既発債と借換債発行

ホットマネー規制から独裁制と情報規制が表裏の関係あることに話題がそれましたが、中国のデフォルトリスクに戻ります。
借入金の場合は額面保証債務ですから、満期が来れば、相場下落とは関係なく券額面を払うしかない・・1割でも不足すればデフォルト・企業で言えば倒産になります。
相場の重要性に付いて考えておきますと、ある企業が株や社債を一旦発行してしまえば、その後いくら相場が下がっても発行企業が手に入れた資金に変化はありません(下がっても満期が来るまで返す必要がない)ので、本来何の関係もありません。
購入者も満期まで持てば元利金保障ですから損がありませんが、満期まで持たずに転売したときに相場下落によって損するだけです。
損をしてでも早く売りたいのは満期になってから返済不能と言われると困ることや、この間の金利動向(金利が上がるともっと高い金利の債券に乗り換えたいこと)によります。
発行体も一旦発行して資金を得た後に、その後の社債や新株発行等による資金手当を必要としていなければ途中でいくら下がろうと何の関係もありません。
「釣った魚に餌をやらない」と言う中国式開き直りが通用します。
しかし多くの企業は絶え間ない投資金や借換債の発行を必要としているので、その後の新株発行や社債発行(借換債)は発行時の相場によるので、(相場が10%下がっていれば・・100万円額面でも90万円でしか売れない・・実質金利が券面表示プラス10%となってしまいます。)企業経営者はいつも自社株式相場に一喜一憂せざるを得ません。
これが10年に1回ならば気楽ですが、毎年10年債を発行していると年に1回期限が来ますし、仮に3〜5〜7〜10年満期国債・社債でも大量に発行している結果、一定期間ごとに絶え間なく償還期限が来るので、しょっ中次の発行に向けた準備が必要で、一定期間ごとに資金手当が必要です。
資金需要その他をならすためとリスク分散のために、企業でも国債でも(10年に1回にまとめないで)分散発行しています。
ギリシャ危機報道では、毎月のように次の◯◯日に来る期限をどうやってクリアーするか・・次の崖が話題になっているのはこの結果です。
社債、国債等の多くは、元金満額をこの発行期間中に儲けて返せる企業はなく、借換債の発行で手当てしています。
この仕組みは以前書きましたが、トヨタ等が工場進出資金を社債で手当てした場合、土地購入から工場建家建築〜機械類の設置などして動き出すのに2〜3年かかりますので、ある程度採算が取れるようになるのに数年かかり、更に利益が年1割前後出るようになってからでも全額=10割まで積み立てるには気が遠くなるほどの期間がかかります。
上記のとおり投資資金用の場合、3〜5〜7年満期で、投資資金全額を回収出来る訳がないことを見ても借換債の重要性が分ります。
ほぼ100%の社債や国債の満期償還資金手当が、借換債の売却金収入に頼っていることから、公開企業や国債発行体はその時期に向けた相場に神経質にならざるを得ない状況です。
新規借換債の発行価格が発行当時、半値〜3分の1に下がっているときには、同額でしか引き受け手がいないことになりますので、返済予定額面の2倍(表面金利プラス100%の金利)〜3倍(同300%金利)額面の社債・国債を発行しないと返済資金が足りなくなります。
この借換債の満期が来れば大変なことになりますが・・ここまで暴落すれば投資家は倒産リスクの方を重要視するので、社債の引き受け手が出ない・借換債発行不能でデフォルトになります。
中国が「一旦日本企業が進出してしまえばどうしようと勝手だとばかりに中国進出企業を痛めつければ、次の進出企業がこれを参考にする」と6月1〜3日に書きましたが、債券や株式相場の場合相場にモロに出る仕組みです。
支配下に入れば家畜同然・・やりたい放題・専制的に振る舞いたい中国政府が、相場感受性の高いホットマネー流入・・規制がなければ簡単に逃げられるのを嫌う理由です。
ホットマネーのように簡単に逃げられる資金の場合、・・資金流出が始まると勢いが付いて簡単には止まらなくなります。
ホットマネー規制は、それに耐える体力がないことと、高成長・・投資魅力を煽って資金流入させている手前、相場下落基調に入ってもそれを大っぴらに知られたくない・・実態と外見が合っていないからです。

独裁体制と情報規制3

預金金利が強制的に安く設定されていたことから中国のインフレ(成長)・物価上昇率等からして、預金の実質マイナス金利状態が続いていました。
これでは普通の人(まして中国人は利にさとい特性があります)が高利回りのシャドーバンキングへの投資?預金?に走ってしまったのは仕方のないことです。
規制された低金利では銀行預金が集まらないので、低金利で集まった?特定資金を国有企業中心に貸し出すことから、一般民間企業は殆ど銀行を利用出来ない・シャドーバンキングやヤミ金融に頼るしかないと言われていました。
シャドー・・まさに影のヤミ?高利回り保障の銀行?が発達してしまった結果、今やこの処理が大変なことになっています。
以前書いたことがありますが、中国民間企業は高金利借入金に頼っているので、一定の成長・・毎年前年比何割増の売り上げがないと高利を返せなくなる仕組みです。
これが、7%以上の成長が至上命題になっていると言われていた金利的基礎でした。
リーマンショック以降実質(公表統計が信用出来ないことを書いてきました)マイナス成長に陥って来ると、高金利を払えない・・ひいてはシャドーバンキング自体の経営が成り立たなくなります。
世上不動産バブル崩壊→シャドーバンキング倒産と言う図式で語られてますが、それは引き金になるでしょうが、その前に一般企業へ高利で貸していた資金が焦げ付くこと・・不良債権率の増大で体力消耗が限界に来ていると言うことです。
4兆元投資では収まらずに次々と大型国内投資連続で先送りして来た延命策でも、どうにもならなくなって来て、最近では統計誤摩化しも限界・需要の強制創造・過大投資継続による需要不足の先送りも限界になってきました。
超低利でうまいことしている国有企業や共産党幹部にコネのある企業グループと恩恵のないグループの二局化があっても、高成長期にはみんなが儲かっていたので、気にならなかったでしょうが、マイナス成長になって、バタバタ倒産・夜逃げが増えて来ると、2極化を是正して、市場金利・市場競争一本(公平)化していかないと国内不満が収まりません。
裸官等の巨額収賄が政府公認で大騒ぎになって行ったのも、同じく不公平感のガス抜き・是正圧力に苦しむ構図と見れば理解出来ます。
現在の収賄官僚の大規模摘発は粛正策・権力闘争であると同時に国内不満のガス抜き策でもあることは、周知のとおりです。
本音は、政敵粛清目的ではあっても、習近平周辺も大っぴらに賄賂収受が出来難くなりますから、不正・不透明収入分野は、粛清の嵐が終わった後も、大きく是正されて行くでしょう。
金融システムを正常化・・資金繰りを(コネの有無にかかわらせず)公平化するには基になる銀行預金金利を正常化するしかありません。
これに向けた第一歩として昨日紹介したウオールストリート記事のように昨年から徐々に金利の裁量幅を引き上げて馴らし運転をした上で、その内自由化するつもりでしょう。
(為替取引の変動幅を広げて来たのもこの流れです)
預金金利幅を需要実勢に応じて引き上げて行くと、銀行の仕入れ価格の上昇になるので、裁量の幅を引き上げられても銀行はすぐにはこれに応じられません。
預金金利が実勢近くなって来る→これに比例した融資金利引き上げとならざるを得ません。
国有企業・幹部コネのある企業だからといって、預金金利以下の低金利融資が出来ず、民間との競争条件が金利面で平等になって行き、この辺での経済民主化に資すること・・再編成に発展します。
超低金利貸し付け受けられるかどうかが死活的重要性があるとコネで借りられるかどうかは大きな意味がありました。
預金金利が市場実勢で決まる→貸し付け金利も預金金利の上乗せで貸すしかない・・市場実勢で決まる社会になれば、コネに頼って借りても、コネなしの借入企業も同じ金利であれば、大したありがたみはありません。
これが怖くて(幹部の影響力がなくなるので)国有企業や共産党大幹部が、金利自由化に反対する仕組みです。
日本でも、族議員が業界援助・・補助金削減に反対する・・農林系議員の例で分るように役に立たないと族議員支持のありがたみが失われます。
独裁政権=政権交代が予定されていない政体では、取り巻きの幹部に自然とコネ期待の特権が集中しますが、この特権維持に必須の装置があらゆる分野での規制による不公平チャンス制度です。
何らかの規制があると不透明なサジ加減が起こり、政権幹部周辺とのコネの恩恵が大きくなる関係・・維持には大きな効力があります。
自由化があちこちで進むと幹部の特権が次第に蝕まれて行く関係・・民主化が進みます。
社会の民主化は「民主化が必要」とか賄賂社会がいけないと言う正論だけで公正な社会に進むものではなく、地道な実態関係の変化があってこそ進むものです。
いろんな分野で外資への自由化があるとその取引に従事する人が実際の動き・・需給関係が肌で分りますが、自由がないと、たとえば、金利の動きが実際の資金需給を表さないので、統計を見ないと分らなくなります。
他方で民間企業がアングラ的シャドーバンキングに頼っていると本来の金利実勢が分り難くなります。
一方でいろんな公式統計は政府が操作し放題の傾向になるのがソ連や解放前の中国であったし、現在中国も同様・・独裁国家の特徴ですが、一部国外企業に解放している分、ウッチャーがその気になれば個別観察可能になっている程度です。
ホットマネー規制だけではなくいろんな分野での自由化・資本自由化、金利自由化、為替取引の自由化等々・・が進んでいないと、ウオッチャーの個別観察情報だけであると、部分からの判断になってしまうので、中国の本当の経済実態が大づかみで分りません。
それが中国の狙いでもあるでしょうが、ホットマネーを解禁すると全体の傾向を分り易く表し易いので中国は怖いのではないでしょうか?
明治時代までの漢方医の診断では、帝王の身体・玉体に直接触れるのは恐れ多いので直接脈が取れないので、糸脈による診断方法しかなかったのと同様で、タクシーで通りかかった工場敷地に輸入鉄鉱石が利用されずに積み上がっているなどの、偶然的現象把握から推測するしかないので、却っていろんな憶測がはびこります。
私のコラムでの中国経済の危険性・・ひいては政治暴発の危険性に関する懸念も、憶測の一種・・部分現象から全体を推測するものでしかなく根拠が薄いことも確かです。
正確な情報・統計がない結果、流言蜚語がはびこって(今風に言えば、百家争鳴で論壇を賑わして良いことですが・・)社会が混乱する原因になります。

独裁体制と情報規制2

中国は1980年ころから「竹のカーテン」と言われる閉鎖社会から解放に転じたとは言え、一党独裁政権時のママですから、独裁制維持のためには情報統制するしかありません。
経済統計・環境統計・事故による被害発表等々全ての分野で意図的にデタラメ発表していて、国民を含め幹部以外には結果的に秘密主義(賄賂やコネによる優遇措置や特権を知られたくないのが独裁制の本質)を維持しています。
(本当にデータがデタラメなのか外部発表用との二重〜3重帳簿式なのかまでは分りません・・ソ連の場合、ゴルバチョフによれば権力者も実態が不明だったと言われていますが・・。)
秘密を保つには味方から先ず欺く必要があると言いますので、積極的にデタラメ情報にしているのでしょう・・そうすればどんな腕の良いスパイが潜入しても、本当の統計を探せません。
統計だけ誤摩化せても現場に外資が入って来ると外資も経済動向を読まないと生産能力の増減や販売計画を立てられないので自然と経済状況に詳しくなり、外資駐在員等を通じて外部に漏れて行くのは防げません。
イオン等物販系が大量に進出するとイオンその他スーパーなどの売上動向・中国の消費動向などが日本に(理論上は)伝わります。
ただ、マスコミさえ抑えておけば、関係者だけの口コミに終わり、(日本の技術者等は口が重いので、家に帰っても聞かれないと中国の状況を自分からは言いません)イオンが1社だけ負けているのか全体の消費減退動向かまでは分りませんので、大規模な情報伝達は防げます。
文化大革命時にも細切れ的情報があってあったのですが、マスコミ報道の基本が賞讃一色だと日本人の大方がその宣伝どおりに受け取っていたのではないでしょうか?
今朝の日経新聞朝刊には大量出店していたイオンが北京で次々と閉店している状況が出ていましたが、マスコミが報道しないと無関係者はこう言う実態を知る機会がありません。
イオンも失敗していることを自分から宣伝しません。
ホットマネーを自由化すると相場の乱高下を招く傾向があって、世界の耳目を集めてしまうのでこれを規制せざるを得ない・・大規模な情報拡散を恐れていることになります。
中国が外資進出を求める以上は、そこから一定の情報が漏れるのは仕方がないとしてもそれは多寡が知れている・・日本(に限らず世界の?)マスコミさえ抑えて大規模な情報化拡散さえ防げれば良いと言う基本方針を開放政策決定時に決めたのでしょう。
中国が世界のマスコミ支配・・浸透に熱心な理由でしょう。
強いライオンやトラはしょっ中びくびくしていないことを見ても分るように、ハリネズミのようにびくびく警戒心満杯の動物は弱いからです。
中国は、何もかも隠したい心理・自由な行動を規制したがる傾向が強烈ですが、預金金利でさえまだ自由化出来ないほど経済が弱体で、1カ月ほど前に預金金利の設定可能幅を少し広げた程度です。
以下はウオールストリートジャーナルの日本語版の記事です。
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2015 年 6 月 4 日 12:36 JST
 【北京】中国人民銀行(中央銀行)の盛松成・調査統計局長は、銀行預金金利の上限規制撤廃に近づいていることを明らかにした。第一財経日報が4日付で報じた。国内金利の完全自由化に近づくことになる。
 報道によると、盛局長は「預金金利の上限撤廃の時期はそれほど遠くないとみている」と述べた。
同局長は最近のフォーラムで「中国の金利自由化に向けた次の段階は、預金金利の上限を適切な時期に撤廃することになろう」と話した。
人民銀行は昨年11月以降、政策金利である銀行貸し出しおよび銀行預金の基準金利を3回引き下げる一方、銀行預金金利の上限を基準金利の1.1倍から1.5倍へ引き上げた。

6月4日付き発言で大ニュースのようですが、近いうちに預金金利を自由化することになるだろうと言う程度です。
解放後既に30年以上も経過していると言うのに預金金利でさえ自由に出来ない・・この程度の弱い経済でデタラメ統計を前提に世界の強国だと威張っているのですから、お粗末な実態・・矛盾している部分をマスコミは一切報道しないで新しいビルがドンドン建つ目立つことだけ報道して来ました。

独裁体制と情報規制(ホットマネー)1

ホットマネー流入禁止は、言わば体温計を使うな、クルマのスピードメーターの取り付け禁止みたいなものです。
体温計を見なくとも体調悪化を防げる訳ではありませんし、メーターさえ見なければ、スピードが出ていないことにはなりません・・・本末転倒の政策です。
ホットマネーは相場に損益がモロに左右される資金のことですから、ホットマネー運用者の経済状況認識と予測が自ずから鋭くなってあわてて動くので、言論の自由がなくもの言わずともその動きから経済状況が素人・一般に拡散されます・・言わば経済動向ウオッチャーの関与禁止・・経済動向の外部漏洩禁止と同じです。
言論禁止の極まった形として、大惨事が発生したときに、大惨事発生を知られないために現場周辺を立ち入り禁止にしていると、報道の自由が保障されていても現場に行けないと報道出来ません。
今回の長江での客船沈没事故では大惨事自体はすぐに世界に知られてしまいましたが、事故が知られた後は政府報道機関しか周辺立ち入りできず政府機関の宣伝・・政府はこんなに頑張っているなどの宣伝しか報道されない状況になっています。
ホットマネー規制は報道規制している独裁国家の手法・・政府に都合の悪い事件報道をさせないのと同じ手法を経済界に及ぼそうとするものです。
報道規制しても実際に起きた事件がないことにはならないし、経済実態が悪くなっているのを国民に知られるまでの時間を稼げるだけで、駄目になった経済が良くなることもないし、ジリ貧になるのは同じです。
ホットマネー取引規制していても、金融その他現実取引している人は肌で分りますし、皮膚感覚で分る庶民による手持ち資金の国外逃避が始まれば経済界が浮き足立つ結果は同じです。
じりじり逃避資金が増えて来ると株価維持・買い支えのために財政出動しても、資金が続かなくなるので、中国の海外借入金が増えて来た原因かも知れません。
ホットマネーによる煽り立てがなくとも、支払能力がなければいつかは露見します。
半年〜1年後後の危機を察知してホットマネーが売り逃げを図り、売り浴びせられるのは、不都合を先送りしたい債務者には悪夢でしょうが、情報隠蔽は半年〜1年先につぶれるのを知らないで新たに貸し、投資し続ける人の被害を拡大することになります。
現在で言えば、庶民が危機状態を知らされずに政府勧誘によって株式投資に誘導される・・情報を得ているグループはこの間にリスク資産を高値で売り逃げすることが可能となっていることを見れば、情報隠蔽の恐ろしさが分るでしょう。
韓国のセウオール号沈没事件では情報のない客は船室待機を命じられて、そのまま放置されて大量死亡して情報のある船長や船員は先に逃げてしまったのもこの一例です。
6月2日ころの長江での客船沈没事件でも、船長や機関長が真っ先に逃げて助かっています。
期間長は職務柄、船の機関室・・奥まったところにいるのに何故真っ先逃げられたか(操作ミスなら真っ先に知り得る立場です・・)報道を見て、最初に感じた不思議でした。
ホットマネー流出入規制社会とは、特定情報にアクセス出来る特定の人(特権階層)だけが情報に従って予め自己利益を守るために行動出来るし、アクセス出来ない人は逆の楽観情報を意図的に振られて目前に迫っている危険に気が付かずに危険な投資その他に参入させられ、安心して踊らされてしまう社会です。
危機が迫った瀬戸際になって、始めて緊急対応が出来るだけ・・インサイダー取引を国が推進している社会・・このような情報格差社会を政府が強制して良いかどうかの意識・・その国の姿勢でしょう。
公正な競争を奨励する自由主義社会においては、競争の結果(勝敗の結果)格差が生じるのは論理必然ですが、格差を恒久化せず、出来るだけ速やかにその是正を図り、是正期間の短縮を図ることが求められていますが、政府が率先して不公正情報操作をして格差を形成しようとする社会は問題です。
イラクの元フセイン大統領に始まって現在中国の江沢民元主席周辺、共産党大幹部周辺、独裁社会ではその取り巻きが極端に良い思いを出来る社会になっていたのは情報格差による論理必然です。
強い者が(賄賂のとりたい放題を象徴として、)やりたい放題をして来た結果、何兆円と言う海外資産隠しが横行するなどの巨大な格差が中国で生じているのです。
独裁制=情報規制社会ですから、「民をして知らしむべからず」式になるのは理の当然です。
ホットマネー規制は経済面での情報規制の象徴(金利自由化規制・A株B株と言われる資本市場参入規制その他の多くの規制はその下部規制になります)であり・・独裁国家の本質であることが分ります。
上記のとおりホットマネー規制その他の多種多様な規制の結果、すぐには経済状態が外部に漏れ難いのが中国社会の現状ですが、日本人投資家が一刻も早く知りたいのは知りたいのは、経済の先行き・・進出予定業種の先行き見通しや金融界にとっては、中国借入金の支払不能・・デフォルトリスクです。
解放前には政府首脳の失脚などは天安門広場で並んでいる高官の顔ぶれ変化や立つ位置から政変を推測する時代が長く続きました。
最近でも、薄煕来や周永康の失脚などは長い間行事の表面から消えていろいろ憶測されていた挙げ句に大分経ってから裁判するとか取り調べ中と公表された程度です。
今でも北朝鮮高官失脚説が将軍様と一緒にテレビ映像に出なくなったとか言うことから推測を逞しくしています。
こういう国では、経済は人間の動きの基礎ですから、経済の動きだけ切り離して情報公開する・・一党独裁で市場原理導入するのは無理があります。

中国資本流入減(同胞意識と宗族意識)

話題を中国からの企業撤退問題に戻します。
私の想像だけでは間違いがあるので中国の現状に対する公的記事を期待していたところ、世論の批判を無視出来なくなったか?日経新聞にも日本企業撤退時の悲惨さに関する実態が出始めたので紹介しています。
中国びいきの日経新聞にさえ悲惨な撤退状況が出始めたことからも分るように、中国は、長年巨額の長期資金流入超過を前提に日本からの資金はもらったつもりで?経済運営して来ました。
(6月3日に紹介したように、「身ぐるみ剥いで裸で追い出す」やり方を前提にしていたのですから、本気でそう思っていたことが確かです。)
撤退企業は「命が惜しければ・・」と脅されて)裸同然で追い出されていますので、中国としては出て行っても資金流出がないどころか最新設備をただ同然で手に入れられたとほくそ笑んでいるでしょう。
このやり方を見ていると、これから中国ではこの分野は発達するであろうと期待する関連業界も、怖くておいそれとは進出したり追加投資出来ません。
怖々の進出ですから、本来の需要に対して何割減になって行きます。
関係ない筈の企業に対するひどい仕打ち・・脅しが次に進出予定の日本企業の投資意欲を引っ込ませている関連を、民族意識よりは一族単位の利害で考える中国人には理解出来ないのでしょうか。
中国人も立派な人がいるでしょうし理性的な人もいるのは確かですが、ここでは多くの中国人一般意識・・これが現場の動きを支配するので書いています。
人格者はどこにもいるのですが、(何万に一人いるかいないかの立派な人もいると議論しても意味がない・・)国民一般レベルが産業レベルを規定するので、平均レベルこそが現在社会では重要です。
日本では数百年単位の信用を重視するので相手の弱みに付け込むヤクザのような行為を原則として一切しません・・その場限りで相手の弱みに付け込んで不当な要求して暴利を得てもそれを見ていた無関係者までもが、その後で「あの人は・・・」と敬遠されてしまうマイナスの方が大きいからです。
(任侠系が影を潜めてゆすりたかり中心のヤクザが現在日本で何故はびこっているかですが、今では在日朝鮮人系が組織を牛耳っていると言われていることと関係があると思われます・・アメリカ政府発表のブラックリストに載っている日本ヤクザ幹部の多くが、在日朝鮮人であったことをこのコラムで紹介しました。)
相手が弱ったときにこそ、誠意の見せ所とばかりに最大限の応援をするのが日本的価値観です。
これが日本で顕著な助け合い精神の基礎になりますが、人の弱みに付け込んだ朝鮮半島からの引き揚げ時に受けた辛酸やソ連による条約破棄によるシベリヤ抑留・・敗戦後日本が弱ったことにつけ込んだ在日朝鮮人の暴虐ぶりの発揮などは、日本人の価値観からすれば、想定外の悪行を受けたものとして、数百年単位以上の記憶として心の奥深く刻み込まれてしまいました。
自分や家族が被害を受けなくとも自社に被害がなくとも、日本人は皆同胞としての被害意識(プラス面では感謝意識)を持つのですが、一族単位意識の中国人・韓国人はこの辺の道理が分りにくい人が多い感じです。
左翼系の常套文句ですが、「先生は理解があって良いのですが、他の人は・・」とか、「政府は敵だが、日本人民は敵ではない」・・最近では「安倍政権が右翼反動主義者で安倍政権さえ倒せば良い」とかの表現が多いのはこういう分断認識から来ています。
「パナソニックはもう用がなくなったから苛めても、お宅は大切にしますから来て下さい」と言う使い分けが通ると思っている・・日本人から見ればおかしな論法の国です。
6月3日に紹介したように、日本企業の撤退を阻止したい中国政府の意を受けたのか?「撤退すると大変な目に遭うぞ!という強迫的刷り込み記事が日経新聞に出るようになりましたが、これを読んだ日本人は「中国って恐ろしい国だ迂闊に進出出来ないな・・・」と逆に理解するのが99%ではないでしょうか?
反日暴動で「中国政府の言うことを聞かないと恐ろしい目に遭うぞ!」と脅したつもりだったでしょうが、その結果、新規資本流入が激減していることが明らかですし、他方で中国からの長短期の資金流出(みんながみんな裸同然で追い出されているのではなく、少しは持って出られた企業もあるでしょう)が始まっているのではないか・・資金枯渇→デフォルトリスクの可能性に話題を戻します。
デフォルトリスク関しては、見かけの外貨準備高よりは、債権債務の中身の分析こそが重要になってきます。
対外純債権債務の資産表は(長期資本でもあまり内容が悪いとパナソニックのように損切りしてでも逃げ出すので)長期的指標としての意味を無視出来ませんが、目先重要なのはいわゆるホットマネーや借入金等の短期資金の比率です。
日韓スワップ協定終了に関連したコラムで、韓国の外貨準備がアジア危機のときよりも大きいと言っても、外貨準備の内容を・・対応する負債との兼ね合いで見ないと意味がないと書いてきましたが、中国の場合も同じです。
資本自由化・外資導入が進む時代は、借金でも何でも外資さえ入れれば、その分名目上の外貨準備が増えますので、プラス面の指標だけ見ても意味がありません。
ホットマネーの大きさを重要ではありますが、これは動きが速い指標としての意味・体温計として重要性があるだけです。
ホットマネー自体はいくら相場が下がっても投機家が損してでも値下がりした価値で売り払って逃げるしかないので、(購入額の1割に下がっていても文句言えません・・その分に比例して)一刻も早く逃げ足が速い結果・下落基調になったときその動きを加速するので危険性がありますが、ただになっても文句言えないのでデフォルト危機そのものではありません。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。