紛争解決の基本

どんな紛争でも少しは自分も痛みを受ける覚悟がないといつも相手になめられるばかりで、紛争が解決するどころか、相手が図に乗るのでドンドンエスカレートしてしまいます。
ヤクザに脅されて際限なく妥協しているようなやり方です。
「そこまで言うなら自分も少しくらい損しても良いから取引を打ち切る」くらいのタンカが切れないと何事もうまく行きません。
少しの損を大げさに強調して相手の言うとおり譲っているばかりの日本政府の行動やマスコミ報道を見ていると「紛争をドンドンエスカレートさせたいのか?」と言う疑問すら湧いてきます。
私は喧嘩を煽っているのではなく、むしろ相手に程度を超えた要求をさせないで如何に仲良くするかの方策を説いているのです。
あまり譲ってばかりいたので、中国や韓国はヤクザみたいに何かあると脅せば要求を聞くという態度になってきました。
観光客の減少を心配する報道が多いのですが、日本の観光客は中国から来る観光客の3倍くらいの人数が中国へ行っているし、中国人は平均収入が日本人の10分の1しかないのですから、双方の観光客の往来が半減〜4分の1になれば、あちらの被害の方が大きいのは明らかです。
(しかも所得水準が違うので同じ金額でもダメージの大きさが10倍違います)
日韓関係も同じで相手にとっての日本の大きさは、日本にとっての韓国の比ではありません。(国の規模が違うのです)
まして韓国の現代自動車は基幹部品が日本から届かないと車1台作れないのが現実ですから、日本政府は何をびくびくしているのか合理的理解を超えています。
日本の中国製品輸入は低価格品が中心ですから、日本は中国から物を買えなくとも他所の国から買えば足りるし、せいぜい少し高く付く程度でどうってことはありません。
中国は日本から基幹部品を送ってもらって組み立てしているだけですから、部品が来ないとそもそも自国で工業品の完成品組み立・輸出すらまともに出来ません。
中国は日本からの部品輸入を止めることが出来ないのです。
尖閣諸島関連騒乱以降の株式下落傾向を見ると、例えば9月18日1日の値動きでは中国上海株式の下落率は日本の3倍程度になっています。
その翌日・・19日の夕刊で昨日午後1時30分現在騰落率を見ると東京市場は1.57ポイント上がっているのに対して、上海では、0.17ポイントしか戻していません。
今回の騒乱に対する世界市場の見方は、(株価には金利その他いろんな要因がありますが、総合した結果です)中国の方がダメージが大きかったことになります。
これを契機に日本企業の中国傾斜への警戒感が強まり他国への分散投資が進むことは間違いでしょうから、これを世界の市場参加者がはやしていることになります。
September 13, 2012「年金赤字6とマイナス金利7」で中進国の罠に関する連載で中国は現状の工場誘致レベルから更にレベルアップしない限り停滞するしかないことを書きました。
そのためには、日本からの上級技術導入が必要になっているのですが、中国政府が国民を煽って大きな騒乱状態にしたことで、日本からのさらなる技術導入のチャンスを自ら潰してしまったことになります。
中国としては韓国同様に気の弱い日本を恫喝すればもっと技術導入出来るという読みでもあるでしょう。
導入約束すれば恫喝を当面沈静化してやるというくらいの意味です。
恫喝されるたびに唯々諾々とこれまで対応して来たので、韓国や中国は何か欲しくなるとあることないことデッチ挙げて主張すれば勝ちみたいな状態になって来たのです。
韓国がデフォルトになれば日本も困るから助けるべきだとマスコミや政府関係者がワケ知り顔で言います。
韓国企業がつぶれたら部品が売れなくなると心配しているのでしょうが、その分国内企業の売上が増えるので却って好都合です。
食うか食われるかの競争相手の倒産が自分の損になると言って心配する人がこの世の中にいるでしょうか?
GMの倒産のときに同社に納めている日本の部品会社も影響を受けるという報道がありましたが、その分以上日本メーカーの売上が増えればタイヤでも何でも日本メーカーは余計売れるので心配がなかったのと同じです。
日本部品メーカーのGMへの納入率が仮に1割まで食い込んでいたとしても、日本自動車メーカーへの日本部品企業の納付率は100%近いのですから、 GMが1台車余計売るよりもトヨタ、ホンダなどが余計売れた方がずっと日本部品メーカーにとってメリットが大きいのです。
サムスン等韓国企業へ納入企業があるのは分っていますが、サムスンその他が倒産した場合その売上の代替製造を東芝やソニー等がした方が日本全体のメリットが大きいのは子供でも分る道理です。
何故か日本のマスコミは損でないことまで「損だ損だ」と言っては、韓国や中国の脅かしに乗って救済をしたがり過ぎます。
(頼まれて感謝されて援助するのなら分りますが・・デモで「ぶちこわすぞ」と脅かされる都度援助を増額することはないでしょう)

逆グローバル化時代(資本引き揚げに直面する韓国・中国)

通貨下落が一時的なものならナンピンを掛けるつもりでドル下落に乗じて更に追加投資出来ますが、今後も持続的に通貨がドンドン下落するとなれば新規投資を出来ませんし、逆に既存投資を引き上げる動きとなります。
株式相場で言えば下落が一時的か持続的かの見通しによって、投資家が売り急ぐか底値買いを入れるかの態度を決めるのと同じです。
これがアジア危機であり韓国通貨危機でもあって、今回の欧州危機で昨年秋に韓国の通貨危機が再燃しかけた原因です。
早く売り抜けて下がり切ったところで買い戻せば大もうけします。
アジア通貨危機のときに売り浴びせて大暴落した後で欧米金融資本が底値で買いあさって、大部分の韓国資本の買い占めをして主な企業を支配下に置いてしまいました。
その後韓国は欧米の非公式植民地化してしまい、通貨安で国民に犠牲を強いていくら儲けてもその儲けは海外に持って行かれる構図・・国民が悲惨な状態に陥ってしまいました。
韓国がもう一度通貨危機になるとそれこそ根こそぎ欧米資本に収奪されてしまうので、(今は外資占有率が約7割と言われますが、残り3割は財閥系個人が占有しているので一般国民に企業利益の恩恵が及びません)今度危機が来たら99%近くが欧米資本に買収されてしまいかねません。
韓国に泣きつかれて、昨年秋に日本がいつでも巨額融資しますというスワップ協定を締結し、さらに「韓国国債も買いますよ」と約束したことによって、韓国ウオンの底割れ懸念が薄らいで漸く韓国の通貨不安・・売り攻勢が収まったばかりです。
ロシアに併呑されそうになっても宗主国の中国が何も出来ないので、日本が助けてやったのに、今になって文句言われているのと似た構図です。
欧州危機小康化の原因について誰も書きませんが、マスコミは欧州中央銀行の誰それが何を言ったという意味のないニュースばかり流しますが、そんな口先の議論で(長期的には意味があっても)目の前の危機が小康化することはありません。
日本がIMFに巨額増資引き受けを決めたことによって、それ以降ぴたりと収まって小康状態になったものです。
巨額外貨準備を豪語している中国は、自分自身が外資引き上げに直面していて人の面倒を見るどころではないことから、結局IMF増資に1銭も出せませんでした。
ちなみに中国では資金流出が深刻になっていて尖閣諸島問題の大騒動のサナカにも中国への投資促進のミッションが日本国内を回っている状態です。
新規技術導入が停まっているだけはなく、内需拡大策を打ち出しているもののその資金がなくて困っている状態になっているのです。
前向きに応じれば尖閣諸島への圧力を弱めても良いというくらいの脅しと一体化した動きです。
今や世界の富みの何割かが日本に集中し、しかも余剰資金は日本にしかないので資金出し手は日本しかない現実があって、日本の挙動が世界経済を動かす時代です。
通貨安競争の継続は資本引き揚げリスクと裏表ですが、(昨日書いたように物事には副作用・マイナス面があります)韓国はウオン安で日本との貿易競争で有利になっている分のリスク・・資金引き上げリスクげ現実化していたのです。
このリスクを日本がファイナンスしてやっていることによって免れたので、恩を仇で返すために安心して日本を標的にした通貨安競争を仕掛けているのです。
今や韓国は危機を脱したので表向き怖いものなしというところで、「日本の力は落ちた」と宣言し「天皇を後ろ手に縛り上げてに謝りに来い」という非礼発言に繋がっています。
実際にはこれまで書いて来たように資金引き上げに直面して際限ないウオン安に見舞われている韓国経済まだ日本の買い支え協力宣言で小康を保っているに過ぎず、実態は破産の瀬戸際にあって苦しんでいるのですが、こういうときに空威張りしたくなるのが韓国流思考方式です。
空威張りの延長で日本をもっと困らせばもっと協力して貰えるだろう式の発想で最近特に問題もなかった竹島をイキナリ争点にして喧嘩を仕掛けて来たものと思われます。
日本歴代政権はこれまで韓国と中国に対しては理不尽なことを言ってくれば怒るのではなく、その都度何かを渡してうやむやにして来た歴史が彼らを増長させて(品性を卑しくして)しまったのです。
「日本の国力が落ちた」と韓国の李大統領に言わしめたのは、これまで何でも聞いてくれたのにこんなに怒るとは・・「大人の風格がなくなった」という李大統領の嘆きとも受け取れます。
今回は天皇にまで言及してしまったので、如何に大人しい日本でも、ここはケジメを付けさせば一歩も引かないところに来てしまいました。
「通貨安競争をやめる」「竹島は日本領土である」「慰安婦問題はでっち上げで申し訳なかった」とはっきり認めるまでは、すべての援助を打ち切るべきでしょう。
韓国がデフォルトになれば日本も困るから助けるというマスコミが多く、今回の争乱でも中国から観光客が減って困るという変な報道ばかりします。
僅かな痛みを強調することでいつも譲るばかりでは何も解決出来ないし、その是非については明日書きます。

通貨安政策4(資本逃避)

為替相場が人為的介入によって実勢と相場が長期間乖離し続けると、ジョージソロス氏のような投機筋・仕手筋に狙われてしまう筈ですが、こうしたリスクなしにウオンの下落が長期間続いていて、むしろ売り浴びせを防ぐために必死に買い支えている状態です。
(最近の報道ではウオン買い支えのために外貨準備が急減している・・その結果純債務国に転落したり純債権国に復帰したりの繰り返しのようです)トータルでは赤字なのではないでしょうか?
日本のマスコミは、韓国政府のウオン安政策が成功していると格好を付けて報道しますが、実際には安くなるべき要因が内在してどうにもならない状態の言い訳になります。
いくら儲かっているとか、格付けがどうのと言っても(そう言う宣伝工作にエネルギーを使っても)実際にその国の通貨が上がって行くか下がって行くかこそが誰のコネも効かないのでその国の国力のバロメーターそのものです。
ちなみに「格付け」とは大金を払ってして貰うものなので、依頼者の希望によっていくらでも上下するもので何らの信用性もありません。
貿易黒字だけでは資金繰りの状態が分らないことのたとえとして、日本の例で言えば原発事故以降貿易赤字傾向ですが、外国投資による利益送金収入が大きいのでトータル収支ではなお何兆円という黒字です。
逆に外資導入が多い貿易黒字国では、トータル収支では赤字となっている国もあります。
対外純債務国と似通っていますが、債務支払時期が必ずしも一致しないので(その年度内に全部返す債務は珍しいので)支払う債務と債務額は一致しません。
外資による多額の資本出資を受けている韓国の場合、ドルや円で持ち込んでウオンに両替した投資ですから、ウオンの下落によって投資金が目減りして行くのでウオンが際限なく下落するとなれば、早く売って逃げようとなり兼ねません。
これがアジア通貨危機、欧州通貨危機が来るたびに問題となる韓国通貨危機発生の構図です。
たとえば、トヨタなどがアメリカに1000億円投資した工場を持っていて、年間売上げ50〜100億円だった場合、これがドルの1割下落によって評価が1割下がると100億円の評価損失になります。
ドル下落によって景気が良くなってアメリカ工場の売上が1割=5〜10億円上がって、純利益がその10%として0.5〜1億円増えても、企業評価としては約99億円マイナスになります。
これが分っているのに通貨安が進行する国に対して行った投資資金をそのままにはしておけません。
通貨安競争にはこのマイナス面・副作用があります。
うまい物を食いたければ、その代わり代金としてお金が出て行くような物で何事もいい面ばかりではありません。
通貨安競争が世界の潮流になると、世界的投資資金の引き上げ競争が加速して行くことになります。
行き過ぎたグローバル化の反省と言うか逆グローバル化時代が始まりかけているのです。
世界中から引き上げた資金をどうするかとなると安全資産に逃げる・・通貨安になりそうもない国の紙幣に交換しておけば損がないと言うことから日本の円が急激に上がっているのです。
下がりそうもない国の株式購入でも同じように見えますが、円が上がればほぼ反比例してその国の企業業績が下がる=株価下落しますので差引同じ結果ですが、国債の場合円が上がった分だけ得するので外資は国債に集中します。
現に中国、韓国からの欧米資本引き揚げが加速していて、上海株式相場は大幅に下落し、且つ人民元相場も弱含みで、中国は資金不足で困っている筈です。
中国からは資金引き上げラッシュなのに、今なお中国への新規投資をしようとしているのは、主要国の中では日本だけです。
中国はこのため日本の新規投資を切望している状態なのは韓国同様ですが、必死であればあるほど低姿勢になるのではなく強硬姿勢で来るのが中国、韓国のやり方です。
(中・韓の品性が卑しいのではなく)日本の歴代政権の対応がこうした習慣にしたのでしょうが、今まで味を占めた経験で中国はイキナリ尖閣諸島で、韓国は竹島で挑発するなど言いがかりをつけ始めた構図です。
日本は投資資金の人民元・通貨下落による一般経済的損失だけではなく、今回の尖閣諸島問題を契機とした反日騒乱によって、中国投資の危険性が追加認識されれば、遅ればせながら世界の潮流に日本も加わって行くことになるでしょう。
(必ずしも世界の潮流に乗ってれば良いとは言えませんが・・・中・韓に関してはこの機会を好機として中韓に義理立てする必要がない・・今回の騒動は中韓政府の煽りで行っていることは明白ですから、・・遠慮なく資本を引き上げるべきだと思います)
従来の自民党政権時代のように安易な妥協・・相手が何か言いがかりをつけて来ると黙らせるためにその都度何かお土産をやる方式をしない方が良いでしょう。
我々弁護士業務に置き換えれば、ヤクザ相手でも同じですが、こう言うやり方は相手がエスカレートするばかりでいい結果になったことはありません。
工業投資は相手も撤退されると先端技術導入が出来ずに困るのでなお何とかなるが、サ−ビス業の投資はいつでも邪魔になれば口実を付けて追い出されるので、あまりしない方が良いと以前から書いてきましたが、イオン店舗など襲撃されているニュースを見るとこの危惧が現実化し始めています。
これ以上新規投資で深入りしないで一日も早く中国・韓国から資本を引き上げるべきです。

通貨安政策3

通貨切り下げは、貿易赤字国がデフォルトを避けるために仕方なしに国民に我慢を強いる政策であり、国民の福利増進のために存在する政府である以上は、一般的には経済危機時の緊急避難行為としてしか取れない政策です。
円高で言えばこのコラムで何回も書いて来たように、国民が得して企業が損する関係ですからこの逆として考えれば分りよいでしょう。
貿易黒字国はその儲けを国民に分配して国民生活をその分豊かにすべきですが、韓国は貿易黒字(それほど困っていない)にもかかわらず、何故国民に耐乏生活を強いる通貨安政策を長年継続採用しているのでしょうか?
こうした通貨安政策の結果、現在の韓国国民個々人は、悲惨の極みにあることは世界周知のとおりです。
(韓国国民の海外脱出願望の強さ・・世界に広がる韓国売春婦問題・・売春婦が世界に広がるほど出身国の悲惨さを示す指標はありません)
通貨安・輸入価格上昇の結果、韓国でも時間の経過で国内物価が上がって来るので、人件費も少しは上がってきます。
(つい最近現代自動車でのストが収束しましたが、なかなか人件費を上げない・労働条件改善に努めないから通貨安のメリットが大きいのが韓国です)
しかし、韓国は鉄鉱石や原油等の原材料輸入代金にとどまらず基幹部品輸入が必須の状態ですから、それらの輸入価格上昇を輸出価格に転嫁するしかありません。
直ぐに価格転嫁しないで先送り出来るのは人件費と国内消費の縮小しかない→国民生活水準の低下で対応するしかない・・ウオン安で儲けているのは、この差額だけしかないのが実態でしょう。
国民に窮乏化を強要して得た儲けの大部分が大手企業の大株主である外資への配当として消えて行くのですから国民は悲惨です。
(韓国銀行その他大手企業の外資比率については January 14, 2012「海外投資家比率(国民の利益)2」で紹介しました)
以前どこかで書いたと思いますが、欧米諸国の非公式植民地になっている悲惨さが如実に現れています。
韓国は強がりを言っていますが、結果を見るとデフォルト寸前の国が通貨安に見舞われて苦しんでいるのと状況が同じです。
国民の賃金アップを少しでも遅らせる・タイムラグメリットに頼る場合、直ぐに追いつかれてしまうと通貨安の効果が薄れるので労働条件を劣悪に据え置くか際限のない通貨安政策を連続するしかありません。
この場合、いつまでたっても通貨安による国民不利益・・ウオン安によって国民(労働者)が安く使われる損失解消が追いつかない・・先へ先へと逃げて行くので、国民疲弊・・犠牲による企業利益追求政策とになります。
(その間の儲けは、大手企業の主たる株主である外国資本家への配当になって消えて行きます)
通貨安によってせっかく国民疲弊策・国民の犠牲の上に貿易黒字を積み上げても、(利子その他の支払を総合した)経常収支赤字国の場合トータルとしての支払額の方が大きいのですから、この逆になって(貿易赤字国の通貨切り下げ同様に)却って損してしまいます。
ところでウオン安政策が何故韓国で何年も続けられているかの疑問ですが、トータル黒字で外貨がドンドン入って来ていれば自然にウオンが上がる理屈です。
(短期間ならば為替介入が可能ですが、年単位で際限なく実勢に反した相場維持は無理です)
ちなみに韓国の公定歩合は今年の3月で3、0%です。
日本のように超低金利ならばキャリー取引による資金流出を原因とするウオン安が理解できますが、日本やアメリカに比べて約3%近くも金利が高いのに何故長期的にウオン安になるのかあるいはそれが維持出来るのかということです。
周辺に比べて高金利なのに長期的にウオンが下がり続けているのは、貿易黒字とは言うものの実際にも外貨が足りない状態に陥ってることを表しているのではないでしょうか?
公称されている外貨準備高というのは、ジャンク債のような売れないものが大半とも言われています。
自国基準金利が3%・・すなわち市中金利は5%前後になっているのにアメリカの1%前後の国債等を買っていると逆ざやで参ってしまうので、信用力の低い高金利の債権を買っているからです。
中国、韓国等の自国金利高による逆ザヤ運用については、April 27, 2012「国債運用益2」前後で紹介したことがあります。

通貨安競争2(国民疲弊政策)

韓国が急激なウオン安政策で貿易黒字を稼いでいますが、その代わり韓国の支払に関しては他所の国はウオン建てでは輸出に応じなくなります。
輸出入が均衡していれば、ドルまたは円代金を1割下がったウオンに両替して1割多くのウオンを受け取っても、その代わり輸入代金を上がった円やドルで支払うために国内ウオンを1割多く使って両替すればトントンですが、輸入物価上昇の結果輸入が減る・・国民はその分消費抑制=耐乏生活を強いられます。
戦後ずっと続いたイギリスポンド下落によるイギリスの耐乏生活を想起しても良いでしょう。
通貨安政策は結果的に国民に我慢を強いる政策だと言うことです。
アメリカは国民生活を豊かにするため・消費の活発化のために住宅ローン債権の買い取りを始めたのですが、この政策が時間の経過でドル安になって来るので、結果的に輸入価格の上昇・・ひいては輸入品購入減少・・生活を圧迫し始めるジレンマに陥ります。
国民は自分の働き以上の生活は出来ない・・目くらましの政策でうまいことは出来ません。
1割の貿易赤字国で1割の通貨安になるとどうなるでしょうか?
例えば輸入代金の両替が1億円で輸出代金の両替が9000万円・・1割赤字の国とした場合で考えてみましょう。
輸出入数量が同じと仮定した場合、円が1割安くなると輸入代金の両替入金は1億1000万円必要になり、輸出代金の両替は8100万円しか入金しません。
赤字額が上下約1割ずつ膨らんでしまいます。
国際収支赤字国にとっては通貨安は損なことになりますが、苦しいならば通貨安を受入れれば良いだろうという意見が多いのは、この機会に競争上有利になって輸出数量がそれ以上伸びることを期待していることと、対外債務支払に行き詰まった場合通貨下落を強制されて輸入物価上昇の結果国民消費が減退する・・耐乏生活を強いられても仕方がないと言うことになるからです。
韓国のように輸出の方が仮に多い場合に、自国通貨が1割下落するとどうなるでしょうか?
輸出代金ドルの両替によって得る資金が1億ウオンであった場合、1割の下落で1000万ウオン手取りが増えることになります。
輸入代金の支払い債務が下落前には9000万ウオンであった場合、(通貨下落前に1000万ウオンの貿易黒字であった場合)ウオンが1割下落すると外貨に両替する分が1割増えても900万しか要りませんから、100万ウオン分だけ得する勘定になります。
(輸入代金が1億1000万ウオン入って、輸出代金が9900万ウオンで足りるので下落前に比べて100万ウオンの儲けです。)
これに加えて通貨安による競争力アップで輸出数量が伸びるのでその分の手取りが増える外に、輸入物価上昇による輸入量の減少の結果支払債務が減る3重の利益になります。
ただウオンが1割下落すれば、国内輸入物価も時間の経過で同率で上がるので、国際競争力としては結果的には同じことになる筈です。
円高の場合還元セールがありますが、円安やウオン安の場合企業の儲けが増える分直ぐには従業員給与に還元しないでしょうから、通貨安政策はどこの国でも国民・労働者が割を食う関係です。
通貨安によって輸入物価上昇→輸入が減るということは、国民の消費レベルを下げて国民に我慢を強いる政策です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。