国債相場1(金利上昇)

株式や円通貨と違い国債には満期があるので政府はいくら売り浴びせがあっても満期が来るまで支払う義務がありませんので、期中の売り浴びせは、売る方が自分の手持ち債券評価を下げてしまうだけで満期前には政府が困ることがありません。
とは言え、債券相場下落=金利上昇ですから、政府は次回からの借換債発行コストが上がって困ります。
普通に考えれば自分の保有債券の売り浴びせは自分が損するので出来ないのですが、空売りという手法があるのでこれが可能になっています。
大量売り浴びせ・一種の仕手相場形成が成功すれば、大もうけ出来ますので、December 1, 2011「ポンド防衛1」のシリーズで紹介したジョージ・ソロス氏が、1992年にポンドを売り浴びせて何百億単位で儲けたような事態が可能になっています。
こうした空売りが成功するにはその下地・・実体経済能力と国債・為替相場が大幅に乖離している(その気配が充満しているときの発火点になる)ことが必須で、実態と大きな乖離がないときに仕掛けても(燻って終わりで)失敗するだけです。
ポンド防衛に関してこの問題をシリーズとして書き掛けでしたが、また機会があれば元に戻るつもりです。
空売りが出来るようになったので、中央銀行による実勢相場把握力の鈍化あるいは意図的なお遊び・・高め誘導などが過ぎると市場の反撃・・空売りなどによる是正を受ける仕組みになっているので、この後で書きますが今ではどこの中央銀行でも実勢追認が主流でしょう。
金利上昇の下地があるかどうかは、国内にどの程度の金あまりがあるか・資金の不足度合いに国債の実質金利がかかっているので、資金不足度=長期的国際収支のプラスマイナスの状況次第となります。
我が国の国債や市場金利が世界一低いのは経済力・・黒字度が世界一であるからであり、中国が儲かっているように見えても高金利を維持するしかないのは実際には資金導入の必要な国・・資金不足国であることを表しています。
どこの国でも長期的に国際収支マイナスが続けば、国内資金が徐々に逼迫して来る・・対外債権が減少して純債務国に転落しひいては外国から借りなければ貿易決済が出来なくなって来ます。
日銀・中央銀行が政策金利をいくら引き下げたくとも、需給に応じた金利にしないと外国勢が貸してくれません。
為替相場は企業の大合唱その他の圧力で介入すれば数日程度は円高を冷やすことが出来ますが、金利は長期取引(銀行間取引は別ですが、企業の資金調達では短期でも借りる以上は数ヶ月間など一定の期間があります)のために、日銀がどうすることも出来ない・・実勢相場での取引しか出来ないのが実情です。
すなわち為替相場とは違い国債金利相場は政府が勝手に決め切れない・・国際金融情勢にマトモに連動しているので、その乖離が発生し難いのでこれを突いての空売りで大もうけしようとすることはあり得ないことになります。
国債残高が多くなって来ると少しでも金利が上がると大変なことになるというマスコミでの論調が多いのですが、残高が大きくなると金利が上がるのではなく金利は資金需給による・・すなわち長期的国際収支バランス(対外債務の多寡)によることです。
財政赤字かどうかは、国内資金調達を税収によるか国債によるかの給源問題に過ぎず、日本国が立ち行かなくなるかどうかは国際収支の問題であることを2012/04/28「税と国債の違い1」以下で書いています。
国際収支黒字継続している限り、国債発行残高がいくらであろうとも関係がありません。
一家の収入総額の範囲内で生活している限り、息子や娘から生活費として強制的に徴収するか同額を息子や娘から借りたことにするかの違いによって破綻するか否かが決まるものではありません。
一家(息子や娘を含めた同居人)の総収入が一家の総生活費を上まわっているか否か(収支バランス)こそが重要です。
借金していても収入の範囲内ならば払えるし、借金ではなく預金の取り崩しであっても収入を越えた生活をしているとその内払えなくなります。
国家で言えば国際収支の範囲内で生活をするかどうかが重要であって、生活レベルを収入よりも高くし過ぎると、対外的に払えなくなるのは当たり前です。
ですから一定の生活水準を維持する資金の出所・・財政赤字の額よりは、現状が国際収支を悪化させるほど贅沢しているかどうか・・そのデータ提示こそが合理的な議論の叩き台に必要です。

マスコミによる世論誘導の害2(不毛な財政赤字論1)

「1000兆円の国債・債務を次世代に残すな!」「年金不安で次世代は損ばかり」とマスコミは宣伝し、国民の多くがその宣伝を真に受けてその気になっています。
しかしその内95%・950兆円は国内保有=債権者は国民ですし、その保有債券を相続するのも次世代ですから、差引僅かに50兆円しか次世代に残す負債はありません。
個人金融資産が1500兆円と言われていますので(上記国内保有比率が今後下がってもその分海外債券を持っていれば結局は同じです)差し引き500兆円のプラス財産を次世代に相続させることになります。
相続財産としては金融資産に限らず自宅やアパート保有など親世代の保有不動産も今では莫大で・一般的にはこちらの方が大きいのが普通です。
この辺は都市住民2世と地方出身者との格差として、今後相続財産のウエートが上がるというテーマでFebruary 5, 2011都市住民内格差7(相続税重課)」まで連載しました。
例えば数億円の自宅やアパートがあって数千万円の負債があった場合、マスコミのように金融資産だけで見れば次世代は数千万円の負債相続ですが、不動産価値と総合すれば数億円の黒字相続です。
個人の場合住宅ローン債務が3000万円あってプラス金融資産が数十万円しかないときに、金融資産だけで見れば約3000万円の赤字ですがマンション価値が8000万円であれば、誰も騒がないでしょうし、子供も金融負債の相続をイヤだとはいいません。
住宅ローン支払中世代は金融資産だけで見れば、(自己資金で間に合えば借りないのが普通でしょうから)一般的に金銭債務だけ見れば債務超過・赤字家計ですが、総資産としては黒字の人が多いでしょう。
相続開始前(65歳以上)の人は住宅ローンも終わっているのが普通で、定年直後は退職金等による金融資産と不動産価値はほぼ均衡しているでしょうが、高齢化に連れて金融資産を食いつぶして行くので、主たる資産は不動産中心となり、プラスそこそこの金融資産を有している人が平均的なところです。
富豪は別として平均的サラリーマンで言えば自分の寿命プラスα程度の金融資産があれば良いという人生設計が普通ですから、80〜90歳前後の人の資産としては不動産が中心で金融資産はホンの一部である人の方が多いでしょう。
お金があまりなくともお祖父さんお祖母さんの保有資産の相続は、大きな価値があるのが普通です。
マスコミで問題にしている資産は、総資産のホンの一部に過ぎない金融資産だけですが、それでさえ1500兆円もあります。
仮に金融資産がゼロに近づいても、実は保有不動産その他の資産価値が大きい時代ですから、これを無視して次世代が負債を相続すると騒ぐのは国民に余計な不安を煽っていることになります。
国有資産も同様で1000兆円の国債=負債があっても、それ以上の国内投資をして対応する資産があれば(個人金融資産が仮に1500兆円もなくてゼロだとしても)黒字の政府です。
政府の財政赤字を騒いでいるマスコミ論調は、個人で言えば住宅や保有アパート価値・保有金融資産などプラス資産をあえて全部無視して、住宅ローン債務だけを針小棒大に論じているようなものです。
こんな議論の方法は子供騙しそのものですから、明らかに誤誘導・一定方向(増税)への意図的な世論操作をしていることになります。
将来大変なことになるかどうかはトータル資産・・バランスシートで見なければ、金融資産のマイナス分だけ見ても話にならないことは誰にでも分る道理です。
企業規模/経済規模が大きくなれば負債も大きくなりますから、大変な負債かどうかは企業全体の規模で比較しないと何とも言えません。
マスコミは比較すべきプラス財産総額を全く論じないで負債の絶対的な大きさだけで、「大変だ」と論じている不合理な論法で、これで日本中が黙っているのですから不思議です。
こんな報道に対して、(日本国民は賢明だから黙っていても内心)みんな馬鹿にしているのだろうと思っていたのですが、6月14日書いたように学者が大まじめにこれを信用しているのにも驚きました。
学者と言えばいろんな専門家のブログを読むと、専門外のことを例として言及する場合マスコミが報じているステレオタイプの誤った知識・歴史認識を前提に書いている人が多いのにも驚きます。
学者の立論の前提が誤ったステレオタイプの知識に基づいているのでは恐ろしいことですが、そう言う意味でもマスコミの学者に与える誤った前提知識の弊害も大きいのです。
次世代に対する負債の先送りとして議論するならば、上記の通り対応する自宅等の不動産車機械などがあれば健全なことになるので総資産とのバランスが重要です。
マスコミの論法は住宅ローンで自宅購入し、あるいは企業が借入金で設備投資した場合に、購入し入手したプラス資産を全く評価しないのですから、銀行制度や社債発行自体を悪だと言っているようなものです。
経済の世界では基本常識になっているバランスシートで健全性を見る方式を、マスコミも知っている筈なのに財政赤字論に関しては全く無視していることになります。
この辺のことは以前から連載しましたが、逆から言えば赤字解消のために国有資産を売却して財政赤字を減らしても、(同額の資産が減っているので)国民にとってマイナスを減らしたことにはなりません。
NTTや専売公社・郵政民営化や国有地である公務員宿舎用地売却で大金が転がり込んでも、その分国有資産が減っているので、総合的な財務(バランスシート)としては変化なし・意味がありません。
(マスコミでは財政赤字だから宿舎用地など売却すべきだという論調がおおいのですが、国家財政全体から見れば意味のない主張で、経済政策として民営が良いか公務員に宿舎が必要かどうかの視点だけであるべきです)
民主党による埋蔵金を吐き出せば良い式の議論も同じで、その分国家資産が減るので差引経済(バランスシート)的には同じです。
マスコミだけではなく政党も経済学者も金融資産・・それもマイナス部分だけをテーマにしている結果、意味のない議論に日本中が時間を掛けていることになります。
年金未納率を減らすために社保庁がドンドン免除者を増やしていた(納付義務者を減らせば滞納率は下がりますが、払う人が実際に増えた訳ではないので年金赤字問題には何の解決にもなりません)のと同じで、問題の解決に関係ないことに時間を費やしているのです。

マスコミによる世論誘導の害1(世代対立を煽る愚1)

国が良くなるもならないも、政治的意見もマスコミのレベルに大きく影響されます。
先日ある役所の会合に出ていて、テーマ外のことで財界系の委員と学者委員とで大激論になったことがあります。
あるテーマについて議論している際に、若手学者が未成年者の入場料を無償にすべきだという発言をしたまでは良かったのですが、更に
「若者は年金や税その他で損ばかりしているのだからそのくらいサービスすべきだ」
と言ったことに対して、県財界の長老でもある委員が、これに対して
「教育者がそんな間違った考えでは困る」
と猛烈に噛み付いて、議題とは関係のない世代論に発展してしまいました。
居並ぶ行政庁の役人(局長以下)は委員からの質問に答えることは出来るものの、質問もないのに会議に口を挟むことも出来ないので、唖然として見守るしかなかったのが何となく滑稽でした。
公開の会議でしたので、傍聴人も笑って・・まじめな(決まり切った?)会議よりもよっぽど面白かった?・・聞いていました。
(公開会議なのでその内議事録がネットで公開される筈ですが、逐語訳ではなく概要になるので多分テーマ外の議論は掲載されないでしょう)
そこではしなくも分ったことは、学者も専門外のことについてはマスコミ報道・・「次世代が損だ」という偏った報道の鵜呑み程度の意見しか持っていないことです。
今日のコラムに限らずこのコラムでのマスコミ批判は、マスコミが直接社説等で主張していると言うのではなく、たまには違う意見も乗せますが・圧倒的多数意見として繰り返し掲載されている意見(多くの国民は鵜呑みにしますので影響が大きい)・・主流的意見批判として書いていますので、そのつもりでお読み下さい。
彼は若いので子育ての経験もないからでしょうが、子供が親に世話になることはあっても親に育ててもらったことを越える面倒を見る子供は数えるほどしかない現実に思いが至らなかったようです。
鳩山元総理のように(総理までなったのですから毀誉褒貶があるとしても一般的に言えば成功した人でしょう)成功した人でも親から受け継ぐ以上のことを、(ここは経済的な損得のレベルで書いていますが、親が子供を思う心以上に子が親を思う心の比較としても同じです)親にしたとはとても思えません。
鳩山氏のように成功した訳ではありませんが、私の場合を振り返っても親が遊びに来たときにホンのちょっとしたプレゼントしたくらいで、親が命がけで戦火の中を逃げ回り私達子供を育て上げてくれたことに比較して何ほどの恩返しもしてません。
東京の家は空襲で燃えてしまい、何の遺産も貰えなくて自分でゼロから資産を築いた私の兄の場合、100歳まで親の面倒を見たので、親にしてもらった以上のことをしていると思いますが、こう言う例は稀だと思います。
(こう言う例は戦後を生き抜いた70代以上の世代に比較的多いだけで、今の若者世代にとっては親にしてもらった以上のことをしている人の比率はもの凄く下がっている筈です)
ここ数十年前から子供一人を普通に大学卒までに育て上げるだけで何千万もかかる時代ですが、かなり成功した息子でも親に何千万円も出す子供は1万人に一人もいないと言っていいでしょう。

公約違反(無視)政党の存在意義3

今のところ代議制民主主義制度を上回る良い制度が発明されていない・・代議制民主制度でやって行くしかないとすれば、これを虚仮にするような人やグループを国民の代表に選ぶのは背理です。
こうした禁じ手を仕掛けた自民党・公明党もその道義的責任の一端を負うべきです。
自民党に関しては郵政民営化があれほど圧倒的多数で支持されたのに、これを推進した小泉氏が任期満了(国民による民営化支持を失っての退陣でもないのに)で退陣した後で民意を問い直すことなくなし崩し的にこれを後退させている前科があります。
我々弁護士でも相手の弁護士が依頼者の信頼を裏切るような行為をしようとしているのに気がつけば、それがこちらに仮に有利であるとしても、「先生それは危険じゃないですか?」と注意を促すのが弁護士の倫理です。
当該事件ではこちらに有利と思っても相手の弁護士の背進行為を野放しにすると弁護士全体の信用に関わるからです。
自民党や公明党は積極的に同業者を倫理違反・・民主制度の根幹を揺るがす背信行為に誘導し嵌め込んで行ったのですから、倫理上は同罪以上かも知れません。
谷垣氏は弁護士出身ですから、こんなことくらいは分りそうなものですが、早いうちから政治家になっていたので弁護士業務のイロハも知らないのかも知れません。
同じことは民主党の中核にいる多くの弁護士出身者にも言えます。
弁護士資格を兼有している以上は、彼らに弁護士倫理の教育を実施する必要があるのではないでしょうか?
既成政党はみんなそろって根源的な政治倫理違反で信頼出来ないとなれば、じゃあどこに・・?となりますが、実務政党は自民党以外に育っていないのが難点です。
自民党の実務能力に疑問符がついてやっと政権交代したらこの始末ですから、原発事故に対するお粗末な対策しかして来なかった東電には腹が立つが、日々の生活に電気が必要なので潰す訳に行かない・・寡占の東京電力みたいな状況です。
その上既成政党がみんなで談合して公約無視の増税路線に突っ走るようでは、政党政治自体を否定するしかありません。
原因は違うものの、政党に対する不信感が広がった閉塞状態から戦前は軍部に権力が移行して行ったのですが、今回はどうなるのでしょうか?
今後新規に結成する政党も含めて今後政治家は目的さえ正しければ(何が正しいのか誰が決めるのでしょう?・・マスコミは自分達が決めるというのでしょうか?)公約は守らなくても良いんだという社会の合意・・風潮が定着することを前提にすれば、どう言う基準で政党を選んで良いのか国民は困ってしまいます。
確かな野党と言われる共産党や社民党にしか、安心して投票出来ない時代が来るのでしょうか?
それでは国民にとって選択肢が狭過ぎます。
そのうえ、かれらも少数党であるから無責任に言いたいことを言い張っているのであって、政権を取れるようになると(権力を使い慣れていないので、民主党同様にブレーキの効かし方が分らないところがあります)どんな乱暴なことをやり出すか分りません。
社会党は政権党になったときに野党時代に反対していた長良川河口堰工事を実施したことでも味噌を付けてます。
世の中に利害が完全に一致する別組織など滅多にある訳がないのですが、公約を「一応」信じて何とかなっていたのです。
これを正面から堂々と政府・与党が破ってマスコミがこれを賞賛し、公約を守るべきだという勢力・・彼らこそ国士です・・に対しては、個利個略だ政局意識しかないと批判しています。
マスコミによる国民教育?を放置していると、国民が選挙に行かなくなってしまい、民主主義が危殆に瀕してしまいます。

公約違反(無視)政党の存在意義2

増税の必要性に関する意見は人によっていろいろだとは思いますが、重要事項・・とりわけ増税の可否は最重要事項として歴史上選挙で決めることになっているのですが、ルール違反によって自派の期待する結果を不正な方法で実現するのは、民主主義ルールの中の最大ルール違反と言うべきです。
(政治・経済に関してはどんな立派な学者の意見でも別の角度から見れば欠点があり得ますし、私もいろんな意見を書きますが、1つの意見として参考にして欲しいと書いているだけで、最後は選挙で決めるべきことであって不正な方法を使ってまで持論を通したいと思ったことはありません。)
マスコミはこの重大な手続き違反行為に全く触れようともせず、もっぱら「小沢新党には国民の反応が冷ややか」など(小沢氏の動きは政局ばかりで識見がないかのごとき報道も一杯されていますが)マスコミに関心がある「政局」ばかり報道していて、実質的に公約違反を論じないで黙認している状況です。
マスコミは政局あるいは増税の可否について中立であるべきですから、結果の妥当性の議論よりは私同様に公約違反という手続きの瑕疵について、世間に浸透する程度に少しは論じておくべき立場ではないでしょうか?
重大な手続き瑕疵である公約違反の重大性を全体の論調として全く論じないで、(少しは書いているかも知れませんが関心を持つ私の目にさえ留まらないということは、殆ど報じていないのでしょう)消費税増税結果(如何にも必要なことであるかのような報道姿勢)や政局の動向ばかり論じるマスコミの姿勢は、中立性を欠いているようにも思われます。
「国民は馬鹿だから選挙で重要事項は明示せずに騙せば良いんだ」「結果さえければ良い」という基本的立場がその底流にあるように見えますが、そんなことを言い出したら(絶対的な価値をマスコミが決めることとなり)民意に基づく民主主義・選挙制度自体が成り立ちません。
日本は、庶民のレベルは低いからリーダが良い場所へ引っ張って行けば良いというのは、啓蒙的専制君主制あるいは後進国で効率の良いとされる開発型独裁国家の正当化理論です。
これらは民度が低くて国民にはマトモな判断力がないことを前提に白紙委任する政治形態で、結果が悪ければ独裁者を引きずりおろして責任を問う政治形態です。
実際には失政か否かの判定がこれまで書いている通り難しい・・殆ど不可能なこともあって、簡単に引きずりおろせないので、長期政権になるのが普通で何十年単位で国民が苦労してしまい、最後に大争乱(ソビエト崩壊やルーマニア・・最近ではリビやエジプト)で幕を閉じるのが普通です。
現在でも頑張っているのが中国や北朝鮮というところですが、独裁政権が頑張る期間が長ければ長くなるほど国民は大きな代償・・大争乱による苦しみを経験することになるでしょう。
中国では歴代の王朝末期にいつも100年前後の争乱期が存在するのはこの好例です。
先進国では民度が高いので、独裁者に一任せずに事前にマニフェストを明らかにして具体的にやるべき政策を公約して当選すれば任期中は選挙民の意見に従って政治運営する時代になっている・・この方が独裁・専制君主政権に一任して後で結果が悪いからと引きずりおろすよりも社会のリスク・コストが少なく済みます。
私は民主的に政権交代することに長年期待していましたが、せっかく期待していた政権交代が実現したばかりですが、それと民主党の犯した公約違反責任を不問にして良いかは別問題でと考えています。
民主党は実務経験がないどころか権力を持ったこともないので、これを持った場合の自己抑制・運用方法に関する最低のルールすら知らなかったということでしょうか?
民主主義を尊重すべき党名「民主党」を名乗っているのに、民主主義の最低ルールすら知らなかったとは驚きです。
国民の信頼によって成り立つ間接民主制・政党政治のよって立つべき原点を率先して民主党が崩壊させてしまったので、その罪・政治責任は重いと言うべきでこのようなことをする党の存在そのものが政治的に許されなくなるべきです。
これだけのことをやれば責任上、自ら解党して出直すべきです。
勿論野田総理とこれの推進に関与した一党は政治生命をかけると言明したのですから、この際責任を取って政治家を辞めることになってくれれば民主主義は信頼回復できてなお存続可能です。
株屋で言えばクビを賭けて悪事をやった以上は、解雇される前に自らクビを差し出すべき行為です。
客を裏切った営業マンを度胸があると言って出世させていたのでは、証券会社に対する信頼が地に落ちてしまいます。
選挙民の意向を気にする政治家を「選挙のことばかり気にしている」とバカにしますが、選挙民を無視した政治家を賞賛するのは、客の意向を無視する営業マンを勇気があると賞賛しているのと同じでその株屋に頼む人はいなくなるでしょう。
公約を正面から破って国民に陳謝しない・責任を取らない不正義な政党や政治家の存在が一人でも許されれば、(マスコミもこれ黙認して全く問題にしないならば)今後マニフェストや選挙公約は守らなくともよいとなって代議制民主主義制度が存続出来なくなってしまいます。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。