サービス社会化(内需率)3

http://www.globalnote.jp/post-1614.htmlによる貿易依存度の表によると以下のとおりです。
直近データ2015年
単位は%
・貿易依存度はGDPに対する貿易額の比率
 順位   国名      依存度
  1   香港      337.04
  2   シンガポール  233.25
  3   スロバキア   166.57
  4   ベトナム    162.63
  60   韓国      72.05
  64   ドイツ     70.54
  165  イギリス    37.45
  178  中国      33.33
  189  日本      28.11
  191  ミャンマー   26.47 
  194  イラン     25.56
  197  米国      21.12
  200  シリア     20.06
  202  キューバ    16.85
  205  スーダン    12.71
  206  ベネズエラ   6.91 (最下位)
韓国は60位で日本・米国は当時経済制裁を受けていたり戦乱で経済麻痺状態のクニなどを除けば、ほぼ最後尾です。
貿易依存度の表を見ると香港・シンガポールなどの例外的・・商業都市国家に特化している国家・地域を除く一定規模のクニで見ると、急激外資導入新興国の順に依存度が高い傾向が読み取れます。
この基準で見ると20年ほど遅れて近代工業化を始めた中国よりも韓国の方が貿易依存度が高い(内需率が低い)のですから、発展イビツ性・内需力の低さは半端ではありません。
経済制裁等孤立している国や戦乱で貿易どころではないクニを別とすれば、原則として内需率の高さが国民生活の豊かさに比例していると言えるでしょう。
この後で少し触れますが、消費力は結局は国民文化力に比例します。
人口あたりGDPの比較をしても、韓国のように財閥が独り占めてしていても中国のように巨額賄賂のクニでも平均値があがりますので、庶民の豊かさと関係がありませんが、内需の大きさは実質的豊かさ・文化レベルに関係します。
GDPを人口で割って、一人当たり所得に計算してランキングを発表しているのは、粗雑過ぎて無理がある・・何を表しているか意味不明です。
文化価値を理解出来ない人が統計を作って満足しているからではないでしょうか?
各国が自国内で経済活動が完結している場合には労働分配率を計算していれば良かったでしょうが、今や世界中で他国資本が入り乱れている時代です。
A国の成長に寄与した先進国B国の企業は利益を本国に送金するし、A国から派遣されたXY等の幹部社員の家族はA国内でその給与で生活しています。
外資支配下でしかも財閥支配の韓国で、二重の意味でGDPを人口で割っても庶民生活レベルを表さない極端な社会になっています。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/161231/mcb1612311520002-n1.htmkらの引用です。
「固定化する格差社会、6割が悲観…「韓国の社会動向2016」が描き出すヘル朝鮮 (1/4ページ)」
ドイツの内需率が低いのも有名ですが、ドイツの場合格差と言うよりは基礎的消費未熟社会・・生活を楽しむ文化未熟の結果でしょう。
うまいモノがない楽しいモノも少ない・・生活レベルの低さに(満足している?)問題があることがそのまま現れています。
食べ物がまずい・芸術センスも低いイギリスでも外需依存度165位ですから、ドイツの内需率・生活水準の低さが分ります。
ドイツ人からすれば、自分たちは何も楽しいこともなく質素な生活をしているのに南欧諸国はうまいモノを食べて贅沢して生活が苦しいと文句を言っていると言う不満があります。
南欧系から見れば、北欧系はうまいものも楽しいことも知らないバカみたい!な人間の集まり程度に思っているでしょうから、EUは白人・キリスト教徒の仲間と言うだけではうまく行きません。
韓国の内需率の低さ・貿易依存度の高さに戻りますと、円高の防波堤(人件費アップによる競争力低下を超ウオン安で相殺できていたのです)がある間に内需型に転換準備をしておくべきだったのですが、消費=数量の時代にはアメリカのように大量消費すればいいので簡単ですが、人の二倍ポップコーン・ハンバーガーを腹一杯食べられると自慢する時代が終わると大変です。
今後の消費費力はより良い物を見極めて賞味する・・お金の有無プラス文化力ですが、文化の底上げには5〜6世紀では足りない?でしょうから無理があったことは確かです。
イギリスの世界支配は文化力がつかないままで終わりましたし、アメリカもジーンズとハンバーガー程度で終わりそうです。
これに加えて中韓両国の場合には、日本を追い越すと言う夢にしがみついていますので、形式データを上げる方向へ狂奔する傾向があります。
需要もないのに大学進学率を上げるとか、知能テストがあると事前練習させるとか何のためのテストかが分っていません。
中国も「鉄は国家なり」などの古い理念にこだわって、生産量がどこを追い抜いたとか造船量・GDPで日本を追い越すことに必死でそのためにはデータ改ざんも気にしません。
データは事業運営や国政を誤らないためにあるのですが、その意味が分かっていない・・自慢するための材料になっています。
中進国の罠にはまらないために韓国では、人件費抑制のために急激な非正規効用拡大へのシフトによって、人件費アップを抑制して来たの出すがこれでは何のために中進国に入ったかの意味が分かっていません。
この結果一定の発展に応じた消費力が身に付かない・・よりいっそう消費力を減退させたことになった・・この不満が国民に充満しているので、どの政権も反日を続けるしかなくなったのでしょう。
安倍政権・・黒田日銀になって日本の超円高が終わって韓国経済の調子が狂ってきて初めて内需力の弱さに気が付いたところです。
量が行き渡るようになると消費は質に移る・・別の面から見れば文化力次第ですから、新興国・・中韓両国共にいきなり庶民全般の文化レベルを引き上げる・・日本とは千年以上の差があります・・消費レベルアップは簡単に行きません。
そこで、誰でも参入出来る不動産バブルに目を付けて政府主導で始めた点も中韓歩調が合っています。

サービス社会化2(貿易依存度2)

新興国の高度成長・・GDPが上がった分のほぼ100%近くが輸出なので内需に関係しない上に、元々のGDPが低いので進出企業の対GDP比が高い・・結果的に貿易比率がバカ高くなるのが普通です。
最貧国や後進国が、近代製造工場の誘致によって近代工場への労働参加によって現地従業員の所得がアップするとそれまで裸足で歩いていた人も靴を買い、クルマやテレビも、あるいは日本向けエビ加工したり化粧品を作っていた人が自分も欲しくなります。
購買意欲が高まる→人件費上昇によっていわゆる中進国になると、輸出目的の生産工場の採算が悪くなって次の新興国ベトナムなどに移転して行くと中進国工場は自国内需中心に変化しないと生き残れません。
自国相手になると輸出に関わる恩恵で輸出用製品を買える層が育っていても、輸出がゼロになる訳ではないとしても輸出減少分の全量国内消費するには無理があって大幅減産ですから、失業対策上内需拡大→購買力アップに切り替えるしかありません。
内需の仲介役としてのサービス業従事者が必要であるし、一方で国内製造業減産による失業対策にもなります。
ところが、・・サービス業の生産性は先進国から誘致した近代製造業より生産性が低いのが普通なので、サービス業へ転換が進むと成長率が低下する循環に入らざるを得ません。
これが中進国の罠の原理です。
この辺は先進国の場合、新興国への工場移転が始まったときからこの問題が起きている点では先輩ですが、先行者利益享受期間が1世紀単位でであった結果、内需力が大きく育っているのと国内生産力のうち輸出分が少しずつハゲ落ちた程度・・緩やかな縮小なので対応力があります。
例えば日本ではトヨタに限らず各種名の知らぬ業界で見ても、今でも多くの企業は何割かの輸出を残していて海外工場を徐々に増やして輸出比率を下げていくだけのことです。
今朝の日経新聞朝刊15pにはNTNと言う私には何を作っている企業なのか全く知らない企業名(車軸メーカーらしい)で、トランプ氏の要求に応えて米国内工場の増強・現地生産比率を上げると発表したことを書いていますが、記事内容を見ると同社は現在海外売り上げ7割だが国内生産5割と言うことで、結果的に二割分が国内から輸出している構造であると紹介しています。
日本の場合消費材・・テレビ洗濯機などは最終組み立ての単純工程なので後進国へほぼ移管していますが、BtoB・・高度部品製造分野ではなお国内に多く留まって輸出企業になっているのが普通です。
この辺流れ作業用労働者中心のアメリカでドンドン製造業の職場がなくなっているのとの違い・・なお製造業が健在である原因です。
輸出成長から内需への時間軸の早さも問題です・・世代的に言えば、田舎から出て来た第1世代は先ず製造業や建設など3K職場で働いて、都市住民第二世代になってコンビニ等のサービス業についた方が無理がありません。
このように1世代以上経過の緩やか変化ならば業種転換も無理がないですが、新興国の場合、高成長ストップ即な内需切り替えでは、消費者も十分育っていないしサービス業向け人材も育っていません。
先進国でも日独等熟練工中心社会はまだ製造業が強いですが、アメリカ式単純粗放生産社会では、新興国が台頭するとすぐに製造業が凋落する点では、2極分化があると思われますがその点はここでは措くとして、製造業が衰退して行く社会では、その分サービス経済化して行くしかない点は同じです。
それでもアメリカイギリスの場合早くから成長していたので、過去の蓄積を背景に貿易赤字をものともせずに?内需を増やすことが可能・・文化力を背景にした商品競争力がある・あるいは世界進出用の研究開発部門を抱えている分だけ有利です。
韓国の場合も貿易依存度の高さ・・内需力の貧弱さが知られていますが、本来は中国より約20年間早く近代工業化していたのですから、成長に応じてちゃんと給与を払っていれば国民の消費水準・内需率が上がって行くべきでした。
新興国の人件費が上がると輸出主導による経済成長が頭打ち・・貿易依存度低下=内需経済移行・・国民にとってはその前約10数年〜20年間の目一杯働いた高成長の果実を得られる時期に入ったので良いことですが、成長率基準で言うと経済運営の苦しみが生じます。
元々、食糧や洗濯機など欲しい財が1〜2%しか供給されていない場合、生産量を前年比何%増やせるかは重要な指標です。
しかし供給・・例えばピアノが100%行き渡った場合、前年比生産量が1割増えても二割増えても買い手がつかないのは当たり前・・だから輸出に活路を求めて来たのです。
相手国に供給不足がある場合、他国との輸出競争に勝つ→国内生産が増える成長率に意味がありましたが、世界的に供給過剰になって来ると、国内生産が頭打ちになった場合と同じで前年比増の成長率にこだわる意味がなくなります。
市場が飽和状態になった場合、市場規模が同じでも個別企業にとっては、ゼロサムゲームで生き残れる企業がどこになるかでしのぎを削る意味がありますが、マクロ経済での成長率やGDP指標は意味がありません。
我が家ではバルミューダと言うパンがおいしく焼けるトースター新発売のときから愛用していますが、国内のトースター利用数が殆ど変わらない場合、よりよい製品でどこが勝ち残れるかと言うだけで国内のトースター販売数はほぼ変わらない・・同様に各種製品に工夫を凝らしても全体GDPは変わりません。
国民の満足度勝負・・生活水準アップ中心社会では、GDP成長率神話はあまり関係ないことが分るでしょう。
良い物を作ればその製品が海外にも売れますが、今バルミューダをネットで調べると日本の若者グループが開発したものですが、台湾製造による輸入品であることが分ります。
国内メーカーのトースターを撃退シテの快進撃ですから、トースターの総売り上げは同じで結果的に日本のGDPが逆に下がっている関係になっています。
上記のとおり、海外進出循環を経て内需中心経済になると製造業は製造コストの安い国に移行して行く・・・成長率が下がるのは当たり前です。
これを前提に失われた20年と言われて来ましたが、日本の国民にとっては内需が豊かになる個々の国民が成長の成果を享受出来る・すごく良い時代であったと繰り返し書いて来ました。
お隣の韓国も国民を大事にして内需転換時期をもっと前に来させるべきだったのですが、これが先送りさせていたのは外資支配による結果でないかと憶測しています。
アジア通貨危機以降銀行・金融機関は殆ど全部、その他大手企業の資本が外資に大方に握られてしまった関係で、低成長モデルの内需にシフト出来ない・・国民が貧しいまま・労働分配率が低かったままになっていた可能性があります。
この結果、人件費上昇による中進国の罠にはまらなかった幸運?と、タマタマ超円高(超ウオン安)効果で長い間輸出が好調だったので貿易依存度が高いまま・・内需転換が先送りされていたことになります。

サービス社会化1(貿易依存度1)

WTO違反の裁定などどうせ時間がかかるので、その前に日本が屈服して来るだろうと言う実力主義・・WTO裁定(負けるのが分っていても)の結果を中国は気にしない態度を明らかにして来ましたが、僅か1年で大規模訪日団を送るところまで追い込まれたのは中国の方でした。
レアース禁前後には、事前に決まっていた訪中使節その他ありとあらゆる日中交流日程を予定が立たないなどと言う理由で次々とキャンセルして来たことから見れば、自分の方から訪問して来るなどは180度の方向転換です。
ただ、この辺はそれほどメンツにこだわらない中国人民の柔軟性で、韓国のようにトコトン修正出来ない硬直民族との違いです。
いろんな事象に対するネットコメントを見ると、韓国人のコメントでは北朝鮮政府声明のようにいつも決まりきった反日意見しか出て来ませんが、中国人のコメントはネット検閲が厳しいと言われる割に、自国を客観的に見るコメントが多いのをみるとこれが、政府の柔軟性と繋がっているのでしょう。
もしかして柔軟性と言うよりも実利100%の国民性・・恥も外聞もない・・実利優先と言う方が正しいのかも知れませんが・・。
中国地域は異民族支配の方が長い・現在でも多民族社会ですから、物事を相対的に見る習慣が本来あるとも言えます。
専制支配が長かった印象から外れますが、異民族・多民族社会であるから自由に意見を言わせると百家争鳴でまとまらない・・強権支配しか出来なかったとも言えます。
巨人と言われたチトー死亡後ユーゴスラヴィアが解体に向かった例でも分りますが、余程の指導者か強権支配しか社会が持たないのかも知れません。
低レベル社会では落ち着いたが話し合い解決が不可能なので、議院内閣制ではなく大統領制でないと国家運営出来ない原理に繋がっています。
大統領制とは専制支配の民主的修辞です。
元々漢民族自体が黄河中流域の洛陽〜開封までの盆地・・中原地域を囲む四囲の個性の異なった民族・・北狄(高原・山麓の狩猟民族・西戎(荒涼たる砂漠の騎馬民族)・南蛮(江南・湖沼水郷系民族)、東夷(黄河デルタ地帯の民族)が、市場交易を求めて渡河の容易な黄河中流域に集まって混合した民族がその原型です。
時代の進展により、狭い中原から交易圏が広がり、(春秋戦国時代に新興勢力楚王が、周王室の鼎の軽重を聞き、秦末漢楚の攻防も結局は長江流域が交易圏に組み込まれて来た時代を表しています)今では何千km単位の広大なイメージの西戎(アフガニスタン付近まで含む)南蛮(ベトナム〜インドを含む)東夷(朝鮮日本を含む)ですが、元は洛陽あたりを中心に目に見える範囲の周辺山地・原野・デルタ地帯の先を指していた言葉です。
交易権が広がると水運に便利な便利な下流に中心地が移り、洛陽から開封に都が移って行きます。
日本でも壬申の乱の頃の東国とは、今の岐阜県あたりを指していたのですが、中世では箱根以東をさすようになったように、周辺呼称の範囲は行動圏の広がりに連れて広がります。
レアアース禁輸に話題を戻します。
レアアース禁輸後約1年経過で勝負がついて中国経済代表団が訪日せざるを得ない結果になったのは、WTOの裁定(正義)によったのでなく、日本の技術力・抵抗力が上回ったことによります。
中国は嫌がらせで日本企業を閉め出したつもりだったのに、日本の高度技術が必要なので日本からの投資減退で参ってしまったことによります。
(穴埋めにドイツ誘致を計画しましたが補完し切れないことが分ったので、手のひら返しに訪日団を結成するしかなくなったのです。)
現在韓国が中国の締め上げに参っているのは、フィリッピン同様に韓国には代替の利かない高度技術が少ないのでスキなようにやられている原因です。
日本もBtoBではなくBtoCあるいは訪日中国人観光客や現地スーパーのような代替性の高い分野に頼る業界が増えると、中国が何か要求を通したくなるとイキナリ対日観光客を絞ったり、現地日経コンビニなどを標的の不買運動など嫌がらせが始まるので、リスクが大きくなります。
フィリッピンのバナナの通関手続を故意に遅らせて腐らせてしまったりしていましたが、レアアース事件のときにもこの味を占めてたのか?日本からの輸入品の通関手続を故意に遅らせるイヤガラセをしていましたが、部品は腐らないし困ったのは輸出向け工場で日本製部品の早期組み込みを必要としていた中国民族企業の方でした。
現在中国の対韓嫌がらせも観光・韓流その他消費系が困っているだけで、今朝の日経新聞によるとサムスン・SKなどの対中半導体輸出は今年二月は前年比5割増メモリーは8割増とかで好調らしいです。
今後中国の内需目的の進出企業が巨額投資してしまうと、フィリピンのバナナのように何をやられても我慢するしかない・・かなりのリスクが生じます。
ここからサービス経済化にどのように対応するべきかテーマに入って行きます。
3月11日日経新聞朝刊7pには、米雇用23.9万人増の見出しとともに「完全雇用の死角」の題名で1990年から2016年までに民間雇用者総数は3000万員増えたが製造業では500万人減り代わりにサービス業では2500万人増えている」
「長い目で見ると給与の高い製造業の減少傾向が続き給与水準の低いサービス業へシフトが進んでいる」
となっています。
その記事の冒頭に建設現場では、給与を2〜3割上げても人手不足のままと言う現象を紹介しています。
如何にも白人・中間層は元々3K職場・建設現場に来ない・・移民労働者が入って来ないとどうにもならないと言うイメージ操作っぽい記事でもありますが、一応こんなところです。
全体の論調は(移民に職を奪われたのではなく)完全雇用下なのに多くの人が不満を持つようになったのは、サービス業シフトが賃金低下・生活水準低下を進めたから・・と言う説明です。
先進国の発展過程は、一般的に地場で成功した企業が県外等へ輸出し、次いで◯◯地方から全国規模輸出となるに連れて工場も域外に作って行く、最後に海外展開して行くのでこの間に儲けの還元などで自然と内需・サービス業も追いついて行きます。
AI化やロボット化オートメ化進展で製造業の発展に連れて成長していたサ−ビス業が、(工場周辺飲食店ではなく)製造業と切り離して独自に必要な時代が来たのです。
中国、韓国などの中進国の足踏み現象を経済的に見ると、この順次発展の過程を経ていない分、より大きな構造問題が起きるように見えます。
自発的発展ではなく、低賃金を武器にした世界の工場機能を果たすときには、元々ゼロのところに先進国から先端的近代工場が進出して来るので後進国の前近代的生産性から見ると百倍?規模で生産性アップする上に、誘致にあたっては国内産業保護のために当初100%輸出用生産しか認めないことが多い・・国内需要無視の輸出型工場誘致ですので先進国本社で輸出先を用意してくれる・・作った分だけ売れます。
中国開改革開放後に日本向け野菜などの(日本人好みに合うように)生産指導が盛んでしたが、全量日本のスーパーなどが引き取る契約でした。
毒餃子事件の騒動の報道もこの種の流れは分るでしょう。

政治と信頼2(ルール違反・実力行使)

直ぐ見える単純利害レベルでは・・アメリカが日中対立に関わって軍事支出が増える・人命損がはっきりしている割に、目に見えるメリットが少ないのでこれを対中密約で譲る可能性を否定出来ません。
日米安保がアメリカのサボタージュにより実効性がないとなれば、アメリカの世界的信用下落その他複雑・間接的影響は大きいものの、複雑系に弱いトランプ政権のレベルからすれば、サボタージュのレベルを外見上分り難くして誤摩化す程度の裏取引がありそうです。
結局はアメリカ国内の鉄鋼業界救済・進出済みの自動車業界等救済のために、日本を売る・・アジア安保を(裏で)放棄することになる可能性があります。
その上、中国(との裏約束を言わないで)も45%の関税その他の要求を中国が飲んだのだから、日本も相応の高関税または輸出制限をのんでくれと言う要求に使って来るでしょう。
これを防ぐために安倍総理はトランプ氏の懐に飛び込んだのですが、彼はいくら約束してもその場の目先損得で動く・・これを行動原理にしていますから実は信用出来ません。
長年掛けて成立して来たWTOの約束を簡単に踏みにじることも厭わないと言い、アメリカ自ら推進して来たTPPを何の根拠もなく反古にすることを何と思わない人物です。
WTO違反を問題にしないと言う意味は、その前に実力行使してしまった方が勝ち・訴えられてもそのときのことだ・・アメリカは強いんだぞ!と言うことでしょう。
反日暴動時の中国によるレアアース禁輸も同じ論理・・日本がWTO違反と訴えても結果が出るまで数年以上かかる・・その間日本が持ちこたえられなければ、屈服するしかない・・訴え取り下げを強要出来るだろう」と言う読みによる実力行使でした。
戦国時代に小さな城が何故あるかと言うと簡単に占領されると応援部隊もどうにもならない・・互角に戦えないまでも、少なくと応援部隊が来るまで持ちこたえられる程度の防衛力が必要とされていたからです。
戦国時代の物語では、応援部隊が間に合うと双方大軍同士のにらみ合いでちょっとした小競り合い程度で一定期間経過で双方退陣する流れですが、応援軍が到着前に城が落ちてしまうと、応援軍はなす術がなくそのまま帰ってしまうパターンです。
双方が主力軍の激突を辞さない覚悟のときには川中島の合戦や長篠の合戦みたいになりますし、イラクのクエート侵攻のように勝負がついた後でも米軍がこれを奪い返しました。
そこまでやる気がないと、ロシアのクリミヤ併合のように、既成事実を作ってしまった方が勝ちです。
このように、日米同盟と言っても米軍到着まで日本が一定期間自力で持ちこたえるのが原則です。
WTO違反で訴えるにしても裁定が出るまでの間、自力抗戦能力がないと絵に描いた餅になります。
フィリッピンは折角国際司法裁判所の判決で勝っても、勝訴の効果を主張出来ないほど弱いことが明らかになりました。
たとえば、レアース禁輸時の時間軸・帰趨を書いておきます。
.中国レアアース禁輸に関するhttp://www.h-yagi.jp/00/post_231183.htmlの記事からです。
「WTO(World Trade Organization:世界貿易機構)紛争解決制度は3月26日、中国がレアアース(希土類)の輸出に課している関税や割当量制限を「不当」と認める裁定を下しました。
日本や米国,EU(European Union:欧州連合)は平成24年6月に中国へ共同提訴。日米欧勝訴の正当な裁定が下されましたが、中国は裁定を受入れるか、控訴するか中国商務部は裁定内容を評価中。フィナンシャル・タイムズ紙は「今回の判決で片付きそうにない」と評しています。」
「スマートフォンやHV(ハイブリッド)車に欠かせないレアアースは、中国が世界をほぼ独占状態の生産量で日本は中国からの輸入に約9割も依存。平成22年9月に尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を機に中国は,対日経済制裁ともとられる一方的なレアアースの禁輸措置をとりました。」
「中国のレアアース禁輸措置を受け、米国やオーストラリア、太平洋の海底など鉱床開発が進められ生産は広がり価格も下落。さらに、日本では先進技術でレアアースに頼らない技術も開発するなど、中国は自らの行為で立場を弱めた結果となりました。」
上記記事は2014年4月1日の記事ですが、平成22年の禁輸措置=2010年のことですからWTO裁定まで約4年かかっており、しかもWTOは2審制ですから、控訴して最終決着までには更に数年かかかってしまいます。
(最近最終決定が出たように記憶していますが、最早ニュース価値が低いからかネットですぐに見つかりません)
南沙諸島を巡る領土紛争を有利に進めるためのフィリッピンに対する中国のバナナ輸入規制等の嫌がらせでは、フィリッピンは簡単に屈服しました。
折角国際司法裁判所で完勝したのに、ちょうど政権交代があって就任したばかりのドウテルテ大統領はこの効力を主張しない・・屈服を選ぶしかなかった印象です。
レアアース問題が実際に解決したのは、WTOの裁定によるのではなく輸入の9割も中国生産に頼っていた日本が新技術開発に成功したことによって、中国の方が禁輸を続けられなくなったことによります。
国際関係は戦国時代がちょっと良くなった程度・・正義が貫徹する社会はありません。
日本は充分な在庫があり素早く技術革新出来たので、逆に中国が在庫増加に困って勝負がつきましたが・・。
ついでに同サイトの[2013.9.30」の記事もお浚いをかねて引用しておきましょう。
中国当局:尖閣領土問題でレアアースの日本輸出を制限

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日中関係の悪化は平成22年、尖閣諸島での中国漁船衝突事件から始まり、当時弱腰だった民主政権は海上保安船へ衝突させた中国人船長らを逮捕するもののあっけなく釈放。領土問題が勃発し中国当局は、ほぼ独占輸出品であるレアアース(希土類)の対日輸出を制限しました。
日本企業は、代替国からの輸入や技術の力で代替品、リサイクル技術の向上で中国産レアアースのニーズを急減させました。結果、昨年の中国のレアアース生産量は、ピーク時の平成18年の16万トンから半減。日本への輸出量は平成22年からわずか2年で4分の1に減少しました。日本の技術革新が中国の外交カードを打ち消し、中国当局にとっては大きな誤算となりました。日中関係の冷え込みが続くなか、中国を代表する金融グループや通信企業のトップら11人が9月25日、首相官邸を訪れ菅官房長官を表敬訪問。中国のトップらは、「日中の企業同士での交流を深め、日中関係を良くしたい」と述べ、民間交流の重要性を強調しました。
チャイナリスクを痛感!技術革新こそが日本の外交力
昨年(この記事は23年9月です)の尖閣諸島国有化では、相変わらず中国当局の嫌がらせは続くものの外交カードは切ってきません。外交カードを安易に用いたことで日本企業にチャイナリスクの恐ろしさ知らしめ、その対抗策に技術革新が日本の外交力であることを気づかせました。」

日中関係悪化の影響:貿易は1割減、中国への投資は3割減
JETRO(日本貿易振興機構)によると、今年上半期(1月~8月)の日中貿易は、前年同期比10.8%減の約14兆5,290億円。4年ぶりの減少を記録しました。中国向け直接投資も同31.1%減の約4,900億円まで落ち込みました。中国経済の需給バランスは日本企業の影響だけでも痛手となったはずです。」

政治と信頼1(意思表示の責任)

不確実性とは何か?要は相手が何をするか分らない・・下の者は何をすれば良いか分らない不安・信用出来ないと言うことです。
昔から政治には周辺者の支持が必須ですが、その支持は約束を守る信頼の上に成り立っているモノで、これ形式化・・「見える化」したの中国古代の韓非子・法家の思想であり、西欧近代の法の支配です。
現在で言えばマニュアル化でしょう。
法とは、国家・為政者の支配・命令の意思表示ですが、仮に一方的に制定されたものであっても、この命令に従った者に相応の恩賞を与えたり、処罰出来ない(罪刑法定主義)など君主自身の行動も縛られる・・国民との約束です。
国家が個別国民と個々に約束出来ないので、公布と言う形式で国民全部が拘束される約束・対世効があるのが「法」であり、個別意思表示でも相手方に対して法律効果が出る・・守らねばならないのでこれを法学用語で「法律行為」と言います。
民法
第五章 法律行為
    第一節 総則
(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条  法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
(任意規定と異なる慣習)
第九十二条  法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」
「法」とは国民が守るべきモノと言う意味であり、個人の意思表示に法律効果があると言うことは、意思表示したことは守るべき義務・責任が生じると言うことです。
企業が消費者の意見を聞かずに一方的に示す(民主的手続がなくとも)約款やレストランのメニューであっても予め示した取引条件・意思表示に企業自身が不特定多数の顧客に対する効果が出る・・縛られるのは「法」と個別「意思表示」の中間的場面です。
一方的命令・・通告であっても実効性を持たせるには、命令・ルール通りにしたことが褒められ、処罰されない・・しょっ中変えない・安定性・信用が重要です。
店舗も定休日や執務時をその都度変えると、せっかく行ってもお休みだったら困るので、客は安心てその店に行けません。
約束は守るが自分に不都合になると朝令暮改では、いつ変えられるか心配で国民や相手は安心出来ません。
議会制民主主義とは君主が勝手に国民に命令・約束出来ない・・側近に諮問していたのを民選の議会で作るようになった内部手続の問題であって、これを経ていない時代でも公布したり命令した途端に国民や官僚に対する約束になる点は同じです。
政治が機能するには、国民が法(政府の約束)に従っていれば大丈夫・政府を信用出来ることが大前提です。
「綸言汗の如し」言われて来た所以です。
これを世界規模に及ぼすと国際合意の重みです。
世界の覇者が法・・過去の国際合意を好き勝手に変更するのでは、民(世界の弱小国)は何を信じてよいか分りません。
アメリカは近年国力の衰えが見えるとは言え、今なお世界最大の強国ですし、アメリカの大統領は世界最高の権力者です。
この最高権力者がアメリカ主導で決めて来た過去の国際合意を自国都合で一方的に変更すると宣言しているのですから、今後アメリカ主導の国際合意をしても彼の気持ち次第で一寸先が見えないとなると、国際合意の価値が減少します。
トランプ氏は、「過去の合意をちゃぶ台返しするが、自分がした合意は守る」と言うのでしょうが、彼の任期は最長でも8年しかありません。
国際合意は長期間の行動指針ですから、大統領が変わる都度変更になるのでは、安心して長期的関係を築けません。
合意だから変更要請を断れば良いかと言うとそうは行かない現実があります。
アメリカの圧倒的影響力があって、高関税や輸入禁止、日米安保ももっと費用負担しないと撤収すると言われれば、日本は拒み切る力を持っていません。
戦前日本がアメリカの不当な要求に次々と屈服・受入れて来たのに対して最後にハルノートを突きつけられて遂に妥協の限界が来て日米戦争になりました。
戦後も自由貿易と言いながら繊維交渉、電気交渉、鉄鋼・半導体・プラザ合意などなどその他全て無理な要求全部受入れて来た歴史です。
日本は無茶な要求されれば、大方飲まざるを得ない弱い関係・・変更交渉に入れば思うままに変更出来る日米の力格差があります。
合意の変更を求めると言うのは一見公平そうですが、力関係に格差がある場合、強い方が言い出すのは一方的変更になり勝ちです。
これを横で見ている韓国がアメリカのように、日韓条約や過去の合意をスキなように反古に出来ると思うようになったように見えます。
韓国の主張や動きを見ると、オブラートで包んでいるアメリカやユダヤ系の本音をそのまま言って来る便利な存在です。
世界中が(3月11日に書いたように中国はかなりの抵抗力がありますが・)一強のアメリカから過去の合意変更を強要されると日本同様に拒み切れない関係ですから、過去の合意を変更したい・アメリカが高関税を掛けると言われるとみんな困ります。
関税を一方的に上げれば報復合戦になるとメデイアは言いますが、日本はとても報復する力を持っていません。
企業で言えば社長が変わる都度、弱い下請けに対して前社長時代の合意を下請けの不利な方向へ変更してくれと言って良いのかと言うことです。
世界最高権力者がこんなことを言い出せば、折角時間をかけて合意してもいつ変更してくれと言って来るか分らない・・権力者への信頼が失われます。
言わば事実上の強制ですから一方的に約束を破るのと結果が変わりません。
政治・権力は支配下の信頼によって成り立っているのですから、横紙破りの一方的なことを宣言すると一見権力誇示で強そうですが、アメリカ自らの世界支配構造をぶちこわす方向へ働くことになります。
国益・・王権維持のために王様は無茶しないのが鉄則です・・勇ましく荒っぽいことを主張すると一見強そうに見えますが、ヤクザがすごむのと同じでそのときの被害者一人に対しては強権を振るえますが、多くの人が眉をひそめる・・結果的に多くの信頼を失う結果になります。
アメリカにとっても長期的には損することですから、アメリカのメデイアは、国益を守るために政権の足を引っ張る方向よりは、政権を軟着陸させる方向へ協力すべきでしょう。
日本にとってもっとも危険な想定・・南シナ海や尖閣諸島問題放任政策への転換は単純レベル・アメリカンファーストの応用編でいえば、トランプ政権にとってあり得る選択肢です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。