コミンテルンとアメリカ政府の動き1

昨日紹介した1935年の第7回コミンテルンをみると、コミンテルンの世界戦略としては1見日独ポーランドを攻撃目標としているように見えますが、目先のポーランドはソ連にとって簡単な(何の抵抗力もない)侵略対象でしかないので、世界中の共産主義者幹部が集まって議論するようなテーマではありません。
ドイツ問題は、第7回会議がナチス台頭後でナチスから共産主義者が過酷な弾圧を受けている最中ですから、対ドイツ関係対応を協議決議するのも目先の当然の対応であって当たり前の緊急事態です。
ここで目先の対応策ではなく、シベリアを挟んでソ連・共産主義政権にとって何の脅威でもない遠くの日本が何故長期的究極の攻撃目標として会議の重要テーマになっているかの疑問です。
文章(ウイキペデイアの編集ですので原文そのままかどうか分りません)の流れを見ると途中経過的にドイツやポーランドをついでに取り上げているに過ぎず、世界中の共産主義勢力を結集して長期的に対日攻撃するための戦術をわざわざ決議している印象です。
共産主義に対抗する自由主義の総本山アメリカを攻略するために周辺国から浸透して行くならば分りますが、日本をやっつけるためにアメリカや英仏に浸透して行く戦略ですから順序が逆です。
第7回コミンテルン以降の経過・・日本攻撃を実現のために「・・打倒にはイギリス、フランス、アメリカの資本主義国とも提携して個々を撃破する戦略を用いること」「気づかれることなく大衆を傘下に呼び込み・・ブルジョワ機関への潜入」→これらの計画がアメリカの政府機関潜入で実現しているので、ウイキペデイアの編集方法が間違いと言えないようです。
先ずはアメリカ大衆や政府機関潜入を果たした上で、アメリカに中国を応援させて「第三に日本を中心とする共産主義化のために中国を重用すること」により日本孤立化を図ることなどは、今現在判明している戦前の国際的な動きがそのまま・・コミンテルンの対日攻撃計画どおりにアメリカが動いていたことが分ります。
ちなみにアメリカ政府は中共軍に対しても、対日戦応援のために軍事援助していたことが知られています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/国共内戦によると以下のとおりです。
「国民政府は、米英の物資援助も入れて、精鋭部隊をつぎ込んだ全面戦争を行なった。アメリカは、蒋介石の妻の宋美齢によるフランクリン・ルーズベルト大統領への強い働きかけを受けて「義勇軍」という形を取って1941年から中華民国軍に武器や軍事顧問の派遣などの形で援助を行ったほか、同年12月の日本との開戦後には中国共産党軍にも武器などの軍事支援を行った。」
共産主義敵視の自由主義社会総本山である筈の?アメリカが攻撃対象なっておらず、コミンテルンがアメリカとの共同作戦を前提として?日本を究極の攻撃対象に選んでいた事実・・何がその原動力になっていたかの研究こそが重要です。
コミンテルン決議やその後の国際政治の展開をみると、単なる共産主義の世界制覇計画に留まらずそれ以上に、対日攻撃・・日本民族自体を攻撃を優先していたこと・・これを推進する陰の勢力の存在が透けて見えます。
第7回コミンテルンの目的は、共産革命の世界拡張に名を借りた「ニッポン民族殲滅計画の採択」だったとしてみた場合、彼らが何故日本を標的にする必要があったのかの疑問が起きてきます。
ここでヒットラーの発言記載との関連・・ユダヤ系が日本にだけは、うまく浸透出来なかったことの意趣返し・・「そこでユダヤ人は、民族主義国家日本を、今日存在している似たような国の力を使って殲滅してしまおうとしている。」と言う部分との整合性があるのに驚きます。
8月30日に紹介したヒットラーの意見はその記事によれば「我が闘争」下巻第13章に書いているそうですが、その後現実世界で起きたことはそのとおりの展開だったことになります。
ユダヤ支配が完了した戦後秩序下でヒットラーは120%抹殺されていますが、こうして見ると意外に国際政治の本質を衝いた意見を有していたことが分ります・・だからこそ戦後社会では如何にナチスが酷いことをしたかを宣伝し、且つその検証すら許さない体制が構築されているのかも知れません。
日本で占領軍+左翼文化人マスコミによって「軍国主義」の一言で封印されたままタブー視されて来た「戦争が何故起きたか」の検証が次第に広まって来たように、今後西欧でもヒットラーの客観的意味を問い直す時代がその内に来るでしょう。
尤も世界中が急激に台頭した軍国主義に対する脅威に先ず対抗するしかない・・これが共産主義の脅威除去よりも先決問題だったと言うのが公式定義でしょう。
しかし9月3日に紹介したとおり、排日移民法が1910年代から州法等によって順次整備されて来て24年には決定的な排日法が施行されている事実・・こんな法律が成立するには、その前から、大小の差別・嫌がらせが始まっていたことが推定されます。
こうした流れをみれば、アメリカに追いつめられて真珠湾攻撃に至ったのと同じで、「軍国主義だから・・」と言う理由は後付けっぽい理屈です。
ユダヤ陰謀論の真偽は、別としてコミンテルン・・その実質運営主体だったソ連共産党政権とユダヤの関係がどうだったかをみておく必要があります。
「ユダヤの浸透」は文字どおり「浸透」が基本ですので、表にはなかなか名前が出ませんので基本は憶測・推理でしかありませんが・・ロシア革命・・ボルシェビイキを主導したのは、ユダヤ人だと一般に言われています。
一般論として言えば、西欧の王族は文字が読めるのがやっとの程度で、文化レベルが低いのが特徴・・野蛮人であることが自慢の社会・・ヘンリ8世の例で最近紹介したことがあります・・でしたから、重商主義とセット発達した絶対王政なども国際貿易の処理など複雑な政治運営をバイキングの子孫が出来る訳がない・・多くはユダヤ人が政治顧問などとして実権を握っていたと言われます。

消費レベルアップ1→小さな政府へ5

内需拡大・消費レベルアップのためにもインフラ整備は必要ですが、(あちこちに美術館や芸術ホール等の整備も重要です・・これによる文化レベルアップは、数世代以上の長期的効果を見なければ分りません。
ただし、以下に書くアニメの発達が美術館や劇場の設置とどう言う関係があるか分りません・・識者がアタマで考えて何か投資すればある文化が生まれる訳ではない・・自然発生的なところ(民を豊にするしかない)があるのが文化です。
ふすま絵その他は豪荘な建物の発達と関係があるでしょうが、俳諧や、能狂言、文楽や浮世絵や落語江戸期に発達した書籍出版などが、政府が文化発達のために何かした結果?ではないでしょう。
少しは関係があるとしても能のようにせいぜい政府が保護した程度・・後追いが原則です。
歌舞伎や浮世絵あるいは書籍出版はどちらかと言うと禁遏の影響の方が大きかったと思います。
アニメが日本文化発信に役立つと気が付いてその後押しをするのは政治の領分でしょうが、アニメが産業として育ったのは鳥羽僧正の鳥獣戯画巻以来千年単位の伝統文化が基礎にあって、若者に生活のゆとりがあるからですし、政府による成長投資があったからではありません。
(今の若者にゆとりがある訳がないと反論されるでしょうが、若者自身非正規等で困っているとしても豊かな親世代の恩恵を受けて育っていて漫画を書いて,または友達の書いた漫画を楽しむ「ゆとり」があることは確かです)
政府が応援するどころか、数十年前には「いい青年になっても電車で漫画を読んでいる」と眉をひそめる論調が主流でした。
こうした分野の競争が主流になって来ると、仮に政府が後押ししてもその効果は1政権や2政権の間に効果が出る訳がないので、政策効果の有無を議論をすること自体間違っています。
アベノミクスの効果が出ているor出ていないと言う議論が盛んですが、こう言う議論が疑問なく行なわれていること自体で、経済学者は今でも政府の仕事は短期の成長戦略実現のためにあると思い込んでいる・・この目的実現ためには従来どおりの税収が必要であると考えているように見えます。
GDP競争に税を使う時代は終ったことを書いてきました。
先行者利益・・即物的生産力では後進国の模倣による追いつく速度の方が早いのが原則ですので,植民地支配のように被支配国生産を禁止するなど不正がない限り、先進国は早晩並ばれ、追いついた方が活力があるので先行者は没落して行きます。
先進国(デパート言えば三越が)においてはいつの時代でも新たな消費モデル・文化モデルの提示に成功してこそ、その地位を維持出来るのであって、この提示が出来ない限り追い着かれ追い越され廃墟になって行くしかない・・メソポタミアであれ、ローマであれどこであれ栄えた国が滅びるのはこの原理によります。
京のみやこが長年その地位を維持出来ていたのは「みやび」の独占による文化発進力で勝負出来ていたからです。
国民レベルが低くとも体力さえあればある程度出来る・・生産力競争を卒業して消費文化競争→この結果生まれた優れた文化製品輸出であれば、(文化は何世代と言うように)簡単には追いつけませんし、国民レベルの違いが出て来ます。
幸い日本は遣唐使の昔から相手国の文化の粋を選別して持ち帰る能力に優れていましたし、戦後敗戦で廃墟になった直後でも日本は西欧の良いものしか買わない国民性・・文化でした。
消費する国が発言力のある時代になると、輸出ばかりで内需の少ない・・買い物しない国は喜ばれません・・内需率が重要になります。
貿易黒字・将来買うことが出来るようにするのが目的ですから、純債権国になってから何十年も黒字ばかり稼ぐのは能ではありません。
毎年長者番付に載る富豪が昨年より何%増えたと言う程度の成長率の問題にこだわっているのは滑稽です。
成長率・・GDP算出方法自体この後で書くように現地生産の進展で、本来の国力を表さなくなって久しいのです。
労働者賃金も現地従業員指導のために出向すると現地子会社の支払給与になる・・どちらかと言うと高給取りの国内就労者が減り、支払給与がなくなったことになりますが、
国内にいる家族には夫の給与は従来どおり振り込んで来る・・むしろ海外出張手当?分として海外子会社からの支給が増えて余計払ってくれるのが普通です。この家族は無収入世帯になり(フィリッピン人が海外にメードになって出稼ぎしているのと同じ)海外出稼ぎ送金によって生活している分類になるのかな?
いろんな意味で従来は国内生産にカウントされいた多くの分野が皆海外生産の統計に変わっている・・企業実力としては同じことが、別会社として計算されるようになって来ると全体が不明なので、企業会計では連結決算が普通になってきました。
国の実力も連結で見ないと分らない時代になっているのに、日本国単体の売上・生産力で見て・・時代遅れのGDP競争しても意味がありません。
昭和40年代に入って都内から工場がドンドン追い出されて地方に出て行き、今では都内の工場は滅多に見かけませんが、都内の生産が減ったからと言って東京の活力がなくなったと言う人はいないでしょう。
デパートで言えば本店売上が日本一でも国内支店数が競合他社の10分の1しかなくて全体の売上では7〜8番目でしかないのでは意味がないのですが、今のGDP競争・信仰は支店売上にあたる海外売上を見ないで本店売上競争のデータで1喜一憂していることになります。
トヨタ、ホンダ、コマツ・日立などで言えば、世界全体の売上増減が主要テーマであり、国内販売だけで企業の将来性を判断する人は滅多にいないでしょう。
国内生産力が前年比何%の成長をがどうなったと言うGDP論争は、「井の中の蛙」のような議論で意味がないことが分ります。
国民に必要なことは前年比生活水準が良くなったか・その持続性が(国際収支大赤字ではその先貧困が待っていますので楽しめません)どうかでしょう。
生活水準とは結局のところ(パンを人の3杯食べられれば良いと言うのではなく)消費水準の文化度です。

世界的減税潮流の基礎→小さな政府へ4

人口が半分でも3分の1でも各人が4〜5倍高度な演芸・風景などを楽しみ、着たり食べている国民であれば、人口が少なくとも結果的に消費力が大きいのですから低額消費人口ばかり増やすのが能ではありません。
演芸やスポーツ、絵画・料理全ての分野で、下手なものを半値〜3分の1〜10分の1の値段で見るよりは、より良い物に2〜3〜5倍払える社会の方が、より良い物が育ちます。
良いもの(サービスを含めて)が売れる・・評価される社会であれば、それを輸出用にも出来ますが、後記のとおりフードスタンプ食品など安物ばかり楽しんでいるのでは、これを「アメリカで何千万人が食べている」とか「着ている」と言われても?世界の人が買いたがりません。
うまいものを食べ、良い絵を見るのが技術向上に役立つかと言われると、うまいもの食べるのがスキならば良い料理人・絵描きになれる保障はありませんが、良い物を作れば高評価を受ける社会でこそ向上意欲が出て、より良い社会になって行く原動力になります。
国内市場レベルが輸出競争力を決めて行くのですから、内需拡大・贅沢は国際収支を悪化させてしまうのでないかと言う恐怖心は間違っています。
資金不足国・・新興国の多くがそうですが・・の場合、先に贅沢していてはつぶれてしまいますので、先ずはすぐに金になる方法・・先進国の物理的?模倣から入るしかないのは当然です。
労働者の子供個々人で見ればうまいものを食べて礼儀作法を学んでもそれを活かせる保障がないから投資効率が悪過ぎます・・育ちに応じた仕事に就く訓練をした方が合理的です。
今の日本はギリギリに働いてすぐにお金が欲しいような貧しい国ではなく世界一の債権国ですから、国民にゆとりを持たせて生活レベルを上げて、高級食材・デザイン、生活モデルそのものを輸出出来るようにして行くのが正しい選択です。
良いものかどうかより腹一杯にしたい・・先ずは明日食べるお金を稼がないと生きて行けないような新興国の真似をいつまでもしているのは恥ずかしいことです。
琳派で有名な酒井抱一を見ていると、(私は審美眼が弱いので、美術展に行くと主催者の意図しない変な発想に取り憑かれるのが困ったものです・・)彼が育った時代にはまだ名門武家の出身者として「絵を描くのが楽しみ」などと言う軟弱な?生き方は批判の対象だったでしょう。
ところが、代々大老になる家柄・酒井雅楽頭家としては高度な政治には武力腕力よりは人脈形成が重要になっていましたが、酒井抱一が長じて名をなす時代には平和な時代が定着して消費・贈答文化が発達して来ていたので、「絵師」として名をなした弟「抱一」の絵画は格好の引き出物として、重用されたに違いありません。
文化が発達するとトラック1台の小麦・ジャガイモよりは高度美術品の方が価値のある時代になります・・高度美術品や高価な果物や高級食品を作るにはこれを喜ぶ消費者が必要です。
人口統計をみて労働人口が減っている→移民が必要と短絡的に騒ぐのは、環境変化に対応していくニッポン民族の能力を知らない外国基準の主張です。
アメリカや西欧は環境変化に対して底辺労働(多くは若年)の移民を多く入れて中国の低賃金に対抗し、国内市場.消費力を上げるにも人口増がてっとり早いと言う安易な対応をしてきました。
・・日本の場合人口が同じ〜少し減っても消費のレベルアップ対応で国内消費(金額)を増やす方向ですが、日本の学者は欧米の対応が何でも正しいと宗教的に信じている立場ですからこれを参考にして「同じようにやれ」と主張しているのです。
欧米では、移民を入れて生産年齢人口を1割増やすことにより1割成長を図る..底辺層でも何でも人を増やすことによって、比喩的に言えばフードスタンプ用の最低食品や安い衣料などの国内消費が人口比例で増えるでしょうが、これでは新環境に適応していることにはなりません。
移民を増やしていく対応では、国民レベルが下がる傾向になるのが普通です。
※同じ知能レベルの移民であっても言葉や習慣の違いによる壁があるので、彼らに対する教育費が何倍もかかるしその割に教育効果が上がりません・・まして底辺層から入って来ると国民平均レベルがなお下がってしまいます。
そのうえ、先進国国民は過去の蓄積分配の恩恵で現役国民の能力以上の(金融資本蓄積のみならず文化基盤の厚みその他)良い思いをしています・・この分配量が一人当たり減って行く関係・・希薄化という点では民族・道徳意識の希薄化が重要です・・これらを2016/07/17「アメリカ式移民モデルの破綻4」のシリーズで書いてきました。
日本が移民による人口増を拒み、国民レベル引き上げに努力して来たことこそが、石油ショック・レアアース禁輸対応同様に正しいことです。
移民受け入れを拒否して来たのが文化人?には不満でしょうが、国民のレベルアップ努力の結果、労働人口減にも拘らずGDPを減らさず、円相場がプラザ合意後240円になり今は100円前後(昨日の新聞では99、何円)ですから、国際収支黒字が毎年10兆円前後で同じとしてもドル相場にすれば、バブル崩壊後だけで見ても失われた20年どころか飛躍的成長を遂げていた・・これがジリジリと円の評価を挙げて来た原因です。
このコラムで繰り返し書いていますが、我が国の生活水準はこの20年で2倍前後上がっています・・。
過去20年あまりの実質的成功の原因が、政府の成長投資が成功していることによるのか、元々の国民レベルが高い上に豊かな生活を保障したことが新たな視点需要を提供して新たな輸出産業を捲まず撓まず育てているのかの見極めが重要です。
世の中はオセロゲームのようには行かないので多分双方の視点が必要でしょうが、そうとすれば従来型投資資金比重を徐々に減らして生活水準向上方向へ資金シフトして行く必要があります。

世界的減税潮流の基礎3→小さな政府へ

お笑い芸人の場合、いつも同じネタでは客が飽きてしまうのでしょっちゅう新規の笑いを取る必要があります。
工業製品も製品寿命が長いだけであって一定期間で新製品を創出する必要がある点では同じです・・現状維持の企業と新製品を作り出す企業と比較すれば、現状維持型はジリ貧・規模縮小になります。
新製品の先行者利益を得る期間が短くなっているので20年も30年も同じものと言う訳には行きません・・短期間に新製品を出して行かないと競合メーカーに直ぐに真似されてしまいます。
喩えば、1国に1000の輸出企業があるときに1社平均数年に1回のモデルチェンジとすれば、クルマやスマホの例で言えば、特定企業ではモデルチェンジ直後が(成功した場合・・アップルのように失敗する例もあります)最大売上でその後徐々に売上減少して行くパターンですが、前年度比GDPゼロ成長の国は一見停滞しているようですが、日本国内企業平均では、(モデルチェンジに失敗・成功を均した結果、)トータルで製品陳腐化による売上減少を補っていることになります。
マイナスではなく0、何%でもプラス成長出来ているのは、一定の成長を遂げた先進国に於いては大成功している部類に入ると思われます。
ますこみは、新興国と成長率を比較して日本だけが成長率が低いと大騒ぎしてきましたが、・・新興国は勢いがあるのはあたり前・スポーツでも勉強でも新人は成長率が高いのは当然です・・トップアスリートになればトップの地位を守るのが精一杯で、(イチローを見ても分ります)前年比何%も走る早さやヒット率を上げるなどのレベルアップ出来るものではありません。
欧米や日本のように元世界の工場であった国の場合、過去に成功していた輸出用生産力が現地生産化進展によって縮小の一途になるのは本来の流れですから、GDPが前年比ほぼ同じと言うことは、国全体では過去に成功した輸出企業の国内生産が毎年現地生産化で減って行く分を補うべく同一企業内または異業種でも新たな輸出製品創出に成功していることになります。
ホンダで言えば完成品生産工場をメキシコ等へ移転しても国内工場を縮小しないで、輸出用部品等生産に変更した結果輸出金額が変わらなかったのかも知れません。
トーレで言えばレーヨン輸出金額が激減しているとしても炭素繊維の輸出は伸びているのと同じでこういう企業が多いでしょう。
あるいは十らでは輸出に関係なかった高給牛肉や果物などが伸びているかも知れません。
所得収支を除いた貿易収支の角度から見てもこれが言えます。
日本の場合、東北大震災直後原油大規模輸入拡大で貿易赤字になりましたが、その後盛り返して今では貿易黒字に戻っています。
ホンダのように現地生産化によって(国内生産がヘリ)輸出黒字が減って行く分野が続出しているのに、穴埋めになる別の輸出品が同一企業または異業種で育っていることを表しています。
以下の通り急激円高で24%の輸出減でも以下のとおりの黒字です。
Business | 2016年 08月 18日 09:58 JST
http://jp.reuters.com/article/july-trade-balance-idJPKCN10S2JQ
貿易収支、7月は5135億円の黒字 円高で輸出09年以来の減少幅

そのうえ、人口オーナス論によれば、国全体で言えば高齢者が増えている・・生産年齢人口が減って大変だと言う宣伝ですから、この論理によれば働いている一人当たりで言えば前年比同一生産・GDPを維持しているのは、一人当たりの生産性が上がって人口減を補っていることになります。
比喩的言えば、65~75歳になっても昨年と同じ体力・同収入ならば慶賀すべきです。
あるいは10年前には65歳人が100人に一人しか働いていなかったのに今は10人に1人働いていると仮定すれば、同年齢者全員で割れば平均収入が10倍になったことになるのかな?
平均収入とは実働者の総収入を実働者数で割ったものを言っているようですから上記のようにはなりませんが、(暇つぶし的に働く高齢者が増えると全労働者数で総収入を割ると平均賃金が下がるのは当たり前です・・マスコミの実質賃金低下批判がおかしいことを書いてきました)65歳就労者だけの総賃金を10年前と比較すれば、10倍の人が働いていれば概ね10倍になります。
個々人の生産性がそれほど上がっていなくとも昔働いていなかった高齢者が働くようになった分、(若年不足に対応して女性や高齢者が働き易くするロボット化の工夫もあります)実質的労働人口が増えるようになっているのも我が国の工夫の1つです。
石油ショックに対して省エネの工夫をし、中国のレアアース禁輸にレアアースに頼らない製品改良に成功するなども日本民族の適応力の高さを示しています。
全て共通していることは、比喩的に言えば、2分の1に省エネ→石油の効能を2倍に引き上げることですし、1万円消費していた人が20万円消費するようになれば、人の価値?大事にされかたが2倍になります。
同じ絵の具材料を使った1枚の絵画が100万より200万の方が、材料や書く人の価値が2倍になります。
国民レベル、鑑賞力を引き上げる→良いものにお金を出す人が増えることは国民にとって幸せですし、その結果より良い物が普及すれば、ひいてはうまい果物や牛肉、レベルの高いエンターテイメント・美術品など輸出出来るようになります。
民族としてやるべきことは国民レベルの引き揚げであって、レベルを上げないで消費量(だけ)を増やす、あるいは賃金を引き下げる目的で底辺層・・消費力の弱い消費者や労働者を増やして、国民平均レベルを下げても海外に売れるモノが出来ません。

世界的減税潮流の基礎2→小さな政府へ

日本政府関係者・マスコミは今なお予算を減らしたくない前提で、保険赤字解消のために非正規雇用者や、(働いている女性のやっかみを煽って)専業主婦層からも年金・保険料を徴収する政策が動いていますが、保険である以上広く薄く負担するのは理にかなっていますが、これも所得の低い人にもコスト負担させようとする消費税強化の考えと根が共通しています。
非正規でも保険加入出来ると良いことがあるかのように宣伝されています。
元々社会保険加入資格があってもなくとも、国保でも社保でも3割負担は同じですし、(配偶者が扶養家族になっている場合)非正規配偶者が社会保険加入資格を認められても何のメリットもないのですから、結果から見れば単に保険料負担者を増やそうとしていることになります。
(社保料で言えば、世帯員が3人でも4人でも扶養者の所得で決まる仕組みですから、所帯構成員が独立して保険料を払うようになってもお父さんの保険料は変わりません・・。
これが100何万円の壁と言うパート主婦の労働時間の限界になっていることは周知のとおり・・庶民は政府の本音を知っているからです。
中高所得者や法人の国際移動自由(グローバル化)の結果、法人や中高所得者が他国に逃げないように減税競争に陥る現象→税収減から見れば困ったものですが、ソモソモ20世紀型・キャッチアップ型大きな政府が不要になって来たのではないか?と税収減を機会に立ち止まって考えるべき時期・チャンスです。
資金が高金利を求めて海外流出し、高額所得者が税の安い場所を求めて海外に逃げる(手取り収入の高いところを目指す)のは、競争力のある企業が現地生産移行して行くのと同じ経済原理に基づくものであって、道義退廃の問題ではありません。
企業(工場に限らずコンビニでも同じです)が国内市場を押さえた以上はその次に海外に雄飛するのは当たり前の動きであって、国内需要以上の生産拡大を期待する・・世界の工場再現の夢を追って財政支出増を図るのは無理があります。
トヨタが世界企業として成功していても何年も前から国内生産300万台維持すると宣言してこれを守っているようですが、トヨタでさえ維持ががやっとで、いくら海外で売れても海外生産を増やすだけであって、前年比国内生産を拡大→前年比増で成長することはありません・・安倍政権誕生時に約120円台の円安になって国内生産回帰が起きるかとマスコミが騒いでいましたが、それでもホンダは海外生産移転計画をそのまま実行していましたしその他企業も海外進出をやめませんでした。
また過去の円安時のように円安分輸出単価を下げて輸出数量を増やさずに円が90〜100円の頃の単価のまま据え置いて数量よりも利益率アップを選択していました。
元々90〜100円で採算が取れていたのですから、定価を据え置いてもそこそこ売れる・・それで給与も家賃も払えているのに、円安分値下げして何倍も多く売る・・そのために販売員、店舗や在庫を増やすと、円高になって今度は急いで定価を上げると客が激減してしまい、在庫や店舗など拡大した設備の処分に困ります。
円安に喜んでシェアー拡大に励むよりは、手堅くやりたいのは大人の智恵です。
こういう智恵がついてるくと臨時的に交易基礎条件を引き上げても(金利を下げても)国内生産は簡単に増えません。
日本が新興国同様に企業誘致のために減税しても、あるいは円安になっても飽和状態の国内生産(だけではなくコンビニも)が増える訳がなく、せいぜい防衛的減税(海外新工場進出を半年〜1年遅れさせる?)あるいはゾンビ企業の延命に留まります。
国内消費飽和状態の水位をどこまで引き上げるか・・新たな消費を生み出すアイデア・・これがうまく行けば(ポケモンのように)あらたな消費スタイルの海外輸出につながりますので、これからは絶えず世界最先端消費を生み出しては世界に先行者として次々と売り出して行くしかありません。
新たな需要創出には、キャッチアップ型プッシュ(税の投入)では何も生まれて来ない・世界先端アイデアの導入→模倣社会・・二番煎じの国では困ります。
豊かな発想を育むには時間がかかりますが国民に豊か生活をさせることが先決ですし、元々国民のための政治ならば、それが何故いけないか疑問です。
贅沢すると貧困国になる危惧が背景にあるでしょうが、今のところ日本は世界最大の純債権国であり今なお黒字を積み上げ続けている・・個人で言えば長者ドンです。
政府官僚は消費=無駄遣いの意識で刷り込まれているように見えますが、(政府には質素倹約の精神が必要です・・裏から言えば、為政者が文化を創造するのは無理)豊かな生活保障は単なる無駄遣いではなく重要な投資であると言う意識変革が重要です。
ソモソモ「消費」と言う無駄遣いをイメージする用語自体が時代遅れかも知れません。
文化の発達と言う視点で言えば何が無駄遣いかの定義自体が難しいですが、(浮世絵も俳諧・落語・都々逸を習うのも無駄と言えば無駄だったでしょうし、刺身を食べるのは贅沢)昔からの「無用の用」と言う「ゆとり」のある見方が必要です。
ものの見方に「ゆとり」のある社会にするには、生活のゆとり・・「心のゆとり」が基礎になります。
このコラム始めっから・・「01/07/03「ゆとり生活 1」に始まって01/11/03「文化発信国家へ(教育改革の方向)1」以下で今後は文化発信国家になる必要がある・・そのためには心の「ゆとり」が必要と言う意見を書いてきました。
企業が海外に逃げて行くと言うよりは、世界の工場として国内需要以上のものを作れていたのは例外であった・・開発・・先行者利益の期間が長かっただけであると言う認識でこれを受け止めるしかない・・その趨勢を認めた上での政治が必要です。
これを認めると前年までに成功した輸出分は毎年ドンドン減って行くしかない・・自国消費量を超える国内生産は、前年度比マイナス成長が基本です。

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