TPPが発効した場合、規制基準のあり方等の協議が事実上アメリカ1国主導で進むと思われます。
以下、TPP原加盟国と交渉参加国の状況を紹介しますが、アメリカはTPP後発参加国・・1員でしかないのですが、日本ではアメリカの提示する条件中心に報道されていることを見ても、(原加盟国のブルネイやニュージーランド等の意見など全く報道されません)アメリカ中心に運営されている実態が分るでしょう。
私が3月7日にTPPは(独仏主導)EUのアメリカ版であると書いた所以です。
アメリカはいつも自分勝手(スポーツでも何でも日本が勝ち始めるとルール変更の繰り返し)だとあちこちのコラムで書いてきましたが、アメリカが牛耳るTPPの会議ではもっと遠慮なくアメリカ標準の押し付けになるのが目に見ています。
TPP加盟各国の政府は、今の日本で言えば都道府県知事政府のような役割になるのでしょうか?
地方自治政体政府は、中央政府の法律に反しない限度で条例を作れるだけですが、各国政府はTPPで合意した規制基準に違反しない範囲で独自の規制や工夫を出来るだけになります。
言わば今の民族単位の政府は、グローバル化前の民族国家内の地方政府のようになって行くのでしょう。
参考までに現在の地方自治体の権限を紹介します。
日本国憲法
第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
明治維新まで主権政府だった300諸候(大名)が、その権限を中央政府に返上(版籍奉還)したのと同じようなことになります。
世界標準・統一化化が進むと、民族固有の文化色が薄まって行くことが予想されます。
明治政府樹立前には、地域ごとに固有の文化・方言がありましたが、それが徐々に衰退・縮小して行ったのですが、それでも同一民族内だったから許せたんだという人もいるでしょう。
その点を考えるとTPPは異民族間の条約体でしかないのですから、TPPの場合はいつでも脱退が出来る仕組みになっているべきでしょう。
ユーロの場合も脱退が可能ですが、その制度設計がはっきり出来ていないので、通貨同盟に関してイザ脱退になると実務上大混乱が起きるようです。
政府の一部になると、脱退は反乱軍扱いですが、条約で縛りあっているに過ぎない以上は、そこが違います。
条約事務局機関=中央政府と加盟各国=自治体の関係として比喩した場合、車で言えば、型式認証や道路交通法は政府・TPPが決めますが、自治体・各国政府は個別道路に即してスピード制限や一方通行の指定、駐車禁止場所の指定程度しか出来ません。
TPP参加すれば、いろんな分野で大枠が(アメリカ主導で)決められて行くので、現在の中央政府は今の地方自治体みたいな仕事しかなくなって行くことになります。
(今は国際的取引の多い金融・商業ベース関連だけでしょうが、行く行くは、文楽や歌舞伎等への補助なども知財に関する重要な非関税障壁だとなって行く可能性がありますし、右ハンドル車も許されなくなるかも知れません。)
こうなって来ると右翼の心配するように民族固有の文化まで侵害されることとなりますが、そこまではいくら何でもアメリカは簡単に踏み込んでは来ないと思われます。
そこまで行くには、今の日本のように民族間の融合がかなり進んだ段階まで無理でしょうから、伝統芸能として保存されるだけになってくれば・TPPの交渉対象にもなって来ないでしょう。
明治維新による統一国家樹立の結果、各地固有の文化保存は中央政府のさじ加減と地元のの熱意によることになりましたが、東京の政府だからと言って、各地方の民俗芸能をないがしろにしてきませんでした。
大阪で生まれた文楽に対して冷たくあたっているのは、地元大阪に地盤を置く維新政党です。