中国過大投資の調整13(国民を犠牲にする社会1)

中国も純債権国と言う触れ込みですが、仮にそうだとしても、資金繰りに関しては資産表上のプラマイの結果だけではなく、どのような資金で構成しているかが重要です。
債権勘定の中身が後進国援助資金や、国外投資が失敗だらけの場合(中国の海外企業買収は殆ど大失敗で終わっていると言われています)殆ど価値がないことがあります。
あるいは急場の現金化に向かない資産中心(ベトナムやスリランカ等の軍事拠点として港湾開発や橋梁工事等公共施設援助等)の場合、実際に国内資金不足が起きても還流することが出来ません。
日本の場合海外からの収益送金で巨額貿易赤字を補っていることから分るように実際に果実を得ています・・海外投資の多くは100%簿価どおりかどうかまでは不明でも、相応に価値があります。
財政赤字は大変だとマスコミや反日勢力が日本批判する材料に使っているだけですが、この宣伝に乗る人が減って来て、(私は July 16, 2012「マスコミによる世論誘導の害3(不毛な財政赤字論2)」その他繰り返し関係のない議論だと書いてきましたが・・)次第にメッキが剥げてきました。
安倍政権が消費税増税先送りを決めた昨年秋頃に反日勢力の息のかかった格付け業者に日本国債の格下げ発表をさせていましたが、その翌日ころに逆に、国債相場が上がってその業者が大恥をかきました。
日本では、失われた20年と言われる時代に、円高進行=企業の取り分が減る仕組みでした・・この辺はMarch 3, 2012「デフレと不人気政治」その他のコラムで連載しました。
デフレ経済とは、企業の取り分が減って、勤労者の取り分が増える関係・・国民は約20年間良い思いをして来た結果、各人の自宅(庶民で言えば、木賃アパート主体からマンションへの移行や電車やバスに全部空調が効くなど、駅舎や商店が何倍も綺麗になるなど数え切れないほど生活水準がレベルアップしました)その他生活水準が約二倍に上がって来たことも繰り返し書いてきました。
「日本は失われた20年」で企業は苦しんだものの、そのツケを個人に回さずに企業が身を削って個人へ被害を及ぼさなかった防波堤になって来たと言うことです。
中国では、5月24日に紹介した中国人論文https://www.andrew.ac.jp/soken/pdf_3-1/sokenk186-2.pdfによれば、10年前に比べて逆に雇用者の取り分比率は13.1%も下がっているようです。
韓国でも、個人が貧困化して企業が肥え太る傾向は同じです・・・これが国民の貧困進行・・売春婦輸出・・外国移住願望が高まる一方であることも書いてきました。
以下はhttp://www.msn.com/ja-jp/news/money/韓国経済の「本当のリスク」・・・からの引用です。

「上昇しつづける「家計債務」=中国報道/ar-BBkr63i#page=2
「中国メディアの中金網は29日、・・・・14年末における韓国家計部門の債務残高の年間可処分所得に占める割合は164%に達し、07年末の141%より悪化していることを挙げ、「韓国の家計債務はサブプライムローンの破綻前の米国より悪い水準」と論じた。さらに、エコノミストからは「韓国の増え続ける家計債務によって消費が抑制されている」と指摘し、韓国経済にとってのリスクとなっていると論じた。(編集担当:村山健二)

以下はhttp://news.livedoor.com/article/detail/9738413からの引用です。
韓国人の5人に1人が国外脱出の願望あり? 改善されない社会に不満
「・・・注目したいのは、韓国人の移民志向が近年、急激に高まっていることだ。世論調査会社の韓国ギャラップ社が2013年に実施した統計によると、韓国人の5人に1人が「移民を真剣に考えている」と答えており、14年6月に韓国の就職サイトが725人のサラリーマンを対象にした調査でも、97.4%が「ほかの国に移民したい」と答えている。」

中国過大投資調整12(資金枯渇11)

世界中が公式に中国リスクを意識し始めると信用はがた落ちになり、(マスコミがはやし立てようとも)今後中国へ新規投資する企業は大幅減になって行きます。
4〜5〜6月ころまでは、国内庶民を株式相場に巻き込んで最後の段階に来ていると思われていましたが、その最後の段階で更に、日本資本を巻き込もうとして(日本の証券会社による中国株推奨が始まっていましたが、)いるとしたら、ばかばかしくて付き合いきれません。
これを心配して6月初めころから、出血輸出に走っている中国の倒産?破綻直前の現状を書き始めていたのですが、他の話題が挟まって先送りしている間に(こんなに早く暴落が始まるとは予想していなかったこともあります)上海株の大暴落が始まりました。
日本でもバブル崩壊後急激な生産縮小による痛みを緩和するために、財政投入が過去20年間行なわれて来て、その結果財政赤字が累積しましたが、その間海外進出を成功させて(原発事故後の貿易赤字発生後も海外からの収益金・所得収支大幅黒字が日本を支えています)国内の過剰供給能力はほぼ解消しています。
日本はその気になれば海外進出する能力(独自技術の宝庫です)を持っていることが新興国のバブル崩壊とは基礎が違っています。
中国の場合は国外に出て行ってまで生産する・競争する能力が殆どありません・・国内市場の大きさと人件費の低さが自慢で外資を引きつけていただけです。
人件費が周辺国よりも高くなると周辺国との競争に勝てない単純な関係です・・単純だからこそ目覚ましく成長出来たとも言えます。
(5月16日「日本のバブル処理と失われた20年の関係(アメリカによる日本叩き)」に書いたように、本当の経済縮小は超円高持続によるものでした)
日本の場合、(東北大震災による原発停止による燃料輸入拡大によって、年間7兆円前後の国富流出が続くようになったことを除けば、)失われた20年と言われる時代でも毎年20兆円前後の経常黒字を続けていました。
(平成18年度までの国際収支表は、05/26/07 「キャピタルゲインの時代16(国際収支表1)」で、紹介してきました。)
日本の場合、国内的に政府財政赤字が増える一方でしたが、純債権国である限りこれは何回も書いているとおり、国内資金配分問題であって、経済的に何ら問題になりません。
日本の国債保有者の95%が国内資金ですから、外資が騒ぐ権利もありませんし、何の影響もありません。
5%前後の外資による保有は、外資系が日本国内で事業活動するために一定の決済余裕資金が必要ですから、必要な円資金として(企業の日々の決済資金みたいなものを)一番確かな国債で確保している必要資金なので、実際には売り浴びせも何も出来ません。
日本の財政赤字を非難して、「子孫に債務を残すな」と馬鹿の一つ覚えのようにマスコミが騒いでいることを批判してきましたが、国債保有者が親世代(国民)ですから、これを相続する人も国民ですので、相続する負債は外資に対する5%の償還義務だけです。
(この辺の意見は繰り返し書いてきました)
こうしてみて行けば、部分的財政赤字の問題ではなく、対外純債権国か純債務国かの問題こそ重要であることがすぐに分りますが、我が国は世界最大の純債権国を続けています。

産経ニュース
2014.5.27 09:51
日本の対外純資産が過去最大を更新 23年連続で「世界一の債権国」
 財務省が27日発表した2013年末の対外資産負債残高によると、日本の対外純資産は、前年末比9.7%増の325兆70億円だった。増加は3年連続で、前年に続き過去最大となった。これで日本は1991年以来、23年連続で「世界一の債権国」となった。
国際通貨基金(IMF)の統計などによると、主要国の13年末の対外純資産は、中国が207兆6101億円で2位、ドイツが3位で192兆2121億円だった。」

以上は、2013年統計ですから、その後も円安などで経済好調を維持しているので、14年も(来年の発表ですが)最高額更新するものと想定されます。

上海株暴落〜通貨切り下げ6

この辺で今年6月から始まった上海株暴落後の流れのおさらいをしておきましょう。
2ヶ月も経つと何月何日に何があったか忘れてしまいましたので、
以下引用です。
①勝又壽良の経済時評http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12046021863.html
2015-07-06 03:56:10
「中国、「株価暴落」バブル経済体質に「断」再起不能
6月26日、上海総合株価指数は7.39%もの急落になった。中国人民銀行は27日急遽、株価テコ入れで貸出基準金利を0.25%引き下げた。その効果もなく29日、前週末より3.34%値下がりだ。そして、7月2日終値は前日比3.48%の下落。4000ポイントを割って3912へ落ちこんだ。最近の高値である6月12日の5166からの下げ幅は24%である。
「この高値に達するまでの1年間で、上海総合指数は約2.5倍にも跳ね上がっていた。急騰した株価は皮肉にも、急落によって幕を閉じようとしている。今回の急落によって、上海株式市場は最後のとどめを刺された格好である。世界から注目された上海株式市場は、個人投資家が6~8割を占めている。いわゆる機関投資家が存在せず、株価は一方的に振れるという不安定構造だ。信用取引が頼りで、ここまで上昇してきた。それも終末を迎えたことは疑いない。」
官製メディアは、意識して「株価下落ニュース」を流させないという統制を加えている。英国『BBC中国語サイト』(6月23日付け)によると、中国国内メディアを管轄する政府機関・国家新聞出版広電総局が、各メディアに対して株式市場に関する報道を控えるよう通達を出した。「臭いものに蓋」である。一番、馬鹿な目に遭うのは名もない庶民達である。」
中国経済は株式バブルの崩壊で、だめ押しを食らった形である。野球で言えば、7回コールド負けを喫したようなものだ。不動産バブル崩壊の影響は、日に日に強くなっている。中国GDPで、最大の需要項目である固定資産投資は、不動産バブル崩壊で低迷している。ここに株式バブル崩壊の悪影響が加わる。株価上昇による「資産効果」とは真逆の事態のマイナス効果が現れるのだ。個人消費がさらに落ちこむであろう。」

② http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201507060085
015年07月06日09時54分
【経済】中国:当局が空売り規制か、「貸株業務を一時停止」とのうわさ
株価の急落に歯止めをかけるため、中国当局が空売り規制に乗り出すもようだ。近く証券会社に対し、貸株業務の一時停止を求めるという。一部ブローカーはすでに、本日から業務を暫定的に停止しているようだ。現地メディアが3日、消息筋情報として伝えた。
本土マーケットで株価が急落するなか、当局は矢継ぎ早の対応策を実施。今月1日の夜には、現行の担保比率(※)について、証券ブローカー自らが決定できるように修正。A株取引所税や名義書換料を引き下げる方針も明らかにした。これに先だつ6月27日には、中国人民銀行(中央銀行)が景気のテコ入れと株式相場の安定化を狙い、政策金利と預金準備率の同時引き下げを発表している(28日付で実施)。ただ、その後も株価は下げ止まらず、上海総合指数は本日(3日)も一時7%超の下げを見せる場面があった(日本時間午後2時5分現在は1.31%安)。

③ http://solife-a.com/12593.html2015/07/10 からの引用です。

「6月中旬から始まった、中国株価の下落はとどまることを知らず、中国政府は、一気に390兆円の損失を被ることになったのです。
事態を重く見た中国政府は、2015年7月7日に、株式市場としては異例の、『売却禁止』や『売買停止』の措置を取り始めました。
この、株式市場の機能を完全に停止させるという対策によって、中国経済には、一体どのような事が起こりうるのでしょうか?」

④ http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/598.htmlからの引用です。
(ブルームバーグ):中国証券監督管理委員会(証監会)は企業の大株主や経営幹部、役員を対象に、持ち株の売却を6カ月禁止した。
証監会の声明によれば、経営権を握る株主や発行済み株式の5%以上を保有する投資家は6カ月間、持ち株を減らすことができなくなる。
原題:China Bans Stock Sales by Major Shareholders for Six Months(抜粋)

⑤ Business | 2015年 08月 4日 15:09 JST[香港 4日 ロイター] – 4日の中国株式市場は反発して前場を終えた。中国の上海、深セン両証券取引所が空売り規制の強化を発表したことが背景。空売りは先月の市場急落の一因とされている。

※ 追記 空売りは反逆罪?で処罰する仕組み?が出来たらしく、暴落が一時的に収まっている状態でしたが、上海総合が18日6、15%安で今日(19日)の夕刊によると3、12%安と出ています。
8月20日の日経朝刊3pによると新興国全般に資金流出が深刻な状態になっていることが書かれていて、中国に関しては、人民銀行が18日に短期市場(公開市場操作・オペ)で半年ぶりの1200億元の資金供給をしたばかりなのに19日には、14の国有銀行中心に1100億元(2兆1000億円)もの大量資金供給をしたと報じられています。
これまで紹介して来たように今年に入ってからの毎月のように行なわれて来た金融緩和ではどうにもならなくなって、直接資金投入しかなくなった状態が見て取れます。
人民元はいくらでも印刷出来ますが、これではその場の(幹部にコネのある国有企業等の)支払が出来ますが、外資が余計逃げ出すようになります。
結局は、外資不足に(生産に必要な輸入が出来なく)なるので・・これを補うには国を挙げての出血輸出による外貨補充しかないと考えたのが切り下げの理由でしょう。

以上のように連日の大規模な規制連続の挙げ句の8月11日以降3連日の為替切り下げでした。
そして、4日目には人民銀行によるドル買い介入による切り下げ政策終了でした。
昨年秋からの中国経済政策の動きを見ると、素人目にもドタバタ劇の連続で、プロ政治の態をなしていないというべきでしょう。
江戸時代吉宗の米相場対策程度の動きですが、日本とは約300年の経験差があるようです・・当時と違って国際経済は複雑・即時性がありますから、効果がすぐに劇的に出ます。
中国の将来がないと言う(偏った?)立場から見れば、6月以降の中国の政策を見ていると泥縄式を通り越して断末魔の様相を呈し始めたと言うべきでしょうか?
繰り返し書いていますが、中国は大言壮語している割には、真水の外貨準備が少ないし、比例して技術蓄積も殆どありません。
それまでの蓄積を使い尽くすまで?あるいは外国から借りられる限度まで借りて?際限のない穴埋め投資・過剰供給・借金の拡大再生産を続けて行くしかない・・破綻国家ギリシャの大型版?・・を狙っているのが習近平政権の基本姿勢でしたが、その行き詰まりが思ったよりも早く来た感じです。

上海株暴落〜通貨切り下げ5

内需拡大には買い物するだけの資金蓄積(輸出よりも輸入を増やす・・貿易赤字の覚悟が必要ですが・・真水の外貨準備が少ない?)これがないので資金不足対策として昨年秋から毎月のように金利引き下げその他金融緩和してきましたが、どうにもならなくなって来たようにみえます。
このギャップに苦しむ現政権は、長期的視点による政治をする余裕がなくなって、国威発揚(中華帝国の栄光復活)を宣言したり・・反日暴動や海外向けに軍事強迫したり、資金対策として次々とAIIBやブリックス銀行・中央アジア何とかなど国際機関を設立しては外資導入をはかっていましたがうまく行かず、最後は人民元引き下げによる開き直り策の併用しかなかったのでしょう。
苦しくなると一致団結する社会・・信頼で成り立っている日本とは違い・・国民同士と国民と国家間で信頼のない中国・・強権社会の弱みです。
通貨の切り下げによって輸出を増やしても、経済減速の緩和程度がやっとで成長までは期待出来ない・・比喩的に言えば1000万人失業発生を900万人に押さえる程度?・・で、他方で結果的に国民全般が輸入物価高に困る状態に陥る可能性があります。
輸入物価上昇・・購入を手控えて生活水準低下に終わる・・クルマもスマホも買えない階層が増える(・・・4月以降実際大幅販売減少になっています)結果になるだけかも知れませんが、それが実力ならば、悪あがきしないで大人しく受入れるしかないでしょう。
不満のはけ口として中華帝国の栄光を宣伝するのは逆効果・・国民に「自分たちの実力はこんなものだ」と実態を素直に理解してもらう努力の方が必要です。
ただし、プロの間では中国の将来性がないとしてジリジリと資本流出が続いていた・・人民元実勢相場は下がっていたのですから、どうせ実勢を反映してジリジリと資本流出が続いているなら、「この際思い切って、公式レートを実勢に合わせた方が輸出が増えて徳だから!」と言う読みで公式レーを連日下げ決定の理由なのかも知れませんが・・。
あまりにも今回の切り下げは世界的ショックが大きく=巨額資本流出に繋がったので(すぐには分りませんが大分後になって、この1週間でどれだけの資本流出があったか明らかになるトキが来るでしょう)驚いて3日で中止するしかなかったと推測されます。
今回株価暴落と通貨切り下げ騒動の教訓は、「市場のことは、市場に任せた方が合理的だ」と自己証明した結果になります。
以前からネット上で危険と言っている人はミニコミでしかなく、マスコミは中国礼賛一色でしたが、今度こそはマスコミも「窮余の策」とかの表現で中国の苦しみを正面から報道するしかなくなったようです。
マスコミ報道を信じている人の方が多いのですから、株式暴落と人民元切り下げショックは中国に対する世界的評価の切り替えエポックになった筈です。
アメリカの信認が下がった金ドル交換停止のニクソンショック〜変動相場制移行のスミソニアン合意みたいな効果があったでしょう。
今回の切り下げ騒動で8月14日には、早速原油相場が大幅下落に転じています。
即ち中国の経済活動と原油相場は、見事に連動して来たのですが、(この辺の意見は11日に書きました)為替を露骨に切り下げるしかないほど国内が追いつめられている・・経済実態が悪いと世界的に認識された結果、原油需要も相当下がる見通しになって来たことによります。
欧米的・・自由主義経済政策に対する中国独特の政策ドクトリン(社会主義市場経済と言う1党独裁下の市場)があると強弁していましたが、今回の株価暴落と通貨切り下げ騒動はその敗北を証明することになります。
私には、権力者が勝手にやりたい・・専制王朝を共産党の1党独裁・集団指導体制に変えただけのように見えていましたが、中国礼賛論者は・・ブリックス銀行設立や中央アジアなんとか機構〜AIIB設立など全て、欧米的価値観への挑戦として賞讃していました。)
勿論合理的視点・中国政府の名分で言えば、為替相場実行レートに合わせた・・国際経済ルールに合わせただけで何が悪いの?・・遂に中国の限界が来たと騒ぐのは中国キライの悪乗りが過ぎると言うことでしょう。
しかし実効レートに合わせたと言うならば政府が好きなトキに決めるのではなく、それこそ自由な市場取引に任せるべきです。
日本等先進国が行なっているような変動相場制を基本にし、急激な相場騰落に臨時にブレーキをかける程度にすべきです。
独裁政権も専制君主も絶対王制や戦国大名も長期的には民意無視することが出来ないことは歴史が証明していますが、だからこれも民主主義制度だとは言いません。

上海株暴落〜通貨切り下げ4

対日関係で言えば日本は対中巨額赤字ですから、中国は「日本から買ってやらないぞ!」と言うわけにはいかずに、仕方なしに反日暴動したりレアアースの禁輸で締め上げるつもりが、逆効果になってしまったのは記憶に新しいところです。
昨秋から中国の日本へのすり寄り開始以降、日本への旅行を推進して爆買いの恩恵を誇示していますが、日本全体では、大した効果がないのでマスコミ宣伝にもかかわらず国民の多くは冷めていて・・「来たくなければ来ない方が良い」と言う人が今でも大多数でしょう。
折角心を癒すべき落ち着いた観光地が、けたたましい中国人ばかりでは、旅行意欲が失せてしまうマイナスの方が大きいかも知れません。
中国人が多く行くような店には日本人が敬遠して買い物に行かないようになります。
言わば自宅の風通しの良い部屋や居間を泊まりに来た客がいつも占拠していて、住んでいる人が家の隅で小さくなっているような印象です。
上記のとおり顧客であってこそある程度のわがままが効くのですが、露骨なダンピング競争を始めて輸入を減らせば国外への発言力が低下するのが目に見えていますが・・そんな先の心配などしていられない程政権が追いつめられている・・・・中国政府は目先の金が欲しいのかも知れません。
海外発言力低下分補充のために軍事予算を増やすのでは悪循環ですが、国内でも公安予算を増やして不満を押さえつけるしかない状態のようです。
生産力維持のために無駄な鬼城建設や鉄道工事をしたり需要不足分は出血輸出して何とかしていましたが、一方では、地方政府救済→シャドーバンキング救済→結局は資金不足になりますから、金融緩和を繰り返したのですが、金利が下がれば逆に資本が流出します。
今度は資金集めのために株式ブームを煽って庶民から資金吸い上げをはかったのですが、これも限界が来て(戦時中お寺の鐘まで供出していたことを思い出します・・いつか底をつきます)大暴落になってしまい、人民元買い支えのドル資金に困って実勢にあわせるべく公式に切り下げるしかないほど追い詰められていたと見るべきでしょう。
(数十年前のポンド防衛失敗と同じです)
通貨切り下げを数日やってみたら、巨額資金流出が始まったので、大慌てで3日でやめたと言うところでしょうか。
内需拡大で間に合わない不満に対しては、何をやってもうまく行かないので、今後も公安予算を増やして対応する・・海外にも軍拡による威嚇で適応して行くつもりでしょうか?
中国がどんなに威張っても自前の技術力で発展したのではなく、輸出前提の組み立て工場の誘致(経済特区)・・新興国経済型経済成長パターンで成長して来た事実は争えません。
中国は工場誘致を利用した成長限界に直面して踊り場にさしかかっている(中進国の罠)基礎的状況から逃れられません。
成長の踊り場にさしかかったことによる停滞・急ブレーキによる急激なマイナス成長・・国民不満に直面しているならば、今後中国の進むべき道は、国内に公平な制度の構築をするとともに輸出主導経済から内需拡大・・人民の生活水準向上策しかありません。
急成長時には、特定幹部が巨利を貪ってもまだ何とかなっていましたが、低成長になると幹部が巨利を貪る弊害・不満がも目立ってきます・・出来たおできを潰すような汚職取締よりは、社会の基礎たる公平な制度構築が必要です。
いろんな意味での転換・・中進国並みになるためには国民の技術レベルアップ・公平な制度と資金力が必要で、大量生産工場のように、企業誘致(資本導入による国内資金流通の1石2鳥効果)さえすれば直ぐに転換出来るものではありません。
大量生産工場誘致で急膨張・急成長した成果の裏腹の関係ですが、巨大な工場労働者をレベルアップに成功した少数の新規産業がそのまま全員吸収出来る訳がありませんし、巨額外資を必要としないので出て行きます。
日本企業の対中投資で言えば、大規模工場閉鎖→新規立地する東南アジアへ資金流出の動きが始まっていて、これに対する穴埋めが出来なくなって、資金不足に悩む・・これまでの逆回転が始まっています。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。