9月4日の続きです。
次にマスコミが主張している少子長寿化による年金赤字問題を見て行きます。
第2 ① 次世代人口減少(加入者減)
これをマスコミが強力に主張しているので国民もそうかなと誤解している方が多いところです。
しかし、これは第1の②で書いた業界団体や企業での年金が加入者減で火の車になっていることと根源は同じです。
公的年金だけではなく、肝腎の年金支払時期が来たときにそれを支えるべき加入者減によってどこの業界・企業も困りきっています。
企業年金の苦境はそれぞれの業界規模の縮小によるもので、少子化によるものではないのが明らかでこれに原因を求めて騒いでいる企業・あるいは業界団体はありません。
厚生年金も同じ原因(少子化によるのではなく企業従業員数減や給与減によるものであるのに、公的年金だけが少子化が原因と騒いでいるのはおかしくないですか?
我々弁護士業界は、タマタマ経済実勢に反した増員政策の御陰で、会員数が激増中ですから、年金財政に関しては全く問題が生じていません。
各種年金制度が、保険契約者数・業界年金の会員数が現状維持で払う仕組み・・各自の掛け金に応じて支払う仕組みではなく、支払時期が始まるころには契約会員数が数倍以上になっているので、増えた会員の納付金で何とかなるという設計であるとすれば、まさに自転車操業的設計であったことになります。
自転車操業的設計が多かったことが、現在各企業年金が火の車になってしまったそもそもの原因ではないでしょうか。
公的年金に関しては、世代間扶養制度などともっともらしい説明が多いのですが、本来永続制のあり得ない企業の場合、(仮に企業が数千年続くとしても従業員は世襲制ではないのですから)他人間で世代間扶養の理念など成立し得ません。
とすれば各人が積み立てた限度での年金支給しかあり得ないのですから、後輩社員の増減に関係がない筈なのに企業年金が現実に加入者減で困っているのは、自転車操業的設計をしていた事によるとしか考えられません。
加入者増に頼っていると数倍以上になった会加入者・契約者数が数十年後に保険や年金受給者になれば(際限なく構成員数が数倍になって行くことはあり得ないので)破綻してしまうのは初めっから分ってることです。
構成員・納付者数の増加を前提にした制度設計は(どんな優良企業でも永久に会員数や従業員数が増加し続けることはあり得ないので)早晩破綻するのは理の当然です。
日弁連の年金システムも、もしも現有会員数のままで支払出来る設計でないとした場合、弁護士数の増加がその内頭打ちになる以上は、今の若手弁護士が受給する頃には大赤字になってしまいますので無責任設計となります。
いわゆる「ねずみ講が危険である」と言われるのと同じ論理です。
(土建関連業界が会員数の減少で困っていますが、構造不況業種に限らず優良業界でも一定の成功を収めるとその先は海外展開しか拡大の余地がなくなるので、国内従業員減少はあらゆる企業に生じます)
企業規模あるいは業界規模が際限なく拡大することで漸く何とかなる制度設計であったとすれば、数倍になった会員が受給者になるときには破綻するのは予め分っていることですから、将来に責任を持たない無責任体質こそ糾弾すべきです。
日弁連の年金の場合、納付金は会員の加入した口数によるので、納付金自体は収入の増減に直接連動しませんが、収入が減って来ると加入口数も減って来る可能性があるので長期的には厚生年金と同様の問題が生じます。
公的年金も同様で、健全な制度設計としては、将来の加入者増加やインフレを期待する(踏み倒し戦略同様の)その場しのぎの考えをやめて、受給予定者の納付した資金の積み立てプラス運用益だけで年金支給が出来る制度設計であるべきです。