ロシアと陸続きで黒海の奥深くのウクライナ・クリミア半島とは違い、尖閣諸島の場合は尖閣諸島支配に関して当面アメリカ自身に利害があるので防衛義務を果たすというのですから、そもそも軍事的に中国は手出しできません。
「日米同盟強化」Published January 7, 2013に書きましたが、尖閣諸島は中国海軍の太平洋への出入り口を扼する要衝の1つである上に台湾防衛上も重要拠点です。
アメリカが台湾を見捨てるなど、西太平洋の覇権を諦めない限り中国はアメリカの干渉を排除できません。
「戦後秩序価値観共有」という価値観外交を中国が最近西洋まで出っ張って展開し始めていますが、それだけでは、アメリカによる尖閣諸島防衛をやめさせることが出来ません。
価値観は重要と習いますが、対ロシア制裁の足並みの乱れやアメリカの尖閣諸島コミットを見ても分るように、国際政治では道徳や崇高な価値観よりは実利次第・・実利には叶わないが現実です。
個人レベルでは道徳が行動基準になっている人が多いですが、組織団体の行動基準は組織設立後の歴史によるのでまだ幼児段階にとどまっていると書いて来た応用例です。
勿論実利には大義も必要ですが、両輪そろうと最大効果を発揮できる関係になっているに過ぎず、大義だけで行動するのではありません。
中国としてはアメリカの体力がなくなって行き、西太平洋の覇権を諦めるように執拗に迫って、その実現を待つ戦略しかないでしょう。
アメリカがもし中国の覇権主義的軍事行動に対して経済制裁をした場合、中国の味方をして逆に日本やアメリカと経済断交・・金融取引中止を申し入れる国はあるでしょうか?
衰えたりとは言え,アメリカの世界支配力は強力ですし、日米合算の経済力はなお世界で突出しています。
中国の属国になったつもりの韓国でさえ、中立だと言ってアメリカの制裁に従わない・・これも無理なので、1週間待ってくれなどと先送りを申し出て抵抗するのがやっとでしょう。
アメリカによる経済制裁がなく、中韓と日本の制裁合戦になれば日本の方が多く資本を投下しているし、駐在員も多いので即時的には日本の方が不利益を被ります。
天然ガス禁輸すれば即時にウクライナや西欧が困るのと同様ですが、この場合ロシアも輸出がゼロになって経済的に参ります。
直接効果だけを見ればガス欠の方が直ぐに困るのに対して、輸出国はお金が入らなくなるだけですから直ぐに困る訳ではありません。
しかし、中長期的には輸入国の方が有利です。
輸入国が孤立していない限り、他国から輸入をすれば済むので一定期間経過で日本がレアアースを確保したように(割高になるかも知れませんが・・)ガス不足が解決します。
要は輸入先変更に必要な一定の備蓄があれば済むことです。
日本の場合短期資金の投下ではなく工場等の生産面やスーパーなどの資本投下中心ですので、簡単に逃げられない不利益がある代わりに、中国国内の操業が停止・縮小すると中国経済に与える影響が甚大になります。
生産や販売は需要・必要がある限度でやっていることですから、中国の方も国内生産機能が麻痺し製品を原料等にして加工している業界が困るし、その分の労働者も失業するので困ってきます。
2年ほど前の反日暴動ではスーパーの焼き討ちがありましたが、そこで買い物をしていた人が買い物が出来なくなったし、これの再開を認めないと納入業者が商品納入できなくなって倒産するし、店員の仕事がなくなり結果的に国民が困る関係です。
トヨタ車や工場生産設備打ち壊し・基幹輸入部品に対する関税渋滞・・嫌がらせも現地企業でトヨタに納入している部品業者にとっても同様の結果が待っています。