原発措置法を書こうと思っているうちに話が原発運転再開同意権にそれましたが、原発特別措置法でバラまかれている数字の実態はシンクタンク・・新聞社などで調査しないと簡単には分りませんが、多分大変な額になるでしょう。
沖縄の措置法も同じくあちこちに分散しているので簡単には分りません。
この特別措置法の結果、福島県で言えば、電源三法による年間130億円の給付だけではなく、これにプラスして総額不明ですが多分巨額資金が出ていることになります。
巨額迷惑料・補償金をもらっていたならばその何十分の一の資金で予め用地取得その他の準備をしておけば、今回の被害をかなり軽減出来ました。
巨額の迷惑料・補償金をもらっている以上は、
「ある程度の危機管理の準備くらいはしておいて下さいよ」と言うことです。
ここのシリーズのテーマは、準備しなかった役人や政治家を非難するのが目的ではなく、ましてや事前準備のない中で奮闘していた管政権や東電社長や幹部を非難すべきではなく、今後は危機管理システムの整備が必要と言う目的で書いています。
不安に対する補償金とは被害が具体的に生じない前段階の解決金という意味でしょう。
具体的被害があっても6月14日に紹介したように、騒音被害や電波障害が起きているなどの細かな被害に対する長期的被害の前払いもありますが、一般的には具体的な被害が出れば話は別だと言うのが正しい法律論かも知れません・・・。
我々、法律家が関与した裁判外・裁判上の和解の場合、迷惑料の対象範囲に争いが起きないようにきちっと定義しておくのが普通ですが、電源三法や特別措置法の交付金その他の補助金は、政治決着ですので法的意味が明確ではありません。
その実質的意味を探るためにここで条文を見ておきましょう。
原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法
(平成十二年十二月八日法律第百四十八号)
【 改正履歴等一覧 】
最終改正:平成二三年三月三一日法律第九号
(目的)
第一条 この法律は、原子力による発電が我が国の電気の安定供給に欠くことのできないものであることにかんがみ、原子力発電施設等の周辺の地域について、地域の防災に配慮しつつ、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広域的な整備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振興を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。
(国の負担又は補助の割合の特例等)
第七条 振興計画に基づく事業のうち、別表に掲げるもので原子力発電施設等立地地域の住民生活の安全の確保に資することから緊急に整備することが必要なものとして政令で定めるもの・・・
(原子力発電施設等立地地域の振興のための地方債)
第八条 (財政赤字団体認定の数字から除外する制度)
財政上、金融上及び税制上の措置)
第九条 国は、前二条に定めるもののほか、振興計画を達成するために必要があると認めるときは、振興計画に基づく事業を実施する者に対し、財政上、金融上及び税制上の措置を講ずる・・・
上記のとおり法制定・・補助金交付の目的は第1条で「地域の防災に配慮しつつ・・」とあり、第7条では「住民生活の安全確保に資する」ためのものですから「防災」災害に備えるための特別資金援助が制度の存立目的と読むべきでしょう。
災害対策を予定しないなら、原発周辺だけに特別な資金を出す根拠がなくなりますから当然です。