金融政策の限界7

以下金融政策の限界論です。
不景気とは、・・経済原理上投資するメリットがないと言う市場判断によって、投資が停滞しているのが現在の世界経済です。
昔は需要があっても資金がない国では、インフラ投資出来ませんでしたが、今では需要があれば先進国から資金が流れ込みますから、需要がすべてを決める時代になっていると言うテーマでこのシリーズを書いてきました。
日本は世界最大の純債権国・資金余剰の国ですから、投資が増えないのは資金不足によるのではなく市場的関心による需要がないからです。
これ以上トンネルをくりぬいて10数人規模の小集落間の移動を便利にしてもコストパフォーマンスが悪過ぎる・・公共工事による経済効果を期待するのは限界が来ていることは20年前から分っていることです。
今は財政目標は公共工事からいろんな方面へ拡散していますが、民間の創意工夫・・智恵を結集しても採算取れないものを、政府が作っても需要が想定より増えることがありません。
第二階東京オリンピック設備計画同様にやってみると、想定以上のコストがかかる逆の結果になるのが普通の成り行きです。
特定成長分野を政府が決める(太陽光発電への補助など)のは計画経済のようで無理があるし利権の温床になりがちなので、全国民に公平に効果が行き渡るように規制や金融緩和で公平にみんなのハードル(コスト)を下げる・・水平面をさげる(下駄を履かせる)努力が規制緩和・金融緩和論です。
しかし市場原理に委ねると民間がやる気が起きない分野については、公共投資であってもあるいは金利下げによって少し投資が増えても(元々需要が乏しいのですから)これによる経済成長効果が殆どない見込めません。
金利下げによって無理に後押ししても投資乗数・・経済成長効果がないことに変わりがない・・世界水準から見て高度にインフラその他が行き渡っている先進国・・しかも資金が余っている我が国では、金利が下がり紙幣増発しても本来の需要が増える訳がありません。
我が家で言えば金利が下がっても借金する気がしないし・・牛乳やコーヒーの値段が1割下がっても昨日より多く飲みたいとは思いません。
景気対策として人為的に需要を引き上げようとして財政投融資や金融緩和するのは、結果的に経済合理的に見て必要もない資金利用を煽ることになります。
※生活に必要なインフラ整備は終わって今後はレベルアップ用の整備・・街路樹の植栽、駅プラットホームの防護冊やエスカレーターなどの増設、電線地中化・・公園便所のレベルアップなどは経済成長効果を望めませんが、豊かな国では税でやるべきでしょうし、ロケット開発や南極派遣など)長期的展望による資金が必要なために民間で出せない分野を国家地方政府が出すのは必要ですが、目先の経済成長を求めるとおかしなことになります。
財政の使い道は豊かになった程度に応じて快適な生活を増進する目的で行なうべきであって、経済対策として行なうべきないと言う視点で書いています。
私見によれば即効的景気対策・・経済成長目的の財政出動政策は不要であり誤り(害)ですが、(為替相場対策→その結果として内需が増える効果としては意味があることは認めますが・・)これを間違って?利用する人が増えた場合、我が国のバブルの教訓だけではなく、どこの国でも何らか(長野オリンピック景気も本来その社会地域の需要を越えた人為的需要でした)のバブルが発生し、崩壊する法則?を直視すべきです。
日銀が金融緩和しても物価が上がらない(物価が上がらないのは良いことです)とか国内投資が増えていないと批判する意見がありますが、元々そう言う直接的効果は予定されていないと言うべきです。
何回も書くように開かれた世界ではある国の物価が上がれば物価の低い国から輸入される・・中期的には国際相場以上に物価が上がることはありませんので金融政策に物価上昇効果を期待するのは無理があります。
同様にいくら日銀が紙幣を発行しても(日本が輸入資金を持っている・債権国である限り)ハイパーインフレは発生しません。
赤字国債論議で財政赤字が続くと必ず出て来る「将来払えなくなればどうする」と言う議論に対して何回も書いていますが、赤字累積がどうなるかは、日本全体の赤字の場合の議論を一部組織でしかない「政府財政赤字」の議論にすり替えているのです。
日本経済全体のために必須ならば(体全体を助けるために一部ちくりと注射して痛い思いをしても良いように)「政府」と言う部分団体の赤字も我慢すべきかは別問題です。
金融緩和論に戻りますと、リーマンショックに対して世界中が金融緩和で対処したのに、日本だけが緩和しなかったので超円高になり、リーマンショックの被害が最も少なかった日本が一番回復が遅く・・大きなダメージを受けてしまいました。
金融緩和は国内投資を直截増やすよりは為替相場の引き下げ効果があって、輸入抑制・輸出環境好転→国内投資環境の好転、・・結果的に緩和しなかった日本だけが割を食ってしまったのです。
インフレ期待を日銀が掲げたのは(私見によれば)間違いですが、金融緩和競争に日本だけ泰然としているべきではない・・これを改めたのは正解です。
マイナス金利もEUが早くから実行しているしEUの方が、マイナス金利ハバが日本よりも大きいのに、これとの比較論が一切なく日本のマイナス金利だけ「害が大きい」と批判しているのは学者としてはマトモな議論とは言えません。
移民のテーマでも、西欧等での移民増加のマイナス効果を全く論じないで人道論だけ煽っているのも同じです。
人道論は既に移民してしまった人の救済論であって、これから移民を入れてよいか否かの議論とは関係がない・・すり替え論です。
マスメデイアは「日本経済が沈没するように期待するバイアスがかかっているのではないか」「日本が損するような提言しかしない」と言う批判にも説得力がありそうな状態です。

マスコミ・大見出しと中身の齟齬(司法権の中立性)

金融政策の効果・限界に戻る予定でしたが、今朝の日経朝刊42pに昨日書いていた大卒の就職率が大きな記事になっていたので追加的に紹介しておきます。
74%と言う大見出しですが、これは就職希望の有無・事情に拘らず・・留学や大学院進学などいろんな事情(我々法律家の世界で言えば、5月に始まる司法試験受験予定者などは就職しません。)で就職希望のない人も含めて全卒業者に対する就職率は74%と言うことです。
マスコミはなるべく「日本経済はだめだ」と宣伝したいからか、事情如何にかからわず全卒業者に対する結果的な就職比率である74%を大見出しに据えているので「見出し」だけ流し読みする人にとっては、日本の学生の25%が失業しているのか?と錯覚させられる書き方です。
記事内部を読んで行くと終わりの方に4月1日現在の数字として97、3%の数字が出ていますが、ストレートな説明がないので、もう一度読み返してみて、これが就職希望者の就職率なのかな?(と私が鈍いだけかも知れませんが・・)漸く分る書き方です。
週刊誌の大見出しで如何にも大変なことが起きているかのような広告をして、買って読んでみると内容がほとんどないのと似ている・・マスコミが何を主張宣伝したいかの姿勢がよく分ります。
日本ダメ論者はこの大見出しだけコピぺして簡単に流布できるので、如何にも約25%の学卒が就職出来ずに困っているかのような宣伝に使えるのでしょう。
このようにネット上でマスコミの記事の一部をコピーして書いている意見の多くは、実は当てにならないつまみ食いの拡散行為であるリスクが多いことが分ります。
私自身も外国の記事については他人の引用記事に自分で原文に当たれないので、知らず知らずのうちに翻訳者の偏向した主張を事実と誤解して紹介していることが多い筈です・・国内記事でも忙しいと大見出しだけコピーしてしまうリスクがあります・・そのつもりでお読み下さい。
朝日新聞その他の慰安婦報道でもこうした手法を繰り返し使い・・内容を読めばキチンと書いていると言う言い訳を用意しています。
(週刊誌のセンーセーションな報道も99%の人は自分で買わないで電車内の吊り広告面や受け売りの洪水的メデイア報道に洗脳されるのが普通ですが、裁判所の・・「キチンと読めば誤解する筈がない」と言う判断でこのようなイメージ付け手法が容認されて来た点に問題がありそうです。
裁判所の認定方法は、通常人がじっくり読めば後ろの方にちょこっと書いているのに気が付きそれを総合すれば「見出しは大した意味がない」と分かると言う前提ですが、週刊誌を買って読む人だけならば、それでもある程度良いでしょうが、自分で買って読まないその他の大勢の印象だけで政治家その他がパッシングを受けて困るのですから架空の論理を展開していることになります。
週刊誌の発行部数を見れば分るでしょうが、購入者だけの意見であるならば国民の何%もいない筈です。
本日現在のウイキペデイアによれば以下のとおりです。
週刊文春
2007年上期には約52万部、2008年上期には約50万部に落ち込むものの、タブロイド化を目指したことで総合週刊誌の実売部数では2004年上期から(2008年下期現在まで)10期連続でトップに立っている[3]。

上記のとおり発行部数50万部とすれば人口の0、5%以下有権者の1%もありません。
・・まして発行したものが全店舗で売り切れることはあり得ないので、実売数はそのまた何割です。
しかも読んだ人の意見がみんな一致した意見である筈がない(記事を批判的に読む人も当然いる)とすれば、特定意見・・パッシング論が何故国民多くのうねりになるかと言えば、読みもしないで見出しで影響を受けてしまうムード的同調者が急激に増える現象があるからです。
裁判所は、実態(じっくり読む人など国民の1%もいないのに)を無視した判断を何故繰り返すのか?
見出しと内容が大きく違う場合それだけでも悪質ですが、これをみんなが良く読んで判断すると言う架空の認定を何故するのか?こんな無理を続けるにはなにか政治背景・・意図があるのかの疑いが生じます。
裁判所の偏頗な判例の集積によって、報道機関があることないこと大見出しでかき立てるとそれだけで政治家その他が参ってしまう・・マスコミに逆らえない・・第4の権力と言う風潮が生じてしまいました。
裁判所の実態無視判例の集積がマスコミを増長させ(占領軍支配下その系譜を引きずる)マスコミ支配強化を図る役割を果たして来たことと思われます。
今回の参議院選挙及び都知事選挙では、マスコミの独占報道を打ち破るネットの威力が白日の下に曝されました。
マスコミ関係者は話題にも出さない・黙殺方向が明白ですが情報独占の変化・・実態を隠し切るのは無理があるでしょう。
実質不公正なマスコミの「中立報道」がまかり通って来たのは、司法権の中立「良心」に従う裁判所への信頼によるものですが、この良心が揺らいで来たように思えます。
このテーマについてはApril 3, 2016,司法権の限界9(法と良心とは?1)以下で連載したことがあります。
実は「司法権の限界」はまだ連載中で先送りになっていますがその内に再開します

韓国のミニバブル4(家計負債の増加2)

消費のための借金に走る人が多いのは、成長の果実が公平に分配されていないことや、近代的モラルが定着していないだけではなくサムスンなど大手では大多数が新卒就職後3年前後で約25%離職する・・せざるを得ない?と言われている現実・・構造的要因があるようです。
就職浪人が当たり前と言う社会でやっと大手に就職出来ても僅か3年で25%が離職せざるを得ない厳しい選別が待っている悲惨・・(3年の壁を乗り越えても30〜40歳になっても日々厳しい選別・離職が待っています)超一流企業に就職出来たと自慢して来た手前,格好つけるために見込みもないのに、何か商売を始めるしかないようです。
ソモソモ大手企業への就職は非常に難しいと言われています。
サムスンなど財閥系に就職出来るエリートは一握りですが財閥系と一般企業との格差が大き過ぎることから、中小企業へ就職するよりは浪人する人が増えると言ういびつな意識構造になっていると紹介されています。
李強固氏朝鮮以来の長期のヤンパン支配による階級意識の残滓の結果、社会需要を無視した突出した進学率になっていると言われていますし、折角無理(借金)して大学まで出た以上はエリートであるべきであって、中小零細企業で「額に汗して働くことは沽券に拘る」という意識が強いために就職出来ないで浪人している(海外に売春に出たり日本でコンビニで働いても分らないから良いのかな?)と言われています。
無理して進学させる→過大家計債務の原因・・就職出来ずにオヤが返せない場合、取り立てに耐えられず海外売春婦に出ていると言うのがもっぱらの噂です。
こうした意見は当然のことながら統計等の客観資料がないので、韓国社会を見た人の主観によりますが、海外で売春婦と言えば韓国人と言う定説が広がっていること自体・就職難・・韓国の経済困窮を表しています。
韓国では、公式求職活動をしない大卒は失業者にカウントされていないとので、実質的若年失業率が半端ではないようですが真実は不明です。
(日本でも職安に登録しない人はカウントされていませんから内実が重要です・・韓国大卒は階級意識が災いして中小企業への就職を始めっから希望しないのに対して日本学生は零細企業でも何でも就職する違いが大きいようです)
国際比較するには年代別就労率の推移を見るのが結果的公平ですが、この場合にも日本のように専業主婦率の高い国では専業主婦をそのまま失業者にカウント出来ないように、民族意識の差も重要です。
国際的な差の低い男性の就労率の推移で見るのがその国の活力として分りよいと思われますが、就労率のデータがすぐに見つかりませんので以下大卒就職率で見ましょう。
以下http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20160126/Recordchina_20160126012.htmlからの引用です。
2016年1月21日、韓国経済新聞は、日本の文部科学省・厚生労働省の発表を参照し、今年3月卒業予定の日本の大学生の就職内定率が昨年12月1日の時点で80.4%となり、前年同期比で0.1%上昇したと伝えた。
日本の大学生の就職内定率は5年連続で上昇しており、世界金融危機の影響が本格化する前の2008年12月1日(80.5%)に迫る勢いだ。韓国経済新聞 は、日本の大企業が今春卒業予定者を対象に、昨年8月から採用活動に入っており、昨年12月には多くの企業が採用を確定していることなど、日本の好調な労 働市場の現状を伝えた。一方、若年(15~29歳)失業率(9.2%)が史上最高を記録した韓国では、大卒の就職率が56%(2015年基準)に留まって おり、若年層の厳しい就職状況を表している。」

上記記事は年末段階ですから3月卒業時には日本の大卒は95%前後の就職率と言われています。
ちなみに韓国の大卒就職率と言うのは実質はまやかしで、就職浪人・・卒業しないでいる人や給食を諦めた人を含んでいません(日本でも病気等で出席日数が足りないで卒業出来なかった人をカウントしない点同じですが・要は実質です)ので実際に就職したいのに就職出来ているのは3割程度ではないかと言われています。
社会的に見るべきは(病人や突発的故障者の数は毎年大きな変化がない筈ですから)総卒業予定者の何%が就職出来ているかでしょう。
日本で言えば、「年金未納者が減ったと言う政府発表の内実は、未納者の多くを免除したからに過ぎない」と言う報道があるように統計だけは実態が分りません。
(余談ですが、未納者には生活困窮等が多いのですが安易に免除すると払わなくなる人が増えるので、粘り強く集金して行く方法・・年に2〜3回でも払ってもらった方が良いとする運用でしたが、未納率が高いとマスコミが批判するので回収率を高める努力よりはこれらを免除に切り替えた・却って年金財政悪化しますが、批判の矛先が狂うと本末転倒になります・・公営住宅の家賃未納についても同じようなことが起きています。
ただし以下に書くように韓国政府発表の卒業者数自体にも数字の操作があるようです。
以下はhttp://blog.livedoor.jp/kanedashoji70/archives/39170025.htmlからの引用です。
「南朝鮮の場合、36%、およそ3人に1人が卒業浪人をします。この卒業浪人者は単位取得は終えているという事で在学証明書は発行されない、学籍だけがある人たちなんですね。で、当然ながら初年度に就職に失敗した人だから次年度も失敗する。そういった事もあり、大卒就職率から外される事になる。
南朝鮮の就職率56.2%(2014年度)といいますが、卒業浪人はどこにいったんでしょうかね。信用されていない統計庁の「学校・産業別卒業者現況」によると、2014年に大学を卒業した人数が26万758人(!)。ついでに無職は8万6333人。
2014年大学を卒業というの多くは1990年前後に生まれた事を意味します。そして、この年に生まれた人はおよそ65万人。2008年の大学進学率は83.8%でしたから、約54万5000人が大学に入学したはずです。それなのに卒業者が半分以下っていう事は、就職浪人以外に中退が多いという事ですね。」

上記意見は以下の通り論理が荒過ぎて必ずしも同調来ませんが、こう言う意見が普通に出ていると言う程度の紹介です。
すなわち、細かく言えば、生まれた人が21歳ころまで100%生きている筈がないのに21年間もの期間を利用する上記比率計算はおかしいし、日本だって学費が続かなかったり病気休学など一定数いるでしょうが、韓国の中退者を何故大卒の就職浪人と同視するのかの説明がありません。
比率で意見を書くならば、・・もっと近い期間比率・・・入学者数と卒業者の比率を出せば4年間の生存率の差は微々たるものですし、その間に経済・気候情勢も大きな変化がありませんので同時期の減少率を国際比較した上での意見にするのが合理的です。
諸外国と比べて入学者数に比べて卒業者数が極端に少ない場合に、諸外国平均比率で計算する実質就職浪人が何%いると言う意見が合理化されます。
上記記事は、主観的過ぎて客観性がないとしても、韓国政府発表でも学卒の5割程度しか就職出来ない実体はまぎれもない事実と言えます。

韓国のミニバブル3(家計負債の増加1)

企業の場合、儲かると更に儲けるため・・成長のための再投資・借入があり得ます・・企業規模が大きくなると負債も大きくなるのが普通ですが、家計負債は投資用の借金ではありません・・。
日々の買い物や電話水道料金も翌月払うまでは負債には違いないですがこうした1〜2ヶ月で回転して行く決済用負債は別として、サラ金やカードローンの多くは、生活費不足に原因があります。
個人金融資産の増加率と成長率を比べても意味がない・経済成長している場合、国・社会が豊かになっている筈なのに個人・家計負債が何故増え続けているのかと言う疑問です。
オーナーが経営で成功し勤労者が勤務先で出世し給与や手取り収入が2倍〜3倍になれば家計が潤沢になり・苦しいときに借りていた借金を返すことはあっても、成功している人が家計補助のためにサラ金から借りる額を増やすのは希有の事例でしょう。
GDPが仮に2倍になればこれに比例して家計負債が増えるのではなく家計負債が減って行くのが正常な姿です・・この辺が企業規模に比例して負債が増えるのとは次元が違います・・昨日紹介した韓国銀行による「経済規模が大きくなっているから家計負債が増えても心配がない」と言う主張は、仮に借金の伸び率が成長率と同率で増えているに過ぎないとしてもすり替え論理になります。
国単位で見れば、日本でも高度成長の結果・・それまでの外貨不足国から対外純債権国になって行きましたし、(個人金融資産も増加の一途です)韓国も今では外貨準備が潤沢になっている(借金や外資流入で増えているに過ぎない・・真水の外貨準備は少ないのかも知れませんが)と言われています。
これが個人単位になるとGDP伸び率以上に家計負債が伸びているのは異常と言うか、GDP統計に無理(噓?)があるのかあるいは、経済成長の果実が均等に行き渡っていない・・偏っている結果を表しています。
新興国では不均等には目をつぶってでも先ず儲ける企業や人を増やすしかないと言うのが一般的ですから、(アメリカも元は新興国でしたから、アメリカンドリームを宣伝してきました)これが長引くと不均等のひずみが大きくなります。
経済成長すると新製品・サービスが町中に溢れる→成長の果実を得られない人も似たような消費に走るしかない・・裸足だったのがみんな靴を履くようになると成長に関係しない人もクツを履くしかない・・みんな高校に行くようになると自分の子供も高校にやりたいので結果的に家計赤字が増える・・需要に応じて消費者金融業者が増えます。
社会全体の成長による平均的生活水準アップに着いて行けない人が増えると消費者金融・・サラ金系が発達するのはこうした関係です。
日本も成長のひずみの結果サラ金系が一時大盛況でしたが、この弊害除去のために貸金業法の大改正で総額規制等が出来たときに「需要がある以上はかえってヤミ金がはびこるのではないか?」と言う心配が大きかったのですが、そちらに行かずに現在収束しているのは、格差是正・・富みの再分配が静かに!成功している・・借りなくとも一応の生活が出来る社会になっているからでしょう。
別の視点か見て、家計の負債残高が、GDPに迫る(92、9%)のは容易ならざる事態です。
GDPが全部家計に入る訳ではない・・家計収入=個人収入はGDPの一部でしかないのです(労働分配率が100%では企業が成り立ちません)から、国民全員が平均年収の何倍も借金している事態です。
実際には全員が借金している訳ではないので、借りている人はその又何倍も借りている計算になります。
韓国の家計負債の実質(再分配が貧弱)は家計負債の統計以上にもっと深刻らしいです。
韓国では事業負債は実質個人負債であることが多い(隠れ個人負債?)と言う意見が紹介されています。
http://www.data-max.co.jp/280218_ry02/では以下のとおりです。
日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
「 ・・・もう1つは、韓国の自営業者の負債である。参考までに述べておくと、韓国の自営業者の比率は、他の国に比べて非常に高い。というのは韓国では会社を辞めると、日本のように嘱託社員として働くとか、今までの経験を活かす場がとても限られている。そのため、韓国ではリタイア後の収益が急激に減少する特徴が統計にも表れているし、他に選択肢がなくて自営業を始めるケースが多い。
money2 ところが、個人でお金を借りると家計負債になるが、自営業者がお金を借りると、事業資金扱いになり、それも家計負債には含まれず、企業負債になっていることも多い。自分がこれまでやって来た経験を活かしてやる事業ならいいが、まったく違う分野に入って事業をしながら習得していく方法では、なかなか成功は難しい。会社の退職金などでスタートした事業がうまく行かず、廃業しようにも周囲の目があるから、借金しながら頑張っているケースが多い。
その結果、事業に失敗し、中産階層から下流階層に転落することになる。とくに自営業は競争が激しく、今の時代のようにモバイル時代になってくると、自営業が成功する確立は低くなる。
 その自営業の現実が、家計負債にはそのまま反映されていないという指摘である。」
上記によると韓国では個人事業による個人負債が多いので、これが実際には個人家計負債と同視すべき場合が多い・・ラーメン屋など個人経営の負債の場合家計負債以上に額が大きく(個人事業の借金方が、非合法系からの借り入れ率も高く深刻なのが普通です・・これが海外売春に繋がっているように見えます)・・統計上の家計負債よりも実際にもっと大きいと言う指摘です。
韓国では起業が多く活発な社会と言う報道の仕方もありますが、合理的見通しもないのに追い込まれ起業が圧倒的に多いのでは悲惨です。
日本では中小企業が減るばかりで困ったものだとマスコミが言いますが、韓国のように破れかぶれの起業(イキナリキリスト教会をアパートの1室で開設するなども知られています)が多くなるのでは考えものです。

金融政策の限界6(韓国のミニバブル2)

マスメデイアでは中国バブル崩壊を懸念する声が漸く大きくなってきましたが、韓国の場合世界経済や日本への影響が小さいからか殆ど注目されていません。
以下はhttp://seoul123.seesaa.net/article/121402277.htmlからの引用です。
「6月13日韓国銀行によると、韓国人の個人負債は、昨年末基準で1650万ウォン、アメリカは5795万ウォン、日本は3626万ヲン(260万円)、オーストラリアは5150万ウォンと集計されました。
一方、個人金融財産はアメリカ1億6557万ウォン、韓国3451万ウォン、日本1億5617万ウォン(1120万円)で、韓国と経済規模が同じオーストラリアは8254万ウォンです。
韓国銀行は、個人の負債を判断する時、単純に負債の増加だけを注視するのではなく、金融財産の増加を含めて考え、個人の財産健全性と負債償還能力を判断しなければならない。また、個人の負債が増えるのは経済成長に伴う自然な現象なので、それ自体を否定的に見てはいけないと指摘しています。
金融財産を金融負債で割った比率で見ると、昨年末の時点で、日本が一番高く4.31、アメリカ2.86、韓国2.09、オーストラリア1.60になり、日本が一番安定した経済状況にあることが解ります。」
(ただし何年のことか分らない書き方です・・2009年頃に書いたものかも?・・韓国の個人負債激増が問題になり始めたのはここ数年のことですから今のテーマとしてはちょっとモノ頼りないですが・・・。)
上記のとおり急激な個人負債の膨張の心配に対して金融資産も増えているから心配するな?と韓国銀行が言い訳しています。
しかし、GDP比の増加率を昨日紹介した「日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)」の記事(これは新しいデータです)から見れば以下のとおりです。
「韓国の家計負債は、2015年末に1,200兆ウォンに達していて、負債の規模もさることながら、増加スピードが速いことで懸念されている。韓国の家計負債は04年に494兆ウォンであったが、15年には1,200兆ウォンに膨らんでおり、年平均8%ほどで増加をしたという計算になる。同じ期間中に、韓国の経済の実質成長率が3.6%前後であったことを考えると、経済成長に比べて負債は2倍以上のペースで増加したことがわかる。」
これによればGDPの拡大の2倍のスピードで個人負債が増加していることが分り、韓国銀行の説明に無理があることが分ります。
上記記事は全国民をごっちゃにした統計数字で見た場合でも負債率が2倍にふえていると言う指摘ですが、韓国の場合、いわゆる財閥一族に富みが集中し・勤労者も大手企業・公務員とその他零細企業従業員との二極化が激しい・・ヤンパン支配再現のような同様の大きな格差があると言われている社会構造を直視すべきです。
アメリカの格差拡大不満同様に財閥オーナーとその周辺だけがGDP拡大の恩恵を受けている不満が大きい・・これがイギリスのEU離脱論の根底にある世界の潮流ですが、財閥社会の韓国ではその矛盾がもっと大きくなっている筈です。
ただ韓国は前近代意識が強いと言うか庶民が弱い社会ですから、どんなに不満があっても意思表示出来ない・・精々移民や売春婦になって海外に逃げる算段しか出来ない点(北朝鮮でもあれだけ貧困で苦しんでいても誰も反抗しません)が欧米との大きな違いです。
格差の大きい社会では国全体の統計を平均するのでは意味をなさない・・末端庶民の苦しみを見るには、負債比率をGDPで割るとしても、その何倍かの倍率をかけないと本当の意味が分からない状態です。
消費者金融が拡大し続ける社会構造=庶民の方は金融資産など殆ど持っていない・・老後資金がないばかりか国レベルでも年金制度が充実していない現実こそが重要です。
金融資産を持っている人・・例えば500万の預金を持っている人がサラ金やヤクザから10〜30万借りることはあり得ない・・あるいは借りても預金を崩せば返せるのに娘の身売り・・海外売春に追い込まれる人はいない筈です。
借りる人は金融資産など元々持っていない・・(サラ金の顧客も通信料金など引き落とし用に預金口座を持っていますが)金融資産といえるほどのものを持っている人と持っていない人に厳然と別れているのが普通です。
(いつも書きますが一定の例外はありますが原則で書いています)
国民の苦しみ・程度を見るのに、財閥の持つ巨額資産+消費者金融を全く利用していない中間層(年収数千万円以上の階層)の金融資産合計と負債の比率を見ても意味がないことは確かです。
金融資産とのバランス論は、対外でフォルト可能性・・国内資金で賄えているかが分る程度・・国家のデフォルトリスクが多いか少ないかの基準にはなりますが、2極化された国民不満・・国内治安リスクは読めません。
日本の財政赤字リスクの判断には、国内金融資産残高と国債残高の関係が重要ですが、財政赤字の議論になると何故かエコノミスト・マスコミは個人金融資産残高との比較を報道したがりません。
いつも書いていますが統計はどの場面で切り出すかが重要です。
以下はhttp://www.sankei.com/west/news/141118/wst1411180004-n1.htmlからの引用です。
1000兆! アジア最悪の個人負債 2014.12.31 17:00
 リーマンショック以降、金融危機の恐ろしさが身に染みた多くの国では、金融機関が個人向け融資に慎重になっているが、韓国ではむしろ国内総生産(GdP)に占める個人負債の割合が増す現象が起きているのだ。
 韓国メディアの毎日経済新聞(電子版)が伝えたドイツ金融会社アリアンツが発表したデータによると、昨年末時点の世界主要53カ国のGDPの個人負債比率は65・1%で、09年に比べて6・4ポイント下落した。
 ところが、韓国はアジアで最も高い92・9%で08年比で10%上昇。負債規模は08年からの5年間で、1・4倍に急増したという。」

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。