両替制限→人民元取引急減

たまたま5月8日の中国政府発表4月の貿易収支の発表が8日日経夕刊その他でニュースになっています。
コピペし易いネットで見ると以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/china-trade-april-idJPKBN1840CD
Business | 2017年 05月 8日 17:18 JST
中国の4月貿易統計、輸出入ともに予想以上に伸び鈍化 黒字拡大
[北京 8日 ロイター] – 中国税関総署が8日発表した4月の貿易統計によると、輸出と輸入ともに予想以上に伸びが鈍化した。国内外の需要低迷とコモディティー価格の下落が背景にある。
4月の輸出はドル建てで前年比8.0%増と、伸び率はロイターがまとめた市場予想(10.4%)を下回った。
輸入は同11.9%増。こちらも、伸び率は市場予想(18.0%)に届かなかった。
3月の輸出は16.4%増、輸入は20.3%増、貿易黒字は239億3000万ドルだった。 」
上記のとおり黒字にはなっていますが、5月8日の日経新聞夕刊3pによると内需拡大・輸入拡大により前年同月よりも黒字幅が16、5%減となっています。
黒字維持とは言え黒字幅が減り続けているので、このまま政府主導のバブル拡大→輸入拡大をいつまで続けられるのでしょうか?
夕張市の財政制破綻や国鉄の赤字累積など見れば分るように、無理な投資はいつか資金が続かなくなります・・規模の大小は時間差でしかないでしょう。
5月6日の記事では既に中国の金融機関を除く民間債務はGDP比200%超(日本のバブルブル末期並み)になっていることも書かれています。
ただし、勝又氏の記事では民間債務は対GDP比280%ですし、アチコチのネット記事ではそうですが、日経は全て抑制気味です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170510.html
「社会主義市場経済」は機能していたならば、債務総額の対GDP比が280%にまで膨張するはずがない。事前に、調整されずここまで膨張させたのは、中国の経済システムに自律的な調整機能が欠落している証拠であろう。」
実はこの外中国はシャドーバンキング・・理財商品の莫大な(簿外?)リスクを抱えていますが、大手新聞なのでそこまでは書けていません。
外貨交換を規制して当面外貨準備縮小や人民元急落を凌ぐとしても、人民元安の下地になっている巨額民間債務をどうするかの処方箋が見えて来ません。
政府としては先送りの限界が来たので?国際標準の法的整理を避けて不明朗な共産党主導の債権委員会方式で何となく巨額債務を棚上げする方向に進み始めたようです。
どのようにしても結果的に金融機関の不良債権は貸し倒れ処理しかないのですから、この時点で金融機関の財務に大きく傷がつくのを防げません。
日本では金融機関の資金不足が健全な融資を損ない長年の日本経済の大きな重しになりました・・・どこかでいつかは痛みを外に出すしかないことは確かです。
以下の通り中国の外貨準備減少は小康状態・・3ヶ月連続増加とは言え3兆ドルギリギリ維持している・・もしかして数字合わせに必死なのかな?)苦しみが出ています。
今のところ規制は成功していますが、人民による抜け穴探しがまだ出来ていないことによるのでしょう。
euters.com/article/china-economy-forex-reserves-idJPKBN18313I
[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行は、4月末時点の外貨準備高が210億ドル増加し3兆0300億ドルとなったと発表した。3カ月連続での増加で、市場予想を上回る増加だった。資本規制やドル高一服により、資金流出が抑えられていることが示された。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は110億ドル増の3兆0200億ドルだった。
3月末時点では3兆0090億ドルと、前の月から39億6000万ドル増加していた。
国家外為管理局(SAFE)は声明で、外貨準備の増加は基本的に外貨需要供給の均衡や、対ドルでの人民元上昇に伴うものだと説明した。」
15年夏の株式相場急落以来政府が取引制限した結果、本当の株式相場が不明になっていましたが、今年に入ってからの為替取引制限の結果、人民元の本当の実力・評価が分らなくなっていますが、国際取引での人民元取引量の変動を見れば、人民元の実際評価を表しています。
1昨年秋に折角IMFのSDRに人民元が採用されて国威発揚したつもりだったのですが、人民元の信用が下がり交換がスムースでないことから?国際取引では人民元利用シェアーが急減しています。 
国威発揚どおり経済界が動きません・・経済実力は、結果から見ればカナダ以下と言う評価です。
一時日本を追い越したのは、将来性を世界中がはやし立てていただけ・・国際社会にデビューしてみると適応力がないことが分った・エコノミストの見通しが悪かったことになります。
昔「眠れる獅子」と恐れられていたのにいざ日本と戦ってみるとあっさり負けてしまって恥をかいた・同じことの繰り返しです。
当時最新の戦艦を入手していてこれ見よがしに日本を威嚇していたのに、それを動かす人民の能力が違っていたのです。
国土ばかり広く、人民の数だけ多くても、最後の決め手は民度・内容実質です。
http://www.sankei.com/smp/world/news/170204/wor1702040030-s1.html
人民元、カナダドルに追い抜かれ「決済通貨」6位に転落 成長鈍化で国際化戦略に急ブレーキ
2017.2.4 10:50更新
【上海=河崎真澄】中国の人民元が貿易や対外投資の決済に使われる通貨として昨年12月、カナダドルに追い抜かれて6位に転落したことが、銀行間の送金ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)の調べで分かった。通貨別の決済シェアで、元は2015年8月に日本円を上回り、ドル、ユーロ、ポンドに次いで初の4位につけた。だが、経済成長鈍化や元安でシェアが低下。再び円を下回って15年12月段階で5位になっていた。
また、16年通年の元建て決済総額は前年比で29・5%も減少した。元は昨年10月に、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に組み込まれたが、評価は上がらず、習近平指導部が目指した元の国際化戦略に急ブレーキがかかった格好だ。
 元をめぐっては、SDR入り後も為替相場の形成を市場に委ねる通貨改革は進まず、国際通貨としての信頼性や利便性は向上していない。さらに中国を「為替操作国」に指定すると主張したトランプ氏による米政権の動きも不透明で、環境は一段と悪化している。
SWIFTによると、通貨別の代金決済シェアは昨年12月の段階で、米ドルが42・09%。ユーロが31・30%、ポンド7・20%、円3・40%、カナダドル1・93%だったのに対し、元は1・68%にとどまっている。」
習近平が主席になり、中華の夢を唱えた頃が最高・・ドっ天井で、その後は人民元の国際評価・・利用率が下がる一方・・ムキになって国威発揚で威張れば威張るほど実力がバレて行きます。
これだけ人民元利用の取引量が激減しているのにIMFが人民元を国際通貨に認定した「裏で何があったの?」と言う例の中国流の画策が疑われるのは仕方のないことでしょう。

両替制限→過剰流動性・バブル2

中国のバブルは民間が始めたことではなく、政府主導のバブルであるから破裂させるわけに行かない・・当初マンションバブルが広がり「鬼城」があちこちに出来たのでニュースになっていましたが、政府主導で煽っておいて投機家に損をさせたままに出来ないので、次は株式バブルを政府機関紙が煽って大規模ブームを起こしました。
これが15年夏に限界が来た結果、内需主導〜再びマンションバブルとへ再移動していたのですが、アメリカ利上げとトランプの脅しに伴う中国の追随利上げ採用によってマンションバブルを維持出来なくなると、今度は再び株式と商品相場へ誘導していると言われます。
このように政府は次から次へと螺旋状に対象を広げて行く点が諸外国の過去のばブルとの違い・・特異な現象です。
国民の方も例えばマンションバブルが一時的に収束しても、一巡すればマンションにバブルが戻って来る(政府が放っておけないからテコ入れする)に決まっていると言う「政府に対する信頼?」期待があってみんな強気らしいです。
中国破綻論は毎回空振りに終わっている・・嫌中派の議論に過ぎないと言う強気の意見を中国政府が流していますが、バックに巨大政府がついているから一見際限ないバブル循環に見えるだけとも言うのが伝統的意見でしょう。
でも伝統的学問に合わないと言うだけならば、20世紀に入ってからの景気対策としての財政資金投入や金融政策による景気平準化政策も本来はそう言うものですし、日銀や欧米の異次元緩和も似たようなものです。
不景気時に財政投資して穴埋めしていればその内にまた景気が良くなるから・・と言う景気対策も、戦後一時期一時うまく行く時代がありましたが、・・高成長から中〜低成長へ移行する構造不況に突入している場合、財政投入をしても痛みを緩和する(例えば放置すれば失業率10%になるところを8%に抑える)程度の効果しかなく、財政赤字が膨らむばかりでいつまでたっても好景気が来ません。
中国のやり方は一時の不況の穴埋めタイプか、低成長移行への痛みの緩和措置かどうかで結果が変わります。
中国の景気対策は・・内需換気は政府主導バブル・・公共投資だけではなく、「民活・バブル」を組み合わせたもの・・政府自体が次々と対象を変えては仕手相場を煽っているのは、世界史上前例のないことですから、どう言う最後を迎えるつもりか?世界中が固唾をのんでみているところです。
日銀の国債無制限?買い入れも歴史上前例のないことですから、伝統的理解の立場からは、将来どうなるのか?と出口対策を心配する否定的論調・・「一刻も早く脱却すべし論」が一般的ですが、従来の考えに合わないからと批判するの間違いであると17年5月2日「税収弾性値3(国債の合理性1)」以下で貨幣改鋳や金本位制廃止の例を引いて書いて来ました。
中国の際限ない循環的バブル創造も一種の異次元政策だからこそ伝統的考えでは、出口がどうなるかの心配している点では同じですが、もしかして新たな地平を切り開けるのか、あるいは先送りの巨大版に過ぎず破裂の瀬戸際が近づいていると見るべきかのどちらでしょうか。
ただ日経5月6日一面の記事には、国内景気維持とバブルを煽る為の金融装置・過剰流動性供給の結果、・・建設資材・・製鐵その他の資材関連産業活況→資源類の輸入が膨らんでいる・・「経常収支悪化」の小見出しが出ていて国際収支黒字減が始まっているとも書かれています。
この辺は3月26日に私が書いた見通しどおり・「国際収支悪化をどうするのか?」と言う展開になって来ている点を書かざるを得なくなって来たのでしょう。
貯蓄・・外貨準備のあるうちは、輸出縮小→国内生産縮小→失業を内需拡大で穴埋め・先送りして行けますが、資金が尽きるといつか行き詰まります。
日本の国債増発・・引き受け者が日銀であれ外資であれ、国際収支黒字の範囲内である限り問題がないと書いて来ました。
ちなみに昨年度日本の「国際収支黒字はリーマンショック前回復と今日の夕刊に出ています。
経常収支20兆1990億円の黒字(内、海外企業から利子配当が18兆350億円・・円高の結果目減りしているとのことですが・・)です。
赤字国債・・外国から借金で物を買っている状態ではないのです。
中国の16年の経常収支を見ておきましょう。
 https://www.nna.jp アジア経済ニュース2017/04/05(水曜日)                                        16年国際収支、経常収支は1964億ドルの黒字
中国国家外貨管理局は3月30日、2016年の国際収支統計を発表した。経常収支は1,964億米ドル(約21兆6,940億円)の黒字で、国内総生産(GDP)に占める割合は1.8%だった。31日付経済参考報が伝えた。
日本の黒字約20兆円とほとんど変わらなくなっています。
14億の人口と1億あまりの人口比で考えると、あるいは公表されているGDP比黒字比が急減していることが分るでしょう。
中国の商品相場高騰に戻りますと、加工輸出用の原材料過剰購入・在庫は、その内出血輸出によってでもハケて行くでしょうが、元々国内マンション等向けどころかマンション向け需要すらオーバーした・・何の需要もないのに素人が商品相場に手を出して・相場高騰に釣られて輸入してしまったものは、引き取り手もありません。
今朝(5月11日)の日経新聞朝刊25pには、中国の港湾在庫が摘み上がってしまい・・「バラ積み用船料急落」の見出しで資源系用船料金がこの1ヶ月で4割も下落していると書かれています。
商品相場・バブルは末端のマンション等の工事需要がなければ在庫増に直結するので短期間に収束して来たと言うことでしょう。
マンションを高値づかみしてバブル崩壊した場合、ババを引いた投機参加者は塩漬けにするしかない(借入金支払に困るでしょうが・・)だけですが、商品相場が過熱して高値づかみして国内在庫になります。
(高値づかみで損をした資金繰りの問題があるのは別として)町外れに作った新興住宅地・鬼城は放っておいても邪魔になりませんが、鉄鉱石など原材料の在庫は倉庫に入ったままになりますので倉庫や物流業者等が困ります。
客のいない鉄道工事なども、従業員を雇っていると困ります。
はたして政府の誘導どおりに商品相場に火がついて、新たなバブルが「螺旋状」に広がっていますが、5月6日の日経朝刊の遠慮ガチな指摘どおり、国内バブル・・商品相場上昇に合わせて資源輸入が増えて行く・・肝腎の貿易黒字が減少して行く・・国際収支赤字化が始まるとどうなるかの瀬戸際が近づいて来ます。
国際収支が赤字になると輸入代金決済資金が必要ですから、国民の外貨交換を制限するだけでは済まなくなります。
ただし、まだ黒字維持出来ているので中期的課題に過ぎないと言えますが・・これが中国の経済破綻を先送りを可能にしている面があるでしょう。
引用している日経5月6日朝刊1面によれば、17年1〜3月の中国政府の1551億元の財政赤字・・19995年以来22年ぶりとのことですし、卸売物価(商品相場です)が前年同期比7、4%アップとなっています。
国内での過剰投資は経常収支悪化と言う副作用をもたらしていると書いています。
鉄鉱石などの輸入が急増して貿易黒字が25%減った結果、1〜3月期のサービス・物の貿易黒字は前年同期比64%減とも書いています。
所得収支赤字は2年連続で、サービス・貿易収支と合わせた経常収支は、16年10〜12月期に前年同期比86%減となっています。
財政赤字が始まり他方で国際収支黒字減少が始っています。

両替制限→バブル1 

https://zuuonline.com/archives/135606 2017/01/12
中国から1兆ドルが逃げていた
中国のなりふり構わぬ「資本流出規制」17年震源地の恐れあり
2005年切り上げ以来の上げ幅
1月5日のブルームバーグニュースによると、5日の香港市場で元は現地時間午後2時53分現在、前日比1%高で、この2日間の上昇率は2.3%に達し、2010年からのデータでは2営業日として最大の上げを記録した。同日、香港短期金融市場では翌日物金利が一時、過去最高の100%超えまで上昇する。
・・規制は企業だけでなく個人にも本格的に乗り出したようだ。6日付の日経新聞朝刊によると、中国人民銀行は大手銀行に対し、個人の外貨両替取引について報告を求めるよう要請。今年からは外貨購入を希望する個人に対しては銀行窓口で「海外で不動産や証券、保険を購入してはならない」と明記された申請書の提出も義務付けたという。
それにしても、なぜ企業だけでなく個人の外貨両替行動にまで触手を伸ばすのか。それは、元安予想の進行により歯止めがかからなくなっていた海外への資本流出をなんとかしたかったからだ。ブルームバーグの集計によると2015年の流出額は過去最悪の1兆ドル(約121兆円)と前年の7倍以上にも達した。2016年1~11月にはさらに7600億ドルが流出。2016年11月末で中国の外貨準備高は3兆516億ドル(348兆円)で、ピーク時(2014年)の4兆ドルより1兆ドル近くも減ったことになる。
原因は中国人民銀行が2015年8月に突然、元切り下げに踏み切り、世界には不信感が広まったことにある。これを受けて中国内では、元安への不安から元をドルに両替する人が増えた。銀行窓口では「ドルがない」と、数千ドル規模の両替が断られるようになり、不安はさらに高まった。
富裕層はさまざまな手段で資金を海外に逃がそうと画策。外貨両替制限は年間5万ドルだが、外貨建て保険ならそれには該当しないし、ビットコインなら1日の送金上限は200ビットコインで約15万ドルにもなる。地下銀行の利用もあるし、札束をスーツケースに入れて運び出すという最終手段もある。こんなふうに、ありとあらゆる抜け道を探すようになった。
2017年に入ると、先述の外貨両替枠が更新される。ヘッジファンドなど海外投機筋は、「更新された瞬間に一気に両替に走り、中国からの資金流出が加速して元安が進行する」とみて、元売りを膨らませていた。」
上記のとおり昨年末頃から、銀行窓口では僅か数千ドルの両替資金さえ用意出来ない・・事実上ドルの取り付け騒ぎが起きていたことが分ります。
中国人民は人民元の価値(自国政府)を信用していないことが分ります。
紙幣の価値は金の裏付けによるではなく、発行体の信用次第であることを2017/01/17「観念論の弊3(財政赤字論)」とMay 2, 2017「税収弾性値3(国債の合理性)に書きました。
上記のとおり中国人の大好きな「お金に関する」虚々実々の駆け引きが繰り広げられていますが、年末に突如としての数百%と言う超短期金利の引き上げや正月明けの政府の外貨両替誓約書要求などの奇策は一瞬的には政府の一本勝ち状態で外貨減少が一旦止まりました。
1月末には3兆ドルを割りましたが、2月末には3兆ドルを回復しただけではなく3〜4月末も微増と報道されています。
「上に政策あれば下に対策あり」の民族性・・お互い(信用出来ない)騙しあいの社会ですから、直ぐにもその抜け穴探しが工夫される筈ですが・・抜け穴ですから直ぐに公的認知される筈がないので直ぐには表面化しません。
紙幣をスーツケースに隠して持ち出す場合には国外でドル交換するので政府の外貨準備は減らないでしょうが、人民元(ヤミ)相場に影響します。
人民が我先に外貨交換に走る・・外貨減少が起きる基本は政府の経済運営に対する人民の信頼喪失があるのですから、人民の政府に対する信頼回復よりも奇策連発・・お互い奇策の攻防・・人民はあの手この手の抜け穴探しの工夫をするしかありません。
一方で中国国内では外に出られなくなった資金を利用したバブル狂奔状態ですが、これも政府・社会に対する相互信頼がないことが原因・・人民は外に資金を逃がせないならば刹那的に儲けられるときに儲けておこうと言う方向へ走るしかないことをあらわしています。
値下がりする紙幣をドルに替えられないならば、値下がりしないものに変えて手持ち紙幣量を増やしておこうとするのはドル交換に走るのと心理構造が同じです。
バブルとは何か?
不動産関連が一般的にバブルになり易いのは供給が限定されている上に誰(素人)でも参入し易い点があるからですが、追加供給が困難な点を利用した値上がり現象である点は、ベネズエラのハイパーインフレと同じです。
ハイパーインフレの場合は、生活必需品の絶対的不足であり供給が増えない限り収まることはない・・誰かが買い占めて儲けているような規模ではないので、値上がりによって得する人は殆ど誰もいないのに対して、バブルの場合には、値上がり期待に便乗して自分も儲けようとする投機現象に過ぎない・・必需品の絶対的なク不足が起きていないので当局が(金融規制だけで)規制する気になれば、パタリと止まってしまう性質があり、あるいは、実需との乖離が一線を越えれば物理的に収まる・・「ある日熱が冷めればおしまいになる」と言う点が大きな違いでしょうか?
民族社会のメリットで見れば、国民が地道に創意工夫してより良いもの作るために(数年以上かかる技術革新に)投資するのではなく、土地や商品の転がし・超短期の転売利益だけが目的とするものがバブル現象ですから、そこからは何も生み出しません。
国民全部がこういうことだけ・・投機・・転売利益獲得に血道を上げる社会ってエネルギーの無駄遣い・・元々精神が歪んでいるとしか言いようがありません。
まじめに努力することが報われない社会構造になっているからでしょう。
5月6日日経朝刊1面には「中国バブル再び」の大見出しで「資本規制・マネー氾濫」の副題で中国のマンションバブルの様相が大きく写真入りで出ています。
中国人民の外貨交換要求を制限するための奇策の数々に加えて人民元相場地合を良くするために昨年末からの米国金利上げに追随しての金融引き締めも行なっています。
その結果、年末年始から金利上昇局面が始まったので(過剰流動性を背景にした商品相場はこれからとしても)マンション相場は終わりそうな流れに入っていることをApril 26, 2017「新興国の限界(民度)3」に書きました。
日経の記事はまだまだマンションバブル真っ最中のイメージ報道ですから、私の上記意見からすればこれからのような書き方には疑問がありますが、内容を見ると上海では年収の20倍超になっているなど限界が来ているイメージを書いているようです。
20倍超とは、特定高額物件のことではなく平均販売価格がそうなっている・・日本で言えば年収500万の人のうち何人が1億のマンション相場について行けるか・・仮に2〜3人しか買えないとすれば、残りはどうなるか?と言うことです。
合理的に考えれば、価格上昇は限界・・早めに売り抜けようとする方向・・バブル崩壊になります。
これの目くらまし?のために5月8日に紹介した北京近くの雄安新区の新都市建設構想が打ち出されたのでしょう。
他方で、卸売物価は1〜3月期前年比7、4%上昇と商品相場バブルの徴候をそれとなく書いています。
人民元相場維持のためには金利はアメリカの金利上げに追随するしかないとしても、人民元紙幣はいくらでも刷れるので国内マネー供給を拡大・・過剰流動性によって、国内景気・・バブルを維持出来る・・するしかないと言うのが中国政府の計画でしょう。

外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)2

国外脱出熱・・これは歴史の似ている韓国でも同じですが、昔は前もって域外の貨幣を入手することは不可能・・金や宝石類しか持ち出せませんでしたが、今は裸官で知られるように人だけがむやみに逃げるのではなく、先ずは(子供を留学させて域外生活力を準備しておいて)資金から先に逃がして行くのが中国・韓国人民のやり方です。
我が国では、国外脱出するよりは国内改革に努力する人がまだ多いと思いますが、地方の郷里を棄てて都市へ移動する点では似たような状況になっています。
その代わり、その分小さなコミュニテイ・ムラ単位〜県単位よりは、日本列島全体への一体感が強まっているとも言えます。
自分の属する共同体意識がムラから出身県〜列島一体感へ変わって来たものの、日本を棄てて外国へ移住したいか?となると古代から違っています。
民族一体教育が明治政府によって始まったと言う印象付け教育がされていますが、これは結果であり原因ではありません。
663年の白村江の敗戦以来列島一体となった防衛意識・民族意識が高まったことは周知のとおりですが、その後民族の危機が来るごとに一体感を自然発生的に強固に発揮して来ました。
蒙古襲来のときがそうですし、幕末異国船〜黒船来航時もそうです。
幕末騒乱はこの民族危機感から生じたものであり、その集大成で成立した明治政府は、民族教育と富国強兵に邁進したのは当然のことです。
我が国では、古代から集落を基本として列島全体の「民族意識」が形成されていたのであり、明治になって急に出来たものではありません。
中韓では日本より早く異国船の到来に遭遇していたのに、危機に際して民族一体で当たると言う意識がなく・せいぜい強い方に着こうと言う程度の選択しかなかった・・これが植民地化を防げなかった原因です。
留学・脱出に戻りますと、我が国では遣唐使の昔から先進国への移住を目的とするものではなく、先進文化を学んで文物を同胞(出身郷里のためではなく列島全体)のために命がけで持ち帰るものでした。
日曜日の日経新聞22pに出ていた世界で活躍しているバイオリン演奏家の記事を読むと・・諏訪内氏の日本民族還元の気持ち・・遣唐使と変わらない意気込みが伝わって来ます。
ソムリエであれ調理師であれ、他国の粋を学んで日本に持ち帰る目的の人が多いのを感じるのは私だけでしょうか?
遣唐使廃止後も文物の流入が途絶えたのではなく官費によらない個人の努力でこの種の貢献者が引きも切らない・・その結果、日本列島にはその時代時代の世界最先端、世界中の最高の「粋」が集まりこれを和魂で吸収して(和製英語を含め?)高度な社会を築いて来たのです。
戦後貧しくとも世界トップクラスのブランドは日本で良く売れたこと分るように、遣唐使廃止以降でも優れたモノがあると、直ぐ日本に導入して来ました。
西洋の文物も良いとなれば「種子島」〜蘭学をはじめドンドン入れることを厭いませんでした。
明治維新の留学生は、日本に西洋の文物を紹介することが目的であって、自分が西洋人のマネをして西洋で生活をすることではありませんでした。
遣唐使は阿倍仲麻呂や鑑真和上の例を見るまでもなく、当時の航海は難破率の高い危険なものでしたが、それでもみんな命がけで帰ろうとしていたのです。
民族のために文物を持ち帰るのが留学が目的だったので、遣唐使派遣のメリットが薄らぐと直ちに廃止になった理由です。
現在の日本若者の留学熱が冷めて来たのはこれと軌を一にしています・・。
今は企業の海外進出のために相手国を知る必要と言う功利目的でインドね示唆後を学ぶなどでであって、先進文化を学ぶための留学が減って来たのは当然でしょう。
国を良くするために努力するよりは、世のよりよい環境にただ乗りしたい・・これが中韓人民の流が苦熱の招待ですが、中韓的信条に共感している文化人は、日本の若者は元気がないと心配しますが・・逃げたい人が増えている国とは基本が違っています。
自分の属する共同体を大切にする気持ち・・これが政府不信任・・政権交代や政治改革にエネルギーが向かうのですが、人民の弱い中国や韓国では、これに向かわないで、先ずは裸官・留学等で国外脱出を目指すし、「命の次に大切な貨幣」交換要求になって出て来たことになります。
金融のプロの行動ならば分りますが、かりに円安が見込まれるからと言って日本人がドル買いに殺到するでしょうか?
日本人は対米戦争で敗色濃厚となっても最後の最後まで、お国のためにお寺の鐘まで供出していた国民です。
敗戦のどん底に喘いでいるときに国を棄てるどころかいそいでみんな国に帰って来た民族です。
中国の場合、一般人民が自国政府発行貨幣よりも外貨の方が良い・信用出来ると言う意思表示・・ドル交換を求めて銀行窓口に殺到?すると言うことは、政府不信の意思表示そのものです。
韓国でも移民願望が半端でないことを以前紹介したことがありますが最近の動向は以下のとおりです。
http://news.livedoor.com/article/detail/11999108
2016年9月9日 22時0分
日刊サイゾー
「20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ」
詳細を省略しますが、今も変わらないと言うことです。
自分の国や社会意識・・共同体を大事にしようとする意識が育っていない憐れな民族です。
この基礎意識がない分、自衛のために反日とか、愛国ぶる行動が逆に高まっていると見るべきでしょう。
日本人は愛国心を聞かれても「?」となるし、宗教を聞かれても無神論者かな?と迷う人の方が多いのですが、心底は日本教になり切っているので、普段意識する必要すらなくなっている状態です。
外国へ行って何かを学んで国に持ち帰ろうと言う人はいても、国から逃げるために留学する人は滅多にいないでしょう。
人民の国外脱出の動きに政府がどうするかですが、人民が古代からの伝統的な政権抵抗手段・・流民化に先立つ外貨資金の準備を始めると政府も負けてられない・・外貨交換枠の締め付けに走ります。
いわば歴代王朝が農民の流民化を防ぐために農民移動を厳しく制限していたことを今風に資金の流出防止に切り変えただけ・・紙幣の外貨との交換禁止で再開したことになります。
人が出て行くのは自由だが、お金を持って出る自由を制限すると言うことでしょう。
持ち出す外貨をお金を制限されれば、事実上移民が出来なくなります。
今の中国政府は人民がお金を置いて出て行ってくれるならば、国外逃亡・・移民を奨励している国ですが、政府権力者もお金第一ですから、お金を持って出て行くのは許せないと言うことでしょう。
人民の方もお金を逃がすのが大事であって、命よりも?お金が大事の民族性です。
そこで人民元が国外でどの程度流通で来ているか・・ているか・人民元が簡単にドルや円に替えられない点がネックになります。
その内外貨規制が厳しくなる一方となれば、人民はその前に駆け込みで少しでも早くドルに替えておこうとなります。
これが昨年1年間で中国の外貨準備が1兆ドルも減少した背景です。

外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)1

中国地域人民の場合、元々異民族支配が原則・・支配・被支配・・2項対立を絵に描いたような社会構造で数千年以上もやって来ましたから、政府・民族に対する忠誠心がありません・・。
制度がおかしければ・あるいは不正を正す・・など地域・社会を良くするために努力するよりは自衛が先・・遠くにいる一族を頼って流民化によって王朝が滅亡を繰り返して来た歴史です。
ソモソモ社会と言う概念が育っていないかも知れません。
中朝では、宗族の紐帯が強い・・宗族間の助け合い中心と言われていますが、言わば古代の氏族共同体意識・血族だけが頼り・助け合いの必要性がそのまま残っている・・地域共同体・一体感・絆が育たないまま現在に至っているように見えます。
日本では「遠くの親戚より近くの他人」と言うように地域での助け合いが基本になっています。
日本人が大事にしている信用とは、他人間で共通価値観を保有することですが、血族以外には信用出来ない民族では、一般的な信用概念が育ちません。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3381.html
「人を信用しないことで成り立つ文化」によれば以下のとおりです。
「そのような社会で生き残るためには、兎にも角にも、自分だけが生き残るために、生き馬の目を抜く強欲さが必要となります。
そしてそのためには、決して人を信用しないという文化が育ちます。
私たち日本人にとって、商業も工業も、およそビジネスは信用がなければ成り立たないものですが、支那においては違います。
信用しないことがビジネスの最大の要件です。
従って誰かに何かを任せるときには、相手に余程の弱味があるか、完全に自己の支配下に在る者でなければならず、このことは、周辺国への統治にも現れます。」
中国人は命よりも金が大事と言うほど「カネカネ」重視の世界ですが、まさに人間同士の信頼がないことが(金は裏切らない)そう言う行動様式にさせるのでしょう。
血族よりも裏切らない・信用していた金の値打ちが下がるとなれば、天地がひっくり返るような驚きでしょう。
人民元が下がりそうとなれば、金こそが信用の源泉である以上・・より信用のある紙幣に変えたいのは当然で我勝ちに人民元をドルに替えようと殺到するのは当然です。
社会・「公」意識に戻りますと、地域一体感がないと環境保全の意識が育たないのは当然・・近代以降の社会人として必須の「公」を重視する精神段階に至らないまま近代社会に突入してしまったことになります。
自分自身の次に漸く一族の助け合い程度しかないのですから、その外周に位置する地域貢献・・もっと遠くの環境維持などに思いが及ばないのは当然です。
日本人が中国まで出掛けて行って自己資金を投じて折角植樹しても来ても、漸く育ちかけると伐採して薪にしてしまう例が後をたたない・・砂漠化の進行を気にしないのは、仕方がないことでしょう。
現在呼吸すらマトモに出来ないほど空気が汚くなって、漸く環境保護の必要性に気が付いた程度です。
日本のように一族〜集落〜地域共同体〜民族一体感へと広がりがあって最後の到達点である「公」の精神が身に付いた結果、町や村、里山を綺麗にするようになったのとは違い、中国の人民に取っては、飽くまで呼吸が出来ないと言う結果・功利主義によります。
空気や水の汚染は「損」だと気が付いたでしょうが、砂漠化の進行についてはまだ「損得」が分らないからか、個々人はその防止のために出費する必要性を認めていません。
・砂漠が迫って来れば首都北京を事実上移転すれば良いという発想になっているようです。
人民は中国の大地を綺麗にするために税を徴収され・・費用を負担するならば既に空気や水の綺麗な日本等へ移住した方が「得」だと言う功利的意識が基本です。
北京は既に人が住み続けるには適していない・改善するには巨大な資金・高度技術が必要・・そんな苦労するよりは、新首都建設の方向へ舵を切り始めました。
千年の都を周近平が作ったとなれば、歴史に残る偉業ですし、景気対策にもなると言う中国人の大好きな例の一石二鳥3鳥の政策です。
https://mainichi.jp/articles/20170404/k00/00m/030/088000c
河北省に巨大新都市 習氏ゆかりの地
雄安新区は、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。北京市の過密緩和のために天津、河北省を一体化させる構想の一環だ。・・・この時期に大規模な都市建設を発表したのは、習氏の訪米を前に、内需拡大につながる野心的な政策を打ち出し、トランプ米大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあるとみられる。
投機マネー殺到で騒ぎ
 だが、現場では「習近平ブランド」の都市開発に投機マネーが殺到。3日付の北京地元紙の新京報の現地ルポによると、発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入り口が封鎖される騒ぎになっている。」
マンションバブルの限界が見えて来て種切れになりそうと見れば、次から次へとバブルを煽る逞しさには驚きます。
歴代王朝末期に大量発生した流民化は居住地を離れて足手まといの幼児や高齢者を連れての移動では、1〜2週間歩いても大した距離を進めない・・食糧が尽きれば・・途中野盗の襲撃を受ける危険を冒して漸くたどり着いた先の一族も同じ王朝内である限り治安が乱れて困窮化している点は同じ・・頼った先も流民化してすでにいなくなっている確率が高くなります。
海上交通の発達した明末の混乱以降は、王朝外の別の社会に住む宗族を頼るようになれば、行った先も動乱下とは限りません。
先に東南アジア諸国で住み着いて成功している同郷・同族出身者を頼って行けば、助かる確率が上がり簡単に逃げられる時代が始まりました。
これが華僑が世界に広がった基礎構造です。
人民が簡単逃げられるようになった結果、不満分子は出て行ってくれた方が政権に取っても楽・・ガス抜きになり・・支配者にとっても流民化による政権崩壊現象を免れるようになった(元、明、清といずれも異民族侵入を契機とする王朝崩壊です)メリットもあります。
異民族支配の香港へドンドン人が集まったことなどからも分るように、中国地域の人民にとっては異民族支配かどうかよりは、自分にとって良い政府・環境かどうかが基準です。
海上交通の発達によって、沿海部住民に取って域外への脱出が可能になって以降は、王朝域内で命がけの流民化するよりは、いわゆる華僑として中国地域生活圏外への脱出に変わって行きますが、支配体制から逃れることによる解決を求める本質は変わりません。
住む地域を良くする意欲がない・・そんな命がけの苦労をするよりも別世界に逃げた方が良いと言う気質です。
この辺はアメリカ人がその街や地域にしがみついてその街や地域をより良くしようとして努力するよりは、ゴーストタウンにして、逃げて行くのと気質が似ています。
アメリカ人と中国人は発展段階的親和性が高い・気が合うので直ぐに裏で手を組む傾向があるから警戒すべきと繰り返し書く所以です。

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。