日米同盟強化

Dec 28, 2012「観光立国と生活レベルの低下4」で、尖閣諸島に半端な戦力(数十人規模)を駐屯していても肝腎の本格戦争に入れば日本本土防衛には無意味・・放棄するしかないだろうと書きましたが、(平時のシーレーン防衛には大きな意味があります)防衛ラインを広大な太平洋のどこに引いてもアメリカ本土の防衛にとって、(日本の沖縄防衛と尖閣諸島防衛の関係よりもなお)大した違いはありません。
(アメリカ本土向けロケット発射を何秒か早く知ることが出来るくらいでしょうか?)
仮に日本列島が全部中国支配下になって日本から攻撃機あるいは大陸間弾道弾が飛び立っても中国本土から直接飛んでも距離の比率から言ってアメリカの防衛にとっては50歩100歩以下でしかないでしょう。
日本を韓国のように経済植民地化しておけるならば、アメリカにとって第1列島線が(守ってやるぞという意味で)重要になります。
日本が経済支配下に入らない・もしかして中国経済圏に入るのを選択するなら、何のためにシーレーンなど中国から防衛してやる必要があるか・・子供でも分る道理です。
ですから「防衛分野だけ同盟しましょう」と言っても、アメリカが実質メリットを求めて来るのは当然です。
TPPや沖縄基地問題等アメリカに利害のある問題で具体的に安倍政権がどう対応(譲れる)出来るか、アメリカにじっと見られている状態です。
ヤクザにミカジメ料の支払を渋ったら、・・「じゃあ他所のヤクザが店に来て嫌がらせされても知らないぞ・・」というのがアメリカのやり方でしょう。
もしも参議院選挙までアメリカの思惑どおりに動けない・・野田政権同様に国民を騙すために選挙までは意思表示出来ないと言うなら、(アメリカにとっては国民に言えないほどの大規模譲歩引き出すには選挙後の方が有利ですから)そこまでは我慢するでしょう。
あまりにも大きな譲歩を迫られる場合、アメリカ離れを画策した方が良いかについては、中国の出方を考えてシビアーな検討が必要です。
戦後60年以上に及ぶアメリカの横暴?に反感を持っていた民主党政権は、今後中国と仲良くすれば良い・・これまで大分援助して来たし・・アメリカを袖にして近寄れば中国が喜んで大切にしてくれると思っていました。
民主党はもともとソ連圏との友好を模索して来た社会党・民社党出身議員を多く抱えているので反米基調になっていたのは当然ですが・・国民の多くもアメリカの勝手な行為の数々に不満を持っているところへ中国の台頭もあって、民主党政権誕生=親中国路線傾斜が当然の雰囲気でした。
ところが、日本には予想外の中国の対応が待っていました。
アメリカから離れたならば立場が弱いだろうと足下を見られてしまい、逆に尖閣諸島に対する領土要求を誘発させてしまいました。
日本的理解ではこれまで対立して来た相手でも、相手が弱って頼ってくれば優しくいたわるのが普通ですが、中国や韓国では相手が弱っているならこれを好機と見て、徹底的に叩く・・しゃぶり尽くす価値観の国だと知らなかったのです。
低姿勢に出れば、大切に対応するのが日本の礼儀ですが、中韓(もしかしたら世界中が)では相手が下手に出れば相手が弱っているのだから、この機会になお強く要求すれば良いという価値観の国です。
慰安婦問題・南京虐殺等々、事実無根でも相手が主張するなら、反論して揉めていないでそのとおり認めて謝れば和解出来るという発想が日本の(甘い?)価値観ですが、(ヤクザでも言いがかりをつけたことについて被害者が謝るなら、それ以上追及しない国民性です)相手の方は、事実無根でも認めてくるほど相手が弱いならば、もっと新たな要求が出来ると考える価値観の民族です。
今回はアメリカの要求がきつすぎるからと言って、簡単に中国寄りに舵を切り替えられないことも(交渉相手のアメリカには)分っています。
ところで安倍政権の対米手みやげ論ですが、ただ低姿勢で譲歩すれば上記のとおり却って悪い結果になり兼ねません。
こちらもしたたかに交渉して行く心構えが必要です。
ベトナム戦争当時、ドミノ理論が一世を風靡したことがありますが、尖閣諸島をアメリカが守れずここに中国軍基地が築かれると(日本本土防衛にとってはあまり意味のない場所としても・・・)台湾(国府軍)防衛に重大な影響が生じます。
(※ 尖閣諸島問題で日本が引けば、その内沖縄諸島まで中国が領有主張を始める可能性が高く、さしあたり石垣島など離島から占領が始まるでしょうが、順次日本がこれらの占領を黙認して行くことになると、台湾本島が中国軍基地に包囲されることになります。
こうなると台湾武力侵略(開放)が現実化して来るので、武力行使がなくとも台湾が屈服するしかなくなるでしょう。)
遠隔先端基地は攻撃側には出撃の足がかりになるので有用ですが、守勢のときには守備隊が拡大分散している方が不利になります。
(沖縄占領に後ここから出撃する爆撃機によって東京空襲が常態化したことを想起すれば良いでしょう)
我が国は専守防衛なのであまり遠くまで出っ張って戦力分散している方が不利になりますが、攻撃側の中国にとってはここに基地を築ければ台湾と日本を分断出来るし、そこから航空機が出撃出来れば有利になります。
沖縄まで要求して来るのは大分先のことであるとしても、台湾に至近距離の尖閣諸島に中国軍基地を設定するだけでも台湾を脅迫するのに充分です。
沖縄米軍による台湾応援をここで分断・妨害出来ます。
この視点から言えば、台湾政権が中国共産党政権と一緒になって尖閣諸島領有を主張していたのは不可解・・よく考えていなかったのでしょう。
台湾当局(国府軍)にとっては、日本の尖閣諸島実行支配を揺るがすのは得策どころか、自分の首を絞める行為です。
直ぐに台湾当局が静かになったのはこう言う視点が働いているからでしょう。  
アメリカの要求がきつ過ぎて、交渉決裂となってアメリカが守ってくれないなら・・・と言うことで、「尖閣諸島は要りません・諦めました」となればアメリカも大変です。
台湾防衛だけではなく、「たった1つの離島さえ守ってくれない同盟なんか意味ない」という声がわき上がるのは当然で、将来的には日米同盟が空洞化して行くのは必至です。
日本は手みやげばかり気にしないで、この辺を(直接言うのは、はしたないですが、)交渉材料にして行くべきでしょう。

密室外交と情報開示2

アメリカのような強い国・・まして中国に圧力を掛けさせて日本が困るのを待って始まった同盟強化交渉では、安倍政権がアメリカに表向き譲る方が多くなるのは当然であって、これといった土産なしに赫々たる成果を期待するのは無理です。
(日本はかなり不利な条件をのんだようでも、1月5日に書いたように愛国心が強いのと適応力が高いのでその内何とか出来るのでそんなに心配要りませんから、一見不利なようでも譲るべきは譲っても良いのですからこれを交渉担当者が隠す必要がありません)
むしろ、密室取引で外見上の大成果を上げたことにして、裏で国益上のマイナスを約束している方法だと国民が知らないために対応するチャンスを失うので、国益上大きなマイナスです。
何を(どの分野で)どの程度譲るべきかを国民が知った上で、どうしたら良いかを冷静に判断する必要があります。
不利・不当な要求だから日本はイヤだと言っても、アメリカと仲違いすればこれをチャンスと見る中国からもっと不当な要求をされる可能性が高いのですから、どちらかの不当要求を受入れるしかないという冷徹な判断が必要です。
第二次大戦後に勝者のアメリカにいろいろ不当(極東軍事裁判を筆頭に・・)な要求をされたことがあったとしても、ソ連に支配されていたのとどちらが良かったかというような議論が必要です。
同じ民族資質を持っていても東ドイツと西ドイツとではまるで国民の生活水準が違っていたことをちょっと考えれば分ります。
国際政治の現実を国民に開示してその上で国民が仕方ないと判断したことに従うことこそ、民主主義の価値観を共有する国家間の交渉です。
もしも交渉経過を公開しないで右翼の納得するような成果があったとすれば、その裏で何倍もの国益を国民の了解なしに売り渡していると推測した方が良いでしょう。
何倍もの国益を売り渡しても尖閣諸島を守ってもらう必要があるかどうかこそ・・放棄すればいよいよ中国が図に乗って来るかどうかを含めて、国民が冷静に判断すべきことですし、中国に良いようにされるくらいならここまでアメリカに譲った方が良いと言うのも国民の判断です。
要は中国の圧力に屈して中国に何を譲歩するか、中国からの圧力を跳ね返すためにアメリカに何を譲歩するかの比較考量の問題です。
情報開示によってこそ、比較考量すべき対象を国民が合理的に判断出来ます。
秘密裏に何をいくら譲っても良いから領土だけ守れというのが右翼とすれば、右翼とはそもそもなんでしょうか?
長期的な国益はどうでも良い・・愛国心などかけらもなく、子供じみた陣取り合戦にうつつを抜かすグループ・・ゲーム機愛好者のことでしょうか?
疑念を招かないために対米交渉は密室で行うのではなく、何を譲るように要求されているのかあるいは自主的に何を譲る予定なのかを明らかにして国民の判断権を尊重してこそ、民主主義国家です。
交渉内容を公開するのは国益に反するという言い訳が一般的ですが、コチラの今後の戦術を公開するのは問題ですが、相手が何を要求して来ているか、この時点でこちらがどこまで妥協の提案をしたかの開示は、既に過去にあったことですから、これを国民に知らせて何が悪いのでしょう?
既に提案したことは相手も知っていることですから、これを国民に秘密にする必要はありません。
にも拘らず担当者・政権が秘密にしたがるのは、自分のした提案が国民利益に反している・・国民の支持を得られないことの自覚があるから隠したい・不正な動機があるとしか考えられません。
「国民は馬鹿だから知らせない方が良いのだ」という旧来のやり方は民主制度を根底から否定する思想です。
良く知られる例で、独仏露の三国干渉に対する国民の不満・あるいは日露戦争後の講話交渉に対する不満・デモを歴史で習います。
だから国民には交渉に関与させないのが良いかのように・・教育されます。
しかし、これはその前提となる国際情勢・・正確な国力比較を国民に隠していたから国民が誤って不満を持ったに過ぎず、結局は情報開示不足が原因でした。
中国国民や韓国国民の非常識な反日行動は中国政府が日本からの円借款等の援助による恩恵を隠して自力で産業を興したかのように宣伝していることから起きていることです。
政権担当者が実際以上に自己の成果を強調すると、後で咎めが出て来て却って相手国との友好阻害要因になります。
我々弁護士で言えば、交渉内容や裁判の見通しを依頼者に説明しないでやっているようなもので背任行為を前提にしているのです。
100円の物を100円で買って来るのは当たり前で、100億円の商品・権益を手に入れたという自慢は良いのですが、その対価としていくら払ったのか・何を対価に提供したのかこそが、その人の交渉力を知るのに重要です。
安倍政権が対米交渉を秘密裏に行い成功したと宣伝している場合、提供した対価を公開出来ない以上は、マトモな交渉が出来なかったことを自分で証明していることになります。
会社に内緒で大幅値引きやサービスを顧客に約束して営業成績を上げていて、後に発覚して会社を困らせる営業マンがいます。
密室交渉にこだわる政治家はこうした営業マン同様で国・国民にとっては困った政治家です。

密室外交と情報開示1

手みやげなしに「軍事同盟だけ強化しましょう」と言っても、メリットがなければアメリカが乗って来ないとすれば、安倍政権は尖閣諸島防衛協力の見返りに何を、どの程度アメリカに売り渡すつもりで言っているのでしょうか。
安保条約を片務関係から相互条約に変える・・米軍防衛もする方向に変える必要があるのは当然と思われます。
これ以上に日米相互防衛の範囲を台湾、フィリッピン〜東南アジア全域(シーレーン防衛)に広げる・・この当たりでも日本が米軍に協力・補完するのは、対中国関係でも戦力強化訓練になるし、将来アメリカの防衛がそれほど当てにならなくなった場合、ある程度自力防衛出来る準備になるので日本にもメリットです。
(ただし憲法9条との関係では別の検討課題であることは当然です)
重要なのはTPP(具体的内容が何故か賛否双方からあまり開示されません)その他経済支配関係の受入れですが、安倍政権は密室取引で受入れるのではなく、これをきっちり国民に開示する必要があります。
ただし、元旦から書き始めていて横に行っていますので後に書きますが、かなりの部分で解放に同意しても日本は最先端の国ですから、欧米勢に席巻されることは滅多にありません。
誰でも知っている例で言えば、仏の世界大手カルフールが日本上陸しても日本市場ではまるで歯が立たなかった例で直ぐに分るでしょう。
(牛肉でもサクランボでもアメリカからのものは最低品としてしか扱われていません)
韓国が外資の支配を受けているのは資本蓄積がマイナスだったから起きたことですが、日本の場合世界一の純債権国・資本蓄積が厚いので心配がありません。
いつも書きますが、日本社会は何周回も世界の先を行っているのですから相互解放は日本に有利です。
ですから相互市場開放で日本が少し多めに譲っても日本植民地化の始まりではなく、実は日本に有利です。
何を譲って何を守るかを国民が知ってこそ、そのどちら(同盟強化か否か)をとるかの判断を国民が出来ます。
この取引を密室で行う・・国民判断を仰ぐのを回避する(参院選挙後に行う)のは、国民の意思によらない取引をしたいからでしょうから、結果的に国民利益に反することになります。
(国民の利益になる自信があれば、選挙前に国民に手土産・取引内容を開示すれば良いでしょう)
アメリカの要求が日本の弱みに付けこんだ不当なものかどうかではなく、不当であってもそれ以上の国益を守れれば良いし、「そこまで要求されるなら尖閣諸島防衛してくれなくて結構」と突き放す判断の前提を国民に明らかにすべきです。
不当な要求でもトヨタはアメリカで商売するために、解決金を支払っていることを3日のコラムで紹介しました。
対中国関係のために同盟を強化するならば、アメリカの要求を飲む場合の日本の不利益と尖閣諸島を死守する国益とどちらが大きいかの判断は国民がするべきであって密室取引にする必要はありません。
右翼のようにナショナリズムだけ煽って、「どんな不利な取引でも(これ闇に隠して)尖閣諸島さえ守れれば良い」という雰囲気を作り出すのではアメリカの思う壷にはまります。
湾岸戦争時の約1兆円だったかの冥加金の支払や・・トヨタのようにインチキな不具合と判明しているのに解決金を払わざるを得ない・・不当賠償金支払決断ならば1回切りのお金の損害で済みます。
国債をドンドン外国に買って貰い、企業支配まで受入れるお土産では、韓国のように半永久的に経済植民地支配を受けるようになります。
企業のみ栄えて(その利益は外国資本家・・外国流出)国民は貧民化する・・このようなことと引き換えに尖閣諸島防衛を口先だけ言ってもらうのでは、日本にとってどう言う価値があるのか分らない尖閣諸島を死守する必要があるのか?となります。
離島1つの防衛よりは、(年末に書いたようにイザ戦時になると尖閣諸島防衛は放棄することさえあり得ます)民族全体で植民地支配を受けるかどうかの方が重要でしょう。
辺境の防衛は本土防衛のために意味があるのであって、本土国民が離島防衛約束と引き換えにアメリカに隷属するしかないのでは本末転倒です。
口先表明してもらっても・・数年〜10数年先に危機が具体化したときに本当に防衛してくれるかは、そのときの世界情勢次第ですから、今からの口約束は大した約束にはなりません・・・。
(これまで60年以上も広大な基地を提供し、巨額防衛分担金を払って来ていても、今回具体的な危機が起きると口先だけでも言ってもらうのに何か手みやげがいるのが現実です)
尖閣諸島防衛の口約束と引き換えに何をアメリカに提供(先履行)するのかを明確に国民に提示すべきです。
湾岸戦争協力金のように現金支払だけならば、緊急時に本当に戦争に参加してもらうための追加支払もまた出来ますが、企業支配を許した後では、もう追加提供するものがないので、もっと酷い追加要求・・非正規雇用の比率増加・環境規制の緩和など医薬品であれ食品であれ、「全てアメリカ基準どおりであれば何でも国内パスするようにしろ」(全ての分野で国内検査禁止)と言う内政干渉そのものが待っているでしょう。
言い換えれば企業支配を受入れない・・民族資本である限り古くは東芝、最近ではトヨタのように時々不当な巨額資金の支出を求められる危険がありますが、その程度で口先防衛してくれるかどうかです。
韓国のように植民地支配を受け入れてしまえば、アメリカ内国企業並み恩恵・・時々巨額資金の支払を求められることは今後なくなるでしょう。
アメリカは中国の圧力を利用して(日本が弱ったこのチャンスに)今回は一時金ではなく国債を含めた金融支配・恒久的企業支配を求めて来ると思われます。
安倍政権が、外見上の日米蜜月を作り出す自己の得点稼ぎのためにこっそりと日本の一番守らねばならない部分をアメリカに売り渡してしまわないかと心配しています。
歴史上対外的に勇ましいことを言ったりやったりしている政治家ほど、これを実現するために裏で国の大事な部分を売ってきたのではないでしょうか?
一方的な戦勝による軍事占領であれ、何であれ一見大きな成果獲得には、必ずそれに伴うマイナス(戦費負担・傷病兵の増加・相手国に恨まれるなど後世へのマイナスははかりしれません)がつきものです。
民事交渉でも同様で、ヤクザのようにやらずぶったくりなどあり得ないのですから、交渉妥結には必ず正当な対価(以上)が必要です。
多めに譲ったように見えても上記のとおり日本社会は進んでいるので実際に(何周回遅れの後進国)アメリカが日本の懐に手を突っ込めることは殆どありませんから、右翼・言論人が大げさに騒ぐほどのことは有りません。
右翼・言論人の主張の多くは日本が大幅に遅れを取っていること・劣等意識を前提にした意見が多いことになります。
(この辺は中韓の愛国的発言も潜在意識として自国の遅れ・・劣等意識の裏返しになっているのと同じです)

マスコミの影響力2と低下

権力誇示が露骨すぎると反発が起きるので剥き出しの権力行使をしないのがどんな分野でも(課長でも社長でも)普通の智恵ですが、マスコミがここまで露骨になったのは何故でしょうか?
マスコミ背後権力者が、なりふり構わずにマスコミの影響力を行使をするしかなくなるほど焦っているとしか見えません。
中立性の仮面をかなぐり捨てた露骨なマスコミ報道が続いた結果、これに反発するネット発信・マスコミ批判報道が却って発達してしまい、世論形成力としてはマスコミの方が負け始めていることを、2012年12月20日「米英系マスコミ支配2とマスコミの限界」あたりから書いてきました。
奔流のような韓流報道の始まりとマスコミによる政権攻撃の露骨化とが時期的に合致しているのですが、どう言う関連があったのか・・偶然時期が一致しただけだったのか不明ですが、外見上中立を装うべきマスコミが自制心を欠くようになった点が共通でしょう。
民主党政権獲得時の小沢氏は民主党内の最大実力者且つ実務能力があるので自民党も彼を最も恐れていましたので、アメリカの陰謀であろうとなかろうとどんなことでも小沢氏批判であれば飛びつく状態でした。
そもそも小沢氏批判の実体は何なのか?次第に分って来たことは汚職でもなければ何でもないせいぜい記帳義務違反というだけの疑惑で、しかもそれですら蓋を開ければ無罪・・事実無根と言うのですから、こんな微々たる疑いを大々的報道して一国の総理になる資格を問うこと自体マスコミ(ネトウヨはまだ許されるとしても・・)の暴走です。
今になると右翼ネットでは、負け惜しみからか、小沢氏は在日2世だというデマまで流布し始めました。
アメリカは有力政治家が出れば直ぐにスキャンダル報道で追い落として行く・・日本政治家はアメリカの言うとおりになる・・小粒政治家ばかりになるのをずっと狙ってきました。
今後も与野党間や各党内での権力闘争にアメリカのマスコミ支配力を利用する人が出て来るでしょうが、こうした動きは明治維新時に外国勢力の介入を避けるために徳川慶喜が示した無抵抗方針を想起すれば分るように国賊ものです。
(マスコミを利用した勢力はマスコミに対するアメリカ支配維持の支持者になります・・この結果戦後60年以上もアメリカによるマスコミ支配が続いてきたのです)
アメリカにすれば小沢氏の刑事事件化はいつでも出来るし、その他民主党幹部は実務能力がないことが誰でも知っていることですから、民主党がアメリカの怖さを知らないで反抗すれば、この基準で直ぐに追い落とせると踏んで1回民主党にやらせたと思われます。
本来アメリカ寄りであるべき自民党が中国にすり寄り始めたので「アメリカの言うとおりしないと下野することになるぞ」という見せしめのために一回だけ民主党を勝たせる選択をしたと思われます。
中韓寄りの民主党政権に対しては、政権担当能力がないというマスコミ批判を起こさせると共に外からは中国や韓国を唆かせていくらでも領海侵犯をエスカレートさせる・・ゆすりの手法です。
民主党政権は最初はアメリカに対して強気でしたが、小沢氏へのマスコミ・検察による追及・鳩山・菅政権に対する実務能力不足の宣伝攻勢・・アメリカの示唆に応じた中国による尖閣諸島波状攻勢、ロシアの現役大臣の北方領土視察、韓国による竹島問題で揺すられてどうにもならなくなって、菅〜野田政権では露骨にアメリカにすり寄り始めました。
(菅・野田政権がイキナリTPP参加を言い出したのは・・普天間の失敗でアメリカを怒らせている償いも含めて・・この圧力によると言われています)
安倍自民党総裁はこれを受けて「日米同盟重視」(日本はアメリカの言うとおりします)というメッセージで選挙に臨みました。
安倍氏は前回はアメリカのご機嫌を損じて・・アメリカの意を受けたマスコミの集中攻撃を受けて失敗したので、(アメリカの思惑どおり)日米同盟の堅守を主張して一番最初の訪問先としてアメリカを発表しています。
しかし、アメリカは軍事同盟維持・列島線の維持自体には日本で喧伝されているほどにはあまり関心がないと私は思います。
何事もビジネス基準のアメリカは中国の拝金主義とルール重視(と言ってもアメリカに都合良く出来たルールだけですが・・・)有無の点で違いがあると December 5, 2012「民主主義と正義12(政治資金3)」で書いたことがありますが、逆から言えば経済メリット次第という点では価値判断基準が中国と同じです。
日本と同盟するメリットをビジネスライクに秤にかけているのがアメリカです。
資本主義国・民主主義国というだけで無償で日本を守る必要は全くないので、ミカジメ料を払わないとヤクザが守ってくれないのと、軍事同盟の本質は変わりません。
(中国も既に経済的には悪しき資本主義国であって、共産主義の看板は独裁を維持するための方便に過ぎないことを以前書きました・・またアメリカはこれまで民主主義国家かどうかはまるで問題視せず都合さえ良ければ独裁国家を支援して来たことも何回も書いてきました)
アメリカが同盟して犠牲を払ってまで防衛するメリットがある国かどうかは、アメリカ経済にメリットを与える国かどうかと米英中ソの策定した戦後体制(パックスアメリカーナ)に刃向かう方向化かどうかだけが基準です。
(安倍氏の標榜するアメリカが作った戦後価値観の見直しは日米関係重視と矛盾するのでとても無理でしょう)
中東でもどこでもアメリカに経済利害があってこそアメリカは関与して行きますが、シェールガス・オイル等が復活して中東原油の重要性が薄まれば、露骨に関心を失って行くのがアメリカです。
リビアやシリアの騒乱(どんな人道違反があっても)を見れば分るように、自国でオイルが採れるようになるとそれまでの米軍の過剰介入が嘘のように無関心になっています。
日本は口先だけ「守る」と言ってもらうために、大きな代償を払わされるでしょう。

政権担当能力2(マスコミ支配)

昨年末から書いているように、マスコミは戦後ずっと米英支配下にあるので、政権が中国寄りになること自体不快に思っている外に、韓国のようにアメリカ・IMF官僚の言うとおり・・経済植民地化に応じない・しぶとい自民党(ひいては日本国民)を追い込むために、マスコミ操作して来た可能性があります。
韓国のように欧米資本が全面的に牛耳って植民地化すれば、その資本・企業が中国といくら取引しようと構わないのが欧米の戦略です。
日産のように外資が過半を占めれば、最早日系企業ではありません。
韓国の大企業がぐんぐん欧米で伸びているのは欧米資本になっているから・・韓国の無茶なウオン安・・いきなり約半値になりました・・政策を欧米はまるで批判しません。
むしろ日本民族資本のトヤタやパナソニック等を追い上げるのを喜んでいる・・応援していると思われます。
サムソンとアップルの争いと言っても、韓国とアメリカ企業の争いのよう日本からは見えていますが、実質はアメリカ資本同士の争いです。
(だからサムソンは遠慮なく戦える面があります・・日本企業だとこんな全面戦争はとても無理でしょう・・)
トヨタはインチキクレームで巨額損失を出したので、本来損害賠償請求すべき立場でしたが、逆に訴えられていた事件で何百億もの和解金を払うことになったとつい最近報道されています。
・・アメリカで長期訴訟に巻き込まれているマイナスの方が大きいという変な判断ですが、民族資本のママだとこのような不当な結果ばかりが待っています。
中国リスク報道ばかり目につきますが、アメリカの方が実は不当な恐喝的行為の多いカントリーリスクの大きい国ですが、巨額でない限りアメリカに支配されているマスコミは滅多に報道しません。
中国批判・対立しながらも中国へのアメリカ企業の進出自体をアメリカは奨励しています。
しかし、欧米企業のママの進出競争では日韓や台湾にとてもかなわないので、日韓、台湾企業の資本を抑えて間接進出すればアメリカ企業の進出と経済効果は変わりません。
マスコミは日本の株式市場や債券市場が外資に魅力がないとしきりに・・ことあるごとに騒ぎますが、(今朝の日経朝刊にもこうした記事が出ています)私がこれまた毎回書いているように国債やトヨタ等の株式の大半を外資に引き受けて貰うことに反対です。
国内でほぼ全量賄っているからこそ、いくら国債が膨らもうと外国からとやかく言われなくても済む・・独立性が保てるし、円高になったくらいで安易に海外に逃げないで歯を食いしばっても国内にとどまる努力をしてくれる・そこから新たな円高水準でも海外で戦える新規事業が生まれる芽が残ります。
欧米は日本の国債・企業等の資本支配をして、そこからアジア進出をしたいのが本音でしょう。
(資本受入れに応じない・・企業買収に簡単に応じない日本企業の中国進出に対しては、戦前の機会均等要求同様に日本の突出した中国大量進出にアメリカは不満を持っていますが、戦前と違って機会は均等なので表向き仕方がない状態です。
(・・中国でのデモ・暴動等を背後でけしかけて日本の進出意欲を殺ぐくらいでしょう)
小泉政権を継いだ自民党3代政権・構造改革路線に反する政権に対するマスコミの揚げ足取り的集中砲火は異常でした。
このころから韓流の大量報道に始まり、マスコミの自制(表向きの政治的中立)がなくなり始めた時代と言えるでしょうか?
マスコミは政権批判の材料として安倍→福田→麻生とどれも世襲でひ弱で政権担当能力がないという集中砲火を浴びせて次々と総理を代わらせて最後に下野させるのに成功しました。
そもそも政権担当・実務能力などと言い出したら、マスコミの標的次第でいつでも集中砲火が可能ですから、マスコミの狙い撃ち次第になります。
実務能力を基準にすると政権担当経験のない野党に政権交代する選挙制度・民主主義制度自体論理矛盾になります。
政権担当実務能力という基準で攻撃出来れば、どんな政権になっても気に入らない政権の場合いつでもマスコミを使って倒すことが可能になります。
ひいては「意に反すればいつでも倒せるのだぞ」という脅しにマスコミを使えることを意味していますが、もともと中立を装ったマスコミの威力は巨大でしたが、この4〜5年のマスコミの動きは露骨過ぎたように思います。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。