経済不振国の高金利(緊縮政策)

ブラジル(インドネシア)などは、もの凄い景気減速→急激な通貨安に見舞われてしまい、景気減速下での金利引き揚げしかないジレンマに襲われています。
8日に紹介したようにブラジルは景気減速下で11、75%〜12、25%に引き揚げるしかないのですから無茶苦茶・・経済活動が窒息しそうな金利です。
通貨安は貿易上有利ですが、一定限度を超えると純債務国では、ドル建て負債の支払が膨らみ過ぎて支払不能になるリスクがあります。
経済弱小国では、大幅景気悪化になると、金利を下げるどころか逆に金利を上げて通貨防衛するしかない状態です。
(一般商取引では、資金繰りが苦しくなれば、金利を下げて欲しいのですが、逆に金融機関の提示する高利でも借りるしかありません。
国単位になると通貨主権があるとは言うものの、弱小国では不景気になっても低金利にして国民を助けるどころか、自主的に高利を設定して外資を呼び込むしかない点は経営不振に陥った商人と同じです。
この辺は伝統的な経済セオリー・・不景気になれば金利を下げて過熱すれば金利を上げると言う金融政策はグローバル化時代には、時代遅れになっていることが分ります。
日本の場合、純債権国であり所得収支黒字国ですから、円安になると貿易収支が有利になる外に収益金や返済される金額が増える仕組みです。
・・・例えばアメリカに投資したり貸した収益が100億ドルで同じ状態でも、円換算の日本での受取金額が1ドル80円台のときと120円では大きな差がでます。
(800万円の返済予定額が1200万円になります)
債務国で通貨が半値になると輸出には有利ですが、同じ1億ドルの借金返済で言えば自国通貨では2倍の負担になってしまいますが、輸出がイキナリ2倍に増えないのでデフォルトになってしまいます。
純債権国では円高になると貿易収支が悪化する外に、海外資産の円評価減や海外収益の円換算手取りが減るので3重苦になりますが、円安は3重の恩恵です。
純債務国ではこの逆回転になります・・1〜2%ずつ通貨安になると貿易収支の有利さが上回りますが、急激な通貨安だと付いて行けなくなるのが普通です。
人事で言えば、徐々に地位が上がれば対応出来ますがイキナリ何段階も飛び越して地位が上がると準備・適応能力不足で大失敗してしまう・・政敵になりそうな有望若手を早めに潰すために行なういわゆる「官打ち」効果と同じです。
財務省と学者の主張する「財政赤字のままだと大変なことになる」と言う意見は、純債務国に通用する議論を純債権国の日本に当てはめているので、多くの人が感覚的にピントと来ないのです。
貿易赤字が続くと通貨変動による競争力修正作用によって徐々に物価高になって購買行動が手控えられて行くと輸入が減って輸出が増えるので貿易収支が均衡しますが、南欧諸国はユーロ域内にあって独自通貨を持たないので通貨安による国際競争力修正機能が働かない以上は、際限ない赤字を溜め込んで行きこの赤字穴埋めに国債発行・財政赤字を続けて行くと結果的に国債の信用性がなくなってデフォルト危機に陥ってしまいました。(一種の固定相場制の無理が出たのです)
この解決のために緊縮政策の実行をECBから求められていますが、為替変動による事実上の修正作用と違って権力的緊縮政策は政治的には無理があります。
この辺については、日本の地方交付金のような再分配政治が必要であることをJuly 10, 2014「国内生産過剰9(人口縮小策3)」に書きました。
ドイツ等北部諸国は南欧等の弱い国をバスケットにすることで、自国の競争力からすれば(マルクのトキにはマルク高になっている筈のところ)ユーロが割安通貨になって、輸出好調でも通貨が上がらないで得をしているのですから、その分域内で再分配をするのが公平です。
この辺の配慮が足りないドイツ等の言い分ばかりでは、本当の解決にはならないでしょう。
ブラジルは独立国ですから、ギリシャのように外国から強制されませんが、通貨暴落→国民生活大混乱を避けるためには、結果的に金利を上げて国民に痛みを強いるしかない状態に陥っています。
為替の急落が大騒ぎになる・・急激過ぎる変化が危険・・コマメな変化・・早めの修正適応が重要なことが分ります。
健康管理を怠ると大病するようなものです。
政権に不都合だからとコマメな変化対応を怠っていると、あるときにダムが決壊するような大打撃を受けるしかありません。

主要国金利差と国力差2

弱い国や民族や集団は合法的(多くは支配権力層の都合で作った法制度)競争で負け続ける不満がたまると、テロや暴動等の非合法手段に訴えるしかないのは古来から同じです。
アメリカでは時々黒人差別に対する暴動(ボルチモアの騒動では黒人層だけではなく白人も参加しているようですから、底流に現状に対する不満が溜まっていることが分ります)が起きています。
アメリカ流の洗練された暴動形式である裁判を利用出来るのは支配権力をバックに持っている集団だけですし、トヨタパッシング等で利益を受けるのは、競合業界だけで個々人には及びません・・中国の官製デモや政府主導のパッシングも同様です。
個人が化粧品や食品被害などで天文学的懲罰賠償を求めて大企業パッシングをしても、関係ない人が多く貧困層の日常的不満解消には役立ちません。
国内強者・・国際競争力では弱者が権力バックのパッシングを出来ますが、社会内弱者の不満解消には、中国でも、アメリカでも何かの切っ掛けを求めて国内非合法暴動・略奪しかないことが分ります。
日本は政治がうまく回っている・・国民の鬱屈度が低いので、東北大震災のような権力空白があっても略奪が発生せずに逆に助け合いの気持ちが顕在化します。
アメリカは戦後世界最強経済を誇っていましたが、次第に日本が追いついて来て弱い特定分野が生まれて来ると一種の非合法手段を多用してきました。
(日本製車をハンマーでぶちこわすテレビ報道を記憶している方が多いでしょう)
弱い分野が増えて来た→弱い分野の方が多くなって来て強いのは今では資源だけ→資源国・弱い国の仲間にはいってきたにも拘らず、武力で無理を通そうとする覇道支配・・正義に基づかないアメリカの都合に合わせたルール変更が多くなるとセカイ中・・不満がたまります。
フランス企業が昨年1兆円規模の罰金をアメリカに払わされたと報道されていましたが、同じパターンです。
日本ではこう言う大事件以外にはあまり知られていませんが、フランス(に限らず欧州諸国)もこういうことの繰り返しを受けていると、トキにはアメリカの鼻を明かしてやりたいと言う不満がたまっているでしょう・・これが欧州諸国のAIIB参加の基礎心情です。
前置きが長くなってしまいました。
ブラジルは不景気進行中にも関わらず大幅金利上げを余儀なくされています・・その他の金利を見ると経済力との比例関係が一目瞭然です。
主要国金利差を見ましょう。
以下はhttp://www.e-sumaisagashi.com/new_page_49.htm
(更新日 2015/02/10)
からのコピペです。

日  本 日本銀行(BOJ) 無担保コール翌日物金利 0.0~0.10% 2010/10/05
公定歩合(基準割引率および基準貸付利率) 0.30% 2008/12/19
短期プライムレート 1.475% 2009/01/13
長期プライムレート 1.15%  2015/02/10

米  国      FRB(連邦準備制度理事会) 公定歩合 0.75% 2010/02/19
FF金利     0.0~0.25% 2008/12/16
EC(欧州連合) ECB(欧州中央銀行) 短期オペ最低応札金利 0.05% 2014/09/10
イギリス     BOE(イングランド銀行) オフィシャル・バンクレート 0.50% 2009/03/05
オーストラリア RBA(オーストラリア準備銀行) オフィシャル・キャッシュレート 2.25% 2015/02/04
※日本の「短プラ」「長プラ」いずれも、みずほ銀行のデータです。  

<日本および主要国の政策金利 変更内容の主な履歴>  (更新日 2015/03/01)

2015/03/01 中 国 中国人民銀行が金融機関の貸出金利を0.25%、預金金利も0.25%引き下げる。その結果、1年物の貸出金利は5.35%、1年物預金金利は2.50%となった。
2015/02/04 豪 州 RBAがオフィシャル・キャッシュレートを2.50% → 2.25%へ引き下る。最低水準を更新。
2014/12/16 ロシア ロシア中央銀行が政策金利を10.5% → 17.0%へと大幅に引き上げる。自国通貨ルーブルの下落を阻止する狙い。
2014/11/22 中 国 中国人民銀行が金融機関の貸出金利を0.4%、預金金利を0.25%引き下げる。その結果、1年物の貸出金利は5.60%、1年物預金金利は2.75%となった。引き下げは2年4カ月ぶり。
2014/10/15 韓 国 韓国銀行が政策金利を2.25% → 2.00%へと引き下げる。過去最低の水準となった。」

以下は、5月6日現在http://www.fxstreet.jp/economic-calendar/interest-rates-table/の引用です。
中央銀行金利?とは、銀行貸し出し金利のことかも知れませんが念のために紹介しておきます。

「世界金利表は、世界の主要国の中央銀行が設定した現在の金利を記しています。
「金利により、その国の経済の健全性を評価することが出来ます。
中央銀行は景気が拡大している場合、物価上昇率を押し上げるために利上げを実施する傾向があります。」
主要中央銀行
Central Banks     現行の金利 次回の金融政策発表予定日 前回の変更日
オーストラリア準備銀行   2.000 %  7-7-2015 – 04:30:00 5-5-2015 – 04:30:00
連邦準備制度理事会    0.250 %  17-6-2015 – 18:00:00 29-4-2015 – 18:00:00
スイス国立銀行     -0.750 %  18-6-2015 – 07:30:00 19-3-2015 – 08:30:00
欧州中央銀行       0.050 %    3-6-2015 – 11:45:00 15-4-2015 – 11:45:00
日本銀行        0.100 % 30-4-2015 – 04:05:34
ニュージーランド準備銀行 3.500 % 10-6-2015 – 21:00:00   29-4-2015 – 21:00:00
カナダ銀行       0.750 %  2-12-2015 – 15:00:00   15-4-2015 – 14:00:00
イングランド銀行     0.500 %  4-6-2015 – 11:00:00   9-4-2015 – 11:00:00

中華人民共和国      5.350 % 5.600 % 28-2-2015 – 10:00:00
オーストラリア     2.000 % 2.250 % 5-5-2015 – 04:30:00
インド        7.500 % 7.500 % 7-4-2015 – 05:30:00
香港特別自治区     0.500 % 1.500 % 17-12-2008 – 02:00:00
大韓民国        1.750 % 1.750 % 9-4-2015 – 01:00:00
ブラジル       12.750 % 12.250 % 4-3-2015 – 17:00:00

以下はhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASGM04H2W_U4A201C1EAF000からの引用です。
ブラジル中銀が連続利上げ 政策金利11.75%
2014/12/4 9:36
 【モンテビデオ=宮本英威】ブラジル中央銀行は3日の通貨政策委員会で、政策金利の基準金利を0.5%引き上げ年11.75%にすると発表した。利上げは2会合連続。景気低迷が続くなかで消費者物価の上昇率は中銀目標の上限(6.5%)を上回る。引き締め加速でインフレ封じ込めへの姿勢を鮮明にした。
 利上げにより、経済がさらに停滞する懸念は強い。7~9月の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比で0.2%減だった。前年同期比でのマイナスは2四半期連続。通貨レアルは対ドルで下落しているが、鉱工業生産は戻っていない。

 ブラジル中銀は2013年4月から9会合連続で利上げしていたが、景気の停滞感が強まり、今年5月の会合で据え置きに転じた。その後はインフレ圧力が強まったため再び利上げを始めた。」

主要国の金利差と国力差

明日以降になりますが、主要国の金利差を比較すれば体力のある順に金利が低いこと・・弱い国が強い国よりも金利を低く出来ないことが分りますし、経済実態で世界でどこが信用されているかも分ります。
(この種の意見はApril 24, 2013「外貨準備の内実1(中韓政策金利の推移)」で書いていますが、今回は主要国とブラジルを含めた具体的金利差を見ておきましょう。
日本が世界で最低金利水準を長く続けていますが、これが出来るのは基礎体力が世界で一番強いことの現れです。
財政赤字と世界の信用とは関係がないことを繰り返し書いてきました。
日本が金利をアメリカよりも高くすれば、アメリカは更に引き上げるしかない・・アメリカは国内経済だけ見て金利を自由に決めることが出来ない状態・・言わば金利決定権を日本が握っている状態です。
日本はこういうことを自慢しないで、逆にアメリカの動向を見ないと日本は引き上げることすら出来ないと言う逆の意見になります。
マスコミはアメリカ国内雇用水準だけで金融緩和をやめるかどうかをアメリカが決めるかのような報道が中心・・日本金利との比較を全く書きません。
アベノミクス以来日本の円安が進んでいて、アメリカ企業の輸出競争力阻害が話題に上っているにも拘らず、アメリカがこれにケチをつけない点をいぶかしむ論説が多く見られます。
これを政治に結びつけて国際政治情勢による日米蜜月しかないから日本叩き出来ないと言うのが普通の発想ですが、政治状況はそのとおりですが、政治は実体経済を無視してはホンの短期間しか成り立ちません。
日本の円安は低金利によるところが大きい・・即ち日本の低金利政策をやめさせるにはアメリカも金利を上げる体力がない限り、日本に金利引き上げ強制出来ない点にあると見るべきです。
経済論理上ではそうなるしかない・・円高強制出来ないとすれば、ゲリラ的に1兆円規模の罰金をとったり数年前のトヨタ標的騒動や・・昨年来のエアバッグ騒動のような個別パッシングを繰り返して日本企業に大損させるしかないかもしれません。
江戸時代に商人からの徴税方法がなかったことから、時々豪商の取り潰しや冥加金徴収によって、幕府が大金をせしめていたのと同じやり方です。
早くからスポーツ分野では日本選手が圧倒的に強くなると競技ルールを変えることが目立っていましたが・・・・アメリカは自分の定立した自由貿易競争に負けるようになると腕力にもの言わせて、日米繊維交渉等に始まって、業界別に無茶な要求をして次々と半導体など日本の世界独走業種を潰してきました。
個別業種潰しがうまく行かなくなるとプラザ合意以来円高強制で根こそぎ日本の競争力を奪って来たのですが、世界情勢変化で日本を敵視ししていられなくなったことと、国力比の関係で自国より日本金利が高くなると困るので、金利安=円安政策を許容するしかなくなりました。
こうなると再び通商法の出番ですが、これも上記のとおり、国際政治力学上日本を標的にすることは不可能ですから、出来ることは中東諸国並みのゲリラ・テロ行為しかありません。
中東諸国では政府自身がアメリカの価値で法を作っているので、その国の法でもテロは違法ですが、アメリカの場合なお世界1の強国ですから自分勝手な法律を作ってセカイに守らせる力を持っています。
(これをこのコラムでは覇道支配と書いています)
スーパー通商法と言う法律を作ったり、何兆円払えと言う無茶苦茶な裁判をして嫌がらせをするのは、一種のテロ・暴動・略奪ですがアメリカ国内では合法として守られていますし、どこの国も抗えません。
現在も武田薬品が大型裁判をされていて薬害の根拠がないが、長期の訴訟費用負担に耐えられず何千億円の和解をすることになった・・この結果損失引当金の必要→赤字決算になると言う報道です。
後進国・・経済競争で負けている国では自国産業保護のためには、(4〜5十年以上前の記憶ですが・・)インドネシアの例で言えば、時々反華僑暴動・焼き討ちなど起こすしかありませんでした。
中国で官製の反日暴動が発生したのは記憶に新しいところですが、これに対する世界批判に懲りた中国では、昨年来方針を変えて特定セカイ企業のブラック性を集中報道したり、(アップルを手はじめに次々です)あるいは独占禁止法違反や贈収賄疑惑の取り調べなどして結果的にその企業に大打撃を与える手法・・アメリカ式に変化してきました。
アメリカは自分がやっている方法ですから、これに文句を言えません。
今でもアメリカあるいは中国に進出している限り(政府やマスコミのバックを受けて)標的にされる企業は千億円単位の損害リスクにいつも備えておく必要がありますが、TPPが成立するとアメリカ式巨額賠償請求をされても参加国が今のように陰で「酷い社会だ」とは言えなくなる「これで良いと約束したでしょう」となる点・・お墨付きを与える点が大きな違いになります。
それどころか、今まではアメリカで商売さえしていなければアメリカで訴えられる心配がなかったのですが、(中国がイヤなら行かなければ良いと言うのと同じです)TPPが発効すると日本国内での行為でもアメリカ企業が損をしたとアメリカで裁判出来るのですから(取り決め交渉中すから実際に合意内容がどうなるかはまだ決まっていません)、無茶苦茶裁判→略奪される対象がもの凄く広がります。

中韓の外貨準備2

中韓共に目先の金儲け主義ですから、リスクが高い分・高金利の新興国債券への投資・保有比率が高いと噂されていました。
ところが、原油安が象徴しているように資源国・新興国経済が悪化しているここ数年の国際経済情勢が、中韓の保有外貨の評価減=モロにマイナスに響いている様子です。
中韓の国内景気減速と資源国経済減速が同時進行している点が、マイナスのダブル・トリプル効果を生んでいる様子です。
日本の上得意は北米ですが、韓国は中国比率が高く、中国は欧州比率が高いのですが、それぞれ経済危機状態ですから大変です。
中国による爆買いを前提に資源国が潤っていたし、オーストラリア等が中国寄り変化が生じていたのですが、中国の経済減速が資源下落の引き金になってきました。
米国向け輸出比重がもの凄く高い富士重工の業績と資源国や中国向け輸出比重の高いコマツの業績変化を比較すれば見れば明らかです。
この経済関連構図から見ても、AIIB設立を巡る日米対中韓+欧州+資源国オーストラリアと言うグループ分けが必然だったのかも知れません。
韓国が日本の円安によって経済苦境に陥っていますし、アジア危機当時と比べて今は外貨準備が3000億ドルもあるので日韓スワップ終了しても大丈夫と主張しているのですが、これが本当ならば、思い切った金利引き下げ→ウオン安にして円安に対抗すれば良い筈ですが、これが出来ずそろりそろりしか金利引き下げしか出来ないのは真水の外貨準備が少ないからと言われていますが、中国も同じ体質・・外貨準備の実質的内容が悪いのではないかと推定されます。
韓国は為替操作国として有名で、製品共通性の多い日本はこの為替操作のために長年苦しめられて来ましたが、中国も為替操作のために人民元を売ってドルを買い集めていたのと同じ構図が推定されます。
ドル買い支え=元やウオンの低め誘導・為替操作による大量のドル取得=同額の人民元やウオン紙幣が国外に流出していますので、これがこれからボデーに効いてきます。
外貨準備の内、ドル買い支え資金分はこれと同額の借金証書=人民元やウオン紙幣を発行してしまっているのですから、同額の実質借金をしているのと同じです。
買い支えで取得したドルをアメリカ国債購入資金にしている場合、人民元やウオンが値下がりする局面が来れば、誰でも損したい人はいないので、国外に流出している=国外で誰かが保有している人民元やウオンを売ってドルを買い求める動きが始まります。
中国では東南アジア諸国への生産基地の移転が始まって、国内生産が縮小過程に入っていて、他方で不動産バブル崩壊が始まっていることは明白です。
これを防ぐために思い切って金利を下げると不良企業の延命リスクがあるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
バブル崩壊・・国内製造業不振による景気悪化防止のために、思い切って金利を下げると不良企業の延命リスク・・バブル退治より更なる拡大策・・になるだけではなく、人民元大暴落の引き金になるのが怖いので、預金準備率引き下げや特定金融機関向け資金供給(紙幣供給量を増やす)政策中心になっていると言われています。
金利を下げる代わりに紙幣発行量を増やすと紙幣価値が下がる→人民元下落圧力が高まる→人民元防衛のために外貨準備の取り崩しが多くなるので、結果的に人民元が下がる点は同じです。
新興国では金利引き下げはすぐに通貨下落に繋がりますが、紙幣大量供給でも効果が出るまでの時間差がある程度でしょう・・先送りでしかありません。
日本財務官僚が頻りに財政赤字→暴落=金利上昇を強調しますが、日本の場合世界最大の純債権国ですから、ゼロ金利にしてもマイナス金利にしても円や国債暴落の心配をする必要が全くありません。
日本の金利が安ければ、信用のある円を日本で借りて金利の高い外国へ持って行って利ざやを稼ぐ円キャリー取引を誘発して円が逆に上がる傾向になります。
世界の金利水準は国力・世界の信用に反比例するのが経済原則です。
アメリカ経済が好調を維持しているので、低金利政策が近い内に修正されそうというのが・・当初は昨年9月の予想でした。
アメリカの金利が少し・・精々0、何%上がると言う噂・・新興国からアメリカへ資金が流出する予想だけで、新興国・見かけの統計・発表は健全でも実質的にはおかしいと市場が見ている国が通貨下落に見舞われるのが普通です。
今朝の日経新聞朝刊5ページにはインドネシアの通貨下落とインフレによってジョコ大統領支持率が急落している状況が紹介されています。
現在の主要国金利と弱小国の代表としてブラジルの金利変化を明日のコラムで比較しておきましょう。

中韓の外貨準備1(真水)

中国の巨額外貨準備と言っても、日本のように長期に及ぶ経常収支黒字の積み上げとは違い、銀行が預かった預金でお金を貸したり他国の国債を買っているような状態で本来の自己資金比率が低い状態と推測されます。
一種の預かり金や借金の運用がアメリカ国債の保有であるとすれば、逆回転・・人民元の買い戻し圧力・・預金取り付け騒ぎが起きるとたちまち行き詰まります。
これが1997年ころに起きたアジア通貨危機のカラクリでした。
ところで、中国のGDP統計発表自体およそ7〜8%水増しを繰り返していたのではないかと言う憶測が普通(少なくとも私はこのコラムでそう憶測して書いてきました)です。
中国では、(実質マイナスになったら大変ですから)7〜8%の経済成長率が生命線と従来強調されていたのと平仄が合います。
(この上乗せ発表を何十年もやって来たので、累積すれば大変な誤差で実質GDPは公表の3分の1くらいしかないとアメリカのどこかのシンクタンクが研究発表しています・そのGDPも無駄なマンション鬼城等を一杯作った不動産投資が中心ですから、将来発展の基礎にも殆どなっていません。)
最近は公式発表でも6〜7%になったようですから、実質マイナス成長に陥っている筈です・・何故か最近業種別統計が出るようになって、いろんな業種でマイナス数%の統計が出始めています。
主要業種・・例えば、鉄道輸送実績では前年比14年で7%減)でマイナス6〜7%(この統計も何%かの誤摩化しがあり得ますのでそのとおりの信用性がありませんが・・)と言うのに、トータルでなお7%弱のプラス成長をしていると言う発表をし続ける神経が不思議です・・以前のGDP数字はいい加減なものだと、徐々に慣れてもらうための訓練かも知れません。 
過去の貿易黒字発表も相手国の輸入数字と大幅に違うことが、以前から指摘されてきました。
国内経済統計自体が水増しですし、外貨準備は国内に保有する金塊等も含まれるのですが、どこの国でも内訳発表しませんし、したとしても言いたい放題でも相手国発表との整合性がないと指摘される心配がありません。
IMFだったかで中国の外貨準備増減を発表していますが、中国のいい加減な発表を基に推計しているのでしょか?
外貨準備発表自体何(金塊その他を金庫に満杯に持っていると言うのか?)をどこに持っているのか、外部からは窺い知れないことから実態は見えませんが、ある国の外貨準備総額の動きはアメリカ国債保有額の増減が大きな目安になるでしょう。
一般的経済原理では、小国の通貨保有していると、変動リスクが大き過ぎるので、その国との貿易決済に必要な程度の一定比率の資金しか保有しないのが普通です・・個人や企業で言えば日常的に不要な大口資金は定期にして、普通預金には日常決済用小口資金しか入れておかないのと同じです。
大口資金は金塊のままでは金利が付かないので、これも一定比率を国内保有するだけで、一応金利の付く・・・信用性のある国際通貨・・・米ドルや円、ユーロなど国際通貨にしておくのが普通です。
(0.0何%でも兆ドル単位の額面になると受け取る金利は半端ではありませんから・・)
中国のGDPや国内暴動数等の発表は、絶対数字では当てになりませんが、一定比率で水増したり減らしたりして発表しているとすれば、経年変化を読むことが推定出来るのと同様で、アメリカ財務省証券は世界で一番信用性が高い・・この保有額が減る場合、同率で国力・経済力低下が進んでいると推定されます。
中国は、従来のドルを買って人民元を安くする政策から人民元の買い支え作戦に変化していることが、昨日紹介したNHKの報道にあるように知られています。
これは反日暴動以来の外資流出(中国へ投資した工場等を売却して得た人民元をドルに替えて出て行く動き)+貿易黒字減少(実際は赤字?)でドル資金不足(流出超)になっていることが、背景にあると見るべきでしょう。
中国が大きなこと(大言壮語)を言っていても対外債務(ドル建て債務)国ですから、一旦人民元が下がり始めると返済額がその比率で膨らみますので大変なことになります。
これが97年ころのアジア通貨危機でした・・・昨日紹介したNHK報道のように人民元下落防止に必死の様子ですから、外貨準備は実際に(借金を引いた真水で)は大したことがなかったのではないでしょうか?

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。