投資過多社会2(中国の場合)

1昨年あたりから、企業負債伸び率がGDP(これも実態に合わない蒸かした数字と言う声が多いですがそれに比べても)の伸びより大きい現象・・生産増のための投資よりは、国有ゾンビ企業への追い貸し分がこの差額に当たると言われています。
過去にはGDPが実態より膨らましている批判根拠に電力消費や輸送統計の伸びよりGPDの伸びだけ何故そんなに大きいのかと言われて来ましたが今度は金融の伸びが大き過ぎると言う逆批判です。
この辺の議論の方法は税収弾性値論による批判でも同じです。
以下日経の記事を紹介しますが、過剰投資によって成長していたのは鉄鋼や造船業だけではなく、以下のデータによればこれから中国の時代ともてはやされていたものの、内容・実態は酷いモノだった・・全般的に生産性が上がっていないことが明らかです。
いわゆる限界資本係数の考えで、中国ではこれが一貫して上がっている・特にリーマンショック以降係数が上がる一方で投資額に見合う生産増が起きていない異常性です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130222/244092/からの引用です。
「中国は、鄧小平氏が経済改革に着手してからの30年間、年平均9.8%というペースで成長を遂げてきた。だが世界銀行によると、このうちの6~8割は投資によるもので、生産性の向上は2~4割しか寄与していないという。」
「現在の中国は、低迷する外需、脆弱な内需、上昇する労働コスト、低い生産性といった問題を抱えながら成長を維持するために、投資に過剰に頼りすぎている。 」
「中国の1995~2010年のGDP(国内総生産)成長率は年平均9.9%。この間、固定資産投資(インフラと不動産開発計画への投資)の規模は年平均20%増え続け11.2倍拡大した。そのため、固定資産投資の総額は、平均でGDPの41.6%、n2009年には過去最高の67%に達した。大半の先進国ではあり得ない数字だ。
 中国のGDPに対する投資比率が上昇している背景には、投資効率が悪化していることがある。それは、限界資本係数(年間投資額を年間の生産増加額で割った数値)の高さに表れている。」
GDPアップを自慢していても中身は無駄な公共投資によっていることが、以上の記事で明らかです。
しかもその資金が自分で汗水たらし貯めた資金ではなく、外国からの誘致資金(あぶく銭)によっているので、無駄遣いし放題・「どうせ他人の金」と言う意識があるからでしょう。
巨額賄賂がはびこるのも、外資による元々の地元相場の何倍~何十倍もの天文学的売却金が入るのを目にすると許認可権を持つ関係者がいくらかのバックを期待したくなりやすいし、払う方も抵抗が少ないことが背景にあるでしょう。
世界中の高成長時・・日本でも田中角栄時代や後進国の開発独裁に汚職~不健全資金移動が付き物である構造的原因です。
リターンを求めて行うのが民間投資ですから投資効率が下がると民間投資資金流入が減少し、さらにストップないし逆流を始めます。
その穴埋めとして公共投資を活発化するのが普通ですが、緊急失業対策としての意味があってもこれによって新規産業創出に成功することは滅多にないのが普通です。Gdpアップに繋がらない無駄な投資が続くわけがない・・いつか資金切れになるのは規模の大小を問わず自明ですが経済規模が大きいと費用対効果の関係が複雑化するので統計さえいじればごまかしの利く期間が長くなります。
以下促成栽培的高成長をを狙う工場誘致の問題点に入って行きます。
ラーメン屋であれ、弁護士独立であれ、本来地道に稼いだ資金をためてから独立や規模拡大すれば相応の技術があって手堅いのですが、まだ十分な技術や顧客がつかないうちに親がお金を出して貰ってイキナリ独立しても投資に見合う収益増が期待できません。
国全体で見ても同じで投資が投資を呼んでいる間は土地造成や工場建設等による生産増がありますが、まだ工場の稼働が始まらないので投資額の割に生産増にならない・・限界投資係数が上がります。
高度成長期に限界投資係数が上がるゆえんですが、順次稼働率が上がり始めると次第に限界投資係数が下がっていくのが健全なあり方です。
地方・・後進国への大規模工場誘致は、自発的産業がいつまで待っても育つめどがないから手っ取り早く(促成栽培)成長するには外資あるいは中央から大企業の工場を引っ張って来る方が良いとの判断が基礎にあります。
導入した地域から見れば一種の外資ですが、あんちょこな分に比例して・・誘致した大工場が世界戦略上海外に出てしまうと残された工員には自分たちで何かを始めるほどの技術が育っていないから途方に暮れるのは当然です。
この典型事例が北海道夕張市の破綻でしょう。
炭坑がある間に関連技術が地元に育っていない・・炭坑閉鎖後残された労働者が新規産業を起こすべき力がない結果失業対策に公共工事をする・・投資に見合う新規産業創出や生産増がないので公共工事が終わると仕事がなくなり財政赤字が残ります。
規模が小さく単純経済だったので結果が早く出たと言うべきで、工場海外展開→他の多くの自治体も似たようなことをして来ました。
そこで地方政府が何とかしようとして無駄な公共工事・・箱もの行政に精出して来た結果、どこでも赤字体質になってしまい、この10年ほどはその修正に必死です。
以下はhttps://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/6646.pdf
投資効率の低下が顕著な中国経済  ─習近平体制下で「発展方式の転換」は可能か─
   日本総合研究所 調査部 主任研究員 三浦 有史
からの部分的引用です。
「中所得国の罠」に陥っている国の共通点は、低所得国から中所得国入りした際の成長パターンから脱却できないことである。その一つは投資依存型の経済成長である。
・・もう一つは輸出依存型の経済成長である。東南アジア、とりわけASEAN諸国や中国は安価な人件費と先進国の技術を輸入できる「後発性の利益」を最大限に発揮することで「離陸」(take off)を遂げた。
しかし、それらは当然のことながら経済の発展段階の上昇とともに失われていく。
中国では名目GDPに占める総資本形成の割合が徐々に上昇し、2003年には個人消費を上回る水準に達した(図表3)。・・わが国で名目GDPに占める総資本形成の割合が最も高かったのは1973年の36.7%(注3)、この時の個人消費の割合は53.8%であり、韓国は1991年でそれぞれ38.0%と50.6%であった(注4)。異常ともいえる中国の総資本形成の伸長は投資効率の低下を示唆する。」
「経済成長の牽引役は投入量ではなく、生産性や効率性の向上によって代替されなければならないのである。」
「成長率の低下に耐え切れず、投資依存型の成長を続けるのか。習近平体制は歴史的な分岐的を迎えた中国経済のかじ取りを任されている」
投資効率を表す限界資本係
数は、一般的に次式(1)、つまり資本ストック(K)の追加分(⊿K)と国民純生産(Y)の追加分(⊿Y)
の比率で表される。
 限界資本係数=⊿K/⊿Y
資本ストックの追加分を国民経済計算上の総資本形成、国民純生産を統計の制約から国内総生産(GDP)で代替し・・・」とあるように、簡単化すればGDPアップ分をストック追加分で割れば良いことになります。
アジア主要国の限界投資本係数の比較が表になっていますが、何故かコピペ出来ないので、大雑把に紹介しますと中国が突出して大きい・投資効率が悪くなっています。
上記によれば日本の高度成長期の最大指数でも2、9%です。
高度成長期で比較しているのは、成長期待で投資が最大限膨らむからでしょう。
限界資本係数算出も基礎データの取り方にもよりますが、基礎データ自体中国の場合信頼性が乏しいのですが、基礎データの正確性を別として勝又氏の表が一覧性があって分りよいので紹介しておきます。
meblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170129.htmlによれば、中国の係数は以下のとおりです。
      限界資本係数  実質経済成長率
2010年   3.0   10.6%
  11年   2.8    9.5%
  12年   4.3    7.9%
  13年   4.7    7.8%
  14年   5.5    7.3%
  15年   6.2    6.9%
以上のとおり中国では成長率が下がり始めてから限界資本係数が、急上昇している異常さが明らかです。
前向き投資が膨らんだのではなく、後ろ向き投資(ゾンビ企業への追い貸し)が急激に増えている・・中国が如何に危険な綱渡りをしているかが明白です。
中国のGDP発表自体が当てにならないことが有名ですから、限界投資係数を見ても前提数字が合っていないと意味がありません。
ただ、国威発揚第一の中国のGDPが発表が実際よりも低くしているという逆の偽装をすることは想定出来ないのですから、(本当のGDP伸びがもっと低い場合、)実は限界資本係数がこの何割増である可能性がある点が怖いところです。
ここ数年でGDP比で見る税収弾性値が急激に下がっていることも指摘されています・・実際のGDPは伸びていない・・マイナスではないかと言う疑問です。

中韓バブルの行方2(外資依存社会)

中国苦境の始まりは進出している外資が中国の人件費アップによって採算が取れなくなった結果、バングラデシュやベトナム等へ雪崩を打って進出を始めたことと言われています。
工場進出投資は計画〜認可から、土地取得〜施設整備〜販路獲得など長期を要しますので、折角投資した中国から数〜5年くらいで中国から引き上げるのでは大損ですし、余程の赤字にならないと滅多に撤退出来ません。
資金移動に関する近年の大きな流れを見ると撤退→投資引き上げはわずかで、中国ノミへの集中的投資からベトナム等へのチャイナプラスワンになったことが中心です。
にも拘らず中国経済が大変なことになって来たのは、中国はひっきりなしに外資が入って来ないとやって行けない・・投資に頼る経済構造社会であることを表しています。
言わば、将来の大国と言う大宣伝に乗せられて、世界中がバスに乗り遅れるなとばかりに、投資競争をして来たので中国は世界中の資金を飲み込んで自分の金のように大きな顔をして来たに過ぎません。
長い間追加等資金流入に慣れてしまったので追加投資がないと経済が回らなくなっている・・少し減っただけで資金不足になって大騒ぎになっているのが現状です。
そこで再び世界中に追加投資をする気になってもらう・・次々と投資を受入れないと運転資金が続かない詐欺的先物取引業者(ねずみ講)等に類似した社会構造になってしまった様子です。
次々と投資を呼び込むために、ベトナム等に負けない中等度製品工場への転換必要性が言われますが構造転換は時間がかかるので輸出向け製造投資再開が当面無理でも中国が抱える人口・・巨大内需の魅力を訴える作戦に切り替えたようです。
景気対策をかねて内需拡大に舵を切ったのは、内需向け企業進出・・外資の呼び込み運動・・補助金の大判振る舞いでクルマ販売を伸ばしているのはこの一環です。
輸出専業の製造業誘致の場合には、土地その他の投資資金として巨額外貨が入る上に稼働が始まれば輸出専業ですから間違いなく外貨を稼いでくれたのですが、内需向け企業進出を図っても輸出で外貨を稼いでくれません。
両手で外貨を受け取っていたのが、片手からしか入らなくなったことになります。
内需向け投資はクルマ産業を除けばコンビニ進出を見ても分るように投資規模が小さい・・一応外資が入って来るが額が少ないので入って来る外貨が急減します。
将来の巨大需要宣伝で誘致した以上前年比増で車が売れないと困る・・次の投資が続かなくなるから補助金などで売り上げ増に必死でした。
このための補助金支給期間が昨年末頃に終わった結果、この先の売れ行きがどうなるか心配なために、補助金率を減らして存続になったようですが、その結果少し売れ行きが下がり始めています。
http://mainichi.jp/articles/20170113/k00/00m/020/094000cからの引用です。
17年は自動車減税の終了に伴う反動減で大幅な市場縮小が懸念されていたが、中国財政省は昨年12月、減税策の1年延長を発表し、自動車業界に安堵(あんど)が広がっている。
 ただし、減税幅は16年より縮小。自動車購入を考えていた人の多くは16年中に新車を手にしたと見られ「16年ほどの勢いは期待できない」(日系自動車メーカー)との声が大勢だ。」
国内自動車販売増・マンション新築増は国内鉄鋼その他の受注した支え・救済にもなるでしょうが、国民の消費アップですから結果的に貿易収支が悪化し外貨(貯蓄)急減に見舞われます。
国内自動車販売増・マンション新築増は国内鉄鋼救済にもなるでしょうが、国民の消費アップですから結果的に貿易収支が悪化し外貨(貯蓄)急減に見舞われます。
以下に造船業や鉄鋼不況・出血輸出の弊害を紹介しますが、これらを見ると人件費上昇によってベトナム等々の競争に負けたことが原因でないことが分ります。
中国危機が言われながら意外にしぶとく持ちこたえて来たのは、豊富な外貨準備の取り崩しのほかに鉄鋼に象徴されるようにいろんな分野でダンピングによる外貨獲得がありました。
出血輸出の構造を見ると適正価格は、a原材料+b管理費(ここでは金利金融コスト等も含めます)+c労賃+d利潤ですが、出血販売とは利潤ゼロだけではなくabcの合計以下で価格を設定していると言うことです。
a以下で売ると在庫がなくなった時点で次の仕入れが出来ないので、いわゆるバッタ売りが止まりますし、労賃cを下げる・・整理解雇では生産を減らすしかないのでが、失業増大では国内政治が保ちません・・国際公約しているものの実際には生産縮小出来ていません・・中国が生産を続けて世界経済に迷惑をかけ続けているのは、bの管理費のマイナス・・金融面で面倒を見ている・・ゾンビ企業への追い貸しを続けているからに外なりません。
追い貸しだけではなく、無理な内需拡大・投機を煽ってマンション建設を拡大しているのは、鉄鋼関連の救済目的と言われています。
その資金はどこから出るか?外貨流入減下でこれを続けると外貨が減少する一方でいつまでも続きません・・これが世界の関心ですが、弱そうな国相手?サード配備にかこつけて韓国を締め上げ、一方でアサヒホールデングに対する不払いニュースが3月18日に日経新聞に出ましたが、遂に外貨が底をついて来たのでしょう。
ところでダンピング輸出の成功?が世界秩序にとって「許された行為」によるか否かは別問題です。
仕入れた原材料価格に適正なマージンを乗せない出血生産販売・輸出は、仕入れ原材料がなくなった時点で終わる・・倒産するはずですが、政府による追い貸しの結果いつまでも続くので世界の迷惑になっています。
資本力のある大企業が原価の半値で売って体力勝負に出ると中小企業がバタバタとつぶれます・・独占企業になってから正常価格の二倍の価格に吊り上げても、消費者は高くなった商品を買うしかありません。
このような不当商法を放置出来ないので独禁法で不当廉売を禁止しているのですが、中国が国営企業にじゃぶじゃぶと資金供給して似たようなことを世界中相手にやっています。
鉄鋼製品大ダンピングは、中国にとっては外貨が欲しいから、背に腹を代えられないのでしょうが、この種の事例は規模の大小を別として現在中国では氷山の一角と言うべきでしょう。
鉄鋼の苦境はベトナム等との人件費競争に負けたのはではなく単なる非効率・生産性性の低さによるほかありません。
同じく中国造船業もこれに劣りません。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170129.htmlによると以下のとおりです。
2017-02-17 05:00:00
中国、「75%閉鎖」造船業転落が象徴する「脆弱な産業構造」
中央日報』(2月10日付)は、「中国造船所の75%が閉鎖、受注の崖から抜け出せず
「韓国に脅威となるほど猛威を振るっていた中国造船業が急激に衰退している。世界1位の座を獲得するために無理やり規模を拡大したが、『受注の崖』にぶつかって業界全体が相次ぎ倒産する危機に直面している。一時、世界市場のシェア30%を占めた中国の造船所は、すでに75%が閉鎖されている。英国の造船・海運分析機関『クラークソンリサーチ』によると、中国の679造船所のうち運営中の造船所は169カ所だけだ。残りの510カ所は経営していない」。
「戦前の中国で、「クーリー」(苦力:下層の肉体労働者)が、上半身裸での作業は日常的な姿であった。その「クーリー」が、港湾から造船所に移動して「世界一」の造船業を目指したと思えばいい。そこには技術革新がなく「労働集約産業」でしかなかった。これでは、造船ブーム時は経営できても、不況になればひとたまりもなく一掃されるだろう。中国の産業は、この程度のひ弱なものが圧倒的なのだ。これで、世界覇権に挑戦するなどと言い出すから、物笑いの種にされる。」
上記のとおり中国は外国から資金を飲み込んで来ただけで実は生産性が上がっていなかったようです。
中国の高成長と言っても(例外もありますが多くの)実態はこのようなモノらしいです。
1昨年あたりから、企業負債伸び率がGDP(これも実態に合わない蒸かした数字と言う声が多いですがそれに比べても)の伸びより大きい現象・・生産増のための投資よりは、国有ゾンビ企業への追い貸し分がこの差額に当たると言われています。

中韓バブルの行方?(外貨準備の急減)1

昨年来アメリカが低金利政策の出口を探る展開になると、経済体力の弱い中韓ともにつられて金利を上げるしかない結果、国内過剰融資のトガメが出て来ます。
1昨年頃にFRBイエレン議長が金利上げ決断を先送りしたときに中国への影響を明言していたのは、中国破綻による世界混乱を心配していたからですが、これが世界の共通認識です。
FRBが今回(3月15日)中国破綻を気にせずに利上げに踏み切ったのは、1昨年の株価暴落時よりも中国の体力がついたとする見方は皆無でしょう。
この後で紹介するように中国の外貨準備がこの数年で激減している状態です。
今回の利上げは、中国破綻を世界が織り込んで来た(この数年リスク承知で中国投資した企業の面倒まで見る必要がない)ので仮に破綻に向かってもそれほどの心配がないと言う意味と、他方で米国の対中姿勢の変化でしょう。
大き過ぎて潰せないと言っていると良い気になって軍事進出など幾らでも威張る・許容範囲を超えたのでこの辺でお灸を据える必要があると言う政治的要素が大きいように見えます。
中央銀行の政治からの独立性と言っても、中国に対する断固たる米国新政権の決断を明らかにしたことになります。
中韓の場合、アメリカが金利を上げ流にの追随上げすると国内バブルの急収縮のリスクがあるので、低金利を放置していると金利差→人民元やウオンの下落は貿易上有利ですがその代わり資本流出加速→デフォルトの危機になります。
自国通貨安が国際貿易競争上有利な筈なのに、中国が(デフォルト危機になるのを恐れて?)必死に買い支えざる得ないのは、構造上の弱点を抱えているからです。
元安になると外貨建て債務の返済額がその分アップし、対外債務の多い企業は参ってしまいますし、傾向的人民元安が見込まれると外資の対中投資意欲が減退するので新規投資・流入資金が細るばかりか、既存投資・・収支見通しの悪い限界進出企業の場合人民元が下がる前に早めに見切りを撤退に入る・ドルなどに換金して回収しておこうとする動きを誘発します。
憶測が憶測を生み一種の取り付け騒ぎ・パニック的外資逃走になるリスクが怖いのです。
中国の外貨準備が巨大と言っても外資導入によるもの・・外国資本を預かっているだけ・ビルオーナーがテナントからの保証金を自分のお金のように使っているのと同じでテナントが出始めると保証金を返す必要がありますが、中国は今この恐怖におののいているのです。
この後で紹介するアサヒホールデングスの現地子会社売却金が日本へ送金出来ていない事例がまさにこれです。
頼みの外資が回収に向かいドルへの換金・引き上げを始めると中国経済はひとたまりもありません。
いくら威張っていても実質負債の大きさまたは外資依存の脆弱さがモロに出て来た・・ここに来て逆回転始めたのです。
ちなみに日本の場合円安になると貿易上有利なばかりか、外貨建て債権・対外投資残が多いので、債権や投資済み資産の評価が上がるメリットがあります。
東日本大震災でイキナリ円が上がったのは、大被害の復興資金がいるので国外から資金回収・国内還流するとの思惑があったことを紹介したことがあります。
日本とは逆に債務国の場合、アジア通貨危機同様に何かあると資金を引き上げられる下落予想になるのが普通です。
韓国の場合、中国と違ってウオン安に向けて何の心配もなく為替介入を続けて来たのは、日本による巨額スワップ協定・・日本の保障によって、いくらウオンが下がっても安心だったからに過ぎません。
コバンザメのように日本企業類似品を造り続ける韓国が、安心して長年ウオン安に向けて介入出来た結果、対日競争上うまい汁を吸い続けて来ました。
韓国は日本の信用保障を利用して日本に恩返しをするどころか逆に日本企業打倒の材料に使って来たのです。
慰安婦騒動・反日態度明白化の結果、日本がスワップ協定継続・保障してやる意味がないどころか日本にとって害がある協定となっていたので、1昨年協定期限後日本が新協定に応じなくなった以降、韓国はウオン安を放置出来なくなった点では中国同様です。
中韓共に反日行動をした結果、ウオンや人民元暴落リスクについて日本の保障がなくなりました・・政治的にも天安門事件で世界から孤立したときに日本の助け舟で中国が世界復帰出来たのですが、今回は日本が中国の政治孤立を助ける立場どころではありません。
反日暴動・慰安婦騒動の結果、日本からの高度部品供給・・企業進出・協力体制が急激に細って困った中国からレアアース禁輸後約1年で投資を求めて大訪日団が来たことを16日に紹介しましたが、そこまでしないと日本からの対中投資が冷え込んでしまった(資金と技術が入らなくなった)実態があります。
中国が人件費上昇によって国際競争力が急激低下し、産業構造をワンランク上に移行する必要が生じた大事なときに反日行動してしまったので、従来のように日本側が喜んで協力する姿勢から仕方なし・・嫌々の姿勢に変わって来たのです。
ドイツに日本の代わりを期待したのでしょうが、ドイツの方が経済規模が小さい上にジーゼル不正でも分るように各種部品等の技術レベルが違います。
そのうえ、西欧系は日本人のようにコマメに教えて相手を育てようとする姿勢よりも、差異化を求める傾向があります。
中国の低賃金大量生産工場が行き詰まって、ベトナム等で作れないような中高度部品製造に構造変化するには、日本の協力が欠かせません。
日本はアメリカと違って、新興国へ製造移転後の今でも輸出しているような高度部品メーカー(・・3月17日紹介したような世界シェアー何位と言う部品メーカーが日本にはゴマンとあります)が各分野ごとに今なお存在しています。
これを誘致しないと中韓はベトナムと等との差異化を図れなくて生き残れないのですが、反日運動の結果これが思うように行かない・・次の産業が育たないままになっています。
この後中韓の造船業の苦境その他惨憺たる状況を紹介しますが、今更困っても日本に正面から応援を頼み難くなくなってしまい、苦境を先送りしてきた限界が近づいて来ました・・。
両国とも自前で産業を興したことがない・・日本企業の指導どおりやった経験しかないので日本企業がいなくなると、この先自発的に何かを起こすにはまだまだ無理がある・・何をして良いか分らない状態に陥っていると見るべきでしょう。
コンピューター利用のIT化に関しての技術開発では、スタートラインが一緒なのでまだ何とかなっていますが、巨大人口を抱えている以上大量雇用してくれる従来型製造業をなくすわけに行きません。
台湾はシャープを買収出来ましたが、これは長年の親日姿勢の結果であり、中国が反日を国是にしている限り名乗りを上げることすら出来ません。
ベトナム等の新興国の挑戦よりも中国の追い上げ・・金城湯池の中国市場でサード配備に体する嫌がらせを防ぐには、より一層高度化するしかない点では、中国よりも韓国の方がもっと切羽詰まっています。
韓国が感情に任せて反日運動を世界で展開している陰で実業界は日本企業誘致しか生き残れないので困っていた・・背に腹を代えられないほど経済的に追いつめられた反映が朴政権の反日運動停止・・今度こそ蒸し返さないと言う大人の交渉では非常識な「不可逆的」と言う明文をつけた日韓合意の理由でした。
ところが日韓合意を実行するには国民理解が必要・国民がソモソモ約束を守るべき近代教育を受けていない・・ダダをこねれば何とかなると言う赤ちゃんレベルです。
・・感情で行動するしか知らないし合意は守るべきと言う意味が理解出来ない・・民度が低過ぎるので行き詰まっている状態です。
日本は慰安婦騒動以来韓国には愛想を尽かしていますので、約束を守らない韓国に協力する気持ちがなくなっていること・これを明らかにするために大使引き揚げまでしているのにまだ気が付かない様子で感情8割で騒いでいます。
内政混乱している間にも経済困難化の進行が待ってくれません・・ついにその結果が出るトキが近づいて来ました・・。
この危機に際してヒステリ−状態になっているのが韓国の現状です。

韓国バブルの行方1(消費信用の増加)

日本のバブルでは、最後の高値づかみした業者の評価損ともっと上がるから今のうちに買っておかねば・・とけしかけられて早めに買わされてしまった人が多かった・需要先食いの結果その後新規購入者が減って、商売にならなくなったいわゆる不況でした。
エコカー補助金期限やタバコ値上げや消費税アップなど駆け込み需要による先食いをすると、その後の不景気を招くのと同じです。
先食いの結果業界にとって次年度の売上が減少しても、期限前に駆け込み購入した消費者・国民が損をするわけではありません。
正規社員の場合給与も下がらないし・毎月支払額が変わらない・・結局人生最後まで住み続ける予定の人には評価が上がろうが下がろうが、関係のない(自分が数十年以上先に死亡したときに相続財産の評価があがるかどうかだけです)ことでした。
転売目的で損をしたのは業者中心で転売目的の国民は滅多にいなかったでしょう。
中韓の不動産バブルの場合は、国民も企業も投機目的購入ですから評価が下がり高値転売に失敗するとローンを払えません・・これが暗転すると大変です。
政府の誘導によって庶民に転売目的の無理な?借金させてマンション熱を煽っての国有企業救済ですから、(赤字国有企業への追い貸しが100必要とした場合、政府が外貨準備を取り崩してX%を負担し、残りをマンションバブルを煽って建設資材等の需要喚起で国有企業を救済し、国民の借金に付け替えさせた)いつかは、転売目的で庶民に負担させたローンをどうするかの問題が起きる点は国有企業はの追い貸しがいつか清算しなくてはならなくなるのと同じです。
無理な誘導とは、政府系メデイアで株が上がるとはやし立てて国民を株式投資に誘導していた結果、1昨年夏頃に大幅下落になった後に、今度はマンション投機を煽って来たことと内需盛り上げのために金融緩和をを断行したことです。
中国人は投機が三度の食事よりもスキと言われる民族性ですから次々と投機に参入するし、韓国では何回も一種の徳政令を繰り返して来たことからモラルハザードが進んでいますから、金融緩和で借り易くなったことで支払い能力を無視してこの機会に・・・と大勢が飛びついた印象です。
(ソモソモ、韓国では借りたら返す・約束を守ると言う近代合理主義精神・モラルがまだ根付いていない印象で、これを前提にワザワザ「不可逆的合意」と銘打った日韓合意をしても守らないで良いと言う国民意見がまた噴出しているのがこの象徴です。)
折角の金融緩和政策効果が企業投資に回らず・・企業人は合理的訓練を受けていますので、先の見通しが悪いと金利下や融資枠が広がったくらいでは儲かる見込みのない投資しません・・この辺の意見もAugust 9, 2016「金融政策限界9」まで連載したことがあります。
この結果、非合理精神行動100%(勝又氏に言わせれば感情8割)の韓国人の個人負債が急膨張してしまい危機的様相を呈して来ました。
生活苦による消費信用増についてはこの後で書きますが・・住宅投資に集中した債務超過・一面から言えば負債増加に見合って資産が増えているから大丈夫と言う強弁に使われていますが・・大局から見れば不動産バブルそのものです。
この辺は政府としても景気対策として有効なので、中国政府同様に見て見ぬ振りをして来たように見えます。
August 12, 2014「個人金融資産の重要性2(韓国個人負債増加)」で紹介したことがありますが、その後更に負債増加・・ゾンビ企業温存ならぬ個人債務の借り換え増?が続いています。
中国のマンション投機熱の激しさについては周知のとおりですが、韓国も負けていない・・韓国の個人金融負債の内先ず住宅投資に関する負債増加についてhttp://japanese.joins.com/article/485/212485.htmlからの引用します。
「韓国銀行が24日に発表した「2015年10~12月期の家計信用」によると、昨年12月末基準で家計負債は1207兆ウォンとなり1年間に122兆ウォン急増した。前四半期比では41兆1000億ウォン増えた。
年間・四半期とも増加幅は家計信用統計を出し始めた2002年10~12月期以降最大だ。2015年の韓国の推計総人口が5061万7000人である点を考慮すると、国民1人当たり約2400万ウォンの借金がある格好だ。」
家計負債の主犯は住宅担保貸付だ。市中銀行の住宅担保貸付は10~12月期だけで18兆ウォン増え昨年末には残高が400兆ウォンを超えた。相互貯蓄銀行、信用協同組合、相互金融など第2金融圏から借り入れた住宅担保貸付も3カ月間で3兆1000億ウォン増え残高は99兆5000億ウォンに達した。 」
15年の統計ですが、単なる消費信用増加だけではなく、景気対策としての金融緩和による不動産バブルが起きている状況が推測されます。
次は不動産バブルが終末に来て(日本でも住宅ローンが払えなくなるとサラ金系融資が増えます)非銀行系融資が増えている現状です。
http://japanese.joins.com/article/052/226052.html?servcode=100&sectcode=110からの引用です。
【社説】韓国経済の信管、家計負債管理に総力傾ける時 2017年02月22日09時42分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
韓国の家計負債が「過去最大値」を塗り替えたというニュースに私たちはいつの間にか鈍感になっているようだ。だがその数値がどのように構成されているのか開けてみれば憂鬱になる。家計負債の量的・質的な面、そしてその増加速度の面ですべて赤信号であるためだ。所得が足踏みなのに家計負債は2015年と昨年の連続で2桁の急増となった。
韓国銀行の21日の資料を見れば昨年末の韓国の家計負債は1344兆ウォンで再び最大値を記録した。昨年の年間と四半期別の増加額とも2002年に関連統計を出し始めてから最大値だった。10~12月期の場合、住宅担保ローンを含めた家計負債が48兆ウォン近く増えた。これは2012年の年間増加額に相当する。
何より貸し出し需要が銀行圏から非銀行圏に大挙移動した点が尋常でない。与信審査強化で銀行の敷居が高くなった隙に相互金融、セマウル金庫、保険会社、消費者金融のような高金利のノンバンクが活発な営業を通じて貸し出しを増やす「風船効果」を生んだ。ノンバンクは所得と信用が低い社会的弱者・多重債務者の割合が大きい。これらの貸し出しが不健全化する場合、金融不安はもちろん低所得限界階層の生計圧迫→消費萎縮→社会不安が加重されかねない。」
上記のとおり、債務額増加した上に借入先が銀行系から消費者信用系に移っていることが国の支払い能力に危機が迫っていることを表しています。
サラ金金利は、韓国は日本と違って34、9%と言うのですから日本で言えばヤミ金並みです。
こう言う状態が長続きするわけがない・・このひずみが大統領弾劾などのヒステリー現象を招いていると見るべきでしょう。
韓国人にとっては、民意が勝ったと高揚しているようですが・・。
韓国の場合アジア危機以降中進国の罠を逃れるため非正規化を猛烈に押し進めて人件費を抑制して成功したつもりですが、その陰の部分・個人債務ばかり膨張して行き国民消費・内需が盛り上がらなかったのは当たり前です。
内需盛り上げ→アジア通貨危機のトラウマがあって貿易赤字が怖いから・・人件費を抑えて競争力を維持するしかない・中国のように外貨準備取り崩しで国民に配ることも出来ない状態だったと言えばそのとおりですが・・。

サービス社会化4とバブル1

不動産投資の場合、これと言った専門知識や技術が入らない・・素人がレストランや半導体工場を買収しても経営出来ませんが、土地やマンションを買うだけなら買うときに騙されさえしなければ、買ってからも値上がりするまで持っていれば良い・例えば馬を買えば、飼育能力や場所が必要ですが、土地はせいぜいフェンスで囲っておけば良い・5年でも6年でも放っておいて値上がりを待つだけ・リスクはその間の金利負担だけで管理能力不要ですから誰でも参入出来ます。
また、自己使用の場合でもクルマのように運転技術不要・・消費・文化レベルが低くても・・貧しい人でもワンルームでなくとも2LDK・5LDKでも直ぐに住めます・・誰でも参入出来るので、苦し紛れに中韓政府がこれに飛びついたと見るべきでしょう。
たとえば、高度成長期〜バブル期に近郊農家が御殿のようなお屋敷を一杯建てていました・・不動産バブルをおれば、文化力を上げる息の長い政策不要で、金融緩和さえすればすぐに効果が出ます。
まして重厚長大型で時代遅れになって急激な生産縮小に見舞われている関連産業救済策の一石二鳥策になります。
中韓は日本のバブルを研究している筈なのに何故?同じことをやるの?と言う声がありますが、日本の場合国民の金あまりの結果必然的に起きたのですが、中韓の場合、金が余っているわけではない・庶民が苦しい環境から脱出するために一攫千金を求めて投機として参入してる点が大違いです。
目先の利かない愚鈍系?が実は長い目でみると損をしないのは株取引でも同じです。
政府も国民もむしろ苦しいのを誤摩化しカラ元気を出すための景気対策として政府主導で不動産バブルを煽っている点が違います。
政府主導であるからマンションブームを煽ったり引き締めたり手綱サバキは政府の手の中にある・・自由自在の面がありますから、日本のように一直線の過熱→暴落にはなりません。
例えばマンション購入ををx戸目まで許可したりy戸目までに制限したりの繰り返しをしていました。
これを「共産主義的自由主義政策の妙!」と言う自慢ですが?単なる錬金術・・破綻先送りの本質は変わらないので、その内破綻するリスクが高まります。
ここで日本バッブルをもう一度お浚いしておきますと、日本のバブルは(儲け過ぎて)金あまりの無駄遣いであって、投機で儲けようとしたのは不動産業者くらいで国民にはそう言う気持ちがなかった・・早く買わないともっと上がると追い立てられただけである点が中韓との大違いです。
不動産バブルを簡略化してもう一度書くと、喩えば、千葉市近郊の例では、坪数百円〜千円の農地を農家が坪数千円〜1万円で売り、それを次の業者が2〜3万円で買う・・いわゆる転がしを繰り返して最後は20万円前後になったところで天井を打ったのですが、最後に20万円で買った業者が倒産し、貸していた金融機関や住専が最後のババを引いたことになります。
エンド保有者・不動産業者の倒産→金融機関が損しましたが、その対として安い土地を高く売って儲けた農家に始まり・・何段階かの転がし過程で売り逃げて儲けた国民がいるのですから、国民経済としては差し引きゼロの関係・・経済的に見れば金融資産の国民的大移転・所得移転が起きた関係を連載して来ました。
貿易でぼろ儲けした分を国内同胞に再分配してくれたようなものです。
外国人が安い農地や原野を持っていた例は滅多にないので、外国人がうまく売り逃げた例は統計に関係のないほどの誤差でしょう。
巨額国債は心配がないと言う論理も同じですが、「巨額負債を子孫に残すのか!」と言うマスメデイアキャンペインのいかがわしさをこのコラムでは繰り返し批判して来ました。
私のような意見が多くなったからか、ここ数年マスコミはこの種の意見を報道しなくなりました。
当時発行済国債95%も国民が持っていたのですから、債権も相続する点を無視した馬鹿げた議論であると批判して来たのと同じで日本の不動産バブル崩壊による損失と言っても、国内所得移転に過ぎない点では、応仁の乱で文化が地方に行き渡ったように、近郊農家限定ですが所得再配分が出来たことに注目する必要があります。
この辺は年金社会保障等で世代間対立を煽るメデイア意見の怪しさも同じです・・。
何故かこの20年ばかり、何か困難な事例が起きるとバカの1つ覚えのように世代間対立を煽る論調がメデイアの主流です。
年金や医療費負担では、高齢者の負担を上げないと次世代が損するような宣伝が多いですが、社会保障・年金や医療負担を減らせば、次世代の介護等負担が増えます。
介護の社会化・・公費負担がないくて介護のために勤務を辞めると次世代がもっと損するし、自己負担率を上げれば親が貧しい場合増えた費用を次世代が負担するしかない・これが私が子供の頃の普通の姿でした・・親が豊かな場合次世代の負担がない代わりに相続財産が減る・・結局朝三暮四の関係です。
ただし、乱診乱療を避けるために事故負担率がどうあるべきかは別問題ですが、ここでは世代間対立を煽ることを批判しているだけです。
子供のいない次世代を除けば親子が1つの経済体として存在している点を無視しています。
ちなみに、単身あるいは子供のない家庭でも親がいるのですから親世代の不要に関しては同じです。
話題がそれましたので我がクニのバブルに戻します。
日本のサラリーマン等もマンションや自宅を買って参入しましたが、日本の場合金あまりが基本でしたから投機目的の人は滅多にいなかった・・転売目的ではなく究極の住処として買った大方の人にとっては、仮に5000万のマンション評価が3000万に下がっても逆に8000万に上がっても売らないでそのマンションに住み続けている限り、駅までの距離が遠くなるわけでもない・客観価値は同じで日常生活は関係がありません。
仮に転勤等で買い替えるときに自宅が半値になっているとしても、購入マンションも半値であれば、却って仲介手数料が半値になるので得するだけです。
その頃に書きましたが、地位上昇傾向の人にとっては却って有利でした・・「将来値上がりすると買えなくなるから今のうちに買っておく」と言う人が多かったのですが、若くて3000万のマンションしか買えなかった人が収入が倍になれば、6000万のマンションに買い替えようと計画していた場合、40万の給与が80万になっても差額3000万円が一夜にしてたまる筈がないし、印紙仲介手数料等も二倍かかります。
これが給与が下がらずに予定どおり貯金していたところで、逆に半値になれば、売るマンションが1500万に下がりますが、買う物件が3000万に下がっているので差額1500万で買えることになります。(この間5〜600万の貯金をしていればホンのちょっとのローン借り増で済みます)
買い替え予定がない人にとっても元々自分の給与で払える予定のローンであれば、バブルが崩壊しようがしまいが支払予定ローンは変化するわけでもありません。
失業で転売必要な人がいますが、全体から見れば例外中の例外・・当時数千万以上のローンを組めた人は公務員や大手の正規雇用者中心でしたから、不景気と言うだけでは失業しない・・給与アップ率が想定よりも下がったくらいです。
バブル崩壊の後遺症は最後の高値づかみした業の評価損ともっと上がるから今のうちに買っておかねば・・けしかけられて早めに買わされてしまった需要先食いの結果その後新規購入者が減って、商売にならなくなったいわゆる不況でした。
エコカー補助金期限前やタバコ値上げや消費税アップなど駆け込み需要による先食いをすると、その後の不景気を招くのと同じです。
先食いの結果承認にとって次年度の売上減少しても消費者・国民が損をするわけではありません。
給与も下がらないので・毎月支払額が変わらない・・結局人生最後まで住み続ける予定の人には評価が上がろうが下がろうが、関係のない(自分が数十年以上先に死亡したときに相続財産の評価があがるかどうかだけです)ことでした。
転売目的で損をしたのは業者中心で転売目的の国民は滅多にいなかったでしょう。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。