対外強行発言と損失1

アメリカの国際交渉が思うように行かないのは,第二次政界大戦後世界覇者になった地位に応じた政治をするべき能力・背景の民度が低い付いて行けないことによりますが、民度の低い国民を背景とする政府は地位相応の能力がついていない結果道理に基づく交渉ではいつも言い負かされる方に回るのが許せない・・オバマが無能だと批判して溜飲を下げている状態です。
民度が低くて正義の基準がはっきりしなくても圧倒的強者であるときには何とかなっていましたが・相対的強者の地位になってくるとうまく行きません。
実は今でも一対一であれば圧倒的強者ですが、中東、ロシア、中国、その他「全方位的に)全世界的紛争に関わると比喩的に言えば中露に対して3~5対1の比率であっても勢力分散によって大幅に交渉力が低下して行きますので、強引な主張が通り難くなります。
全方位・同時多発的対処は不利なので,オバマは成長地域であるアジアに集中して、ここの権益だけでも日本との協調で守ろうと決めたと思われます。
このように決めた以上は、アジア以外では思うようにいかなくとも捨てた場所だと割り切るしかありませんが、思い切れない非合理意識(・・中東その他地域では利害関係者も一杯出来ています)が国民不満になっているようです。
政府も企業同様にの選択集中判断が求められているのですが、トランプ氏が政権担当になった場合これを承継できるかヒステリーを起こして世界中から手を引くことになるかです。
最近のトランプ氏の発言は上記アジア重視政策の基本になるtpp反対を昨日あたりヘースブックで明示したことから見て、アジア全域でのヘゲモニー確保も諦めて個別交渉で自国有利に展開したいという戦略のように見えます。
多角交渉の場合,上記のとおり一対一ならば圧倒的発言力の筈が10カ国相手だと勢力分散されて無茶が言い難くなります。
そこで一対一の個別交渉を強国が望むのですが,多角交渉の場合自分勝手な主張は誰が指導者になっても紳士的対外交渉をするしかなくなる、自分勝手な主張がうまく行く訳がない・・そこでTPP構想は本来アメリカ主導で始めたものでありながら,トランプ氏は「俺ならうまくやる」とは言わずに、過去の経緯や合意〜約束事を一切認めない・・ちゃぶ台返しをやると言う宣言を始めたのです。
何沙諸島問題でも中国は個別交渉を要求していて「関係ない国は口を出すな」明白に主張しているように、強国が一対一で小国を圧迫する意図が露骨です。
強迫に屈しない手強い相手には・・一方的に課徴金をかけるなど・・ルールによる交渉でなく腕力背景の交渉をする態度・・言いたい放題です。
戦後70掛けて作り上げて来た世界秩序をちゃぶ台返し的に全部認めないとなれば,世界は大混乱ですからこんな無茶が貫徹出来る筈がないですが、当初は個別ルール無視・違反から始めるのでしょう。
ヤクザは一時的に無茶出来ますが、長期的には無理が出るのとおなじですが、民度の低いアメリカ人がこれに「格好いい!』喝采している構図に見えます。
ところで選挙でのスローガンは分り良く単純ですが、実務となれば仮に選挙で圧勝しても風景が違って来ます。
喩えば、排ガス規制や耐震基準を変えるにしても、新規製品から適用するのが普通で過去にさかのぼって適用するのは余程の違法行為以外には無理があります。
移民追い出し・・新参古参の区別もスロ−ガン的には簡単ですが、既得権擁護のための移民排斥?にも入国後数世代経過、20〜10〜5年経過、数年経過など、なだらかなグラヂュエーションがありますから、どこで切るかは難しい・・切り分ける年次によって支持基盤の離反が起きます。
トランプ氏支持者には,居住歴の長いヒスパニック系が結構多いと言う解説が選挙前にあったことを紹介しましたが,トランプ氏は最近「犯罪歴のある不法移民だけ」と言い出しました。
現実政治とはこう言うものですから、トランプ氏が仮に選挙で圧勝したとしても(総取り制度をうまく利用しただけで獲得票数はヒラリー氏より少ないと言われています)統治権を握ると国内でさえも無理は出来ません。
まして対外政策は、相手があって国際情勢を背景に・・比喩的に言えば100の諸要素の組み合わせによる損得を計算して・・ギリギリの交渉で決まって来た経過があるので、国内で圧倒的支持を受けた政策は,逆にそれに縛られる・・政策自由度が低いことになるマイナスでしかありません。
実行出来ないとそれを支持した数に比例して「国内支持率を失うので協力して欲しい」と言う対外泣き言の範疇であって、アメリカと言えども外国に対する強制力はありません。
有無を言わせぬ課徴金等で無理を通せばそのしっぺ返しが必ず起きて来ますので,(22日書いたように国内物価上昇によって国民不利益に直結する外,)どんな小さなクニでもそれなりの対応(報復)が必ずありますし,長期的にアメリカとの約束は信用出来ないと言う評価が出来あがる不利益が生じます。
中国が投資した国外企業に対する商業ルールに反するいろんな嫌がらせをすると,カントリーリスクの高さを嫌がる国外からの次の優良投資減少リスクにあっています。
焦点が変なものを売りつければ客が泣き寝入りしても,その代わりそのお店に行かなくなるのと同じです。
中期的影響が大きいので強国と言えどもそれほどの無茶は出来ないので,内々の泣き言を言って無理を通して貰うには、国民に見えないところで何かを譲るしかないのが原則です。
現実的でない対外スローガンを実現しようとする場合、対外交渉は軍事力に訴えない限り勇ましいことを行って来た手前妥協すると国内的に政権が持たないので表向き強行突破しかない・・裏で相手国に大幅譲歩するしかない・・あまり実益のない成果を求めるために実質的国益の大幅売り渡し外交に陥ります。
中韓両国の首脳は「大言壮語」するのが普通ですが、外交では相手の了解がいる・・相手のメンツを潰すマイナスを補ってあまりある実益提供を内々にするしかない・・売国的外交に陥っているのが普通です。
習近平の英国訪問では、強引・非礼の限りを尽くして子供染みた優越感に浸ったようですが、その裏で経済合理性のない各種投資約束があった・・このため英国は仕方なしに応じた?と思われていることは周知のとおりです。
尖閣諸島周辺示威行為や南沙諸島の埋め立て工事強行など見ても,国費浪費でしないのが明らかです。
鳩山内閣が「少なくとも県外へ」と言うスローガンで失敗したのは、アメリカが応じるようなメリット提案の根回しをしていなかったことと、そんな大規模な政策変更に見合うほどのメリットを裏でアメリカに与えるお土産提案が不可能だったからです。
佐藤内閣時の沖縄返還に際してもそれなりの密約があったと言われています。
成熟した民主国家においては、見返りにアメリカとの約束内容も公開して、それでも沖縄を返してもらった方が良いかを正々堂々と沖縄県民や国民合意を図るべきだったことになります。

移民排斥とピープル概念の分裂?1

トランプ氏のスローガンでは,「移民追い出し」と言うだけで,アメリカ国内工場をどうやって維持するかの展望がありません。
移民を入れない以上はその分国内賃金が高止まりしますので,企業は(国内人材能力引き上げる努力しないで低賃金移民に入れ替えれば良いという意識でやって来た経緯から欧米の場合既存住民のレベルアップは困難ですので)企業は海外展開加速・・国内失業も加速するしかないでしょう。
これまでアメリカでは,企業は儲ければ良いという発想で,工場を海外に出そうが国内に移民を入れようが結果は同じと考えて来ました。
そこで新興国の低賃金攻勢に対する対応策として工場の海外移転と移民受け入れの平行対応して来たのがアメリカ企業であり,アメリカほど露骨ではないにしてもドイツ、イギリスなどの欧米企業でした。
この2方向の内移民受け入れが無理ならば・・海外へとなるのが普通の展開です。
これを防ぐために海外からに輸入への課徴金恫喝・・メキシコに工場を造る予定のフォードを名指しした演説でしょう。
ガバメント・・これを構成する企業家は現にいる人民だけのためではなく今後はいって来る移民を含めたピープルのための統治を期待されて来ただけですから、いくら移民が入ってもその移民を含めたピープルのためになれば良いと考えて来たフシがあります。
移民寛大政策がアメリカの長年の国是でした
この延長で海外展開してどこで儲けようと企業のためになれば良いし,企業のためを考えれば儲けた金をどこの国にプールしておくかも・・企業家にとっての有利不利が判断基準であり,自国民のためになるかどうかなどの基準不要・・自由自在であると考えて来ました。
これに不満を言い出したのがゴローバリズム反対論です。
西欧でもアメリカでも漸く新参古参を問わない・・ガバナーが管理の都合で商品構成や組立てライン設備を入れ替え出来る商品としてのピープルではなく、「既存民衆・先住民・現役従業員のための政治・企業経営をしてくれ」と言う気持ちが起きて来たように見えます。
これがイギリスのEU離脱の国民意思表示ですし、仏独での移民反対運動の高まりであり、「アメリカ第一・・移民追い出し」宣言でしょう。
エンクロージャームーブメントの例で書いて来たように,欧米のpeople・ピープルが人間も元々商品の一種として入れ替え可能概念であったと言うのが私の素人的意見です。
移民排斥のトランプ氏のスローガンを実行して行くには,移民あるいは新参者もピープルに含める従来概念を変更して行くか、移住して来たばかりの者を区別する新しい「仲間」概念の創設が必要になり,建国以来の移民受入れ基本方針の大転換が必要です。
トランプ氏の移民追い出しスローガンは,入れ替わり自由な(移民歓迎社会)ピープルを前提にしたgovernment・・for the peopleから、移民排斥・既存民だけのためのgovernmentへの変更宣言である以上、ピープルに2種類が生じることになります。
二種類にするには概念の変更が必須でしょうが,区別するには,区別するにたる内容実質の違いがあることが正当性・大義名分として必要ですが,これがないまま居住期間だけで区切りをつけるのでしょうか?
11月16日に書いたように日本社会の構成員・・国の民(たみ)とは郷土を同じくする「はらから」であり、ピープル・日本語約=人民とはこう言うハラカラ性を持たないものとすれば、ピープル自身が成長してしっかりした集団に(言語は進化するものです)化けて行くか、新たな集団特性を表すグループ名・・日本の「国民」のような名称が必要になるでしょう。
私の理解する日本の国民概念は、郷土を同じくするものと言う基本です・・ダム工事で村が水没して良いか、墓地移転のテーマでは、何世代にわたって住み続けた郷土を同じくする人だけが決めるべきことで移民や新参者が口出しできるのはおかしいと言う立場です。
アメリかもトランプ氏のスローガンどおりに「古くからいる人と移民や新参者」と区別するには、日本のように功利打算で来たばかり・・いつでも逃げて行く人と古くからいる人で簡単に逃げて行かない「国民」か否かで分けるべきです。
ただアメリカの場合,建国以来郷土を愛する精神教育をして来なかった・・環境無視して環境悪化すればゴーストタウンにして逃げて行く・・ビルが古くなれ爆破してしまう・・東京駅や法隆寺のようにチマチマと修理して行く社会ではありません・・のが新しい生き方のような思想教育して来た結果、(今でも環境保全に対して中国と世界1〜2位を争う無頓着な民族性のように見えます)古くからいる人が新参者に比べて郷土愛が強いとは言えません。
移民反対論を期待しながら,住み難くなっても何が何でも地元に残ってその街の復興に協力するつもりがなく,自分自身は真っ先にその街から逃げ出すつもりの人民が大多数とすれば,矛盾した自分勝手な願望になります。
先住権を保障しろと言うからには・・来たばかりの人たちと差をつけるに足る相応の愛郷心に裏打ちされる必要がありますが,アメリカの愛国心とは「郷土愛ではなく「軍旗である星条旗の元に拳を突き上げて歓声を上げる」敵対的行動を煽るためのに支配層から植え付けられた程度の浅い観念ですから,相手に要求する以上は自分ら自身も変わって行き・・新参者との違いを示して行く必要があるでしょう。
好き勝手に環境や資源を食いつぶして来た結果、残り少なくなったから仲間に入って来るな!と言うだけでは,道義的にも無理があります。
何かを要求するときには、「自分達も◯◯して頑張るから・・」と言うのが、(何か誘致するときにはそれなりの措置を講じたり,地元負担もします)普通ですが,現存ピープル自身が変身努力もしないし,出来ないとすれば,移民排斥論は論理的に無理が出て来ます。
元々功利打算で集まったに過ぎない「ピープル」であるから、そんな程度と言ってしまえばおしまいですが・・。
アメりカのこれまでの歴史を見ると名分など全く問題にしない・正義の基準は「腕力のみ」と言うやり方で来たしずば抜けた資源・経済力・軍事力を背景に無茶がそのまま通って来ましたが,今回もその一事例をつけ加えるだけの積もりでしょうか?
確かに移民排斥は相手が国内弱者ですから一方的決定も可能でしょうが,こういうことを国内外でくり返して来た結果、国力がちょっと陰っただけで世界中が言うことを聞かなくなってたキたのです。
アメリカ第一のスローガンの連呼は・・習近平氏の言う中華の栄華復活と基本心情が同じですが,栄光の復活には正義に基づく行動をすることが先ず第一でしょう。
正義など問題にせずに栄光を復活したいという場合には,相手を暴力で威圧するヤクザのような一時的[栄光」の復活しか出来ませんが,正義観念未発達の人民を抱える習近平氏もプーチン氏もアメリカのトランプ氏も後者を選択したがっているような印象を受けます。
アメリカは世界支配を得た結果、道義に基づく支配の仮面をかぶるしかなかったのですが,この役割を演じるのが重荷になって来たのです。
正義の仮面をかぶった交渉ではいつも結果的にうまくやられているこコトに対する不満・・ストレス発散を腕力によって実現したい願望が国民に渦巻いているように見えます。
中国やロシアの自分勝手・強引なやり方が性に合っているし魅力を感じるようになったのです。
無茶を通すためにプーチンのような無茶をやりたいと言うのがトランプ氏であり,これを支持する国民の願望でしょうか?
無茶ゴリ押しが聞くのは,地域大国が限界・・天下を取るとルールによる支配が必要・・自分も自分の作ったルールに縛られるのは仕方のないことです。
ルール無視をしたいとなればアメリカにとって,世界支配の地位は荷が勝ち過ぎているからその地位を下りて,地域大国に格下げしたいと言うことでしょうか?

民主主義の基礎10(産業構造の変化1)

金持ちも無茶に我欲を張る・・金持ちを自慢するのが恥ずかしいと思う社会・・日本で知られている有名高額所得者は、孫正義氏や日産のカルロスゴーン氏など外人系中心に留まります。
日本では成功者がトランプ氏のように王宮のような住まいに住む・・安倍総理との会談場所としてこんな豪華な映像が流れるコト自体恥ずかしいと思うのが普通です。
「メザシの土光と」言われたように財界の大物も,自宅ではメザシを食べていると言う神話?が本当かどうかは別として流布される社会です。
伊勢神宮も建物が豪華だから尊崇されているのではありません・・堅実に働く中間層が社会の宝として大事にされる社会です。
中間層が尊敬される社会になったのは、地に着いた仕事を自分でしている武士の勃興以来の堅実な武士が尊敬されるようになったことと関係があるしょう。
この下地があって,「驕る平家は久しからず」と言う格言?が人口に膾炙されているのです。
武士の台頭が始まってからの約1000年近くもの間、武士層は質素倹約に努めて自己鍛錬に努めて庶民の鑑・尊敬の対象となっていました。
幕末騒乱の原因でも普通は政争に勝った方が前政権を悪く言うものですが,徳川幕府支配層が腐敗していたと言う話を一切聞きません。
武士の時代が続いて「地位のあるものは経済慾を持っては行けない」と言う日本独特の?モラルが強固に形成されて来たように思われます。
こうした堅実な中間層が多い結果、いまだ中間層が厚くて質素倹約・自己鍛錬になれている下地能力が・・中国の低賃金競争にもいろんな工夫をすることによって,堪え切れている面があります。
欧米の中間層は,日本の武士のように自己鍛錬によって中間層になっていたのではなく,本来は庶民層の能力・・新興国庶民と能力差がないのにタマタマ産業革命に成功した先行者利益で世界中を支配して植民地支配体制を作り上げて搾取による巨万の不労収入を得て来ました。
この利権分配・・本来10万しか働く能力のない人が3〜40万の収入を得られるような嵩上げをして来たこと・これが本来庶民層まで中間層的収入を得て来られた構造です。
アメリカの場合には,広大な領地と巨大資源によって,これを活かすために大量生産方式を工夫発明したことによって,世界経済モデルを提示して世界支配権を手に入れました。
資源力や植民地支配等による旨味・不当利益によっていた分、欧米労働者の地位は脆弱で、この利得構造がなくなると一挙に本来の能力相応の地位に戻るしかありません。
アメリカの粗放・大量生産方式はクルマのベルトコンベアー・・フォード方式が有名ですが,農業・牧畜も皆粗放・大量生産方式モデルで世界を席巻したのです。
確かに良いものを手作業で作る・・味のある工芸品は良いのですが,少ししか作れないので,限定頒布しか出来ません・・。
良い物だけですと多くの人がその恩恵を受けられませんが、出来映えが伝統工芸品の6がけでもそこそこ使い物になるならば、100人しか買えなかった商品が100万人でも200万人でも需要のある限り工業的に安く作れる(例えば本皮でなくとも人工皮革・化学染料でもある程度綺麗な色柄など)となれば,世界の生活水準を底上げした歴史的意義が大きかったことは確かです。
味が粗雑でも,米麦トウモロコシその他各種食糧を大量に作る粗放農業生産品も食うに困る貧しいときには有り難いものです。
大量生産方式は,作業者の熟練度が低くて良いことから低レベル労働者も高額収入を得られるメリットがありました。
この方式の弱点はドンドン合理化して行けば行くほど,先進国に限定されない・・新興国・・どころか今では,バングラデシュあるいは最貧国でさえも同じものが作れる時代に入ったことです。
先行者利益を元手に高額賃金を払って来た先進国工場は軒並みやって行けなくなります・・工場を維持するには極端に言えば、バングラデシュの人と自国民労働者を入れ替えるくらいしないとやって行けません。
100%移民に入れ替えてもこれまでの不当利得?を利用して?先進国は贅沢なインフラを作ってしまっているので、この維持経費負担で負けてしまいます。
これがいまアメリカでインフラ維持に困るようになった原因です。
1〜2割または半分を低賃金移民に入れ替えても100%低賃金労働者の新興国の工場と競争出来ません。
仮に半分入れ替えて半分の失業者を出している場合、生活保護受給に転落しているか、移民にまけないように低賃金でも仕方ないと思って移民同様の低賃金で就職している元々の国民は、何のために移民と共同生活しなければならないか?と言う不満になります。
企業としては,自国内に移民をいれるより海外展開してバングラデシュの工場で現地人百%雇う方が気楽です。
欧米諸国の元々の住民・ピープルが移民を嫌がる以上は、自国では普及品製造から撤退して特殊品を作る工夫するしかない時代ですから、民度で差を付けるしかありません。
アメリカはピープルのレベルアップに関心がなく「低賃金競争には低賃金で」と言う政策で長年移民導入に頼って来た結果、今更の政策変更は不可能マテャ遅過ぎたとすれば,トランプ氏のし移民に頼らない政策は普及品の製造コストをいまよりもっと上げることに成り、結果的に米国製造業は益々衰退してしまいます。
結果的に・・大量失業が待っているでしょうから、これを貫徹するには排外意識を煽って対外強硬政策・・例えば3〜40%の法外な輸入課徴金を掛けるんど、腕力に任せた政策しかありません。
米国への輸出国は困りますが,それ以上に米国自身国内物価上昇で庶民が困る=生活水準が3〜40%下がる結果になります。
実は・・庶民だけではなく各種産業も原材料全て諸外国より3〜40%高いものを買わされることになると,全体的に米国だけが世界水準に比べて割高な製品になり米国製品を買うクニがなくなります。
世界から孤立して自給自足社会になって行くしかないでしょう・その内世界の進歩変化から置いてけぼりを食い・・今の北朝鮮やアフリカのようになって行くしかありません。
実際にはそこまで行く前に海外との格差に不満を抱く国民の支持を失うか、先手を打って排外意識を煽る方向・・豊かな国に戦争を仕掛けて略奪するなどの山賊国家に変質するしかないでしょう。
ロシアも中国も経済がうまく行かない国民の不満をそらすために、今はその方向に向かっています。
アメリかも,日本などと仲良くしていると喧嘩出来ないので難癖つけて喧嘩に持ち込んで戦利品をぶんどる方向へ行く方が「得だし溜飲が下がる」と言う変な方向・・中国、ロシアなどの仲間入りを目指しているのがトランプ選出だったことになり兼ねません。
プーチンや中国は19世紀型・・周辺弱小国を問答無用で踏みつぶすナチス的国益主張ですし,ドウテルテも自己中心的主張であり、トランプ氏の場合現在版の経済面での傍若無人の自己主張→行く行くは武力に訴える展開になる可能性が高いと言う点で共通性があって、気が合う印象です。
無茶苦茶言わないとどうして良いか分らない不満と言う点では共通です。
話を戻しますと上記のとおり,欧米の中間層は植民地支配の利権構造によって豊かな生活をしていた・・元々相応の能力があって中間層になったものではないことから,特殊品製造に移行する能力がないことから,新興国から追い上げられると能力に応じて地位低下して行くしかありません。

民主主義の基礎9(信頼関係7)

中高所得層に対する低賃金下の圧力は世界のトレンドであって、日本でも昨日書いたとおり中高所得層への圧迫が酷くなるばかりです。
この惨状進行に対して,民の生活に責任のある政府は放置出来ません。
日本政府は支配者のためにあるガバメントではなく、民のための政府ですから,党派性に馴染まない社会です・・労働組合がなくとも江戸時代から備荒米を備えたり各藩政府は庶民生活を守るのに熱心でした。
千年近く支配層を形成して来た武士層の出自は、元々地下人・農業を基礎とする庶民であって,政権担当するようになっても多くの下級武士は半農半兵で幕末までやって来ました。
正確には,関東へ領地替えになった徳川家の家臣団は先祖代々の農地から切り離されました・・領地のある旗本もほとんど自領に言ったことがなく村から時々報告に来る状態でしたし,領地のないご家人は農業から切り離された「切り米」等で生活するサラリーマンになっていました。
その他戦国時代からの大名家では,家臣団と言っても戦国時代に入る前から,耕して来た一定領地があってこその騎馬武者(小豪族)が地域中小豪族〜大名家臣団に取り込まれて来た歴史ですから,大小の違いがあっても,地位相応の支配地=農地があってお城から帰ると支配地ないの農作業を指揮したり,自分自身もある程度先頭に立ってやるなどいわゆる半農半士の状態でした。
最近までの地方公務員には旧家の息子が多く,村役場から帰ると農作業に従事していたのはその名残です。
このように約千年間支配階層を形成していたとは言え,幕臣・譜代大名家以外の武士の多くは自営農民・・中堅層と繋がっていましたので・・足腰も強かったし,昭和の3・15事件、2・26事件での青年将校の蹶起は,「彼ら自身農村部の窮迫を実感していたからである」と習って育ちました。
明治維新・・壬申戸籍では,「士」身分呼称が残っていましたその後の士分の呼称がなくなると,庶民は武家の生き方に少しでも近づくことを理想として七五三の行事その他各種行事も武家のしきたりを自分の家でも出来るようになることが夢としてやって来ました。
戦後もみんな「士」になることが夢でしたし,運転手→運転士、看護婦→看護士、保育士その他いろんな専門職がみんな「士」に昇格して来た歴史を書いたことがあります。
トラック運転手も「士」になることによって,仕事に誇りを持つようになって心構えも少しは変わって来たと言うことでしょう。
このように日本人は明治維新で形式的に見れば庶民も名字帯刀の苗字を持つようになり元々の武士も刀を棄てましたが、意識では「士」の志を持つようにみんな底上げされて来たのです。
この結果、みんなが武士の志を持つように教育され,政治に参加する資格を持つようになったので、(アメリカのピープルのように対象として大事にしますと言うだけではなく当事者として)江戸時代までに形式上(能力さえあれば取り立てられたので事実上身分の流動性がありました)参加していなかった士分未満の庶民も加わるようになったことになります。
選挙権があるかどうか以前に,支配層に入れる裾野が広がったのが明治維新です。
このように政府内への庶民階層の血が入る仕組みで,政権担当者が庶民の心を重視する仕組み・・受容力のない人は出世出来ない仕組みですから,出世したエリートは社会の実情を知らないと言う批判は欧米価値観の受け売りでしかありません。
声なき声を感知する受容能力がない人はどんなに鋭い意見を吐いていた大学秀才でも採用段階で県で多くはふるい落とされ,うまく就職出来ても内部昇進して行けないので自分の能力が政党に評価されないと言う不満で在野に出て行き,一匹狼になるしかない宿命です。
野党文化人とは明治新政府から弾かれて在野で活躍した野党の始祖?を見てもこう言う傾向の人材が多い印象です。
共産党が顕著ですが、その他の野党で東大卒・・弁護士・医師その他ふあっとした民意を汲む能力を要する組織内で地位を得たことがない・・学歴的優秀者が幅を利かす組織で名を表した人が多い特徴を持つ所以です。
野党系の特徴は自分達は進んでいるから,庶民を指導して行くべきと言う基礎思考が強固な点です。
本来庶民に一番近い筈の労組や野党・・在野の方が観念的になっていて、庶民感覚に疎い傾向があるのが我がクニです。
野党・労働組合や人権団体が本来の働き・・庶民の気持ちの代弁をしない分・・政府が率先して人件費の引き上げ運動をここ3〜4年執心しているのは、この原点の違いに由来します。
野党や労組が本来中間層の転落を心配し,その防止政策を提案すべきなのに、党派的主張主張・・憲法違反などの空理空論にエネルギーを費やして具体的生活に根ざした議論に弱い・・本来の働きをしていない・・民のために意を尽くすべき「政治家」の仕事をしていないからです。
繰り返しになりますが,九州弁連大会の結果紹介によりますと,防犯カメラで犯罪抑止を目指すよりは,犯罪のない社会を作る方が重要だからプライバシー権侵害の理由で反対すると言うのですが,どうやって犯罪ゼロ社会を実現出来るかの提案がありません。
同じく非武装平和論も,戦争のない社会を作ることが重要なのは分りますが,現実にロシアによるクリミヤ半島占領・併合の事実・・その他世界では,あちこちで実力行使が絶えることがありません。
彼らが親近感を抱いていると思われる中国自身が,日本の領海侵犯等の実力行使に出ている状態で,どうすれば中国の理不尽な行動をやめさせられるかの提案もありません。
国防強化よりは,仲良くすることが先決だと言っても実際にはどうにもならない現実に付いてはだんまりのままです。
犯罪のない社会にするのが先決だと言いながら,中国人犯罪集団の跋扈に怯えているのがここ数十年の日本社会です。
野党や文化人が空理空論で満足するのではなく,国民生活を具体的にどうやってより良くして行くかのテーマに付いては語るところがありません。
生活保護基準を緩和しろとか,各種手当創設やアップや支給基準緩和に奔走するなどの決まりきった主義主張をしている程度の印象しかありません。
アメリカの選挙で書いて来ましたが、国民は保護基準を緩和したり支給額のアップをしてくれるよりか,自分の働きで生活したいのですから,社会保障アップよりは働ける環境整備の提案の方が前向きです。
日本の野党ももっと良いことを提案をしているかも知れませんが,報道では全く出て来ません。
日本では代弁政党がなくとも・・選挙の票数だけでは分らない民意を重視・・ソンタクする社会ですから、あらゆる組織で衆議をソンタク出来ないような人は世話役や責任のある政治家になれません。
11月16日以来書いて来ましたが、欧米の場合「統治の主体」としてのガバメントですから思いっきり自己主張・リーダーシップを強調して喝采を浴びるのが目的ですが,日本の「政(マツリごと)」とは、声なき声を聞き取る・神懸かり・民意忖度能力が近代化されたものであって、政治家はすべからく民意が奈辺にあるかをじっくり聞き取る能力が求められています。
自己主張して自己満足していても、国民はそう言う人を選びません。
リーダシップを重視社会・・庶民ピープルがリーダーに従って行動し,集会では歓声を上げる社会・・欧米価値観をそのまま尊敬しているマスコミ・文化人は、日本にはリーダーが生まれないと嘆きますが、日本は元々民意を汲み取る能力・調整型政治家が求められているのですから,無い物ねだりと言うか,数千年遅れの欧米の真似を要求する方がおかしいと言うのが年来の意見です。
政治(まつりごと)はリーダーシップを競い,自己主張するためにある西欧のガバメント能力とは違います。

民主主義の基礎8(信頼関係6)

アメリカ民主党・共和党の政策は、(日本民進党や社民党も似ていますが)移民を受入れて低賃金に頼って国際競争力を維持し、結果的に企業が人件費負担をしないで低賃金層を増やし社会保障を手厚くして行く社会を目指して行く・・誰が喜び、どの階層が損するかと言う単純な図式です。
マスコミは「既成政治家に対する不信感」であると解説していましたが、既成政治家と言う誤摩化しではなく「for the people」と言いながら「民衆」の立場を代弁する政党がそもそもなかったことを問題にすべきです。
そもそもアメリカ式民主主義制度では、日本のように総意で政治をするのではなく多数意見に従う「統治・支配」ですから、2大政党制では、少数派・少数民族を代弁する政党は大政党になることは出来ません。
韓国財閥で問題になっている循環投資同様で・・6対4がその選挙区で10になってしまう日本の小選挙区制・アメリカ大統領選挙の総取り方式で分るように、大政党内部で個別利害を積み上げて行くプロセスで、少数意見はゼロ査定になって消えてしまう仕組みです。
全国民の2%の人が国内資産の半分を占めて良いか?と言う2択ならば選挙で勝てない筈なのに、資金力のある勢力がいろんなテーマに影響力を及ぼして結果的に2%の階層が全分野の決定権を握る社会になっていることに対するアメリカ国民の不満です。
この是正作用を担っているのが裁判所(イギリスで発達した衡平法・エクイテー裁判所の思想)の役割になっていますが、違憲判断や行政に対する是正判断は余程でないと出ない(原則として立法権や行政行為の裁量権を尊重します)ので、中高所得者の負担を徐々に切り上げて行く政策自体は訴訟テーマになりません。
(神懸かり・憑依で決めたり、クジで決めることの合理性について数日前に書いたように、得票数と言う数字で決めて行くのは一見合理的なようでいて実は民意の擬制でしかないのですから、数量的計算によるのではなく日本社会のように「総意」を汲み取る訓練・その能力に長けた人材を育ててその人の決定には異を唱えないルール・・社会体制になる必要・・そこに到達するには今後数千年以上かかるのかも知れません。
アメリカ指導層の出身母体・・現状に戻りますと、トランプ氏自身大資本家・経営者ですし、ヒラリー氏はウオール街から巨額献金を受けていることで知られています。
本当の「民衆」の不満・怒りを王宮のような豪華な邸宅・「トランプタワー」を有する「不動産王」が代弁しているのではギャグみたいな社会です。
資本家の意向を代弁するマスコミや政党が支配するアメリカで、たとえば、移民・非正規労働者が増えて保険加入者がドンドン減って行くと、(機械工具の修理費?)医療費を誰が負担するか?となります。
これが(素人的想像で飛躍がありますが・・)オバマケアや職業訓練施設が必要となった原因でしょう。
日本の保険制度で言えば、大手企業の健保組合からの協会健保(中小企業加入)や国保(無職者中心)への負担金が何年おきに連続的に引き上げられています。
非正規雇用・保険未加入者を増やすと企業負担は減りますが、その分サラリーマンの保険負担を増やす・・中高額所得層の実質税増額です。
この結果大手企業従業員・・多くは800万前後から数千万前後)の保険料負担が数年おきに引き上げられている仕組み・・原因です。
健保組合連合会の本日現在の主張によれば以下のとおりです。
https://www.kenporen.com/public-relations/onepoint/pdf/onepoint-11.pdf
健保組合は、皆さんと事業主が納める健康保険料を財源に運営されています。
『拠出金』による現役世代の負担増
拠出金が増えたことで 全健保組合の健康保険料の平均額が上昇!
この5年間で1人当たり年額5万円以上負担が増えています!」
累進性強化やこの種社会保障政策は7〜800万〜数千万の中高収入層への増税・保険負担増・手取り収入減になる仕組みです。
それ以上の高額所得者は3000万(2003年時点のコラムの引用ですので今はどの限度・・5000万になっているか知りません・・孫正義氏などにとって4000万でも5000万でも同じでしょう)で打ち止めになる累進制の影響を受けません。
これがアメリカの1%の人が全米所得の2割を占める原理です。
米国民主党の政策は、移民・難民層の比重が高いフードスタンプ受給額アップ?の受益者と天文学的巨額収入層からの天文学的巨額献金者の両端の支持によって成り立っていて、巨額献金出来ない中高収入白人層が一番割を食う社会だったコトが分ります。
格差拡大反対は非正規雇用層・・フードスタンプを既に受給している層は支給条件緩和や金額アップのバラマキで満足させることが出来るでしょうが、転落の危機に怯えている・・低賃金化の標的・・フードスタンプ受給予備軍にされている中高所得層から出ている主張だったことになります。
11月18日頃の新聞には、介護費用負担について一定額以上の年金受給者の(現役時代年収7〜800万前後以上?)の人の自己負担率を上げる方針が出ています。
今朝の日経新聞第一面には高所得高齢者への医療費負担増がトップ記事で出ています。
高校授業料補助金その他何かあると・・(7〜800〜1000万)前後のどこで切るかの議論するのが普通になっています。
そうしたテーマでは800か900で補助金をもらえるか医療負担が上がるかの関心(目先の損得・自分が助かるか?)に誘導されていますが、ソモソモ中高所得者ばかり増税や各種負担が上がる仕組みでよいかの基本議論がありません。
要は中高所得層を代弁する政党が我が国にもないからです。
旧社会党は(労働組合が)中間層の代弁者として意味があったのですが、中高所得層の代弁をするよりは、中ソ有利になるような偏った政治偏向?主張ばかりした結果消滅してしまったことに関係があります。
今の民進党も同じで、中高所得者の立場を守るよりは、すでに転落した階層保護策・・生活保護受給レベルアップ・高校授業料補助や児童手当増額+高額所得者除外などを主張する政党になっています。
社会保障赤字問題が起きて来たときに、当初高額所得者を受給資格からの除外論(医療や介護の自己負担アップや、児童手当や高校無償化や消費税負担軽減策の除外論など)だけでしたが、この数年では中高額所得者の保険料や、利用時の自己負担率アップによって,年金や保険収入増を目指すようになって来ました。
中高所得層は税金や保険料を高く払っているのに、イザ、サービスを受ける受給段階では自己負担がより高くなるのでは挟み撃ちに合う関係です。
レストランの客が、あなたはお金持ちだからと言われて定価の2倍払わされ、食べる段になると定価しか払わない人よりまずい(ワンランク下の)料理しか出て来ないような変な関係が起きています。
韓国での大統領退陣要求のデモ報道を見ると、「◯◯」日本の労働組合の旗がひらめいている不思議・・戦後折角発達した労働組合が、肝腎の労働者の生活擁護を放り投げて尖鋭?な政治団体になってしまったことが、中高所得層の立場を弱くしてしまった原因です。
労働者の生活擁護のために地に着いた運動をしないで、中ソのための「政治運動ばかりする変な方向へ行ってしまった」と国民認定?を受けてしまったように見えます。
これが自社2大政党と言われていた社会党が消滅してしまった原因ですが、社会党政治家であった議員の多くが民主党に移籍しそのときに、旧社会党と断絶するために一見マトモな意見を言っていた人が多かったので国民は期待して政権を委ねました。
一旦政権を任されてみると社会党依頼の観念的体質が全く変わっていなかった・馬脚を現したと言えます。
社会党そのものではないにしても、地道に運動すべき労組もその前から国民支持を失い、結果的に労働者を守るべき組織がなくなってしまったようにみえます。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。