国際政治力学の流動化6(FTA→TPPヘ1)

日本は、円高誘導とFTA包囲網に対して円高を利用した海外資本進出による迂回輸出と高度部品輸出で包囲網をくぐり抜けてきましたが、(EUの障壁をくぐるためにイギリスに工場を設けたり、アメリカの防壁をくぐるためにメキシコに工場を設けるなど)日本の部品輸出・・小さな穴からの輸出・・BtoBで凌いで来ました。
Tppは結果的にこの穴まで目詰まりを起こさせる試み・・包括的に日本の輸出を閉め出す目論み(部品まで規制の対象にする)がTPP推進の狙いだったかどうかは別として、結果はそうなります。
TPPの約束は、部品まで原産国基準になってTPP加盟国からの輸出でも組み入れ部品がTPP外からの輸入であれば、その分原産地規制によって高関税になる仕組みと言われています。
TPPは言わば西欧の関税同盟EECと並列していたヨーロッパ自由貿易連合(正式名称を忘れましたが・・こう言うものがありました)みたいなものですが、中韓がTPPに入っていない場合を例にすると、例えばタイがttp加盟している場合にタイからアメリカへの輸出製品に、韓国部品を組み込むとその分関税が高くなるので、同じ価格ならばTPP加盟国の日本製品を組込むようになって行きます。
上記のように、加盟していない中韓が蚊帳の外におかれるマイナスをマスコミが今になって議論していますが、実はこのTPPに参加表明していなかった日本に当てはめるとどうなっていたかのシュミレーションこそが必要です。
TPPの最低基準・・知財保護など・・要求レベルが高過ぎるので、中国が参加したくとも出来ないハードルを設けていることから、中国寄りにシフトしている韓国が中国に気兼ねして日本が参加表明しても韓国は、「元々米韓FTAで優遇を受けているのでTPP参加メリットが少ない」(知財等が共通政策に加わっただけでは)「元々米韓FTAで優遇を受けているのでTPP参加メリットが少ない」として、参加しないと表明していたのです。
と言うことは、TPP不参加による最も大きな影響を受けるのは日米FTA締結が出来ていない日本だったことになります。
安倍政権になってから、数年前に「今からで間に合うか?」と言う段階で,大騒ぎして打診し、(アメリカが同意しないと元々参加出来ない仕組みになっていました)して始まったのですが、当初日本は蚊帳の外におかれていた..あるいは日本が判断を誤って参加表明していなかったことが重要です。
そもそもニュージーランドなどアジアの仲間としてはどうかな?と思うような国々主導でこのような大規模な仕組みを提唱して始まっていたこと自体が異例で(日本の判断を誤らせる意図があった?)奇異な感じを受ける人が多いでしょう。
16年5月17日現在のウイキペデイアによると以下のとおりです。
原協定
環太平洋戦略的経済連携協定の原協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP)は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の経済連携協定(EPA)として始まり、2005年7月に署名され2006年5月に発効となった。
2010年3月から、原加盟4か国にアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国を加えた拡大交渉が開始された。2011年時点では、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっていた。9カ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指していた[6]。
またTPPは原則非公開とされ全文の閲覧が行えるのは、この協定に関わる各国の3名ずつのみとなっている。
2011年11月12日、ホノルルでの2011年アメリカAPECの会合で、交渉は大枠合意に至り、米大統領バラク・オバマは今後1年間での最終妥結を目指すことを明らかにした[6]。
2012年11月12日の会合からカナダとメキシコも正式な加盟交渉国に加わった[30]。

TPPが当初日本の金城湯池の東南アジア諸国の市場を奪う結果になることが分らないように、ニュージーランドやブルネイなど数カ国で始め、ある程度まで進むと周辺国を増やして、東南アジア全体のイメージにするまでアメリカやカナダの参加予定を隠す「衣の下の鎧隠し」の長期計画であった可能性が高いことが重要です。
結果から見るとこうなりますが、アメリカから言えば、2010年3月のアメリカ参加のときに事前に日本にも参加呼びかけをしていたのに農産物保護を名目に(日本も韓国同様に中国に気兼ねしていたのか?)・・アメリカやカナダなどから貿易閉め出しの結果になるのが分っていながら、これに応じて来なかった当時の日本政府の自己責任だったとも言えます。
ちなみに2009年7月21日衆議院解散後民主党政権が成立し、2011年暮れの安倍政権成立までが民主党政権でした。
政治と言うのは、単純ではなくどうにでも解釈出来るように進めて行くのが原則です。

国際政治力学流動化5(ウルグアイラウンド中断→FTA)

今回のサミットの大得点は(毎年そのときのテーマ・・数年すれば忘れてしまうテーマに過ぎない多くの首脳宣言よりは)オバマ大統領の広島訪問でしょう。
被爆者代表のオバマ大統領に対する対応姿勢は、百万言を要しない、日本の蓄積して来た文化をそのまま表しているもので、日本人的に見れば完璧・・感激した人が多いでしょう。
ルーズベルト政権による戦争開始以降アメリカ国民に対してデマ報道で煽って来た日本悪玉論とその締めくくりとして強行したでっち上げ東京裁判の酷さ、このでっち上げ裁判批判から逃れるために噓の上塗りとして戦後70年にわたる日本に対する道徳批判・日本敵視政策を陰陽にして来ましたが、(中韓を煽る慰安婦や南京事件の創作後援)を1昨年頃から修正し始めたのは対日敵視政策変更の一環です。
TPPの意義について少し書いておきます。
元々自由貿易主義とは、競争優位の国にとって土足で踏み込む権利を認めろと言うのと同じですから、アメリカが国際競争上圧倒的優位だった期間中にじぶんの都合で推進してきた原理であったことが明らかです。
ところが自分の決めたルールなのに、特定分野で日本に負けるようになって来ると日米繊維交渉や電機交渉などの個別通商交渉などで日本からの輸出規制を要求するようになって来て、(スポーツで日本が勝ち進むとイキナリルールが変わるようなことが経済界でも行なわれて来ました)自由貿易主義の本家アメリカのイメージダウンが進んでいましたが。
その後、個別規制ではどうにもならないほどアメリカや西欧諸国が日本に負ける分野の裾野が広がって来ると個別交渉濫発では、自由貿易の旗手のイメージダウンが気になって来たらしく、自由貿易主義の旗印を守るために急激な円高にして日本に大幅なハンデイを負わせる方針に切り替えた(スポーツで言えば、ルール変更ではなく日本人は片手で戦えと言うようなものか?)のがプラザ合意でした。
それまでは欧米が競争優位を前提に世界的な関税撤廃交渉・・自由貿易主義の旗印で「ガット」その他(プレトンウッヅ体制)を運営して来たのですが、日本の台頭で自由貿易主義強調による欧米の旨味が日本に奪われて来たので、戦後の自由貿易体制から日本を排除しようとして来た流れがあります。
第二次世界大戦に日本を引きずり込んだことの焼き直しです。
EUも結成目的は、戦前のブロック経済の再開の意味であったと書いてきましたが、ウルグアイラウンド.包括的関税撤廃交渉がその後全く進まなくなった原因は欧米が自由化を進めると日本が得をするほうが多く欧米にメリットが少なくなって来たので妥協しなくなったからです。
86年に始まったウルグアイラウンドでは結局合意らしき合意もなく頓挫したままになっていることは周知のとおりで、その後全加盟国に効果のある包括交渉が停滞し個別FTA交渉に移行して行ったのは偶然ではありません。
日米交渉の例で言えば、アメリカの圧力で牛肉の関税引き下げをするとアメリカより安い豪州の牛肉ばかりに輸入が増えた例がありますが、一般的関税引き下げ交渉が成功しても下がった関税で得をするのは競争力のある国です・・国際競争力の下がった欧米にとって得になる場合が少なくなくなっていたのです。
そこでみんなが恩恵を受ける一般的な引き下げ交渉よりは、特定国同士だけの引き下げ交渉・・FTAに移行して来たことになります。
プラザ合意以降欧米による日本孤立化政策の一環と言えるかどうか不明ですが、結果から見ると、WTOの包括的関税引き下げ.ウルグアイラウンドの失敗・・と言うよりは欧米による事実上推進凍結方針により個別のFTA交渉主流に転換したと見るべきです。
個別交渉になれば、自国より競争優位の国との相互関税撤廃をすれば弱い方が損に決まっていますから、いろんな分野で競争力のある日本とFTAをしたい国は滅多にありません。
たとえば、フランスやイタリアが特定ブランド品では日本へ輸出で有利としても、その何倍もの日本の工業製品が低関税で流入する場合トータルでは仏伊にとってフリですから日本とのFTAを渋ります。
その結果欧米の応援を受ける中韓は、ドンドンFTAを締結して輸入関税を逓減しているのに対して、世界最強競争力を持つ日本だけどこからも殆ど相手にされない孤立化政策にはまっていました。
円高政策とFTA包囲網造りが進んだことが失われた20年と言われる基礎状況でした。
米韓は別にFTAを結んでいますし中韓FTAも締結していますが、世界中が日本に対して表向きFTAを拒否しないものああだこうだと言いがかりをつけられてはFTAを殆ど締結出来ていません・・。
最近韓国で日産車の燃費偽装の有無が問題になっていますが、報道によると英国生産品だったことが分ってきました・・隣の韓国へ輸出するのに英国で作らねばならない・・日本製を輸出出来ない仕組みが世界中で張り巡らされてこれが完成していることが分かります。

国際政治力学の流動化4

日本では、日本に対する煮え湯を飲まされるようなアメリカの悪行しか知られていませんが、西欧諸国に対しても資源獲得競争など日本に関係のなかった競合分野では、かなり悪どいことをして来たことが何となく分ってきました。
スエズ運河の国有化に象徴されるように英仏が徐々に中東の利権を失い、変わってアメリカが浸透して行きました。
アジアでも仏領インドシナと言われた地域そっくりアメリカと入れ替わってアメリカがベトナム戦争などを戦うようになって行きました。
地位が入れ替わって行くには、それぞれに固有の理由・名分があるでしょうが、結果的に追い払われたことに変わりがありません。
合理的な理由・相手の品質が良くて負けたならば仕方がないですが、資源力による非合理な値引きその他の強引な手法によって敗退したような場合には面白くないでしょう。
中国による爆買いをちらつかせて公共工事などを横から奪い取るやり方や無茶なダンピングによる市場席巻なども同じです。
日本から見れば欧米と一括りに見ているので分り難いですが、外部から見れば、親族の紐帯は堅いようでも「骨肉の争い」は熾烈なものです。
戦前戦後を通じて西欧が植民地支配を通じて確保して来た利権をアメリカが(今の中国の爆買いのように・・札ビラ・軍事力で強引に相手を押しのけるやり方でしょう)腕力に任せて強引に蚕食し続けて来たモノと思われます。
20世紀に入ってから約1世紀わたってアメリカに押しまくられて来た西欧にとっては、悲願としてのEU設立にこぎ着けて他方で中国と言う対抗馬が出て来たので出来れば中国支持に舵を切りたい気持ちになっていてもおかしくありません。
現在社会の力は生産力よりは市場購買力であると書いてきましたが、西欧にとっては有望で大きな市場は中国であり、アメリカはもはや棄てた市場と思っている可能性があります。
ワーゲンのアメリカ市場での売り上げ比率を6月8日に紹介しましたが、今や僅か1、8%ですから驚きです。
14日の日経新聞8pにはドイツのメルケル首相の中国訪問記事として「中国との蜜月関係に【変化」と言う中見出しで出ています。
従来と違い、鉄鋼などのダンピング輸出に苦言を呈し,南シナ海問題に言及するなど、さすがに甘い顔ばかり出来なくなったと言う報道ですが、そこには中国訪問が就任後九回目と言う事実が出ています。
この訪問回数の多さ(アメリカでのワーゲンの市場占有率が1.8%しかない現実・・)から見ても、ドイツの中国傾斜ぶりが分ると言うものです。
日米枢軸?と言っても安倍総理のアメリカ訪問は何回もないでしょう。
中国訪問に至っては、第二次安倍政権になって1回もないように思いますが・・。
中独の蜜月ぶりを下敷きにすると、中韓が頻りに「独逸を見習え」(アウシュビッツの記念館のようなもの・・【慰安婦記念館」【南京」虐殺記念館」を日本に作って反省の意志を示せと言うことでしょうが・・)と言う理由も分ります。
アメリカの出身母体で本来絶対的与国であるべき西欧諸国や豪州が、米中対立に関して何かにつけて中国寄りに軸足を変えて来たので、アメリカにとって今や安心出来る有力与国は世界で日本しかいなくなってしまったのが現実です。
これまでのように日本に対して裏で最大のイヤガラセをしながら、白人ではないが【名誉白人」として欧米クラブの「仲間に入れてやるから・・」「これ以上苛めないから・・」と言うだけでは間に合わなくなって来ました。
バレバレの陰での嫌がらせを少しは反省するフリを示すしかなくなって来たのが現状で、「今まで酷いことをして来たね!と反省の姿勢を、戦時中の各種書類公開解禁等によって、(政府関与の証拠がないと言う慰安婦報告もその一環ですが・・)徐々に示すようになってきました。
日本人は韓国のように相手が非を認めると居丈高に謝罪や賠償をトコトン要求する国民性でないことを良く知っていることも関係します。
日本人は、アメリカに散々煮え湯を飲まされてもそれはそれとして簡単に主従関係を変えない犬みたいな習性があります。
昨年の安倍総理のアメリカ議会演説を皮切りに戦時中の日本兵が如何に勇敢であったか、武士道的だったかなどの報道がじわじわと流れ出るようになり、他方でルーズベルトが如何に日本に対して酷いことをしていたかのアメリカ報道が増えた・・「戦争責任を謝るべきはアメリカの方じゃないか?」の報道が増えて来たのは、政府が公式に謝らない代わりの懐柔策と見るべきでしょう。
その中間締めくくりが、今回の広島訪問になったと見ることが出来ます。
日本人は「謝って欲しいと言いません」が、自然にそう言う流れになって来た・・高騰戦略の勝利です。
この辺の変化は「覇道の限界と日本の補完性7」 February 28, 2016 まで書きました。

国際政治力学の流動化3

元々慰安婦や南京虐殺騒動の大もとはアメリカのでっち上げ資料に基づく・・東京裁判の正当化のために中韓に対する唆しで始まったことは世界の常識になっているでしょうが、その手足として動いたのは中韓両国でした。
これのタイミングを見計らって決定打を与える目的で如何にも中立っぽくアメリカによる慰安婦の実証調査(アメリカは日本敗戦時に軍関係資料を収集していて手元に持っています・・)が反日に凝り固まっていたクリントン政権時代から開始してていました。
タイミングを見計らって、日本不利の決定打となる調査報告を出して日本に全面謝罪させるスケジュールで動いていた筈でしたが、途中でアメリカの反日方針が変わったからか?あるいはいくら探しても慰安婦関連証拠が出て来なかったからか?
調査報告は逆に日本政府関与証拠が全くないと言う結果になってしまいました。
調査担当の高官だったかが資料が見つからないことに「失望した」と言う表現をしたことが日本で評判になりましたが・・。
慰安婦問題を大きくしたいからか、日本マスコミは殆どこれを報道していませんが、報道の公平性・中立性に疑問があります。
そもそもマスコミの中立性とは国内の論争に対する中立であって、日本と外国との対立に日本マスコミ・・とくに国営?のNHKが対外的に中立などと言うことが、想定されているのでしょうか?
日中,日韓紛争に関して政府官僚は中立ですと宣言しているようなものです。
官僚やマスコミは国内論争に中立を守ってより良き国論の発展阻害しないことが大切ですが、相手国との中立を主張する官僚など許されません。
慰安婦の強制性の有無は日本国民共通の利害であって、強制性があったと言う主張する事自体国益に反することが明らかです。
以下は産經新聞ニュースからです。
http://www.sankei.com/world/news/141127/wor1411270003-n1.html
「米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的 な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。戦時の米軍は慰安婦制度を日本国内の売春制度の単なる延長とみていたという。調査結果は、日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される。」
アフガンゲリラを育てると、今度はアメリカに向かって来るなどアメリカの戦略?は目先の見え透いた行動が基本ですから、10〜20年周期で今まで協力して来た国々を敵に着回してしまうようなことばかりでは、その咎めがあちこちで出て来るのは当然で、アメリカの国際戦略・信用がぐらついてきました。
スパーンの短さは最近だけのことではなく対日戦争目的も同じです。
当時の世界史的争点は資本主義対共産主義体制の争いだったのですが、(民主主義か否かの争いはありませんでした)アメリカはこれを対日人種戦争目的で理解して日本を戦争に追い込んで行ったのです。
アメリカは対日戦争開始は民主主義を守る戦いであったと虚偽宣伝していますが、ピカソのゲルニカで知られるように超右翼であり残虐な弾圧を返したスペインのフランコ政権が戦争対象になっていない上に、ソ連や中共が民主主義政権でないのにこれらの応援をしたことからみれば、アメリカの戦争目的はこじつけに過ぎないことは誰の目にも明らかです。
戦争が終わってみればソ連が中東欧を支配下に収めアジアではモンゴルや中国北朝鮮やベトナムなど共産主義化して実質勝者をソ連にしてしまいました。
戦後直ぐの朝鮮戦争を経て漸く共産主義の浸透が問題であると気が付いて米ソ対決に変化しますが、中東で言えばアメリカはイランのパーレビ体制を支持してきましたが、あるとき(カーターのときに)イキナリ人権を言い出してイラン革命を引き起こしたかと思うと(革命政権それまでアメリカがパーレビ体制を支持的たことの怨恨もあって、反アメリカ的である上に暴徒が大使館に乱入したことなどを理由に)革命政権を敵視してここと30年ほど何やかやと理由を付けては封じ込めをしてきましたが、ここに来てIS対策でイランの協力が必要になるとイキナリ制裁解除に動き、アメリカの手先になって来たサウジやイスラエルを怒らせています。
先の読みが悪過ぎると言うか、目先の利害に追われ過ぎる傾向があります。
世界中が日本並みに数百年・千年単位とまでは行かないまでも、長寿社会になってある程度のスパーンでものごとを考える人が増えて来ると20年周期で失敗がはっきりしてその都度敵・標的を取っ替え=それまで利用して来た味方が敵に入れ替わるオセロゲーム的アメリカ戦略の底の浅さが浮かび上がってきました。
過去の忠実な部下が役に立たなくなってもそれまでの功績を大事にする日本社会・・将棋の駒的利用法とオセロゲームしか知らない社会との大きな違いです。
こんな馬鹿げたことばかりを繰り返していても破綻せずに来られた(イキナリ方向を変えては、それまで協力して来た国を切り捨てて「今度はお前を味方にしてやるぞ!」とこれまで敵視していた国味方に入れ替える・・御都合主義でもみんながついて来た)のは、豊富な資源(量)があったに過ぎません。
今後大量消費的資源(鉄鉱石や石炭石油など)の比重が下がると、アメリカ1強時代が終わる可能性があります。
食料品でさえも量で勝負する時代からおいしいトマトや豚肉など品質で勝負する時代に変わりつつあります。

国際政治力学の流動化2

中国の横暴・秩序無視態度に周辺国が弱過ぎてやられっぱなしで不満がたまっていた筈ですが、中国の方は逆に何しても良いような慢心が生じた結果太平洋2分論を繰り返し主張したり、日本に対してもこれをやってしまったことになります。
日本の場合マトモに受けて立って世界外交を展開する力があった・反日行動に対しては東南アジアに新規投資するなど対抗手段がありますので、中国の孤立が始まりました。
中国が尖閣諸島侵犯だけはなく、南シナ海でイキナリアメリカの構築していた海洋秩序に挑戦し始めたのが日本にとって幸いでしたが、これは無抵抗主義の民主党政権を甘く見ていたものの素早く安倍政権に変わってしまい、日本の強力な対抗を受けて中国は格好がつかなくなって方向転換せざるを得なかったことによります。
素人目に考えても尖閣諸島だけで中国領だと言い張って対日紛争に持ち込んだ方が有利なのに、あえて周辺国みんなを敵に回す南シナ海に進出する暴挙に出たのは何故か・その結果公式に米軍が出てくる事態・世界世論(サミット宣言)を敵に回すことになったのですが、戦線を広げて敵を多くするバカな戦略の背景は何でしょうか?
世上言われているように民主党政権から中国へ日本の軍事機密が漏れ出た結果、日本海軍が中国よりも格段に強いことが分ってしまったことにより、武力一辺倒で尖閣諸島占領が無理となったものの、国内的に格好がつかなくなって南シナ海進出を始めるしかなかった・・子供染みた行為(国際政治は単純ではないと思うのが普通ですが・・)に見えます。
中国では裸官で知られるように国益など二の次の体質・・国内政治の延長・・権力闘争に勝ち残るためには、国益など構っていられない体質ではないかと言う見方です。
中国が世界秩序破壊の膨張主義に出て来たので、アメリカも漸く親中・応援路線を修正初めて、(中国にやられっぱなしではなく)逆にイランやベトナム・ミャンマ−、キューバ等への制裁解除(緩和)→中国陣営からの引き剥がしに動き出して、制裁緩和の結果ミャンマーなどの中国離れも加速しているなど世界の合従連衡の再構成が進んできました。
ところで独裁・軍事政権・人権侵害の理由で制裁していたアメリカが、イキナリ制裁緩和を始めたのでは、民主主義・人権擁護の主張を放棄したように見える点では、独裁国家中国になびいてる西欧と似ていますが、これは専制や独裁による人権侵害を応援するのではなく、アメリカの動きは制裁緩和に応じた民主化を漸次進めるように促す方向・・方法論の変更に過ぎません。
独裁強化・・自国内の言論弾圧だけではなく専制支配を更に周辺に広げることを目指す中国をそのままモンク言わずに(AIIB参加)応援する西欧とは方向性が違うように見えます。
民主主義国家であるべき西欧諸国が、中国専制支配を擁護し・香港での非民主化強行などに抗議するどころかAIIBIを通じた専制支配の拡大の後押しをするようになって来たので、この点を捉えて安倍総理がいわゆる【価値観」外交を展開したのは本質をついた良い着眼でした。
アジアで言えば中国の横暴な振る舞いに比例して従来の親中国諸国(韓国も含めて)の中国離れが進んでいます。
北朝鮮は中国支配から逃れたい・・本質は親米で「仲良くして!」と言う愛情表現が核実験やミサイル実験であると見るのが正確でしょう。
中国が、孤立しているロシアの足下を見て横柄な態度(実際には中国には資金がないのに「ない」と言えずに偉そうに格好つけているだけ?)に変化したのでロシアも、どうやって中国に頼らないようにするかの思案中になっています。
元々ロシアにとっては長大な国境を脇腹に抱え人口的に絶えざる浸透圧力のかかっている中国は、ロシアの弱み・本質的脅威国です。
プーチンが必死?に対日親和性を強調するのは理にかなっていますし、日本にとっても本拠地の遠いロシアは今の経済力等を綜合すればもはや(明治維新当時とは違い)軍事的脅威にはなりませんので張り合う必要性のない関係です。
現在の中国による反日政策と中国語の自信満々の横暴な振る舞いの原因はアメリカの反日戦後政策・・対抗軸としての中国応援によってのさばり過ぎたと見るべきでしょう。
日米戦争はソモソモアジア人である日本の台頭を叩き潰す目的で日本を戦争に引きずり込んだものですが、折角叩き潰して永久に台頭出来ないように一切の軍備も禁止したし、工業生産も禁止して来たのに、ソ連の挑戦に対応するために仕方なしに日本の再工業国化をアメリカは(臨時に?)許していたに過ぎません。
米ソ対決が終わって、アメリカは当面の敵がなくなったのでもう一度反日政策の再構築に戻ったのですが、理由もないのにもう一度軍事的に焼け野が原にする訳に行かないので、当面日本に対する道義非難を中韓にさせて様子見をしていた・・中韓と日本の反目を画策しているうちにアメリカが直截手を出さずに中国と日本を戦争させる寸前まで進んで来ていたのです。
(反日親中政策に徹したクリントン政権批判論調が我が国では多いですが、個人資質の問題ではありません)
アメリカは世界中を動員した日本叩きに精出した結果、この20年間「失われた20年」と言う対外的低迷期(私の意見では一直線に伸びるばかりでは危ういのでちょうど良い雌伏・内部充実期)に日本がはいっていたのですが、中国や韓国を優遇しているうちに今度は中国が自信を持ってのさばり過ぎたので、アメリカが中国の味方を公式に出来なくなってしまいました。
とは言えアメリカは世界の警察官をやめると公式発言しているのは、アメリカに攻めてさえ来なければ強くなった中国が西太平洋で何をやっても放置する体制・・(手始めに対日戦争準備.尖閣諸島侵略)言い訳準備が出来ていることになります・・。
中国が頻りに太平洋2分論=アメリカには手を出さない約束と自国の「核心的利益」を言うようになったのは・アメリカの核心利益に触れない限り黙認して下さいと言う意味です。
中韓の主張は、実は自分と相手とをすり替えていることが多い一例です。
とは言え、表向き太平洋2分論を認めていないことにしているアメリカにとっては南シナ海で中国が基地を堂々と作っていてこれを放置するとメンツが立たないことから、時々アメリカ艦船が航行しますが何もしない・・放置していることをオバマの弱腰と言いますが、実はアメリカの(核心的利益に反しない限り)世界の警察官をやらない宣言と平仄があっています。
ましてトランプ氏は自国に関係のないことは放っておくべきだと言う態度が露骨ですが、これがアメリカの本音でしょう。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。