資源+生産力から消費力アップへ2

タックスヘイブン・マネーロンダリング禁遏策が世界的テーマになって来た背景は、徳川幕府財政が米中心課税で行き詰まった結果・・時々豪商に対して理不尽な冥加金取り立てや身代限り・・取りつぶし・没収に頼ったのと同じです。
アメリカが懲罰と称してフランスの(バリバだったか?)銀行に1兆円規模の罰金を取り、イギリスのライバー不正で巨額罰金を取り立てているのは同じ発想ですが、狙い撃ち的徴収は恨みを買います。
中国の場合、国民が困っていても「共産党政府赤字は大したことがないから・・」と豪語していますが・・・。
共産党政府は中国地域民族のための政府ではない・・共産党の個人経営・・(国民が苦しいかどうかは気にしない)民族を乗っ取ったギャング集団としては、懐にはまだ余裕があると言う開き直り(中国贔屓のエコノミストがそのように紹介しているだけ?)ですが、そうは言ってもギャング集団に対する抵抗を緩めるために治安警察強化ばかりではなく少しはお金を支配下民族に配って不満緩和を図るしかないのが現実です。
支配民族に金を配ってうまく行くならばもう少し餌を配るのも良いが、いくらつぎ込んでも駄目と分ればこれまで搾取して得た資金を持って海外逃亡した方が良いか!とギャング特有の気持ちの現れが(海外に巨額資金と家族を逃がす)裸官と言われる支配層の行動です。
M&Aで買収した企業で何年間でかなり儲けたが最近ジリ貧・・赤字傾向となった場合、親会社としては売り逃げるか、もう少し資本注入するかの判断基準と同じです。
日本の場合に当てはめると、徳川幕府の財政赤字は民間資本の発達に徴税システムが追いつかなかった結果、赤字になって行ったのと同様で、現在日本の場合も国民・社会が経済的に困窮しているのではなく、民間資本は健在です。
※ 日本の場合単年度金銭収支の国家財政が赤字になっているだけ・・取得した固定資産価値を乗せない変な計算です・・これを上回る巨額の経常収支黒字が何十年も続いているうえに、個人金融資産が増える一方です。
個人が豊かですからこの辺がアメリカや諸外国とは基本的に違う・・江戸時代に庶民が芸術を楽しみ豊かな生活をしていたのに武士だけが困窮していたのと同じです・・エコノミストは海外の議論を紹介するのがやっとで目の前の現実を見る能力がないのか現実無視した議論をしているようです。
熊本地震でも明らかになっていますが、大切な子供のいる場所の安全・・小中学校を耐震化工事していても役所の建物まで手が回らなかった・・これが日本と諸外国との基礎的違いです。
日本では、危機が来ると先ず自腹を切ってでも地元民の救済に動くのが有力者の本来的行動です。
アメリカは消費拡大のために双子の赤字が続いても、ドルの切り下げで対応すれば良いと言う基軸通貨国の地位を悪用して来たことになりますが、「大き過ぎて潰せない」と言う論理と同様でいつかは無理が来ることを大分前から書いてきました。
移民受け入れ政策は「労働力不足の穴埋め」と言うのは格好付けであって、本音は人口増による総購買力増→発言力強化です・・1昨日の夕刊にメルケル首相の本音・・難民が来た結果、消費が増えているメリットがあるという発言が紹介されています。
移民に対する教育・治安コストその他消費能力を誰が負担するかの議論・財政赤字の拡大が隠されています。
移民=人口増で国全体の消費が増えますが、移民=言語能力不足=未熟練労働力が普通ですから底辺増=格差社会になり治安も悪化します。
アメリカは大量消費市場を武器に競争する限り、中国、インドに負けないように?移民増加を図って人口増加して行くしか国力維持策がないようですが、その結果移民=非熟練化=低賃金化・・格差拡大が進みますので痛し痒しです。
格差・財政負担増がイヤならば日本のように移民増を防ぐしかありません。
人口増による発言力強化を求める政策の場合、移民禁止すれば人口増=消費・購買力拡大が止まる→国際的影響力が縮小します。
移民受入れ反対・・日韓等の海外駐留軍を廃止→その分発言力縮小を容認するならば、次期大統領候補トランプ氏の主張は一貫しています。
世の中は2項対立ばかりですっきり行かないのが現実ですから、余計な発言もしたいけれども費用負担はイヤとなるのが普通です。
結局は、「もっと費用負担しないならば言うことを聞け!」・・「移民受け入れる代わりに◯◯を聞け」と言う開き直りのスタンスになるのでしょうか?
トランプ氏はどーんと強烈なことを言って面食らった相手に妥協させる商売のやり方らしいですが、実は幕末ペリー提督以来の強引な砲艦外交そのままです。
トランプ氏は、国民のストレスに対する迎合から国際費用負担や移民問題を2択的に持ち出していますが、結局は元の議論・・中東、欧州その他アメリカ軍駐留地域のアメリカの負担に応じた発言力はどの程度であるべきかの地道な議論に戻るしかないでしょう。
鳩山政権がすっきり分りよく「少なくも県外へ・・」と言うスローガンの実現に政権獲得後困ってしまい、結局は地道な交渉に戻るしかなくなったのと同じです。

資源+生産力から消費力アップへ1

世界が無視出来ない購買力は人口×一人当たり消費力ですが、アメリカの一人当たり消費力がジリ貧になって来ると、アメリカの発言力が中国並みに人口数で勝負するしかなくなります・・そうなると中国、インドとどう違うかです。
コクミンのための政府であるならば、コクミン一人当たり購買力を増やす・・基礎的能力・所得アップが本来ですが、それが困難なので安直に出来る移民受入れ=逆に基礎的能力低下政策・人口増で対応して来たのが欧米諸国政府です。
日本はニッポン民族のためにあるのですから、移民・貧しいコクミンを増やして基礎的能力低下を見ないことにして購買力を武器に海外で威張る・・中国や欧米の真似をするのに私は一貫して批判してきました。
西欧諸国は移民受け入れによる消費人口を増やす政策→所得不足分を貸し付ける・金融政策でやってきましたが、その咎めが出て来たのが昨今のテロ増加現象ですし、アメリカの格差拡大現象もその根っこは共通です。
アメリカが資源+工業力ミックスの成果を享受出来たのは第二次世界大戦前後がピークで、その後は勢いだけで戦後70年も持ちこたえて来たのは、消費人人口増加政策=移民受入れ政策によるところが大きかったと思います。
私が世界情勢に関心を持った中学時代(1950年代初頭)の記憶ではアメリカの人口は約1億5000万人でしたから、約3億の最近の人口は約2倍です。
1980年以降しか出ていませんが、以下はhttp://ecodb.net/country/US/imf_persons.html世界経済ネタ帳からの引用です。

年 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989
    227.62 229.92 232.13 234.25 236.31 238.42 240.59 242.75 244.97 247.29
年 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999
    250.05 253.39 256.78 260.15 263.33 266.46 269.58 272.82 276.02 279.20
年 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
     282.30 285.22 288.02 290.73 293.39 296.12 298.93 301.90 304.72 307.37
年 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
     309.76 312.07 314.39 316.70 319.13 321.60 324.33
単位: 100万人
※数値はIMFによる2016年4月時点の推計

先進国に限らず韓国や中国上海でも、中所得以上になると出生率低下に悩むのが共通ですから、アメリカに限って人口が減るどころか増えているのは若者で且つ低所得層中心の移民によるものと考えられます。(いわゆるワスプの人口比率は急減している筈です)
この間、一人当たり国民所得がそれほど下がった訳ではありません・・国家全体では石油メジャーや金融資本家の所得が多いのですが、資本所得は一般コクミンに還元されないから中国など底賃金国との競争で、工場労働者等の賃金が下がる一方で多数を占める庶民の購買力が下がる一方になります。
一人当たり購買力が半分になっても人口倍増になれば合計が同じですから、アメリカは工業力の空洞化(中産層の没落)所得減→購買力減の穴埋めに貧乏人でも・・人口増で対応して来たことが分ります。
この場合格差拡大→庶民の購買力が下がり続けるので、福祉(失業保険やフードスタンプ等)社会保障関連の財政支出増+消費者金融による購買力下支えシステムが併用されます。
社会保障政策だけでは財政が持たないので、消費者金融による穴埋めが盛んになり・・この頂点が(我が国ではサラ金地獄が社会問題になりました)サブプライムローンでした。
サラ金問題最盛期の03/24/09「消費者信用と社会福祉1」以下でサラ金問題は社会保障不備の問題であると書いたことがあります。
他方財政赤字に関して言えば、クロヨンと言われるようにサラリーマンに対する徴税は簡単ですが、資本所得の徴税はタックスヘイブンなどがあって難しいので、財政支出増加に直面しているのに逆に主な徴税対象であった中間層の激減は国家財政には脅威です。
これが国家経済的にはアメリカでは1980年代以降長年、双子の赤字が議論されて来た基礎状況でしょう。

アメリカの国力源泉(資源→金融)

アメリカは自己の強みが資源にあることを良く知っていたので、中東の豊富な資源が分るとイギリスを押しのけてアメリカのメジャーが支配することによってなお資源支配していました。
後で西欧諸国のアメリカに対する怨みの深さを書きますが、営々と築き上げてきた中東の利権を奪われたイギリスの怨みは大きなものがあります。
スエズ運河国有化に対する英仏軍侵攻対するブルガーニンだったかによる、核攻撃の強迫に対して、アメリカが英仏防衛表明しなかったので、英仏軍は涙をのんで撤退しました・・この恨みの結果英仏が核独自保有戦略になった経緯を05/22/05「パックスアメリカーナ」1で紹介したことがあります。
戦後いろいろな確執を経て英仏の中東における伝統的影響力を駆逐して行き、アメリカが取って代わったことは事実です。
ところが、石油ショック・・アラブ主導の石油支配が確立されて来るとオペック・石油輸出国機構外(北海油田など)の資源開発が進み・・遂に世界各地で資源開発が進んで来て資源に関するアメリカの優位性が徐々に蝕まれて来ました。
中国のレアアース禁輸で分かるように、単価を上げる(その間の採掘技術の向上と相俟って)とあちこちで採算性が上がり採掘出来る国が多くなります。
資源支配力の相対化が、流れ作業的単純工業品製造レベルでも威張って来られたアメリカの発言力相対化・低下の主原因です。
「ベトナム戦争に始まってブッシュ政権以来のイラク・アフガン戦争では膨大な富みを使い果たしてしまい・・」とマスコミは言いますが、基礎的には資源+工業レベルミックスの優位性が減少して来たことによります。
アメリカの勃興は産業近代化進行レベルとちょうどマッチしていたアメリカ移民のレベルと資源事情・豊富な資源を強みに資源の近く(五大湖周辺)で近代産業立地の優位性が高かったので工業国化に成功したのですが、20世紀に入って大型船舶が普通になって石炭や鉄鉱石等重量物の長距離輸送の制約が減ると、資源輸入に頼る日独等の競争力が伸びてきました。
第1次大戦後石炭から石油に火力源が変わって来ると、石油を自給出来るアメリカの強みが強化されました。
日本では戦時中「石油の一滴血の一滴」と言われるほどの貴重品・・生命線だった・・ABGD封鎖ラインはこの「血の1滴を止めてしまう」もので日本は文字どおり「血路を切り開く」しかないところに追いつめられたのが日本開戦決意の直接の原因です。
石油ショック以降約40年経過で、北海油田やロシア、リビア、ベネズエラ、ナイジェリアなど世界各地で原油・石炭その他資源採掘出来るようになるとアメリカの資源大国+大量生産国+大量消費のミックス効果が相対化して来ました。
産業革命勃興期に適した豊富な資源・農地が地元にあるがほどほどの技術しかない点を補ったのが、当初南部の奴隷を使った綿花大量栽培であり・・ついで資源と結びついた北部工業基地→ベルトコンベアー方式による非熟練労働力の活用・・大量生産方式でした。
人海戦術〜非熟練者の大量利用・大量生産方式こそがアメリカ産業の特徴ですが、その成功は時間の経過で必然的に中国その他(アメリカレベルに達している)未熟練労働力の豊富な低賃金後進国への工場展開に結びつくので、アメリカの地位低下は予定されていた流れでした。
(日本やイタリアの場合元々資源不足のハンデイを高度な職人的技術力や文化力でカバーする国ですから、各種資源が世界中で取れるようになるのは却って有利です)
アメリカ製造業の復活をマスコミが騒いでいますが、要はシェールガス・オイル等の資源産業の再勃興と人件費の安さでは中国と肩を並べるようになったので「国内製造業が復活出来そう」と言う自慢話程度ですから,過去約1世紀のアメリカの強みが何であったかが分ります。
中東産油国を含めて後進国はこ資源を自分で利用出来る程度の労働力水準にさえ達していないので資源を売るしかないのが難点ですが、今では資源が安くいつでもいろんなルートから手に入るようになると国内である程度自給出来るかどうかは大したポイントではありません。
縫製工場で考えれば分りますが、動力源の電気等の値段差よりは中国→バングラディッシュのように低賃金地域で生産した方が競争力が高くなります。
輸送費の低廉化によって資源と大消費地の近接したアメリカで造る優位性がなくなりました。
この結果、自由貿易で日本に負け始めたニクソンショック以降アメリカの通商政策は、自由貿易の旗印に矛盾した(スーパ−301条など)強引な輸入規制(現地生産強制)日本叩きの連続でしたが、要は巨大消費地から閉め出すぞ!と言う脅しの連続でした。
4〜5日前に発表した為替操作国監視対象国基準を見れば分りますが、正義の基準ではなく結果(経常収支黒字比率)から見ると言う宣言です。
アメリカのヘゲモニー維持のためにする一方的規制は日本に対するだけではなく、アメリカの個別産業を脅かす限りドイツもフランスもミナ理不尽な懲罰?アメリカへの輸出閉め出しの脅しに応じざるを得ない結果を招いてた来た点は同じです。
この辺の西欧諸国のストレスは日本人が想像している以上に大きなものがあるようです。
(日本は戦争に負けた以上仕方ない・・と言う気持ちが心の底にありますが、西欧は元同根・同族意識があるから余計(「成金め!と言う反発意識があって)面白くないでしょう)
個別利害を乗り越えた経済共同体EU設立のエネルギーはアメリカの理不尽に対抗するには大きな市場を作るしかないと言う強迫観念・・ストレスと無縁ではなく、徐々に対中貿易比率を上げて行くなどアメリカに対する貿易比重を下げる努力して来たように見えます。
(韓国パク大統領の中国寄り政治活動によって韓国の対中・対米貿易比率を良く知っている人が多いでしょうが、フォルクスワーゲンの燃費偽装事件でドイツ車のアメリカでの販売比率の低さに驚いた日本人が多いでしょう・・西欧諸国も今やアメリカよりも対中国の方が貿易比重が上がっている国が多いのが現実です)
度重なるアメリカの強引な要求に対する不快感の表明が、アメリカの要請を蹴っ飛ばした西欧諸国によるAIIB設立参加でしょう。
これに対する意趣返しが,この数週間前から大騒ぎになっている「タックスヘイブン」パナマ文書暴露・・中国とロシア及び西洋諸国大物中心に発表されている不思議・・と巷間言われています。
イランに対する制裁もアメリカの軍事力によるのではなく、アメリカの制裁に従わないとアメリカでの巨大市場で銀行業務・・金融取引が出来ないと困るので、世界中の金融機関がイランとの金融取引を停止するしかなかったことによります。
サウジの怒りを知りながら何故いきなり制裁解除することになったかと言うと・シリア情勢などいろんな情勢が当然重なっていますが、その他に、イランとの取引が金での決裁などになって来た外、地下銀行システム(例えば韓国が原油を買った代金をイランへ送金出来ませんがその分を韓国内銀行に預金しておく・・イランが韓国から何か輸入すれば韓国内預金から差し引くなど)にシフトとして来たので・銀行決済システムやドル決裁秩序に穴があくのに耐えられなくなったからとも言われています。
アメリカの発言力・・無茶を通す力の源泉は、巨大消費地・・購買力によります。
今や国力・発言力は、生産力よりは消費力→ひいては短期的には金融支配力にかかっています。
消費を支える金融支配の関係を明日以降書いて行きます。

政府と国民5(2項対立3)

2項対立論者は、何かあると国民が困ってもいないことを過大に宣伝して政府の施策妨害のために批判するのですが、イザと言うとき・・サールスなど患者が発生したときに伝染拡大を防ぐためにその足取り追跡などのためのデータ収集に反対すれば、誰が困るでしょうか?
ベネッセ情報流出に関して書きましたが、本当に困ったのはマスコミに叩かれたベネッセでした。
仮に搭乗者名簿や宿泊名簿が流出しても誰が個人的に困るか?(勤務先や家族に知られたくない愛人との旅行など後ろめたい人でしょう)スーパーなどの防犯カメラで誰が困るかの疑問です。
何か困ったことが起きれば、政府だけが困ると思って喝采するのがこれまでのマスコミの姿勢でしたが、ソモソモ政府だけ困るのか国民全部か?と言う図式設定自体が間違っている・・実態はもっと複雑多岐であると思う国民が圧倒的多数でしょう。
国民主権国家論も(コクミンのためにあるか抑圧ためにあるかの)西洋的2元論によるものですが、少なくとも国民主権国家である以上は、政府は国民のためにあるものですが、革新系論者の各種意見は日本がその段階に至っていない立場のようです。
「人権活動家」と称する人たちが国連に出掛けて行って、報道の自由が抑圧されている少女の性道徳が乱れているから調査に来てくれとか、慰安婦問題を宣伝しているのです。
19世紀西洋で到達した近代社会に達していない中国社会を前提にすれば、国連に出掛けて行って自国政府批判するのは合理的ですが近代法成立よりもずっと以前から、高度な社会に達している日本政府が如何に酷いかを宣伝しても世界中がキョトンとしているのではないでしょうか?
「人権活動家」とは、人類を「万物の霊長」として、どんな残虐なことをしても良いと思っていた西洋人・中国人が「動物愛護」「人としてやって良いこととイケナイことの区別」を知って、自分が目覚めると今度はしたり顔で、イキナリ捕鯨反対をしているグループと同レベルではないでしょうか?
日本民族はフランス革命のずっと前から人権・民意・環境・万物尊重社会だったと言う立場です。
世の中は、シロか黒か、暑い寒いかなどの2択ではなくいろんなバリエーションがあることはこれまで書いている・・私が書かなくとも多くの日本人はそう思って生きて来たでしょう。
何とか集会では、2項対立的議論・・すっきりして分りよいことを大きな声で主張している人は自慢げですが、多くの参加者「そうは言ってもなあ・・・・」と言う顔をしている人が圧倒的多数です。
・・複雑多岐で一言で言い切れない意見を持っている国民性・・意見がないのではなく・・白か黒かのような単純な意見として表現し切れないだけのことですから、高度文明社会では演説的単純表現しきれない、サイレントマジョリテイが重要です。
芸術分野でも西洋では近代に入って漸く写実の必要性に気が付いたようですが、日本人は写楽のクビ絵.北斎の赤富士などが出る江戸時代のもっと昔・・・縄文の昔から、写実をはるかに通り越した土偶を一杯残しています。
アメリカでは交渉力その他総合力がなくとも映画界その他演出のプロの言うとおりに、演説さえ上手にこなせれば、大統領や政治家になれるのは不思議でも何でもありません・・要は国民レベルが低くてその程度の煽動的単純主張しか理解出来ない民度・・単純主張では飽き足らないレベルの人が少ないからです。
それでも国際政治が何とかなっているように見えたのは、その都度損ばかりしていても大金持ち・・資源大国・・産業革命→資源活用の時代が始まってうまくマッチ出来たので、その結果を誤摩化せていたに過ぎません。
支配地拡大縮小の結果から第2次世界大戦を見ればスターリンは東欧諸国を支配下に収め西欧諸国は植民地支配権を失ってスターリンの一人勝ちの結果に終わり、更に世界共産革命を目指す余力まで与えました。
引き続いて始まった朝鮮戦争はソ連に対抗する力を着けそうな中国をアメリカの正面の敵に据える作戦にうまく乗せられ,米中双方が引きずり込まれた上でソ連はあっさり手を引いて米中の消耗戦にさせられてしまいました。
その後ベトナム戦争に始まり現在のシリア混迷に至るまで下手ばかり打っているアメリカですが、それでも底力(資源地生産と資源利用力が近代化レベルにマッチしていた優位性)の勝負で最後はソ連崩壊に追い込みましたが、今では資源開発能力進歩によって(アフリカ諸国もロシアも中国も)世界中が資源国化してきてアメリカは相対的資源利用大国に過ぎなくなって来ました。

政府と国民4(2項対立2)

2項対立論者は、何かあると国民が困ると見るか、政府や与党=抑圧者だけが困るだけと見るかの2択視点を前提としていて、不祥事や災難が起きるとこれを喝采する方が正しいか困ったことだと思うかによってどちらの側かの区別をしようとするものです。
社会実態はもっと複雑多義であると思う国民が圧倒的多数でしょう。
熊本地震当初ミノモンタ氏のように根拠なく政府批判的アタマごなしの論調(現地応援の政府高官による弁当差し入れ希望のツイッター批判など)が頭出しされていましたが、昨日あたりの報道では政府の対応をプラス評価する意見が多かった世論調査結果が出ています。
ミノモンタ氏のツイッター炎上に関して、政府批判の揚げ足とりに精を出すよりは先ず助け合うことが必要だろうと書いておきましたが、ネット世論発達で、マスコミによる一方的な政府タタキが出来なくなって来た様子・・2項対立論を煽るよりは一丸となった同胞救済が先と言う意見の方が多かったようです。
万年単位で人智が遅れているアメリカ人が乱暴な2択基準を持ち込んで教育強制したために、この70年間世社会を2項対立でしか判断出来ない人材がアメリカのトラの威を借りたマスコミを筆頭にエリートとしてのさばっていたに過ぎません。
今日の風情・・春めいた気分とか初夏らしい空気などにあわせてどのような装いが良いか、どのような色柄が良いか迷っているときに「今日は春か夏かどちらかだ!」「晴れるか雨か」と言う基準で早く決めろよ!と夫に言われると黙ってしまうしかありません・・。
黙っている人(女性・・サイレンとマジョリテイー)はモノゴトの基準が分らないのではなく、大雑把な基準しか分らないテーマ設定者を議論にならないとバカにしているだけです。
単純化・・ミノモンタ氏流に良く考えもせずに一刀両断的に発言する人がもてはやされて来た)に適している戦後エリートを基礎的人材源とする革新系・・民主党政権時代にいわゆる二者択一的判断・・(曖昧模糊とした主張が許されない)吊るし上げ・人民裁判的「事業仕分け」が同政権の目玉だったことがその本質を如実に物語っています。
2項対立的仕分けによれば、政府が何のためにあるのか犯罪摘発は国民のため必要なのか、政府に抑圧・搾取されている国民反抗抑圧のための「摘発組織」としてあるかのテーマとなり、政府をフランス革命前の抑圧組織として理解しているグループは政府統計処理などの充実に対して、何でも反対に傾き易くなります。
テロや災害のない平和安心社会を望む庶民はこれに必要な装置・・プライバシーとの比較の上で街灯設置数が多く街路や公園が明るい方が良いし、防犯カメラ設置場所が多い方が有り難い・・ひいては仮名取引などの不透明社会を望みません。
引っ越せばそのとおり住民登録するし、自分の行動を秘密にしたいと思う人は少ないでしょうからいろんなデータ化に協力的・寛容→アングラ系が跋扈しない社会を望みますが、2項対立図式・・秩序は人民抑圧のためにあるとするグル−プでは現在日本を現在中国社会そのものと見ていて、政府と人民は対立関係にあるべき・・・現に対立していると理解しているように見えます。
社会を権力に連なる階層と非抑圧者の2種類に単純化してみる・・現実の日本を見ずに数千年単位で遅れている中国社会と同視しているからです。
日本社会は昔から(フランス革命よりもずっと前から)、そんな単純な社会ではありません。
食中毒事件1つ例にとってみても、庶民が安心して外食出来なくなる点では社会の信頼関係破壊ですし、地震災害、交通機関混乱や爆破テロもすべて政府権力者が困るだけではなく国民も等しく困るので避けるべき・・事前情報収集体制の整備を求めます。
情報収拾・・預金残高の動きが政府に分っても自分が何も悪いことしたくなければ少しも困りません。
ちなみに、マイナンバ−制度や防犯カメラ、航空機搭乗者者名簿、ホテル宿泊名簿も同様で伝染性疾患患者が出た場合その足取りを調べるためなど必要性があれば調査するだけであって、近所の人が、自分の行動を自由に知ることと同じではありません。
隣近所の人に一々自分の行動を知られたくないのと、統計処理とプライバシー保護とは直接関係ありません。
マスコミが大量データ漏洩を如何にもプライバシー侵害のように宣伝しますが、業者は自分が個人的に知っている友人知人のデータを欲しくって情報を買うのではありません。
漏洩したビッグデータを各種業者は更に加工して成人式直前の女性だけの名簿とか化粧品購入層など需要に応じてダイレクトメール業者に売るのが普通で、商品販売業者(例えば資生堂)でさえその名簿を入手する必要がない・・ダイレクト業者に何万人分として発注するだけでしょう。
このように漏洩名簿は専門業者ごとに加工されて行き、抽象化されて行くのが普通で、隣近所の知り合いが隣の人の情報を欲しくてこれを入手するなど滅多にあり得ない仕組み・・マスコミが喧伝しているようなプライバシイー侵害リスクに直結しないのが原則です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。