中華(光復)思6(大躍進政策1)

共産党政権は資産家層の支持を得ていないので、政権獲得後思い切った土地取り上げ等の実行が出来た強みがある代わりに、経済や地域支配による政治運営経験がないので、どうして良いか分らない問題に直面します。
(ゲリラ戦や個別勧誘・・蒋介石・国民党の悪口を言って歩いたり、共産党軍への鞍替え勧誘する動きいわゆるオルグ活動は得意・・個別接触中心なので行く先々の相手に合わせて言えますが、・・支配が始まるとあちこちで言ったことの矛盾・・整合性が必要になります)
日本の鳩山民主党の「少なくとも県外へ」のスローガン同様で、アチコチの利害調整が必要な支配者になると困ってしまいます・・、その結果得意の内部粛正競争・虚偽発表に走るのが普通です。
日本で言えば、左翼全盛時にはやった労組管理の経営が成功した例がないのを見ても分るでしょう。
スターリンは、内政失費を隠して2000万人ほど餓死させながら穀物輸出をして共産主義の大成果などと国際的に自慢していました。
国内的には、粛清・シベリヤ送りの嵐で批判を封じ込めますが、裸の王様と同じでいつかは風邪を引き肺炎になります。
こんな無茶が出来たのは農地を個人から取り上げて国有・集団農場にしてしまう・・抵抗すればドシドシ、シベリア送りするやり方で農地を取り上げてしまったので、個々の飢えている農民から穀物を直接取り上げる必要がなかった・・配給を減らせば良いだけだから出来たのです。
スターリンの無理がどうにもならなくなって、彼の死後フルシチョフのスターリン批判になって行くのですが、中国の場合には大躍進政策の結果5000万人前後を餓死させただけではなく無茶な製鐵増産のために樹木と言う樹木を切り、裸山にしてしまったので、その後の洪水や水不足その他環境破壊の害を今に残しています。
以下https://ja.wikipedia.org/wiki大躍進からの要約です。
1 大製鉄・製鋼運動
概要
1958年10月から、鉄鋼の大増産を目指して原始的な溶鉱炉(土法炉)を用いた製鉄が全国の都市、農村で展開されたが、金属工学の専門家もそれに適した設備もなく、原材料も満足に確保できない中で、素人に良質な鋼鉄が作れるはずもなかった。
建設資材
土法炉を建設するための主な資材である耐火煉瓦の供給は皆無に等しく、一般住居用の煉瓦ですら供給不足の状態だった。このため、煉瓦製の塔・寺院・城壁など、中国全土で多数の歴史的建造物が、土法炉建設用の煉瓦採取の目的で解体・破壊された。
燃料の確保
農村部等、ほとんどの地方では木炭を燃料としていたため、必然的に土法炉の燃料にも木炭を使用することになった。この事は、木炭を生産する目的で、中国全土で樹木の大規模な伐採が開始されることを意味した。伐採の対象は事実上、無差別・無分別であり、果樹園の果樹・園芸用の灌木も例外ではなかった。
原料の確保
鉄鉱石は石炭同様産地が限られ、かつ供給不足の状態であり、多くの地方では砂鉄の入手すら困難な状況にあった。このため、都市部では鉄製の各種設備・構築物を解体し、農村部では鉄製の農機具・炊事用具を供出させ、それぞれ屑鉄にした上で土法炉に投入した。鉄製器具を消費して屑鉄を産みだすという、全くの本末転倒な行為といえる。
結果
1117万トン生産された鉄の内、60パーセントが全く使い物にならない粗悪品(銑鉄)だった。販売流通も全く考慮されていなかったために、工業生産から流通までに長期間にわたり悪影響を残した。
また、この時の製鉄事業により大量の木材が伐採された為、今でも中華人民共和国では毎年洪水が発生している。しかも農民が大量に駆り出されたため、管理が杜撰となった農地は荒れ果ててしまい、ノルマ達成のために農民の保有する鍋釜、農具まで供出されたために、地域の農業や生活の基盤が破壊されてしまった。」
今でも需要無視の鉄道建設や鬼城と言われるマンション群その他無茶な生産設備の増設の結果、鉄鋼製品その他の赤字輸出が世界経済の混乱要因になっていますが、大躍進政策では粗悪品しか作れなかった品質以前に、ソモソモ需要を予定していなかったのですから驚きです。
ちなみにGDPやクルマなどの生産台数が重要なのは、それだけの需要=売れるクルマを作れると言う前提で意味があるのであって、こけ脅しのために無駄なものを作れる量のことではありません。
中国では未だにその辺のところ目的と手段の関係が分っていない・・だから鉄道総キロ数ヤ国有企業を合併させて世界一の規模にこだわったりしているのです。
大増産政策失敗→増産成功出来ないだけで従来どおりなら、何故餓死したたのか不思議でしたが、これを読むとよく分ります・・農機具まで供出させて農民を駆り出して製鐵作業に従事させていたのでマトモな農業が出来なくなっていたからです。
2 四害駆除運動・・雀が穀物を食べるからとと言って何百万羽と捕獲させたら、このために害虫大発生して大凶作になったと言う漫画的結果の描写です。
3 密植・深耕運動・・稲苗を密集して植えたら多く取れると言う運動をしたら育たなかったと言うこれまた漫画的失敗です。
こう言う失敗を中央に報告したら、日和見主義者として粛清されるので「大増収」と言う虚偽報告をしていたのですから軌道修正が遅れ被害が拡大します。
毛沢東は、その後の文革でも大きな後遺症を残していますが、これだけの大迷惑を掛けているのに、今でも毛沢東批判が出来ないまま・・時々毛沢東万歳の声が起きるほど・・それほど個人崇拝教育の害が大きかった証拠とも言えます。
中国の場合、スターリンのようにシベリア送りする場所がなかったのですが、元々一旦政権を取ってしまえばどんな酷いことも出来る歴史が強み・・その分やり過ぎる度合いも半端ではありません。
チベットのパンチェン・ラマ10世の諌言書を明日紹介しますが、実に生々しい悲惨な状態が出ています・・彼を捉えて最後に自由にされて中国礼賛するための原稿が渡されますが、彼は演説で草稿を無視して「如何に中共政権がチベット族に酷いことをしたかを」世界に訴える大演説をぶってしまい、その数日後には病死名目で殺されてしまいます。
日本で言えば、長篠合戦で「援軍が近い」と篭城方に告げてその場で磔処刑された鳥居強右衛門同様の英雄です。
これが中国政府のやり方で、今も香港書店主や人権派弁護士がいつの間にか拉致されて行方不明になっていて大騒ぎすることがありますが、これが突然出て来て記者会見を開かされて自分の意志で本土へ行ったなどと言わされています。
たまに彼らのうち骨のある店主では、「強制的に連れて行かれた」と公言する人もいますが、こう言う中共政権のやり方を見ると大躍進当時とまるで変わりません。
毛沢東は、無茶苦茶な大躍進政策をやりますが、5000万人前後の餓死者を出す大失敗に終わってしまったこと・・5000万人も餓死する→餓死に至る寸前の者がその何倍もいたことになりますが、そこまで続けられた人民の弱さにこそ、注目すべきです。

大アジア主義から三民主義→排日(光復)思想6)

以下は孫文が神戸で行なって大人気を博した大アジア主義の演説の要約ですが、これが排日運動に中心に変わって行った結果・・内政を怠っていた国民党が共産党に食い荒らされてしまった経過を見て行きます。
「孫文の講演の内容を次のように伝えています。孫文は、ヨーロッパの侵略によって衰退を続けたアジアが、日本による不平等条約の撤廃をきっかけに復興へと向かったこと、アジアの諸民族は日露戦争の日本の勝利によって勇気づけられ、独立運動を起こしたことを指摘します。その上で欧米の文化を物質的且つ武力的とし、東洋の文化を精神的道徳的であるとの対比を行い、東洋民族が一致団結して欧米と対抗することを呼びかけたと書かれています。」
マサに幕末から欧米的道義に対する日本の基本思想そのものを孫文が表向き?主張していたコトが分ります。
中国の現場から離れた日本での蹶起集会では高尚な議論が受けるでしょうが、清朝が現実に倒れてしまい、現実政治・・国内での支持者獲得競争が現実に始まると、大きな標語だけでは支持されません・要は実利・・支持者向けスローガンが必要です。
日本でも外交は票になり難いと言われる所以です。
上記孫文の演説によれば、アジア人の自立思想で革命?清朝打倒運動が始まった筈なのにいつの間にかアジア人同士争わせる欧米の術中にはまり、欧米の手先となって日本排撃が優先課題になってしまい、日中対立が基礎的目標になって行った原因を考えておきましょう。
孫文は世界国家論では国内の支持勢力を増やせないので、その後人民向けに三民主義・官吏の清廉性・農地分配・主権重視を発表して支持獲得競争に乗り出しましたが、国内勢力争いを繰り返しているうちにこれがいつの間にか後継者蒋介石によって反日闘争中心にすり替わって排日にのめり込んで行きます。
これまで書いて来たように蒋介石が北伐成功で支配地を獲得してみるとどうやって農地を地主から取り上げて分配するの?実現性がなかった・・実行出来なかったから,外に目を向けて一致団結を強調するしかなかったからでしょう。
元々蒋介石あるいは孫文らを支えて来た各地軍閥は各地の有産階層を支持基盤にしていますから、地主から農地を取り上げるのは無理があったのです。
ソ連でも農地の取り上げには農民の抵抗がありましたが、元々大領主・大貴族の元で農奴として働いていた人が多いのに比べて中国の場合細分化された地主層相手ですからこれを取り上げるのは簡単には行きません。
そこで地域大国のメンツを潰されたことに対する心情・・「日本のハナをアカしたい」と言う心情に訴えるのは、国内で反対勢力がいない・・利害対立する各派の支持を得るのに好都合で支持者獲得に大きな効果が期待出来たし、頭角を顕して来た日本叩き気分・・排日機運が充満している欧米(ドイツも日独同盟までは蒋介石に軍事援助していました)の絶大な応援が期待出来たからでしょう。
以上は一面的見方で書けば・・と言うだけで、日本が対支21か条要求など・・過剰要求?して行ったことも関係しますので日本を頼っていた蒋介石など親日派もドンドン反日に傾いて行った・・・(逆の立場から言えば、対支21か条要求も人によっては解釈の違いがあるでしょう)何事も一面だけでは判断出来ませんが、ある一面の見方を紹介しているだけです。
内政より外敵ばかり目標にしていた・・そうすれば米国から援助が来るし・・と言うことで国内の利害調整能力を磨く努力を怠っていたのですが、外敵日本がアメリカに敗戦してしまうと国民の目を向ける相手が国内の共産党しかなくなりました。
この最終戦・優勝決定戦で、蔣介石軍は対日戦の正面の戦いにうつつを抜かしていた国民党は、同党を日本の正面に据えて消耗させる戦術をとり、地道に国民の支持を増やしていた共産党に完敗してしまいました。
https://ja.wikipedia.org/wiki毛沢東によれば以下のとおりです。
「1937年7月7日に始まった日中戦争では抗日戦線を展開、国民党軍とともに、アメリカやソビエト連邦などの連合国から得た軍事援助を元に日本軍と対峙する。しかし、日中戦争において日本軍と交戦したのは主に国民党軍であった。共産党側は、朱徳率いる八路軍が日本軍へのゲリラ戦を行う以外は日本軍と国民党軍の交戦を傍観し、戦力を温存して、共産党支配地域の拡大に傾注したのである。この時期、毛沢東は「力の70%は勢力拡大、20%は妥協、10%は日本と戦うこと」という指令を発している[14]。なお毛がまとめた『持久戦論』では日本軍の戦略を「包囲は多いが殲滅が少ない」と批判している。毛沢東は延安で、日本軍が南京を陥落させたニュースを聞いて大喜びし、祝杯をあげ大酒を飲んだ。
毛沢東は裏で日本軍と手を結び、蒋介石と日本を戦わせて漁夫の利を得ていた。延安で八路軍が栽培していたアヘンの販売で日本軍と結託していた。また積極的に占領区内の日本軍と商売を行い、晋西北の各県は日本製品であふれていた。中共指導者と日本派遣軍最高司令部の間で長期間連携を保っていた。毛沢東の代理人は、南京の岡村寧次大将総本部隷属の人物であった[15]。」
英雄視されていたチャーチルも戦争が終われば用済みとなって、次の選挙で負けましたた。
パク大統領も対日悪宣伝外交に専念していたので、日韓合意の後でイザ内政に戻ると惨憺たる有様です。
共産党政権が農地分配を実行・・強制出来たのは、競争相手がいなくなった・・独占勢力になったので政敵の動向を気にする必要がなくなったので、強引なことが出来た・スターリンが国営農場化反対農民をドンドンシベリアに送ったように、中国共産党の強権・・地主や自作農が土地を取り上げられても抵抗出来なかったからです。
中共政権も権謀術数で国民党の支配を切り崩して来ただけで,戦後直ぐの片山内閣や日本の民主党同様に政権を取ると具体的内政能力がないので大変です。
三民主義の思想継承で、分配実行までは強権支配の良い面・・実行力を示せたのですが、分配が終わってみると、(有産階層を追放すると実務能力がさらになくなります)生産性低下のマイナス効果に脅かされて行きます。
どうして良いか分らないので、スターリンの場合粛清に続く粛清で政敵を倒して来たことが有名ですが、毛沢東の人生を見るとほぼスターリンの踏襲で頭角を現し、最後まで粛清(文化大革命も大掛かりなだけでその一種です)によって地位を維持して来たといえるでしょう。
中ソ対決はフルシチョフが粛清に継ぐ粛清をして来たスターリン批判をしたことを、修正主義と毛沢東が批判して、中ソ対立が始まったものです。
政敵を黙らせる道具として修正主義批判・レッテル貼りが便利なツールとなり、以後共産主義独裁国家に於いては粛清の道具・・民主国家に於いては左翼系が支配するマスコミ界・・言論空間で盛んに歴史修正主義者と言うレッテル張りが行なわれるようになりました。
蒋介石同様にアメリカの後ろ盾があってのことですが、これさえ言えば政敵や意見の違う言論人をマスコミ等言論空間から全面的シャットアウト出来る便利なツールになります。
毛沢東のフルシチョフ批判は、ちょうど明治日本が開国したのを朝鮮が批判してバカにしていた(これに対して征韓論が起きました)のに似ています。
鄧小平の改革開放を北朝鮮が「裏切り者」と批判するような超反動的レッテル貼りになります。

金融政策の限界6(韓国のミニバブル2)

マスメデイアでは中国バブル崩壊を懸念する声が漸く大きくなってきましたが、韓国の場合世界経済や日本への影響が小さいからか殆ど注目されていません。
以下はhttp://seoul123.seesaa.net/article/121402277.htmlからの引用です。
「6月13日韓国銀行によると、韓国人の個人負債は、昨年末基準で1650万ウォン、アメリカは5795万ウォン、日本は3626万ヲン(260万円)、オーストラリアは5150万ウォンと集計されました。
一方、個人金融財産はアメリカ1億6557万ウォン、韓国3451万ウォン、日本1億5617万ウォン(1120万円)で、韓国と経済規模が同じオーストラリアは8254万ウォンです。
韓国銀行は、個人の負債を判断する時、単純に負債の増加だけを注視するのではなく、金融財産の増加を含めて考え、個人の財産健全性と負債償還能力を判断しなければならない。また、個人の負債が増えるのは経済成長に伴う自然な現象なので、それ自体を否定的に見てはいけないと指摘しています。
金融財産を金融負債で割った比率で見ると、昨年末の時点で、日本が一番高く4.31、アメリカ2.86、韓国2.09、オーストラリア1.60になり、日本が一番安定した経済状況にあることが解ります。」
(ただし何年のことか分らない書き方です・・2009年頃に書いたものかも?・・韓国の個人負債激増が問題になり始めたのはここ数年のことですから今のテーマとしてはちょっとモノ頼りないですが・・・。)
上記のとおり急激な個人負債の膨張の心配に対して金融資産も増えているから心配するな?と韓国銀行が言い訳しています。
しかし、GDP比の増加率を昨日紹介した「日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)」の記事(これは新しいデータです)から見れば以下のとおりです。
「韓国の家計負債は、2015年末に1,200兆ウォンに達していて、負債の規模もさることながら、増加スピードが速いことで懸念されている。韓国の家計負債は04年に494兆ウォンであったが、15年には1,200兆ウォンに膨らんでおり、年平均8%ほどで増加をしたという計算になる。同じ期間中に、韓国の経済の実質成長率が3.6%前後であったことを考えると、経済成長に比べて負債は2倍以上のペースで増加したことがわかる。」
これによればGDPの拡大の2倍のスピードで個人負債が増加していることが分り、韓国銀行の説明に無理があることが分ります。
上記記事は全国民をごっちゃにした統計数字で見た場合でも負債率が2倍にふえていると言う指摘ですが、韓国の場合、いわゆる財閥一族に富みが集中し・勤労者も大手企業・公務員とその他零細企業従業員との二極化が激しい・・ヤンパン支配再現のような同様の大きな格差があると言われている社会構造を直視すべきです。
アメリカの格差拡大不満同様に財閥オーナーとその周辺だけがGDP拡大の恩恵を受けている不満が大きい・・これがイギリスのEU離脱論の根底にある世界の潮流ですが、財閥社会の韓国ではその矛盾がもっと大きくなっている筈です。
ただ韓国は前近代意識が強いと言うか庶民が弱い社会ですから、どんなに不満があっても意思表示出来ない・・精々移民や売春婦になって海外に逃げる算段しか出来ない点(北朝鮮でもあれだけ貧困で苦しんでいても誰も反抗しません)が欧米との大きな違いです。
格差の大きい社会では国全体の統計を平均するのでは意味をなさない・・末端庶民の苦しみを見るには、負債比率をGDPで割るとしても、その何倍かの倍率をかけないと本当の意味が分からない状態です。
消費者金融が拡大し続ける社会構造=庶民の方は金融資産など殆ど持っていない・・老後資金がないばかりか国レベルでも年金制度が充実していない現実こそが重要です。
金融資産を持っている人・・例えば500万の預金を持っている人がサラ金やヤクザから10〜30万借りることはあり得ない・・あるいは借りても預金を崩せば返せるのに娘の身売り・・海外売春に追い込まれる人はいない筈です。
借りる人は金融資産など元々持っていない・・(サラ金の顧客も通信料金など引き落とし用に預金口座を持っていますが)金融資産といえるほどのものを持っている人と持っていない人に厳然と別れているのが普通です。
(いつも書きますが一定の例外はありますが原則で書いています)
国民の苦しみ・程度を見るのに、財閥の持つ巨額資産+消費者金融を全く利用していない中間層(年収数千万円以上の階層)の金融資産合計と負債の比率を見ても意味がないことは確かです。
金融資産とのバランス論は、対外でフォルト可能性・・国内資金で賄えているかが分る程度・・国家のデフォルトリスクが多いか少ないかの基準にはなりますが、2極化された国民不満・・国内治安リスクは読めません。
日本の財政赤字リスクの判断には、国内金融資産残高と国債残高の関係が重要ですが、財政赤字の議論になると何故かエコノミスト・マスコミは個人金融資産残高との比較を報道したがりません。
いつも書いていますが統計はどの場面で切り出すかが重要です。
以下はhttp://www.sankei.com/west/news/141118/wst1411180004-n1.htmlからの引用です。
1000兆! アジア最悪の個人負債 2014.12.31 17:00
 リーマンショック以降、金融危機の恐ろしさが身に染みた多くの国では、金融機関が個人向け融資に慎重になっているが、韓国ではむしろ国内総生産(GdP)に占める個人負債の割合が増す現象が起きているのだ。
 韓国メディアの毎日経済新聞(電子版)が伝えたドイツ金融会社アリアンツが発表したデータによると、昨年末時点の世界主要53カ国のGDPの個人負債比率は65・1%で、09年に比べて6・4ポイント下落した。
 ところが、韓国はアジアで最も高い92・9%で08年比で10%上昇。負債規模は08年からの5年間で、1・4倍に急増したという。」

占領統治の難しさ(日本奴隷化作戦の変更)

何回も書いているように欧米は、日本を叩き潰した後には単純被植民地、被奴隷国の限度で生存させる・・一切の工業生産を許さない方針でした。
アメリカ政府のインデイアンに対する協定破り・相手が武装解除・降伏すれば、降伏時に約束した協定など全く守らない前提の国です。
降伏したインデアンに対する非人道的政策は良く知られていますが一例を挙げれば以下のとおりです。
どこの誰か?根拠があって書いているか知りませんが,私が何かで読んだ記憶に大方あっているので一応引用しておきます。
http://goodorbadamerica.blogspot.jp/2013/01/blog-post_17.html

「徹底した同化政策を進めるために、赤ちゃんは、強制的に白人家庭に養子に出されたり、5歳以上の子供たちは、全員親から引き離されて、寄宿学校に入れられちゃいます。
学校と言っても、牢獄に近かったらしいですよ。
無理やり、部族や親と隔離して、キリスト教に改宗させられて、英語を習わされて、白人の下働きをする、「良いインディアン」作りをするための学校だったんですね。
まさに、インディアンの文化そのものを根絶やしにするための同化政策ですね~。
たしか、インディアンの寄宿学校が廃止されたのは、1965年あたりだったはず。
と、いうことは、今でも、だいたい50才以上の人たちは、ほとんど、入れられた経験があることでしょうね。」

赤ちゃんのときからオヤから引き離し、インデアンが如何に劣った民族かの言う教育を徹底していたのですから、ジェノサイドの極致ではないでしょうか?
英語しか知らない状態で育ち、寄宿舎を追い出されるとその後インデアン部落に戻っても言葉も通じないし生活習慣もまるで違う・・生きて行けません。
白人社会に入っても何も出来ず、保護に頼って無為に過ごすしかない・・人間が腐って行くだけの生活が待っている・・民族消滅するように仕向けられたのが今のインデアンです。
何回かポツダム宣言を紹介していますが、もう一度紹介しますが、「奴隷化・・するものではない」と言う表現は、正にその予定にあったモノの日本が容易に降伏しないので仕方なしに表向きの方針を変えたに過ぎないことを言外に表明しています。
武器を取り上げて占領してしまえば、約束など守って守らなくとも勝者の勝手・・自由自在と言う思惑があったでしょう。
我々の意志は日本人を民族として奴隷化しまた日本国民を滅亡させようとするものではないが、日本における捕虜虐待を含む一切の戦争犯罪人は処罰されるべきである。日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げるあらゆる障碍は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである。

実際に占領後の実際を見ると、日本民主化の名分と占領後の日本の工業生産禁止はどう言う関係があるのか、米軍による軍政、検閲は?民主主義化の建前と全て矛盾です。
アメリは占領さえすればこっちのモノ・・後はインデアンに対するのと同じでやりたい放題・・元々ポツダム宣言を守る気持ちが始めっからなかったのです。
ソ連が満州侵入後日本軍をシベリアに連行し文字どおり奴隷支配したのは、アメリカから事前に聞いていたとおりに実行した(アメリカが腰砕けになっただけ)と言う立場だからでしょう。
アメリカはソ連と対立関係にあったのにソ連の蛮行に対して何の非難もしていませんし、だんまりのままだったのは、「自由に連行して奴隷化しても良い」と言う密約があったことが推測されす。
日本人奴隷化の基本方針からすれば、占領後天皇制廃止・・天皇の縛り首実行が既定路線だったでしょうが、これらを実行出来なかったのは、そこまでやると日本人の怒りが半端でなくなると言う教育?が功を奏したからです。
この進言をマッカーサーが聞くしかなかったのは、硫黄島や沖縄での日本軍の最後の踏ん張り・・これ以上追いつめたら何をされるか分らないと言う恐怖心が占領軍を自制させ、日本人を奴隷化する戦略を変更するしかなかった・・モノを言ったからです。
子供の頃に竹槍訓練や玉砕戦法をバカな戦いだったと、アメリカに都合の良い教育を受けて育ちましたが、今になって考えるとニッポン民族が奴隷化されないで済んだ結果にはすごく有効な捨て石・・戦略だったことが分ります。
関ヶ原で西軍の負けが決まった後に最後の突進で戦場を突き抜けた島津軍団の精強ぶりが、戦後処理で島津家が寸土も失わなかった結果になったのと対比出来るでしょう。
負けは負けでも、負け方が重要なことが分ります。
我々弁護士業務でも同じで、勝つ事件は誰がやってもそれほど大きな差がありません。
負けている事件・・有罪事件あるいは債務があることは間違いがない・・債務整理でも離婚でも(浮気したことは間違いがないなど)負ける方ではそのやり方で大きな差が出ます。
軍事でも戦闘に勝った後の追撃よりは負けて撤退する方こそが難しいのです。
越前の朝倉攻め中の信長が浅井の離反により、北陸路からの撤退に際して秀吉がしんがりを務めて成功したのと、本能寺の変での中国路からの撤退作戦・・これらを見事にやってのけたことが天下人になれた大きな要素です。

アメリカの格差社会(フードスタンプ配給)

6月24日以来の格差社会論に戻りますと、鄧小平の言った有名な、格差容認論・・「◯◯の猫でも稼ぐ猫は良い猫だ」と言う・・金持ちになれる人から豊かになって行くと言う格差容認論は前向きですから、儲けに遅れた人の夢・・励みになります。
アメリカで昔言われたアメリカンドリームもこれに似たものでした。
現在欧米の格差論は、新興国の挑戦を受けて単純労働に高額賃金を払えなくなって来た・・負け始めた以上は、等しく貧しくなるべきところをアップルやユニクロみたいにタマタマ成功した経営者や金融のプロあるいは資源利権により特定一握りの階層だけが逆に金持ちになって焼け太りになっている点が大違いです。
アメリカの格差不満を背景にするトランプ旋風の張本人自身が、大金持ちであることを自慢する歪んだ社会です。
西欧を追い越す途中の新興国だったアメリカや・・中国や新興国の格差は、先に儲けた人ですから、こう言う社会では後に続く予定の多くの国民には「アメリカンドリーム」であり、賄賂であろうと何であろうと、「中国の超金持ち」は(自分もその仲間に入れば良いと言う希望で)まだ儲けていない人に夢を与えて来ました。
現在の先進国の場合には水位がずるずる下がって行く中で、特定の成功者だけが天文学的利益を独り占めしているのですから,ビルゲイツやジョブズ氏のように仮に特別な才能のあって不公平ではないとしても一般人には夢がありません。
中国や新興国の明日への夢がしぼんで行くと共産党幹部(の場合能力差ですらないのですから)だけが良い思いをしていることに対して国民の不満が高まります。
先進国で新興国労働者と同じレベルの仕事しか出来ない人は、本来新興国労働者と同じ収入でいい筈ですが、先進国の場合上記の特定巨額収入者の納めた税金や過去の利権収入(海外進出企業からの送金など)でインフラや社会保障コストが補填されているので、なお新興国労働者の何倍もの生活が出来ています。
生活保護その他何らの給付も受けていないつもりでも、非課税者は言うに及ばず納付税額の少ない人は、納付額以上にインフラを利用出来る恩恵を受けている人が一杯います。
月10万円前後の収入で税を払っていない人が保育所利用している場合、その維持費として税で膨大なコスト負担しています。
保険制度に至っては納付保険料の何十倍も使っている人はざらでしょう。
このように格差と言っても直接収入格差は、インフラ次第で大幅に緩和される結果、本当の格差感は社会のインフラ充実度によります。
アメリカの一人当たりGDPが高いと言っても資源や石油利権収入、金融取引、知財収入等の平均ですから、平均収入の議論しても工場労働者やサービス業の平均賃金など詳細は)何も分りません。
アメリカは昨年あたりから末端労働者の賃金水準は中国の人件費に負けないと豪語しているくらいですから、工場労働者やストアー店員の個々人の給与は高くありません。
ですから金融資本や知財等海外からの収益による高額所得者がいる結果却って格差が激しくなるし、成功者の収入が下がって行くと格差は縮小するでしょうが、そうなると将来的に(社会保障を含めた)収入が下がって、本来の働きレベルに下がって行く不安があります。
知財収入や過去の遺産(利権収入)等の分配に頼るようになると受益者が少ない方が有利・・高齢者が退職金等の預貯金を90歳まで残せるか心配になるのと同じでいつまで続くかに関心が移って行きます。
この不安がイギリスの移民増加反対論・・分配対象を減らせと言う運動が盛り上がった現実です。
金融や知財のぼろ儲けや資源・石油利権等で、一人で何十億と言う収入のある人の払った税金や寄付で多くの国民がフードスタンプを配給されていると、国民は不満と言うよりも将来が不安でしょう。
非正規雇用の多いアメリカ最大の大企業のウオールマートの店員の多くが,生活困窮者向けの1、25ドル分のフードスタンプを貰う列に並んでいることが問題になって日本でも報道されましたが、漫画みたいな社会です。
アメリカではフードスタンプ受給者が増え過ぎていて、この数年支給を絞り始めています。
http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/09/food-stamp-enrollment_n_6441040.html
「ボーレン氏「2016年にはさらに多くの人びとが給付を失うことになるでしょう。たとえ、登録申請者数の動向が、これまで通りであっても」と述べた。
政府の最新データによると、2014年9月の登録者数は4650万人で、前年の4730万人から減少した」
ちょっとデータが古いですが別の解説によると以下のとおりです。
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=279619
13/07/27 PM10
「四人家族で年収2万3314ドル(約230万円)という、国の定める貧困ライン以下で暮らす国民は現在4600万人、うち1600万人が子どもだ。失業率 は9.6%(2010年)だが、職探しをあきらめた潜在的失業者も加算すると実質20%という驚異的な数字となる。16歳から29歳までの若者の失業率を 見ると、2000年の33%から45%に上昇、経済的に自立できず親と同居している若者は600万人だ。」

フードスタンプは所帯単位で配給するので、約3億あまりの人口を割ると受給率は労働者3人に1人とも言われていますので大変な事態です。
たったの1、25ドルの食品購入券(1ヶ月分で所帯全員分とすると結構な額ですが・・)を貰うために夜中の12時に(何故か深夜に配布する仕組みらしい)並んでいる映像を見ると・・それが全米労働者の3人に1人と言うのでは、如何に格差が進んでいるかが分ります。
こんな夢のない生活で何年もよく我慢しているものだ・・中国よりも先に暴動が起きてもおかしくないような気がしますが・・。
トランプ氏の煽動に乗りたくなる人が増えているのは当然でしょう。

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