最早USドルは経済的な意味では(日本の金利政策に引きずられる立場の紙幣が)基軸通貨ではなくなっているのに、みんなが気づかないと言うか、アメリカの息のかかった学者ばかりなのでエコノミストは誰もこうした意見を言わないからでしょう。
昨日と4月1日に、中国が逆ざやにも拘らずアメリカ国債を買わざる得ない逆転現象を少し書きましたが、これは1つにはアメリカの軍事力による面と実際にアメリカが赤字でも商品を大量に買ってくれるメリットがあるからです。
いくらアメリカが軍事大国と言っても、中国が西洋やアジアから稼いだ黒字分までアメリカに逆ざやでお届けするとは思えません。
アメリカで稼がしてもらった分だけ仕方なしに還流するしかない・・還流しなければアメリカはこれ以上物を買えなくなる・・そうすると中国も日本も輸出が成り立たなくなった大変だからということで辻褄が合っているだけです。
この論理では最後にアメリカにデフォルトされても、「ま、なかったことにするか」という気持ちでアメリカ国債を買っていることになります。
日本人が日本国債を税金を払う代わりに買っているのと似たような心情になっているとも言えますが、そこは自分の国とよその国に対する気持ちとは違うので、アメリカが誤解していると大変なことになります。
アメリカの現段階は、債権国としてのゴリ押しではなく「大きすぎてつぶせない」という債務者の方が強い開き直り論理になっている・・こういう段階の国は・デフォルト寸前のギリシャ同様で本来的な基軸通貨国ではありません。
アメリカの危機的現状に気づいていても学者はそれを遠慮があって言い出せないとしたら、権力に遠慮して本当のことを言えない学者なんて本当の学者と言えるのでしょうか?
紙幣大量発行国は貨幣の価値が下がるので、経済学の理論ではインフレになる筈ですが、日本の場合約20年間もゼロ金利・紙幣大量供給にもかかわらず何故デフレが続いているか・・国債を30兆円枠内で大分前から引き受けているにも拘らず一向にインフレになる気配がない現状に焦点を当てた議論が全くありません。
この点については、9/15/08「国債の無制限引き受けとインフレ1」February 22, 2012「為替相場と物価変動2(金融政策の限界2)」前後のコラムでも書きました。
あるいは/「2012/03/28日銀の国債引き受けとインフレ論1」以下でも連載しましたが、日本の場合、国際収支の黒字の範囲あるいはこれを少しうわ回る程度しか大量発行していないので、円がホンの少し安くなって景気が良くなった程度でした。
旧来理論では説明不能だから黙っているのでしょうが、これは一国閉鎖経済からグローバル社会になったので世界全体で見なければならなくなったこと・・経済学の基準を変えて議論すべき事柄です。