トランプ氏とスローガンの実効性2(スーパー301条)

トランプ氏がもし正常な理性を持っているならば・あるいは,これを支持するアメリカ人がある程度マトモに歴史を勉強しているならば大恐慌時の大失敗・・第二次世界大戦の原因はアメリカの自分勝手な行為に始まります)を自ら再現することはないでしょう。
せいぜい,制裁すると脅して相手から少し譲歩を勝ち取る程度ではないかと見るべきです。
実際にやれそうなことは往復貿易量も少ないし,報復力のない弱小国相手に関税アップするくらい・・要は弱いものイジメでお茶を濁すことになるのではないでしょうか?
合理的に考えると貿易収支均衡点までの輸入制限の交渉合意をすれば,相手国との折り合いがつきます。
実際にアメリカはこれまでスーパー301条だったか?で脅しては対日個別交渉で事実上の輸入制限・・電気・半導体その他日本の世界競争力の産業を次々と潰して来ました。
https://kotobank.jp/wordからの引用です。
「スーパー301条とはアメリカの包括通商法の条項のひとつで、不公正な貿易への対処、報復を目的としたもので、1974年に定められた通商法301条を強化するものとして、88年に成立した。規定は次の2つ。#不公正な貿易慣行、過剰な関税障壁を有する国を通商代表部(USTR)が特定し、撤廃を求めて交渉する。#それでも改められない場合には、その国からの輸入品に対する関税を引き上げるなどの報復措置をとる。スーパー301条は88年当時、米国との輸出入が特に不均衡であった日本を主な適用対象として規定されたといわれている。 」
要するに一定の貿易黒字があると,問答無用式に不公正取引国と認定する仕組みです。
最近・それほど古いことではなく不公正貿易監視国リストに日本を指定したと報道されたばかりです。
http://mainichi.jp/articles/20160430/k00/00e/020/155000c
「米財務省は、相手国の為替政策が不公正でないか判断するため、対米貿易黒字が200億ドル以上▽経常黒字が国内総生産(GDP)比3%超▽年間の為替介入規模がGDP比2%超−−の三つの基準を新たに設定。日本は貿易・経常黒字の2項目に該当した。日本のほか、中国、韓国、台湾、ドイツの4カ国・地域も対象に指定された。監視国リストの指定は今回が初めて。」
上記のように数値目標で監視するぞ!と脅し、その先にはス−パー301条の適用があるぞ!と予め脅すやり方です。
戦前の大恐慌のときでも同じでしたが,日本は制裁されると引っ込むしかない弱いクニですから、戦後も良いように叩かれ続けられました。
貿易黒字や経常黒字が大きいと何故不公正取引国になるのか・・その基準で言えば、産業革命の先行者利益によるイギリスの世界制覇も戦後アメリカの突出して貿易黒字による世界制覇も皆不公正な取引の結果になります。
不公正取引とは,賄賂等不純要素によって左右されるものであって,商品・サービスが優れていて競争に勝っているのは不公正ではありません・・子供でも分るる論理・基準ですが,アメリカ的単純思考では,結果が一定額以上の黒字だと「不公正」と言うことになるようです。
結果の修正は変動相場制下の,為替相場等で調整すると言うのが・・中国の場合まだ為替取引の自由が認められない固定相場=政府指定ですから、貿易黒字を簡単操作出来ますが・・自由取引圏では長年の智恵であり国際合意です。
頭を使わなくて簡単で便利と言えばそうですが,(自分が黒字のときには自由貿易を言い募っていて負けそうになると)こう言う単細胞的正義の基準で国際社会を振り回すのでは世界中が不幸です。
いろんな分野で無茶苦茶過ぎる基準を振り回して来たので公正にやってくれる信用がない結果、圧倒的武力・国力がなくなると、世界の警察官・・調整役を張れくなった原因です。
トランプ氏は,中国相手には報復合戦に陥るのが怖くて多分制裁は出来ない・・世界で最も弱い・何の報復も出来ない・・それでいて貿易黒字の大きい日本を叩くのが安直で理にかなっています。
日本は原油鉄鉱石その他資源を大量輸入している赤字分を、対米工業製品黒字でファイナンスしている関係ですから,対米構造的黒字国です。
貿易黒字の批判・・日本叩きの攻撃を避けるために東南アジア〜中国・最近はメキシコ経由で迂回輸出でカバーしている日本です。
他方でアメリカ製造業は日本へ殆ど進出していないので、アメリカが輸入禁止してもアメリカ国内企業は困らないし,日本へ輸出しているのは農産物・食糧中心(今後シェ−ルガス系が加わりますが)で日本は報復的輸入規制できませんので、アメリカには何らの痛みもない一方的関係です。
上記のとおり太平洋戦争の原因になった高率関税に対しても同じで日本はアメリカに何の報復も出来ませんでした・・報復しなければ安全ではなく,報復の心配がないとなれば遠慮なく押し込んで来るのが世界政治です。
ちなみにアメリカの広島・長崎への原爆投下の決断は,最早日本にはアメリカ本土爆撃の報復能力がないと見極めたので決断したと言われています。
戦争終結を早めるためではなく,日本の抵抗力がなくなるのを待っていたのです。
反撃力こそが抑止効果の基礎であること・・非武装平和論の空想・欺瞞性が明らかでしょう。
アメリカの正義に基準は、相手が弱ければ不正と決めつけて「制裁する」強ければ黙っている・・単純基準です。
この二重基準を知っている北朝鮮は何が何でも核武装に走ったり理由ですし,経済規模や武力の大きい中国政府がサイバーテロその他どれほど不正があっても何もしません。
経済非合理な関係・・報復力が全くないのに日本が最近対米黒字を大目に見てもらっていたのは,アメリカの世界的ヘゲモニー維持に協力する役割を忠実に果たして来たコトに対する恩賞に過ぎません。
トランプ氏が「世界でのヘゲモニーはいらない・・各地域大国が好き勝手にやってくれれば良い」と言い出せば日本の貢献は不要になります。
これがアメリカが明治維新以来長年日本を敵視する基本原理・・ロシアの南下政策を阻止する限度で利用価値があり,日露戦争で目的を達すると用済みとなり,戦後は・ソ連の国際赤化政策阻止など・・ソ連崩壊後日本の利用価値がなくなるとすぐに米中結託で日本除外工作が盛んになるなど・・日本と仲良くしていても経済的に何も得をしていない原理が基礎にあります。
現在も、ロシア、中国敵視をやめるとなれば,(アメリカにとって日本への輸出は食糧等中心で断られる心配がないし,中国市場の方が魅力がある点は戦争前と変わりません)日本利用価値が激減しますし,ロシア・中国にとっても日本利用価値が下がります。
これがトランプ氏当選後、直ぐに対日態度を変えたプーチン氏の姿です。
上記は分りよく単純化して書いているだけであって国際政治はもっと「複雑怪奇」です。
国際政治は2国間の単線的利害調整だけでは解決出来ません。

トランプ氏とスローガンの実効性1

ところで、世界の警察官をやめるのは軍事力負担が重いだけのように見えますが、それよりもアメリカ実業界にとってロシアその他に対する経済制裁が大きな損害・・負担になっている面を無視出来ません。
経済制裁というのは一方の立場を表現しただけであって,痛みは双方平等です。
10対1あるいは100対1の経済力差があるときに一方はその痛みに耐える力がその差に比例して持続出来るだけの違いです。
イラン禁輸・ロシア禁輸も同じで,アメリカ協力国総合と相手経済力の差に比例します。
ただ,北朝鮮の例で分るように,制裁直後は相手の民心に利きますが窮乏生活に慣れてしまうと相手国民心への影響力は漸減して行きます。
民主国家との体制相違も大きな影響差があります。
独裁政権では言論の自由がないので国民不満はただちに大きく出て来ませんが,アメリカの場合相手の10分の一の経済被害でもその業界に大きく騒がれる弱みがあります。
人命比較すると簡単ですが,IS等に日本人やアメリカ人が一人二人でも殺されても大騒ぎですが,その陰でイラク・アフガン・シリア人等が何万と殺されていても相手国の士気に何の影響もない・逆に反米士気が上がります。
長期的には封鎖されている方は国力が大幅に低下するので,最後の決戦力は弱まりますが最後の決戦に持ち込まない限り北朝鮮のように,世界の進歩に遅れたままでも元の19世紀よりも良くなったと喜んでいれば済みます・・元々圧迫を受けている敵愾心の強い民族には経済制裁だけでは実は効力が殆どありません。
禁輸している方の経済界では、(制裁前に相手国の輸入が大きかった場合・良い顧客だった場合には)逆に売り損なっている不満・経済的に見ればロシアに輸入禁止されているのと同じ経済効果が大きくなって来ています。
金融サービスであれ何であれ消費する方は別の業者、国から買うか消費を減らす・・外食や映画鑑賞を減らすのはどうってことがないなど柔軟対応可能ですが、供給側は1~2割でも売り上げが減れば固定経費の支払いがあって死活問題です。
買う方よりは売る方がダメージが大きいのが原則です。
ロシアやイランなどは元々原油程度しか売るものがないので、損をするのは国営系大型企業、国家財政だけで輸出に関係のない庶民零細企業には殆ど影響がありません。
要は西側のオシャレな商品、美味しい消費財が入ってこない不便さだけです。
消費財を売っていた企業は苦しくなるので連合体制の場合には何かと理由を付けて例外を求めるクニが現れますが,制裁を主導するアメリカ自身が率先してやるしかない以上,アメリカが一番損な役割になります。
ナポレオンの大陸封鎖・禁輸令が失敗に終わった原理です。
以上のようにアメリカが世界の警察官をやめると言い出したのは自分自身の制裁疲れが起きている面を無視できません。
世界の警察官をやめる=制裁解除は、国内企業の支持が多く一方的宣言で可能なので国内だけを考えれば意外に実現性が高い可能性があります。
ただしロシアその他への制裁は総合的国益を判断して行って来たはずですので、選挙のテーマにならない間接的ないろんな利益を損なう可能性が高いのですが、例えばちょっと考えてもサウジアラビアや欧州など関係国との協調をどうするかなど実は複雑です。
国際政治上アメリカに頼る関係で何かと譲歩して来た国々が一杯あります。
これを無頓着に行うと旧来の友好国との間で築き上げてきた膨大複雑な利害を無視することになり多方面の離反・アメリカの不利益を招くリスクがあります。
イラン制裁復活の主張もしていますが、解除で動き出したばかりでこれを一方的に覆すとアメリカの信用性が大きく揺らぐので実は簡単ではありません。
高関税、輸入規制の実現性を見ましょう。
アメリカ国内だけで見てもトランプ氏が仮に中国製品やメキシコ製品に45%も課徴金をかけると中国やメキシコ制裁のように見えますが,中国やメキシコがアメリカに対してのみ45%高くないと売らないと決めた輸出禁止(アメリカだけ高く買うしかない)を受けているのと経済効果は同じです。
イキナリ国内生産に切り替える暇がないから,国内は品不足で大混乱になるか,高くとも輸入して買うしかないので中国等からの輸入が45%減るのではなくもしかしたら一割程度しか減らないと思われます。
45%アップより10%高くてもいいからと中国以外から買うとすれば、結果的に国民が10%割高な買い物を強制されていることになります。
国内で作らなくなってしまった製品をイキナリ国内生産に切り替えるには人材も工場設備、サプライチェーンもないので,その間他所から買うとなれば結局割高なもの買うしかないのでアメリカ国民にとっても大幅な損失です。
それでも中国にとっては,時間の経過でアメリカ国内生産や他国からの輸入が増えて中国製販路が縮小するので大打撃です。
別の見方・・輸入品に45%の高関税を掛けて国内工場保護する場合,輸入品に一律45%の消費増税したのと同じ結果になります。
相手の立場で見るともっと無理があります。
自国産業保護のために高関税を掛けて相手国の報復関税を受ける連鎖が起きると,世界を鎖国状態に戻すことになります。
これが1929年頃の大恐慌に際して(いま同様に自国中心主義で)アメリカが先に関税を大幅に引き上げたので、これに欧州が報復関税をやった結果→報復合戦のエスカレートの末に植民地別のブロック経済・・国際物流縮小が始まった原因です。
日本の場合,後記のとおり原燃料等を買うしかない・・輸入禁止出来ない弱い立場なので,報復関税競争に参加していなかったのですがブロック化するべき植民地を持たない日独伊がトバッチリで真っ先に参りました。
当時の世界2大経済圏の流通が止まった結果、国際経済活動が窒息状態に陥ったのでこれを打開するため→ナチス・ファシズム台頭→日本は満州の囲い込みに走るなど世界戦争に入った原因です。
アメリカに高関税で狙い撃ちされれば中国は、ためらいなく報復に出るでしょう。
短期的には中国の代替としてその他の国の輸出は伸びるし,一方でアメリカの代替として中国への輸出も伸びて良いこと尽くめのようですが,米中2国間経済戦争の影響度・・戦前の2大経済圏であった欧米間の報復合戦同様にどのように波及して行くか,今は見通せませんが、世界経済は大変な状況になるリスクがあります。
アップルのようにアメリカ輸出用の製造工場が中国やメキシコに一パイありますが,(中国やメキシコの対米輸出が多くて怒っているのですから一杯あるのはあたり前です)その輸出が減ると日韓その他の対中輸出も減り→日本や韓国の輸出が減れば,日本韓国へ原材料輸出しているクニも困ります。
このような連鎖波及の切っ掛けが戦前の大恐慌であり→戦争になって行ったのです。
ところで貿易ストップの自国内反作用の大きさは相互往復貿易量(輸入輸出総量)に比例しますから,アメリカにとっても今や対中貿易量が大きくなり過ぎている結果(中国が違法行為をしてもアメリカが武力で脅せないのと経済面でも同じです)、対中貿易をストップしかねない35〜45%もの急激な課徴金を課することは実現不可能と思われます。
トタンプ氏はスローガンを掲げた以上は,結果などどうでもいいと言う無責任・蛮勇で踏み切れるのでしょうか?

アジアのヘゲモニー2

AIIBであれ、TPPであれ、日中のアジア域内における確固として東南アジア諸国に根付いている日本のヘゲモニー・文化支配?に対する中国の挑戦の前哨戦になっているからお互いに引けないのです。
日本の文化力の優位性は明治維新によってイキナリ生じたのではなく昨日紹介したとおり、古代から上回っていたことは明白で,これが平安時代から明白に文書に残る証拠上でも差が付く一方になっていたに過ぎないことが分ります。
中国には唐宋の詩文・水墨画が生まれましたが,日本の古今和歌集や源氏物語に匹敵する内面重視の文化が生まれなかったように見えます。
日本のようの文化が順次発展して行かない不思議・・唐の崩壊後文化が停滞している傾向があるのは,唐の絢爛たる文化は,もしかするとペルシャ文化の輸入だった(・・現在先進国の工場進出で世界の生産基地になっているのと同じで)からではないか?と10年ほど前に書いたことがあります。
煬帝と政府高官が聖徳太子の暗喩を理解出来なかった差が、今の中朝が乱暴・露骨な政治表現するしかない現実に繋がっています。
日本では文化発展が(複雑微妙な内面進化・着物で言えば裏地に凝るなど)・古代からいっときも止まることなく発展し続けて来ました。
戦国時代でも我が国は文化の進展を止めることなく、結果的に安土桃山の豪華絢爛の花を咲かせました。
その後も日本文化は着実に発展するばかり・・芸術面で見ても北斎などの芸術が次々と生まれていますが,唐宋の時代に詩文が発達し,日本も大きな影響を受けましたが,何か日本に追いつくための新しい内面文化が生まれなかったように見えます。
日本と中朝を含むアジア諸国とでは,内面文化の差が付く一方で1000年以上も経過しています。
結果的に今後数百〜1000年以上・・この差が揺るがないと思われますので、中韓は(破れかぶれに?)しきりに慰安婦や南京虐殺などの虚構でっち上げで世界中で日本批判するしかない状態に陥っていると思われます。
ところが世界は直接交流時代入っているので、世界中の人は日本人の優れた文化的資質・・高レベルの道義心を進出した工場の現場の交流やアニメその他を通じて直截知るようになっています・・政府マスコミ宣伝だけではうまく行かない時代です・・。
最初の数年間は噓を聞いた方は「まさか政府まであからさまな噓は言わないだろう」と信じかけていたと思われる諸外国も時間が経過すると本当のことが分って来てうまく行かなくなってきた様子です。
そこで今のところ優位性を持つ暴力挑戦するしかない状態に追い込まれているのが現状です。
日本は,古代から唐や明と戦って来たように勇猛な国柄ですが,アメリカ支配による武力剥奪と戦後憲法の結果、暴力挑戦に対する優位性を失っています。
このチャンスを利用して古代以来果たせなかった夢・・武力制圧しようと目論むのが中朝韓(共産主義か自由主義かに関係なく)の基本戦略ですし、これに呼応して何が何でも非武装論にこだわっている・・社会党から民主・民進党に名称が変わっても・・共産主義か自由主義化以前に日米安保の空洞化を画策する点で一貫しています。
中国の武力的優位性は、たまたま本来日本の持っている力を発揮出来ないようにアメリカが縛って来た結果ですから、(このスキを衝いて韓国は竹島を占領したし,ロシアは北方領土を占領しています・・その代わりアメリカが後ろ盾になるべき道義的義務を果たして来た?ことになります。
アメリカ次期大統領がトランプ氏になって、その役割をやめる代わりに核武装でも何でも自分でやれと言うのは首尾一貫しています。
日本はもしかしたらアメリカの後ろ盾を失うかもしれない状況・・アメリカの存在が縮小するに代わりに日本の軍備増強の動きが起きる点には当然反対してやらせない前提ですが・・中国優位に展開すると感じたのか?日本の民進党は大喜びで,早速外交失態だと24日の国会で安倍総理を追及しています。
旧ソ連贔屓・安保反対論は当時日本を侵略する能力を持っていたのはソ連だけだったことによる便宜上であって、日本を侵略したいクニがあればソ連でも中国でもどこでも良いのが日本の革新系?野党と言う印象です。
上記のとおり社会主義その他の主義主張は便宜上に過ぎないと見れば,社会変革する新しいことや日本独立に資することには何でも反対し日本の武力弱点を補う安保条約強化には何でも反対して来た行動が一貫していたことが分ります。
日本のためになることは何でも反対し,日本が困ればが大喜びする政党って,どこのクニのためにあるのか疑問です。
ソモソモ民主国家において政党があるのは,「クニを良くする」ための方法論が相違することであって、外国の利益のために主張出来るためにあるべきではないでしょう。
政治資金規正法が外国人からの寄付を禁じているのはこの理由によりますし、どこのクニでも同じです。
政治資金規正法
(昭和二十三年七月二十九日法律第百九十四号)
第二十二条の五  何人も、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(金融商品取引法第二条第十六項 に規定する金融商品取引所(以下この項において単に「金融商品取引所」という。)に上場されている株式を発行している株式会社のうち定時株主総会において議決権を行使することができる者を定めるための会社法 (平成十七年法律第八十六号)第百二十四条第一項 に規定する基準日(以下この項において「定時株主総会基準日」という。)を定めた株式会社であつて直近の定時株主総会基準日が一年以内にあつたものにあつては、当該定時株主総会基準日において外国人又は外国法人が発行済株式の総数の過半数に当たる株式を保有していたもの)から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。・・以下省略
社共や民進党は勿論この法律をクリアーしているのでしょうが,民進党・蓮舫代表がトランプ氏がTPPが個人的にTPP破棄を明言した途端に欣喜雀躍して・・「これ以上TPPを進めても仕方がない」と安倍総理を国会で追及しているの見れば,「中国追随こそ日本の利益?」だと言う日常の本心を誇示したことになります。
アメリカ・オバマのアジア重視戦略とは、世界の警察官はやれないが成長セクターであるアジアにまだ未練があると言う意思表示でした。
アジア重視路線・・アジアでのアメリカのヘゲモニー維持のためには,急速に台頭して来た中国に対して,一方の雄である日本を先陣に立てて、中国牽制に使おうとしていました。
その枠組みの基礎がTPPでしたから,トランプ氏が次期政策変更のトップ事項としてTPP破棄?をSNSで表明したのは,アジア重視・ヘゲモニー維持もやめると言う意思表示ととるべきです。
「中国の推進する経済枠組みのAIIBやより貿易障壁緩和レベルの低い・・国有企業除外条件や知財保護基準が弱い経済協定スキームにスキなように入って下さい」と言う意思表示にも読めます。
即ち「世界中の警察官・ヘゲモニー維持をアジアでもやめるから世界中の域内大国が好きなように「支配」してください」アメリカは不快感表示として中国の意に反した公海のパトロールなどはしません・・と言う意思表示になります。
そこまで極端ではないにしても、アメリカはオブザーバー程度しか参加しませんので中国が議長になって,自由に運営してくださいと言う意味でもあるでしょう。

アジアのヘゲモニー1

「アジアを中国に任せてアメリカはアジアには何も口出ししない」と言う地域分割交渉・・同じことが、米中、米ロ,米トルコその他世界各地で決まりそうになって、プーチンや中国がトランプ氏当選を歓迎しているのはこの期待によります。
そうは言ってもアメリカはこれまで深くコミットして来た利害関係があるので,元々の顧客を直ぐ切れない・・簡単に手を引く訳に行かない・・イギリスのEU離脱交渉並みの複雑な経過が待っています。
この辺はオバマがアジア重視と言っても、これまでコミットして来た中東や西欧や中東から直ぐに手を引けないで(サウジなど旧与党国が怒っていますし)オタオタして来たのと同じです。
実は戦争と同じで縮小撤退作戦の方が攻める・・支配地拡大より何倍も難しいのですが,国民にはその難しさが理解出来ない面もあります。
23日書いたようにアメリカは世界の覇者の地位は堅苦しくてうまく行かない・・その地位を下りて、ロシア、中国レベルの地域大国程度の格式でお互いに域内で言いたい放題、やりたい放題やろうじゃないか!と言うレベルに戻りたい方向は変わらないと思われます。
中国もロシアも世界の覇者をやるのは「荷が重い」・・割に合わないことが分ってきて地域大国程度で満足する智恵として「域内で無茶苦茶やれる方が良い」それにはアメリカを含めてお互い相手地域のことには干渉しないと言う地域大国間の縄張り(秘密)合意が成り立つ可能性があります。
これが、習近平氏の言う太平洋2分論です。
日本にとって一番困るのはこれで,アジアは中国の勢力圏と勝手に世界分割されると,日本の行き場がなくなります。
韓国の場合にはこれを漏れ聞いていて急いで中国に尻尾を振ったように見えますし、フィリッピンその他の弱小国は誰が域内大国になっても強い方に尻尾を振れば言い・・山内一豊のように逸早く次に覇権を握りそうな陣営に馳せ参じる方に智恵を使えば足りる立場ですが、日本は簡単に中国になびくワケには行きません。
日本は古代聖徳太子の髄の煬帝に宛てた文書に明らかなように対等な「天子」を名乗りアジアで唯一一度も華夷秩序に入った歴史がありませんし、今でも中国よりも明白な文化的先進国です。
(日出処の天子、書を没する処の天子に致す。つつがなきや…)
煬帝は怒ったと言われますが,怒りながらも無視出来ず日本へ公式返礼使を送り出し正式国交が始まりました。
https://kotobank.jp/word/%E8%A3%B4%E4%B8%96%E6%B8%85-112880
裴世清
隋の煬帝の使者。推古 16 (608) 年6月第1回遣隋使小野妹子の帰国に伴われて来朝。日本の威信を示すために難波の鴻臚館に盛大に迎えられ,隋の国書,進物を朝廷に届けた。同年9月第2回遣隋使とともに帰国。
2回目以降の国書からは「天皇」と言う名称を使用するようになります。
 「東の天皇,敬(つつ)しみて,西の皇帝に白(もう)す」
対等どころか,モノ「白(もう)す」とは、上位者から目下に言うような表現ですし、東の天皇が西の皇帝に・・と言うのも地位の上下を表しています。
中国では古代から正規皇太子を「東宮(春宮)」と言い、約千数百年後の清朝末期にもこの習慣で「西太后」が有名ですが,本来東太后が正規皇后であり「西」は次順位を表しています。
日本の大相撲で見ても,東の横綱が正であり西は副の地位です。
随は高句麗との戦争のために当時日本を敵に回せなかった国際情勢があったので,この機微をついて国交開始の最初の国書冒頭に「日没する処の天子へ」と一発かました聖徳太子(実在かどうかの議論は別として日本政府レベル)の外交勝利です。
随はこれを受入れ正規に返礼使裴世清を送り国交開始したので,2回目以降は「天皇」の名称が公式に定着しました。
その後663年)日本は白村江の戦いで唐新羅連合軍に敗れて朝鮮半島での拠点を失いますが,このとき体制一新して防備を固めたので(唐は攻め寄せることが出来ず)唐は対等者としての日本の国使・遣唐使を受入れるしかなかったのです。
現在社会用語の大多数が明治以降に日本で考案した熟語をそのまま使っている状況になっていることから分るように、近代では日本上位期間にはいっています。
習近平氏は中華の栄華復興を言いますが,この地域にあった王朝が日本よりも上位に立ったことはなく元々対等関係だった日中関係が、近代以降日本がアジア諸国に対して樹立して来たヘゲモニーに対する挑戦者でしかないのですから,言わば「復活」とは歴史の改ざんをしていることになります。
日本と髄の文化的格差を比較すると以下のとおりです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%A3%E9%9A%8B%E4%BD%BF
「開皇二十年 俀王姓阿毎 字多利思北孤 號阿輩雞彌 遣使詣闕 上令所司訪其風俗 使者言俀王以天爲兄 以日爲弟 天未明時出聽政 跏趺坐 日出便停理務 云委我弟 高祖曰 此太無義理 於是訓令改之」
開皇二十年、俀王、姓は阿毎、字は多利思北孤、阿輩雞弥と号(な)づく。使いを遣わして闕(けつ)に詣(いた)る。上、所司(しょし)をしてその風俗を問わしむ。使者言う、俀王は天を以て兄と為し、日を以て弟と為す。天未(いま)だ明けざる時、出でて政(まつりごと)を聴く。日出ずれば、すなわち理務を停(とど)めて云う、我が弟に委(ゆだ)ぬと。高祖曰く、此れ大いに義理なし。是に於て訓(おし)えて之を改めしむ。
・・・・・解釈
「倭王は、天を以て兄と為し、日を以て弟と為す。天未だ明けざる時、出でて政を聴く。日出ずれば、すなわち理務を停めて弟に委ぬ」
これは、これで一つの文章であり、倭国の大王による、隋の皇帝に対する謎かけなのである。
この答えは「明けの明星」である。天は常にあるから一番目の「兄」であり、夜明け前に輝く金星(明けの明星)は二番目であり、三番目の「弟」である太陽が昇ると、金星(明けの明星)は見えなくなって(=理務を停めて)しまう。
つまり倭国の大王は隋の皇帝に対し、「あなたが天子=天の子なら、私は明けの明星ですよ」と、隠喩で述べているのである。
結局、この謎かけは隋の皇帝には理解されず、第二回遣隋使での直接的表現へとつながるのである。[独自研究?]」
太田道灌が,雨にあって「みの傘」を借りたくて立ち寄った先で、若い娘がみの傘の代わりに山吹の枝を差し出したの対して,立腹した話が有名です。
 七重八重ハナは咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき
と言う古歌をもじった娘の気持ちを理解出来なかったことを羞じて太田道灌が多いに反省したと言うお話です。
上記解釈(定説かどうか知りませんが)によれば聖徳太子の時代から直接的表現しない都会的洗練が発達していて、中華地域の民度レベルと我が国の文化度にこのような差があったのです。
幕末に来たペリー提督の文化度の低さに日本側が驚いたのと同じコトが西暦608年に既に起きていることが分ります。
平安時代に和風文化がイキナリ生まれたのではなく,(気持ちを表現するのにひらがな表記出来るようになったことが大きいだけ)その前に万葉集の時代(漢字を日本の発音に応用して漢字を(万葉仮名)利用出来るようになってから蒐集したに過ぎないのでどのクライ前からあったか不明・・から独特の深い人間理解の文化が生まれていたのです。

アメリカの長期戦略と日本1

小笠原や沖縄の返還は,米ソ冷戦真っ最中のアメリカが、日本を自陣営につなぎ止めるための無償?返還ですから、沖縄基地全面返還条件で平和裏に返すことがありえないのが明白・・全面返還に固執してそれで決裂して「一歩も譲らなかった」と自慢していれば良かったかの国民選択の問題です。
国民の政治レベルが熟していないクニでは、熟達した政治家による秘密合意が許されると言う意識が普通・・決断した政治家は将来の歴史評価に委ねるしかないのが現在の常識です。
その意味では「一定期間経過で公開する」アメリカの制度は合理的です。
世界の植民地独立機運が生じたのは、対日独戦に協力させるためにイギリスがインドに独立を約束するしかなかったことに端を発しているように物事には見返りがあります。
アメリカは占領初期には日本を工業国として再起させない目的で国内工場設備を解体してアジアへ搬出強制していたのに、これを一転して国内工業生産再開を許し再軍備を認め日本独立を認めたのは朝鮮戦争以来のあらたな戦争体制に日本を協力させるためであったことは、揺るがない歴史事実でしょう。
この世界大変動のチャンスを生かして、荒廃した産業を立て直し、独立出来たのは日本政府、民族の大成功でしたが、サンフランシスコ平和条約時に社共が主張していた全面講和論貫徹→独立先送りしていた場合を想定すると日本はいつまでも独立出来ないで占領下のままになっていたことになります。
ソ連崩壊による世界世論一致まで待てば良かったのでしょうか?
反対するソ連さえなくなれば社共が賛成に回ったでしょうか?
今度は中韓が反対だから反対というのではないでしょうか。
1990年近くまで占領されたままでいたのでは,後記のインデイアンに対するように日本民族は骨抜きにされていたでしょうし,ソ連が崩壊すれば独立出来たかと言うと、そうなってからでは独立が無理になります。
アメリカにとってせっかく大量の人命を犠牲にして支配下に置いた日本を何の見返りもなく独立させる必要がなくなる・・国内世論が承知しないというのがふつうです。
・今のロシア相手に何らの見返りもない北方領土返還などまとまりそうもない実態と同じです・・ギブアンドテイクが冷徹な国際政治です。
ロシアはウクライナ侵攻以来国際孤立していたから日本へにじり寄っていたのですが、トランプ氏登場で息を吹き返してこの僅か数週間でイキナリプーチンが北方領土返還交渉に冷淡、強気になったのと同じで、アメリカも敵対国ソ連が崩壊すればアメリカの日本利用協力メリットが低下するので、態度も変わります。
実際にソ連崩壊後対ソ戦略基地としての日本が不要になると。早速アメリカは中国・江沢民と組んで対日包囲・ジャパンパッシングを強めた・・世界的に「日本には将来がない」と思わせる動きの推進役を果たして来た事実を見れば明らかです。
調子に乗り過ぎた中国の暴発で,対中対立になりかけた結果、安倍政権以来日本が大事にされるようになっていましたが、アメリカ、トランプ氏がアジアで中国と覇権争いをする気がなくなれば・・経済利益だけで見れば,アメリカは伝統的に中国と仲良くし日本を敵視した方が合理的な関係です。
アメリカは元々条約を守ったことがありません。
アメリカでは、降伏したインデアンとの条約(降伏条件)を踏みにじりインデイアンの反骨精神を奪うために、赤ちゃんが生まれると直ぐに全員取り上げて白人家庭に送り込み政策が実行されました。
生まれつき白人の召使いとしての教育・・大きくなると全員寄宿舎に送り込まれて徹底した白人優越教育が行なわれる・・生まれながらの従属・劣等民族意識を刷り込む政策が実行された恐るべき歴史があります。
この結果あの勇猛なインディアンの子孫が、ほぼ全員精神を病むか骨抜きになり、麻薬・アルコール中毒中心の生活に陥り、今や絶滅危惧種並みの被保護人種になっています。
社共勢力・・これに同調していたマスコミ文化人らは何の展望があって独立を拒否したのか?ニッポン民族をどうしたかったのか?不思議です。
沖縄返還で言えば、無条件返還の観念論・・結局返還交渉を破綻させる場合との利害得失ですが・・民度の高い社会では実情を公開しても合意形成可能です・・何故高度に発達していた日本の民度でこの程度の合意形成が出来なかったのでしょうか?
実際に密約があったかは別として国民の「総意」としては,基地が残っても早く返還して欲しかったかったことは間違いがなかったでしょうし、(「異民族支配が続いた方が良い」と言う民族がこの世にあるでしょうか?)沖縄返還時にアメリカ軍に「全面的に出て行ってくれ」と言うのは無理があると言う総意で返還後も長年一致しています。
基地存続の合意で返還された以上、日本は暗黙の合意・約束を守るべき信義があります。
ところで、沖縄が密約や基地存続の結果、沖縄県民が日本本土の人の犠牲になって酷い目にあっているのではありません。
沖縄米軍基地は周知の通り日本防衛のためではなく、ほぼその99%がアジア太平洋全域のアメリカの国益のために日常活動しています。
米軍基地があってもアメリカ軍支配下よりも日本復帰の方がよかったから沖縄県民は復帰を選んだのであり,多くの日本人もこの形しか復帰させられないので気の毒・・一緒に苦労しましょうと言うだけです。
東北の津波被害に対して日本人みんなが自分のことのように気の毒と思っていると、東北の人から「みんなのために犠牲になっていると言い募られると」??となりませんか?
東北の御陰でおいしいワカメが食べられるかも知れませんが・・。
日本は日本列島防衛に関係のない、米軍沖縄基地のため、あるいは発展し損なってる沖縄のために莫大な資金を投下して来ました。
全て沖縄県民のための負担であって、沖縄復帰によって本土は何か恩恵を得ているでしょうか?
せいぜいアメリカ軍のパトロールによるアジア平和への貢献と言う抽象的利益に過ぎませんが,これは米軍施政権下のままにあっても同じです・・・・むしろ日本は基地経費負担など一切する必要がありませんから気楽です。
日本が樺太や北方領土のロシアの軍事基地系経費負担など、誰も考えないのと同じです。
北方領土も元住民のための復帰運動をした結果仮に基地付きで帰って来た場合,元住民から基地の存在のために騒音被害などの損をしている被害者だとしょっ中資金要求されているような関係です。
折角合意しておきながら、飽くまで米軍に嫌がらせして追い出そうとし、米国と仲違いのタネをまいて沖縄の防衛を無能力化したいのは、どこのクニの利益になるのか?
今回のトランプ氏の要求・・「基地経費を全部持たないならば撤退する」と言う要求が本当に出て来たら、このときこそ逐次全面返還交渉のチャンスでしょうが(それでも数十年かかる交渉です)、トランプ氏は脅す・・駆け引きだけであって、本気で出る気はないでしょうが,結果的にアメリカの存在感が縮小する方向へ向かうことは確かでしょう。
元々オバマ時代からアメリカは当面アジア地域のプレゼンスを維持しながら将来的には地域大国程度で良いと言うのが基本セオリーだったと思われますから,それをトランプ氏が(一種の孤立主義・・アメリカ第一と言うのもこの意味で理解すべきで)刺激的表現をするか、温和な言い方をするか程度の差でしょう。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。