱めても良いというくらいの脅しと一体化した動きです。
今や世界の富みの何割かが日本に集中し、しかも余剰資金は日本にしかないので資金出し手は日本しかない現実があって、日本の挙動が世界経済を動かす時代です。
通貨安競争の継続は資本引き揚げリスクと裏表ですが、(昨日書いたように物事には副作用・マイナス面があります)韓国はウオン安で日本との貿易競争で有利になっている分のリスク・・資金引き上げリスクげ現実化していたのです。
このリスクを日本がファイナンスしてやっていることによって免れたので、恩を仇で返すために安心して日本を標的にした通貨安競争を仕掛けているのです。
今や韓国は危機を脱したので表向き怖いものなしというところで、「日本の力は落ちた」と宣言し「天皇を後ろ手に縛り上げてに謝りに来い」という非礼発言に繋がっています。
実際にはこれまで書いて来たように資金引き上げに直面して際限ないウオン安に見舞われている韓国経済まだ日本の買い支え協力宣言で小康を保っているに過ぎず、実態は破産の瀬戸際にあって苦しんでいるのですが、こういうときに空威張りしたくなるのが韓国流思考方式です。
空威張りの延長で日本をもっと困らせばもっと協力して貰えるだろう式の発想で最近特に問題もなかった竹島をイキナリ争点にして喧嘩を仕掛けて来たものと思われます。
日本歴代政権はこれまで韓国と中国に対しては理不尽なことを言ってくれば怒るのではなく、その都度何かを渡してうやむやにして来た歴史が彼らを増長させて(品性を卑しくして)しまったのです。
「日本の国力が落ちた」と韓国の李大統領に言わしめたのは、これまで何でも聞いてくれたのにこんなに怒るとは・・「大人の風格がなくなった」という李大統領の嘆きとも受け取れます。
今回は天皇にまで言及してしまったので、如何に大人しい日本でも、ここはケジメを付けさせば一歩も引かないところに来てしまいました。
「通貨安競争をやめる」「竹島は日本領土である」「慰安婦問題はでっち上げで申し訳なかった」とはっきり認めるまでは、すべての援助を打ち切るべきでしょう。
韓国がデフォルトになれば日本も困るから助けるというマスコミが多く、今回の争乱でも中国から観光客が減って困るという変な報道ばかりします。
僅かな痛みを強調することでいつも譲るばかりでは何も解決出来ないし、その是非については明日書きます。

グローバル化と格差28(所得再分配1)

中国での工場労働者の賃金との差額(約400万円超)は、高度技術者(研究者やソフト関連・金融所得その他汎用品製造以外をまとめてこのコラムでは書いています)の働きによる収入を召し上げて再分配していることになります。
1つの企業で言えば、海外の儲けを本国還流することによって、本国の労働者は自分の働きに関係ない収入分配を受けていることになります。
これを国単位で見れば法人税その他公的負担で集めた資金で各種インフラを整備し社会保障を充実させて再分配していることになります。
月収40万円の内数万円補助ならばまだやって行けるでしょうが、中国では月収数万円できる仕事を日本国内でしている人に対して38万円前後も補助して40万円も払って行くのでは国際競争上無理があります。
地域的に見れば地方交付金で所得の低い地方への資金再分配を通じて地方での公共工事を地方の経済実力以上で高額発注させているのは、地方の公共工事関連者の高度な生活保障をしていることになります。
地域で経済が完結している場合、産業のない地方の役人や裁判官、教員等は近代産業の少ない後進国並みの給与水準・・月額数万円で良い筈ですが、それが全国一律高賃金(だから地方ほど役人の就職人気が高いのです)になっていること自体が、補助金の結果です。
本来地方に仕事がなければ需要供給の関係で公共工事の単価も安くなる筈なのに都会並みの高い相場になるのはこのメカニズムによるものです。
所得再分配用に召し上げる資金が多いとその分、公租公課負担が諸外国よりも高すぎる結果になるのは当然です。
これが企業・稼げる人の負担増(国際的に見て累進税率や高過ぎる法人税等の高負担社会)となり、高負担を逃れるために富裕層や企業本社の海外移転を促進していることにもなります。
所得再分配は民族同質性・・一体意識による助け合い精神の発露であってそれ自体尊いことですが、行き過ぎると労働意欲を殺ぐだけではなく閉鎖社会ではない現在では、国際競争力にも関係するので1国内だけで完結する時代の道徳をそのまま良しとするのは間違いです。
どの程度の格差修正が妥当かについては、グロ−バル化の進んでいる現在では国際競争力との比較で決めて行くのが合理的でしょう。
格差修正は国力次第であるのは、一般家庭でも同じことです。
失業した息子夫婦あるいは貧窮で困っている親戚がある場合、その一家・親戚全体の収入の範囲内で助け合うしかないのは当然です。
過去の蓄積の範囲で援助する場合は競争力には関係しませんが、日々の収入に上乗せして援助しようとすると、国際競争力に目を配らざるを得ません。
(ラーメン屋が親戚を援助したり息子の学費捻出のために過去の貯蓄から出すなら問題がありませんが、ラーメンの単価を上げて対処するとしたら・・近隣の単価を無視出来ません。)
現在の日本は、3月8日に紹介した平均賃金の例で言えば、工場労働者の賃金を月額2〜3万円が国際水準であるとしたら40万円との差額約37〜38万円を過去の貯蓄・・投資収益から援助するならば問題がないでしょうが、これを製品単価に反映すると問題が起きます。

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