男の存在意義4

11月22日の男の存在意義に戻りますと、日頃から夫婦円満であれば経済的に困ったり病気したからと言って、(危機のときこそ助け合うのが夫婦ですから・・)妻から離婚を求められないでしょうから、困ったときに離婚を求められるような男は、日頃の態度が悪いのですから、そもそも復縁を期待するのが間違いと言えます。
ところで、外見上普通の夫婦でも内心では相方に不満を持っているカップルが結構多いようですが、これは男だけの問題ではなく妻の方も結婚してしまえば、男からの離婚が簡単に出来ないことから「永久就職」だとばかりに女性的魅力の維持に工夫する気持ちがなくなる傾向があることも無視出来ません。
妻の方が積極的に働きかければ、(おだてて使えば)男はいい気になって妻へのサービスを怠らなくなるので、この問題はお互いの心がけ次第のような気がします。
現状では妻の夫に対するサービスは多くの場合、子供が生まれるとその段階で意欲がかなり喪失し、その後は子供一辺倒あるいは子育て中心になるので、そこから夫婦関係が疎遠・・不満の蓄積が始まるようです。
そもそも動物的母子一体感を前提にすれば、雄の方は種付けが終わればそのメスにとっては本来用済みです。
オスの方も子孫を残すべき性行為が終われば、メスとの関係は用がない筈です。
これが魚や鹿などに見られる原始的雌雄関係でしょう。
人間のメスが動物的本質からみれば用済み後の雄引き止めに努力していたのは、子育てに必要な経済的支援を引き続き求めるためと用心棒的役割のためだったでしょうが、経済支援に関しては婚姻費用分担と養育料請求権として法的に強制出来るようになると雄を何が何でも引き止めておく努力が不要に(動機が弱く)なって来ます。
公的な場所の治安維持は政府が責任を持つ時代で、特にわが国では安全安心ですし、私的自衛の必要な自宅の安全に関しても防犯機能の充実したマンションの発達で用心棒的役割は縮小しています。
こういう状態下では妻は子供が生まれると夫の世話などしていられないどころか、今では逆に夫も子育てや家事に協力すべきだと言う時代になって来たのです。
これまでの長い歴史では夫の機嫌を損ねないように努力するのが妻の役割でしたが、今では逆に夫が妻のご機嫌を損ねないように家事や子育てに積極的に協力することが求められています。
夫婦関係がうまく行かなくなった場合の(家庭内不和と離婚になって困る)リスクが、夫により多く来ているからでしょう。

求愛2と時機

男女関係の合致方式は正札販売とは大違い・・昔のママで・・・例えば農家の庭先で博労が牛馬を売ってくれとかバイヤーが農産物購入を申し込むのに似ていて、相対の交渉が成立しなければ農家も売りません・・・今でも結婚を申し込まれても同意するか否かの権利が女性に留保されているのです。
商品売買の場合は購入・注文者の提示する条件は金額次第ですが、求愛の場合貨幣表示だけではなく(いわゆる3高と言う類型もありますが多くは・・・)総合力評価ですから、オスの方が安易に申し込んで拒否されるのは、面目丸つぶれ・・精神的ショックが大きくなります。
そこで、ある程度瀬踏みを続けてからでないとうっかり申し込みさえ出来ない・・このリスクにおびえて安易に深入りしないで遠巻きにしているだけの若者が多くなって、その内に年齢が過ぎてしまう・・のが現在でもあるでしょう。
リスクに弱く、求愛行動の動物的本能が薄れて来ているのが、昨今の草食系化・独身率上昇の現象にダブっているようにも思えます。
ボヤボヤしていて異性にのぼせる年齢が過ぎ去ってしまうと、これまで書いているようにオスの方は何のために結婚するのかと言う合理的疑問が湧いてくる人が多くなります。
勿論女性の方も、一定年齢が過ぎると「あえて子供が欲しい訳でもないし・・一人で生きて行けるし・・」となってお互い消極化してしまいます。
オスは年齢的に求愛行動をしたくなる時期があって(メスの発情期はほとんどの動物で年一回原則ですがオスの場合、年齢的期間限定です)、この時期に(のぼせ上がって)愛想を振りまいて一所懸命に異性を求めて「メスを釣る」行動をするのですが、恋が成就してしまうとあれほど熱心に求愛していた相方の女性に対するあこがれが急速に色あせてしまう仕組みです。
オスのこうした身体の仕組み自体は仕方のない事ですが、メスの方はそこからがオス引き止め・・毎日帰ってくるようにする正念場・・智恵次第と言うことで、古代から営々と工夫し、頑張って来たのです。
まさに若気の過ちで一緒になってしまうのが良いとする前提で、一緒にさえなれば後は女性の智恵で何とかなると言う時代が続きましたが、これは一人では生きて行き難い社会が続いていた社会背景によるものでした。
今では離婚後の生活保障が手厚くなってくると、女性がじっと我慢する必要がなくなって来ましたから、一緒にしてしまえば何とかなる時代ではありません。
まして、今のように双方ともに一定の経済力があって、(独身でも食事や洗濯に困らないなど一人でも生活がし易くなっています)しかも30代後半になってくるともう一人でいいやと言う人が増えてくるのは当然です。

求愛1と意思の合致

妻にとって一緒にいることが、気を使うばかりで苦痛な夫ではなく、一緒にいたい・・少しの時間でも一緒にいるのが楽しいと思わせるような男・・恋人関係を維持していない限り(そんな良好な関係では別れ話は出ないでしょうが・・・)ひとたび別れると復縁は無理な印象です。
男は従来「釣った魚に餌をやる必要がない」とばかりに横着を決め込んでいて、家庭にいること自体がお荷物になっていたことが原因で何かの機会に妻から(離婚後の各種保障が充実して来た事から、)「チャンス」とばかりに離婚を求められてしまう時代が来ているのですから、夫の方こそちょっとした事で離婚を求められないようにして置く必要があります。
仮に事情があって離婚、別居しても復縁を希望するならば「永久就職ではない」と結婚後の日常から心構えを変えて行く必要があります。
昭和年代まで、「釣った魚にえさをやる必要がない」と言われていたと言うことは、オスはまず先に(餌で)釣る必要があったと言う意味ですが、一般的に動物・鳥類の世界でもオスは求愛してメスに選んでもらわねば性行為出来ない仕組みだったからでしょう。
オスの方もどうせ選んでもらうなら、気に入ったメスに同意してもらった方が良いので、オスが声をかける相手を先に選択出来る面もあって、この結果オスが選択権を持っていてメスは待つだけのような印象ですが、本来はオスの求愛行動が先に必要・・メスの選択権決定権の方が優先です。
正札販売の場合、客が「これ下さい」と声をかける事すなわち購入申し込みで、商店(料理屋でも同じです)が喜んで応諾する仕組みですから、正札販売が定着した現在では、声を先にかる方能動的な立場が有利な印象です。
契約・・意思表示の合致の仕組みについては、09/21/07「契約の成立1(民法263)申し込みと承諾1」前後で説明した事がありますが、契約は申し込みと応諾で成立します。
商店の場合、承諾する前提の正札を付けて陳列しているのは「申し込みの誘引」をしていることになり、客がこの正札に対して申し込みをしても商店にはなお応諾するか否かの自由がありますが、余程の拒否事由がないと商道徳的に断れません。
注文すれば必ず応諾してもらえる正札販売の商習慣に慣れて来た現在社会では、求愛・注文する方のオスは、求愛を待っているメスよりは何となく優位になったような印象(誤解)になっていたのでしょう。

男の存在意義3

 
 
男性のほとんどは妻の蓄積された不満に気づかないので「この刑事事件が終われば・・」とか、「破産・債務手続きが終わればいいのじゃないか」と男の方は、人にもよりますが割と軽く考えている傾向があります。
プロ野球選手ダルビッシュの離婚報道の題名だけ見ると「何故オレだけが悪い・・」となって疑問を持っているようですが、離婚に至るまで女性は我慢しているものとする前提が我が国ではあるのと、男の鈍感力が底流にあるからです。
正式に離婚になってしまった場合でも、一旦(特定の)事情があって別れただけだから、(倒産処理が終わればとか、浮気でさえ反省して)出来ればヨリを戻したいと考えているフシの見える男はいくらもいます。
そのためにせっせと生活費の仕送りを続けている男が結構多いのですが、女性の方は(金の切れ目は縁の切れ目と)割り切っていて、一旦別れてみると意外にどうってことがない事が分り、最早ヨリを戻す気が全くないことが多いようです。
女性の方が割り切りがいいと言うよりは、離婚の正統性をいつも再確認している・・せざるを得ない精神構造にあるので、一旦離婚を持ち出した以上は、おいそれと元に戻る気がしないこともあるでしょうが、実はそれだけではないかも知れません。
普通のサラリーマンの場合、生活費として月に10万円前後を別居中の夫がきちんと送って来ている以上は、何かあっても(家の修繕が必要になったり・・・まだ男が前面に出ないと不安な場面がありますが・・)相談には乗ってもらえるし、夫が家にいない方が生活費も安く済む(夫が同居していると生活費がかさむので5〜6万多く払ってくれる程度ではマイナスです)上に、妻には気楽な生活でもあります。
昔から「亭主は達者で留守がいい」と言われるように、女性から見れば夫にはものすごく気を使っていて一緒にいるのは実は大変な精神負担になってる実情があります。
単身赴任生活が長引くと妻の方では、生活費だけ送ってくる別居生活の方が気楽(「亭主は達者で留守が良い」)となる人が多いのと同じです。
この辺は September 8, 2010 オスの存在意義1の続きですが、男の存在意義としては05/24/03「男の存在価値2」までを書いていますので、今回はその3となります。
子供さえ生まれれば、後は生活費の仕送り・・経済安定+イザと言うときのために用心棒としての男がいさえすれば良い・・別居=通い婚で十分な印象です。
(性欲関係については別に書きます)
最近60代で内縁関係になった内妻(夫は現場系60代後半ですので経済的には今後あまり頼りにならず、むしろこれから介護等世話する負担の方が大きい印象ですので)一緒にいるメリットを聞いてみると、「やはり男性がいないと(家の修理等?)何かのときに不安ですから・・・」といっていました。
まだまだ、オスには用心棒的需要はあるようです。
人間以外の他の動物の撃退は火器の使用で十分ですので、女性警備隊でも間に合うでしょう。
世の中にオスが一杯いるから、これに比例してオスの用心棒的役割が必要となるのですが、もしもオスが種付け用冷凍精子製造機みたいになってしまえば、(土木建築関連、植木の手入れ等現場関連も皆女性で間に合う時代が来て)メス対オスの比率が10万分の一になれば用心棒機能もその比率で足りる事になります。

男の鈍感力2

女性の方には証拠があったのですが、証拠まで示してからやっと謝るのでは、簡単に収まらなくなるので1日も早い陳謝を求めていたのですが、彼は結局証拠があることが分るまで謝りませんでしたので、却ってこじれてからの陳謝になってしまったのです。
その後の解決策として、(早く謝らないで事を大きくしてしまった以上は、このままでは離婚になってしまうから)一旦別居して冷却期間を置いた方が良いと妻の代理人の私が妥協案を出して(上げて)いるのに、グズグズと家を出るのを引き延ばしていたあげくに妻の収入から生活費として毎月何十万と言う高額支払を当然のように主張してこれに同意しなければ出て行こうとしなくなりました。
彼の言い分は自分が(妻が相続した財産を)管理してやっているから妻には家賃等収入があるのだからこれくらいは貰って当然と言うのですが、そこまで明白に条件付けられると婉曲的の説明しているとラチがあかないので、はっきりと「そこを改めないとこの話は決裂=離婚しかない」と宣告せざるを得なくなってしまったのです。
(彼自身巨額の預金があって、しかも平均的な年金収入もあるのに何故妻の収入ばかり使おうとするのかも疑問な事件でした)
彼は仕方なく自費で出ることを呑んだのですが、それでも別居後も不動産の管理上しょっ中出入りするのは当然と言うような話をして、妻がそれをいやがっていることがまるで分っていない様子でした。
あまり話が分らないので
「妻の方で必要があれば協力要請するので、いちいち条件っぽいことを言わず一定期間内に出なければ決裂」
と言い切らざるを得なくなってしまいました。
ここまで言って、ようやく彼は一切の主張を引っ込めて、無条件で出ることになりましたが、これは私がきつく出たので仕方なしに応じただけで、その時にはまだ本音として妻の不満が分っていない感じでした。
この不満に対して何とか対処しないと本当の離婚に発展しかねないのですが、出来ればこの関係を理解したくない・・理解して下手に出るのはそれこそ男の沽券に関わると思っているのかも知れません。
こんな具合で、男の方は日頃から妻が不満を溜め込んでいることに気がついていないことが多いので、(基本的に言えば男は嵩高いところに女性の不満が募ることが多いでしょうか)何かトラブルがあるとその切っ掛けとなった表向きの争点外への想像力を働かせないと(かさ高い人に限ってそれを当然とする雰囲気で妻にこれまで同様に押し付けようとしますから大変です)却ってこじれてしまいます。
妻が別れたいと言い出した場合、そのきっかけは夫の浮気や事業の失敗や失業・・金の切れ目その他が表向きの理由・きっかけですが、本当は長年にわたる奥深い不満を口に出せないだけだったのが、この機会に噴き出していることが多いのです。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。